2012年02月05日
新型NSX
前置き
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旧NSXは世界一運転の楽しいクルマ(ファン・トゥ・ドライブ)と言われていました。
NSX-Rは、走る「楽しさ」と「速さ」が見事に融合した車両だと思います。
ただ、世界のスーパーカーと比べれば最速ではなかった・・・。
それは当然で、NSX-Rは、スーパースポーツですので仕方ないです。
スポーツカーの最高峰・頂点であるスーパースポーツとしては、かなりの完成形です。
駆動方式がMRで、軽量なBODYでありながら剛性を持っている。静的・動的な重量バランス。
そして黒澤元治が納得したハンドリングと、重量に見合ったエンジン、パワーだけじゃなく
その出力特性・トルク特性。これら全てを含む車両のトータル・バランスが良く出来ています。
素直な特性に仕上げるのが難しいMRを本当に上手く仕上げているだけに、誰にでも楽しめる
仕様ではありません。全開で走らせる為にはドライバーに相当の腕とさらに繊細な操作を
要求されます・・・それを仕事率が高いと表現します。その楽しさを味わうには、土屋クラスの
腕前のドライバーでなければ、到底、無理でしょう。「速さ」>「楽しさ」と言えます。
それ故に楽しさは、S2には負けてしまいます。
S2は「楽しさ」>「速さ」です。限界をMRよりも引き出しやすい、誰にでも楽しめる
FRのS2は、仕事率がNSXよりも低い分、楽しめる要素を持っています。
FRのトータル・バランスで引き出せる速さは、MRに及ばないまでも十分に「速さ」は
持っています。楽しさが良すぎて、最高なのです。
スーパースポーツ(スポーツカーの頂点)であるNSXは、ベストハンドリングが重要です。
結果的には「速さ」を持ち合わせても、基本は中のドライバーがスポーツしている事です。
ドライバーのスキル次第で、速くも遅くもなるのがスポーツの証でもあります。
スキルのあるドライバーが、想定して操作した結果の挙動や走りが、まさに想定通りになる
と言ったプレシジョン性をいかに持っているかが重要なのです。
その為には、車両のトータル・バランスをいかに高められるかで、それには高スペック重視の
筋肉モリモリ車両では、到達できないと思われます。
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表現方法は、人それぞれですが、スーパーカーとは、とにかく速い事です。
4WD、電子デバイス、大排気量、ターボ、極太タイヤ・・・等々、何でもOKで
その代わりに「楽しさ」なんて要らない、ハンドリングなんて不自然でも速けりゃOK。
(逆に速いから楽しい、速いからハンドリングが良いという評価になる人もいるでしょう)
誰が乗っても速く走れる方が良いです。スキルの差が出にくい車両です。
世界を相手に、ナンバー1を目指した車だと思っています。
新型のNSXは何を目指しているのか?
スーパーカーなのか・・・それともスーパースポーツなのか・・・。
現段階では、スーパーカーの要素が満載なので、それだったら「NSX」の名前を使って
欲しくないです。やっぱりNSXは、スーパースポーツだと思っています。
ベストハンドリングを超える「スーパーハンドリング」と言っていますね。
前輪がホイール・イン・モーター方式で、駆動してしまう。アクスルシャフトが無い創りなら、
ステアリング舵角の制限も発生しないし、サスが沈んだ時のキャンバーがポジティブにも
ならない。そうであれば、まぁ良しとするのもグレーゾーンですね。モーターをどれだけ
小さく作れるかですね・・・ベストハンドリングを維持できるかが重要ですね・・・。
一応、MRになっていますし、このシステムなら、エンジンの回転数とタイヤの回転が
比例関係になっていますので、それがスポーツにはとっても重要なんです。
これには合格しています。
しかしIMAがくっ付いていますので、そのアシストがアクセル・コントロールに影響を
及ぼし、余計な荷重変動を与えかねないというのが率直な感想です。
これはS2車検時の代車CR-Zに乗った感じから明らかです。この部分の心配はCVTとの
相性で解決するとも思われますが、スーパースポーツの場合は、MTの方がよりドライバーの
操作がダイレクトに車体に影響する事から、CVTでもイマイチになります。
MTにするなら、IMAのアシスト問題を何とかしないといけません。
繊細なコントロールを妨害するようなパワーは、あっても無駄です。IMAのアシスト量を
安易にMAXにするのではなく、エンジンとの兼ね合いで、パワーカーブが滑らかになるよう
に介入するように、システムの制御をする方向性を変えて欲しいものです。
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IMAアシストとVTEC のハイカム
またまた話がそれてしまいます。よく言われるVTEC のハイカムでパワーがグァっと増えて
加速感が良い(好き)と言う意見があります。それが良いのか悪いのか?
