
新ミドリーヌ号が我が家にやってきてはや半年、走行距離も14000Kmを超えましたが、新車時と変わった事があったでしょうか。
やはり馴染めなかったのはステアリングホイールの太さですね。E91から2世代経ったので余計そう感じるのかもしれませんが、ラヴァリナレザーが硬めに巻いてあって感触そのものは悪くありませんがかなり太くて個人的にはバツです。これは手の大きさの問題もあるので仕方がないですが、アルピナだったらもう少し細身のステアリングホイールを用意して欲しかったです。
一番変わったのは(緑の線で囲んだ)スイッチトロニックのボタンが、グリップが太くなった分相対的に遠くなり下に移動したため、普通のポジションだと薬指でしか押せなくなった点です。そのためだけでは無いですが、スイッチトロニックはほとんど操作しなくなりました。
これに関してはオプションで用意されているパドルシフトはコンパクトで剛性感もあって操作しやすい感じで高級感もあるのでおすすめですね。試乗時にしっかりチェックしてこちらにしておけば良かったです。まあ、D3Sの極太トルクだとシフトダウンの必要が無いので無用の長物なのですが(苦笑)。
運転席メーターに関してはやはり逆回りの回転計が馴染めないのと、情報量もそれほど無いのでヘッドアップディスプレーしか見なくなったため、逆にハンドル位置を下げられてラッキーだったかもしれません。ヘッドアップディスプレーも情報量はそれほど多くありませんが、メーターに視線を移さなくて済むようになって運転に集中出来るのはメリットですね。
カーナビに関しては相変わらずお馬鹿です。なんと言っても、西から自宅に帰る際に必ず箱根峠を通って熱海経由でのルートを表示するのなんか愚の骨頂でまるで学習効果がありません。あまり腹が立つので、最近は別の近場で普段のルートを経由するお店を目的地にして大体の距離と到達時間の目安にしています(苦笑)。
モードによっては到達距離と予測の時刻などの表示が運転席メーターやヘッドアップディスプレーには表示されませんし、途中のルート再検索なども出来ませんから、初代ミドリーヌ号のストラーダが100点だとしたら新ミドリーヌ号のカーナビは(さすがに地図表示は出来るので0点ではないですが)20点くらいでしょうか。
それに比べると、アルピナ本来の性能であるエンジンはほぼ最高ですね。直6特有の滑らかさとディーゼルの太いトルクを併せ持っており、軽く流しても高回転まで踏み込んでも気持ち良く回ります。ガソリンのB3と違ってスポーツモードでもアクセルオフ時のアフターファイア音が出ない所も個人的には好印象ですし、同乗者にも優しいです。5速や6速の1000回転くらいからでも粘って加速してくれるのでアクセルを深く踏み込まなくても良いですが、もしかするとこれは48Vマイルドハイブリッドのアシストかもしれませんね。
おまけにファイナル2.47というハイギアードなため、高速道路走行でも17Km/L前後走ってくれるのもありがたいです。新東名高速での120Km/h巡航でも15Km/Lくらい走るので大満足で、実際に福岡まで1000Km以上無給油で走れたのはちょっとビックリしました。
20インチの鍛造ホイールに超扁平タイヤの組み合わせでも、乗り心地は良好でこちらもアルピナに相応しい出来ですが、キャッツアイなどに気を遣わなければいけないのは玉に瑕でしょうか。クラシックホイールの佇まいが好きなのでオプションで選んでしまいましたが、19インチのクラシックホイールが標準だったら扁平率が30から35に上がるのでそちらを選んだかもしれません。B4/D4Sでは同じ20インチホイールでも扁平率が35に上がっているのでちょっと良さげですね。 乗り心地に配慮したのでしょうか。
タイヤの保ちに関しては14000Km走行時点で溝は半分かもう少し浅くなった感じで、
こちらの方は走行27000kmでスリップサインが出たそうです。当初の感触よりはやや長持ちですが、ミシュランのPS4Sが30000Km走ってもスリップサインが出なかったのに比べると短めです。まあ、認定タイヤとしては合格でしょうか。入手の時期などに問題が無ければ(これが最大の問題ですが)ピレリのままでも良いかもしれません。ただ、同サイズでも認定ではないPゼロを履くと全然駄目な可能性があるので要注意ですね。
また、E91に比べると車体は二回り大きくなった感じでコーナリングの軽快感はあまりありませんが、素直に曲がってくれます。タイヤサイズがあまり変わっていないのに300Kg重くなっているので初代ミドリーヌ号の方がコーナリングは速そうですが、それほど遜色はありません。確かにアルピナの言うように実際の車重よりは200Kgくらい軽く、BMW標準の320dxDriveに近い感じですね。
