昨年の東京モーターショーで御一緒した方々と御一緒にニコル世田谷にお邪魔してきました。お目当ては試乗出来るようになった新型D3Biturboです。
試乗車のシリアルナンバーをチェックするのを忘れてしまいましたが、「おろしたての試乗車だと充分エンジンは回せないかも…」という予想に反して、ニコルで既に3000Kmのランニングインがされていました。しかもそれまでのトータル燃費が15.8Km/L!
同乗の担当の方はU田さんではありませんでしたが、まずはしっかりシートポジションを合わせてから(爆)、エンジン始動。よーく耳を澄ませると、一瞬だけディーゼルのカラカラ音が聞こえましたが、それ以外ではD5と同じくディーゼル音は聞こえません。
走り出してみると手応えなどは
以前試乗させていただいたB3Biturboと変わりませんが、低速のトルクは段違い。1000回転でも普通に加速し、1200回転くらいで充分力強く、1500回転を過ぎると怒濤の加速です。4速に入るくらいまでの速度域の範囲で回転計の下半分を使うような走りですと、体感的にはB3Biturboの1.5倍くらいの加速力です。
試乗のコースの第三京浜でさらにエンジンを回しても、力強さは変わりません。物凄いトルクの太さで瞬時に加速体勢に入り、パワーを伴って5200回転まで綺麗に回り切ります。さすがにB3Biturboに比べるとパワーの盛り上がりには欠けますが、標準のBMWに比べても馬力が350psあるのでActiveHybrid3と比較しても全然パワフルです。
そして、何より感激的なのがアクセルの踏み加減に応じて瞬時にトルクが反応し、しかもそれが滑らかな事。これに関してはディーゼルの利点と思われますがB3Biturboをはるかにしのいでおり、V8のB5Biturbo(かBMWのV12エンジン)に近い感触です。
そしてディーゼルのもう一つの利点?として全開で加速してもエンジン音がそれほど大きくならずジェントルなのも好印象でした。この辺りは好みの問題だと思いますが。
途中のインターで降りてUターンする際に一般道のちょっと曲がった道も走りましたが、直6のディーゼルになった事により「ミドリーヌ号より鼻先が重くて曲がらないのでは」という感じはなく、少なくともB3Biturboと遜色ありませんでした。
帰りはスパグラさんと交代して第三京浜を戻りましたが、高回転を多用する運転でも気持ち良くレスポンスして速かったです。
ニコル世田谷に戻った後は、引き続きB3Biturboの試乗、という贅沢なスケジュールでした。私は以前に乗ったため、スパグラさんとmashowさんに運転していただいて、リアシートから冷静に分析しました(爆)。
D3Biturboと比較すると、さすがに低速トルクは物足りません。(新型M3/M4では採用されましたが)ALPINA独自のパラレルツインターボとバルブトロニックのコンビをもってしてもベースエンジンのN55よりややトルクが太いくらいです。2000回転以下ですと気持ち良く走るほどのパワーは出てきません。
やはり本領発揮は3000〜4000回転以上のパワーバンドなのですが、そこまでのつながりが以前のN54ベースのエンジンよりもずっと良いので、逆に滑らかに感じてしまいます。
しかし、それ以上になると気持ち良い吹け上がりと共に快音を発して刺激的です。以前乗らせていただいたB3GT3ほどのボリュームではないですが、同じ感じの気持ち良いサウンドで、SPORTモードにするとより低回転から楽しめるようになっています。
ただ、クルージングから本当の素早い加速を楽しもうとすると、アクセルを多めに踏み込んで2速か3速シフトダウンで高回転に持ち込む分だけ、一瞬のレスポンス遅れはあるかもしれません。
絶対的な速さでは似通った両車ですが、低速からの怒濤のトルクで加速するD3Biturboと、高回転を多用して気持ち良さを楽しむB3Biturboと好対照かもしれません。どちらか悩んでおられる方は、両方試乗されるのがおすすめです。
D3Biturboのサウンドはこれも6気筒独特の気持ち良さではあるのですがB3Biturboには一歩譲るのにはやはり訳があって、
実はD3Biturboのマフラーは触媒以後は直管で太鼓無しにフィニッシュされているのです。ここだけは新旧D3Biturboの同じ部分です(笑)。
これに対してB3Biturboはバイパスバルブ付きのデュアルの太鼓なので、快音を発しているのが違いです。同じ6気筒ディーゼルのD5も快音を発しますが、こちらはなんとV8のB5Biturboの排気系を使っているので、やはりサウンドがチューニングされているのですね。
多分ディーゼルエンジンにコストがかかっているせいなのか、日本でのイメージとして車格的にB3(ガソリン)>D3(ディーゼル)としたいのか、D3Biturboは前述の太鼓無しだったり、ホイールが19インチだったり(でも、ローターなどのブレーキ系はB3Biturboと共通です)、シートがファブリックだったり(私はこの方が好みですが)だったりと、微妙なコストダウンはされているようです。でも、その他の装備はほぼ共通なので、「ホイールは19インチでも良いし、ファブリックシートの方が好み〜」と思っている私のような方にはお買い得かもしれません。
でも、エンジンルームを見ると吸気系はベースのN57よりはずっと容量が大きかったり、
標準のF30にはないストラットブレース(しっかりD3Biturbo専用部品のようです)があったり、とALPINAの本質的な所の造り込みはなされているようですね。
でも、ちょっと覗いてみたインタークーラーはBMWの標準品のようで、写真のB3Biturboのような特注インタークーラーではないようです。ここをちょっといじっただけで更にパワフルになって燃費も良くなるかと思うとわくわくします(爆)。
自分はディーゼル好きなので低回転から滑らかにかつ極めて自然なレスポンスで怒濤のトルクを発するD3Biturboはある意味理想のエンジンですし、高回転まで気持ち良く回り切り、パワーもサウンドも素晴らしいB3Biturboもこれまた魅力的です。このレベルまでくると、高級オーディオや腕時計と一緒で、どちらが自分の感性に響くか、という観点から選ぶのが正解で、優劣は付けられないと思います。
今回同行していただいた
mashowさん、523iであちこち連れていただいた
スパグラさんがそれぞれどんな感想を持たれたのか個人的に非常に興味があります。
どちらも重量配分などは誤差の範囲と考えられますので、あえて得意なステージを考えると、D3Biturboはタイトなワインディングや知らない道、B3Biturboは高速コーナーやサーキットで本領を発揮しやすいかもしれません。
現実的なところでは、D3Biturboの燃費はB3Biturboの1.5倍近く良い事が予想され、ハイオクと軽油の差を加味すると両車の燃料代はほぼ2倍近い差になると思います。ALPINA乗るのに燃料代をあまり考えては意味無いかと思いますが、満タンにしたら1000Km以上余裕で走るD3Biturboはやはり魅力的です。
エンジンのパワフルさと洗練では大差を付けられたミドリーヌ号ですが、やはり4気筒の軽さは捨てがたい気もします。当分現役で乗る積もりですが、D4カブリオレが出たら増車も良いかもしれません(激爆)。
そんなこんなの試乗の後は3人で近くのファミレスで歓談三昧でしたが、自動車ネタに始まってオーディオネタでヘッドフォンの聴き比べ、はたまた自転車や映画、テニスにバドミントン、と話は尽きませんでしたが、どの話題にもがっつり食い付いて的確なコメントをされるmashowさんにはびっくりでした。今度はディーラーでなくて秋葉原に集合でもいいか、と思いました(爆)。お2人とも貴重なお時間、本当にありがとうございました。
Posted at 2014/03/03 18:29:35 | |
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