先日のフランクフルトショーで正式発表されたALPINA D5Sですが、事前の予測ではツインターボ、トリプルターボ、クアッドターボなどと色々噂があったのですが、真相はN57型トリプルターボのチューン版でした。
性能曲線を眺めていて興味深かったので、いつも
本当にお世話になっているこの方に、またまた比較グラフを作っていただきました(いつも本当に感謝です)。BMWの6気筒ディーゼルはX5-35dに搭載はされていますがあまり一般的では無く、ALPINAのディーゼルも普段はお目にかかれないのでちょっとまとめてみました。
こちらがそのグラフですが、N57型3L直6のディーゼルでシングルターボ、ツインターボ、トリプルターボ、クアッドターボの機種を比較しています。多分クアッドターボは日本に導入されないでしょうが、なかなか興味深いと思います。
最初は一番ベーシックなN57型のシングルターボです。馬力は日本導入当時は245ps/540Nmでした。現在はマイナーチェンジで258ps/560Nmにアップしています。数値上はミドリーヌ号(4気筒ALPINA D3Biturbo、実測250ps/500Nm)と比べても大差は無いですが、
実際の試乗では6気筒のスムーズさと吹け上がりの良さが印象的でした。
このシングルターボをチューンして搭載したのがF10型ALPINA D5Turboです。パワーは280ps/600Nmとかなりアップしており、
実際に乗ってみると吹け上がりは更に鋭くトルクも太い上に、B5Biturboと同じ排気系のためにエンジンサウンドも気持ち良く最高でした。実際にエンジンルームを見ると吸気系のパイプの太さがX5-35dの5割増しくらいの感じでいかにも吸入抵抗が少ない感じでした。最近乗った
マセラティ・ギブリのディーゼルは275ps/600Nmと数値的には遜色無かったですが、ALPINA D5Turboの方が気持ち良くパワフルです。車重の差と、V6に対する直6のアドバンテージかもしれませんね。
性能曲線を比較すると、基本的に同じエンジンのはずなのに低速からのトルクの立ち上がりはD5Turboの方が大きい上に高回転側でのトルクの落ち込みも少なく、おまけに高回転まで回るのでかなりの差がある感じです。ALPINAのエンジンはディーゼルでも全機種でベースのBMWよりも高回転側まで回ってパワーの落ち込みが少ないですが、ちょっと不思議ですね。
ドイツ本国ではN57型のツインターボがあり、313ps/620Nmくらいまでパワーアップされていますが、そちらをチューンしたのがALPINAのD5Biturbo/D3Biturboです。D5Biturboは排ガス規制のからみで日本導入の際にはシングルターボになりましたが、F30型のD3Biturboにはそのまま導入されました。
実際のパワーは350ps/700Nmと、ガソリンエンジンと比較しても充分パワフルですし700Nmのトルクは2輪駆動にはちょっとオーバーかな、と思える程です。
実際に試乗してみると、ガソリンのB3Biturboと比較してもパワーもそれほど遜色なく、アクセルを踏んだ瞬間の怒濤のトルクの発生は慣れないと怖いくらいです。ステージによってはガソリン車より速い上に静かで燃費も良い、というスーパーな車でした。
それに対して本家BMWが上回ったのは、もう一つターボを追加してトリプルターボにし「M550d」モデルに搭載したエンジンです。低回転用の小さなターボを3気筒毎に使い、大きなターボと組み合わせる事によって低回転でのレスポンスは確保しつつ更にパワーアップ、という狙いです。
こんな感じでターボを切り替え、パワーは381ps/740Nmとツインターボ版に比べてかなりの大出力ですね。5シリーズ以上の上級車種にしか搭載されませんが、車重が重い車体でも0-100Km/hが5秒を切っている車種が多いので相当パワフルです。もちろん日本には導入されていないのでどんな感じかは分かりませんが、動画などでは200Km/h以上まで一気に加速していく感じで最早ディーゼルとしては、なんて限定しなくてもパワフルです。
新型の5シリーズではベースのエンジンがN57型からB57型に変わったため「M550d」のバージョンはどうなるかと思いましたが、何ともう一つターボを追加したクアッドターボになってしまいました。ここまでくるとどんな作動をしているのか良くわかりません(爆)。低速モードや省エネモードでも大小のターボを切り替える複雑なコンビネーションらしいです。
パワーはとうとう400ps/760Nmまで来ましたが、ターボが4つになった割には伸び代が少ないと思うのは私だけでしょうか。ただ、それでいて燃費などはトリプルターボより向上しているので、明らかに進化はしているようです。
そして、先日発表されたALPINA D5Sはツインか、トリプルか、クアッドかと色々事前予想されていましたが、N57型のトリプルターボのチューン版でした。エンジンとしては旧型とは言え、B3Biturboの時もN55型エンジンをわざわざツインターボ化したり、と高度なチューンをしているので、今回も期待出来そうですね。
改めてエンジン性能曲線を眺めると、ベースのトリプルターボN57型はおろか、クアッドターボのB57型と比較しても低速でのトルクの立ち上がりが早く最大トルクに達する1750回転までは結構差がある気がします。トルクの値も800Nmなので余計差がある感じですね。3500回転から4500回転の間はクアッドターボの方がパワーが若干上回りますがALPINA D5Sはそこから何と5000回転まで最大パワーが持続する!!のでリミットまで回し切った際にはALPINAの方がパワフルに感じられる気がします…って、そんな機会も無さそうに超絶トルクですが(爆)。
このエンジンが4輪駆動でも軽量化された新型5シリーズの車体に載るのですから、パワフルどころでは無く怖いくらいの速さかもしれませんね。正式発表前からかなり受注があって初回の生産分は完売しているらしく、当分試乗車も無い事が予想され試乗の機会もいつになるか分かりませんが、是非乗ってみたいです。この性能で価格は740dーxDriveと一緒のようですから、ある意味ではお買い得かもしれません。楽しみですね。
それにしても10年ちょっと前のシングルターボの「25d」エンジンが197ps/400Nmだった事を考えると、同じN57型の3L6気筒ディーゼルがパワーもトルクもほぼ2倍になった上に重い車体に搭載されているのに燃費も大差無し、というのはある意味凄い進化ですね。
Posted at 2017/09/23 15:22:14 | |
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BMWディーゼル | 日記