先週ディーラーさんに出掛けた時に320dの試乗車があったのですが、乗る暇が無かったので、今週リベンジです。Mスポのフロントは格好良いですね。
乗らせていただいたのは320dのMスポーツでした。車内はアルカンタラ仕上げのスポーティーな感じで、フル電動シートはしっかりポジションが取れてサポートも良い具合です。
早速エンジンをかけてみると、アイドリングはその気になればディーゼルと分かる程度で、充分静かです。期待しながら発進です。
試乗されたみなさんが指摘された通り、低速での発進は充分なトルクで加速が気持ち良いです。ただ、注意して聞いていると、アイドリングから1500回転の間にディーゼル特有の「カラカラ」といった加速音が混じっています。
普通に走っているとこの回転域はすぐに通り過ぎてしまうので、気が付く方は少ないと思いますが、ディーゼルのオーナーだと「お、この辺りはやっぱりディーゼルだなぁ」と気付く部分です。
ALPINA D3君では聞こえるかと思って窓を開けていると分かりましたが、窓を閉めると車内には入ってきませんでした。遮音材の違いか、マフラーの違いなのでしょうか。
3000回転くらいまでの加速は320iより強力なので、やはりトルクの大きさが効いているようです。ゆっくり発進していっても、シフトアップの間隔が短い割に、車速の乗りが速いです。
今度はせっかくパドルが付いているので(笑)、マニュアルシフトで高回転まで回してみました。まだ新車なのに申し訳無かったです。
色々噂されていた「4000回転を過ぎるとガクッと加速が鈍る」という印象はあまり持ちませんでした。もちろん4000回転を過ぎるとパワフルさは無くなって約5000回転まで回るだけ、という感じはありましたが、極端なパワーダウンという程ではない気がしました。
試乗車は1200Km程走っていたので、ある程度は回るようになっていたかもしれませんが、2000Kmかそれ以上走ると、4000回転以上のフィーリングは変わってくるかもしれません。ディーゼルは10万Km走ってからが本領発揮、なんて話もあるので、後日もう一度確かめた方が良いかもしれません。
回転そのものはスムーズで、ディーゼルから連想されるような振動もなく、ガソリン4気筒にありがちな共振点もありません。
2速全開から3速にシフトアップすると結構な速度になりますので、普通の方に取っては充分な速さではないでしょうか。
それでは我が家のD3君と比べるとどうかと言うと、やはり大差が付いている感じです。
まず低回転域ですが、320dが1500回転までスッと上がってからトルクが出てくる感じなのに対して、D3君はアイドリングのすぐ上の1000回転くらいからトルクがモリモリ出てくる感じです。
実際にトルクカーブ(
この方から貴重なデータをいただきました)を比較しても、1500回転の時点では両者に100Nm近い差がありますから、当然の反応かもしれません。ちなみにツインターボの最新型の「525d」ですと、その差は150Nmに広がります。
パドルでマニュアルシフトすると、320dは6速〜8速辺りでも1000回転から受け付けますが、そこからの加速は緩慢でディーゼルらしさはありません。ガソリン車と同様です。
D3君のATはそこまで低回転は受け付けませんが、1200回転辺りから充分な加速に入れます。
D3君だと1500〜2000回転はトルクピークに向かって盛り上がる非常に気持ちが良い加速ですが、320dはそこまでパワフルな印象はありません。多分トルクの絶対値が違う(推定180Nmくらい)せいかもしれません。
更に高回転域でもD3君はパワーの落ち込みが少ないので、リミットの5000回転まで非常に気持ち良く回ります。ただ、以前に試乗させていただいたM47型エンジンの320dはATのD3君より更にスムーズにエンジンが回りましたから、セッティングの違いもあると思います。
吹け上がりそのものは、K&Nや
BMCのフィルター(対応のサイズは
こちらです)に替えると劇的に気持ち良くなりますので、320d、523d、X3-20dを購入された方は慣らし運転が終了したら(しなくても)デフォルトで交換なさってもいいかと思います。
更に、定速走行している状態から踏み込んだり、コーナーリングの立ち上がりで加速する時のトルクのレスポンスも、D3君の方が一枚上手です。いつものプチ試乗コーナーでの加速では、320dはほんのわずかぎごちない感じでした。
更に、Mスポーツでもステアリングの手応えはアルピナには及ばないので、コーナリングの楽しさも(レベルは高いものの)BMW標準車なりのそこそこのもの、という印象を受けました。
やはり、低回転域からのトルクのレスポンス、高回転域での伸びを両立させるのは、バリアブルジオメトリーのシングルターボでは辛い面がありそうです。
帰りに高速道路にも乗ってみましたが、8速の100Km/hは1700回転辺りでトップのギアリングはD3君と大差ないものの、そこからの加速は緩慢で以前試乗した328iと同様の印象でした。やはり8速はクルージングで燃費稼ぎのギアかなぁ、と思いました。実際に有効な加速をするギアとしてはもう少し下の6速か7速でしょう。
手前味噌ながら、320dに試乗する事で、ALPINA D3Biturboの素晴らしさを再確認してしまいました。D3にお乗りの方なら、F30型といえども、320dに乗り換える理由は全くないようです。
デビュー当時は「ディーゼルでアルピナ?」という疑問の声も聞かれましたが、ディーゼル同士の乗り比べをするとやはりアルピナのアドバンテージはあるようです。
もし気に入れば、320dの新車とALPINA D3 Biturboの中古車の価格が接近しているので、こちらの選択もありかもしれません。
そう考えると、最近BMWで「25d」として復活した、2ステージツインターボの4気筒ディーゼルはかなり素晴らしいのでは、という思いが尽きません。
みなさん、BMWジャパンに「125d」、「525d」、「X1-25d」のラブコールをしましょう。
F30型3シリーズにはまだこのツインターボディーゼルは搭載されていませんが、来年には搭載予定らしいので(北米では「なんちゃって328d」になるようです)こちらも来るといいですね。
ちなみに、320dの名誉のために付け加えておけば、あくまでもALPIANA D3Biturboの比較で分が悪いだけで、普通の方の基準なら「パワフル、静か、燃費が良い」と3拍子そろった良い車だと思います。320iとの比較なら、私は320dを選択すると思います。
多分、走行2000Kmを超えればもっとエンジンは活発になってくると思いますし、今回はモードの違いなどは試しませんでしたので、また後日に乗ると印象が変わってくると思います。
こちらのお店では
早くも320d用のBMCエアクリーナーエレメントが入荷しましたので、320dを購入された方は交換されると、体感的には2割のパワーアップ、燃費1割アップという感じになるかと思います。
この320dがブレークする事でディーゼルの人気が高まれば、メルセデスやAUDI、VWもディーゼルの普及にもっと本腰を入れてくるかもしれませんね。密かに期待しているのですが。