ただ、ステアリングの手応えに関しては初代ミドリーヌ号の滑らかさには一歩及びません。多分4駆になってフリクションが増したせいでしょうか。車体も大きく重量も重いため、コーナリングアプローチでは初代ミドリーヌ号の軽やかで正確な挙動に比べると「よっこいしょ」という感触はあります。
ブレーキに関してはB3と共通の大型ブレーキなので初代ミドリーヌ号に比べると効きはかなり強力です。踏み始めの効きがちょっと強めですが街乗りでもギリギリ許容範囲です。
後はやはりADASの進化で高速道路走行は格段に楽になりました。元々ディーゼルエンジンは太いトルクのためにシフトダウンしなくてもクルーズコントール走行での加減速が楽なのですが、D3Sだと100Km/hを下回った時に7速に落ちるくらいで普段は8速固定のままです。新東名高速道路の120Km/h区間では前のトラックがどいた後に120km/hを回復するのも自由自在で、時折「自分でするより踏み込んで加速してる?」と思えるほどの加速です。
レーンキープのアシストの精度も高くて誤作動は無く、ステアリングに手を添えているだけで楽に走ってくれるので、ヘッドアップディスプレーと相まって前方の注意に専念出来るため疲労感が初代ミドリーヌ号に比べるとかなり減りました。ハンドルを低い位置に出来るのと、アクセルを踏まなくて良いのが負担の軽減になっているようですね。
オーディオ類に関しては、ガラケーとのBlueTooth接続が出来ないためにハンズフリー電話に関しては大不便ですが、iPadからのBlueTooth接続は出来るため、手元のプレイリストからのオーディオ再生はステアリングのスイッチで切り替え可能でヘッドアップディスプレーにも表示されてそこそこ便利です。サウンド自体もオプションのHarman Kardonは高音質で不満はありません。オプションのアコースティックガラスも一定の効果はあるようで、窓を開けるとそれなりに外の音がするのでゴミ拾い事件の時に痛感しました(苦笑)。
スタイリングに関してはフロントフェイスは微妙に好みでは無いのですが、ベースのM340dが中央下部のエアインテークとその外側のエアインテークの下縁が不連続に見えるのに比べると、
アルピナのフロントスポイラーリップの装着でエアダムの下縁が一直線になってキリッとした印象があって許容範囲です。個人的にはLCI後でしたらスタンダードモデルをベースにしたいですね。
サイドラインに関しては初代ミドリーヌ号はクオーターウインドウの後端に明確なホフマイスターキンクがあって好みでした。
それがF31のD3BiturboになるとDピラーの傾斜が大きくなった結果としてその部分が尖ってしまったのでデザイン的には先代のE91の方が好みだったのですが…
G21になるとウインドウのサイドラインが後方でせり上がった上にホフマイスターキンクも消えたので、ウインドーグラフィックはアウディかレクサスのようです。テールランプもレクサスみたい、と言われているのでBMWのアイデンティティは無くなってますね(涙)。逆にアルピナのデコラインのおかげでサイドのストレートラインが強調されてBMWらしいかもしれません(爆)。
そして、何度も力説しますがテールゲート開口部の設計は最悪です(爆笑)。完全に水平になっているので、駐車場所がちょっとでも前下がりだと雨降りの後はここに水が溜まる上に前端に汚れも集まります。テールゲートの開口部との段差も結構少ないので迷惑です。初代ミドリーヌ号と同じ場所ですが、箱替え前は一度もこんな事はありませんでした。
あんまり腹が立つので、他のメーカーのワゴンやハッチバックが通る度に思わずテールゲート付近をガン見してしまいますが(苦笑)、ちょっと後ろ下がりになっていたり、もっと短くてそもそも水が溜まらなかったりと、きちんと配慮されていますね。
G21でどうしてこんな設計になったのか本当に不思議です。デザインありきの最悪パターンですね。BMWはまともな煮詰めが出来なくなったのでしょうか。LCIモデルでもこの部分に変更は無いので確信犯かもしれませんが、きっと変更するコストも無いのですね。なんちゃってディフューザーなんか付けている暇があったら実質的な改良をして欲しいです。
とまあ、前世代からのアルピナから乗り換えた自分としてはツッコミどころ満載なのですが、新車でアルピナを買われた方や標準BMWから乗り換えた方であれば特に不満は無く素晴らしい車だと思います(爆)。とりあえず、次期のEV車になるまで(バイオ燃料で持ち堪える?)20万Kmは乗っても良さそうです。