限界走行における繊細なコントロールの際に、パワーはあっても良いけれども、ハイカムに
伴いグァと加速をされては、それが荷重変動になり、限界を引き下げてしまうでしょう。
だから、ハイカムでグァとくる車両では、コーナーをハイカムの状態のまんまで走行し続ける、
高回転を維持する走りが出来ないといけません。
でもサーキットだけならともかく、峠などでは、そうでもないコーナーがあったり、色々と
回転を維持するのがツライ状況も発生するでしょう。
パワーはあっても良いです。ハイカムでの変化が、昔のドッカン・ターボのように急激に
増えなければ良いと言えます。
最新のi-VTECエンジンをVTEC の変化量が少なくてダメだと・・・退化だと言う意見がありますが、
全くの逆で、それこそが限界走行で攻めれるドライバーなら、素晴らしい進化だと言えます。
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気になるのは、SH-AWD(Sport Hybrid – All Wheel Drive)と言う電子デバイスです。
重いのが難点です。最新技術や最新のマテリアルで軽量なシステムに出来るかどうかですね。
そもそも日本車における電子デバイスは、余計なお節介クラスの安全デバイスです。
安全と謳う程には、車体を危険な領域にはならない訳でもなく、限界走行における補助としては
楽しさ・速さをスポイルしてしまっています。中途半端な装備になっています。
これは車格で区別するべきで、ファミリーカーなどでは、やはり危険な領域にならないように
しっかりと安全サイドに補助するようにシステムを万全にすべきですが、スーパーカーや
スーパースポーツに関しては、人間の反応や能力を超えてしまうケースを補助で助ける範疇で
留めておき、ドライバーが楽しめる部分や、速さをスポイルしないようにすべきです。
そうする事でドライバーのスキルが明確に出てしまいますが、良く言えばドライバビリティの
高い車両と表現できます。素人的に悪く言えば、危険な車でしょうか。
単純に「危険な車」と呼ぶのは大袈裟ですね。どんなドライバーが乗っても危険な訳ではなく
ドライバーの能力を超えたドライビングをした時に、下手さに見合った失敗をするだけですから。
それはスーパースポーツ~スーパーカー~レーシングカーであれば、至極、当然の事です。
電子デバイスをカットした時には、とても人間では扱いきれないような車両、パワーがあり過ぎ
て限界を超えるまでの遷移速度がとんでもなく速いようなマシンこそスーパーカーですね。
スーパーハンドリングと謳っています。
スキルの高いドライバーが想定して操作した時の結果が、想定よりももっと良く曲がるという
のをスーパーハンドリングというのなら、全然、面白くないハンドリングですね・・・残念。
気持ち悪いとしか言いようがありません。少なくともプレシジョン性は低くなります。
これでは、誰が乗っても速く走れるようにしているとしか思えませんね。
下手くそが曲がる為にハンドルをきれば、電子制御で車両が何とかして曲がるような・・・。
スーパーハンドリングに何の魅力も感じないというのが本音になります。
(スーパーカーとしてなら、ある意味それは正解と言えますが・・・。)
NSXは、ベストハンドリングであって欲しいですね。MRで2輪駆動で、現在の技術で作る
新型スポーツエンジンをハイブリッドではなくて・・・普通のガソリン・エンジンが良いです。
燃費は、単純に高効率のエンジンの性能で稼ぐのがスポーツ性には理想です。電子デバイスも
あっても良いけどカットが可能で、電子デバイスに頼らずとも、限界性能を引き出しやすい
プレシジョン性の高いマシン。世界最速ではなく、世界最高のハンドリング・マシンで十分です。
それでこそNSXです。
NS:NEW SPORTS X:未知数という名前の由来からして、スポーツカーの範疇を
超えたなら、それを名乗ってはいけませんね。
新型をスーパーカーとして開発するなら、世界一の「速さ」になるようにしっかりと作って
欲しいです。中途半端な性能で、スポーツ性も無いのに、大した速さも持ち合わせていない
ような車両では、後から商品化するのに残念に思います。
ある意味、スーパーカーであるなら、そんじょそこらの値段でなくても良いです。
フラッグシップ・モデルは、とても買えないような価格でも、その存在に意義があります。
3500万円だとしても、世界最速の走りを見れるだけで良いと思います。
その代わり1クラス下のスーパースポーツとして、800万円くらいで、
現在の技術で創られたNSX-Rを完成して欲しいですね。
何とか頑張って買おうかと思わせるようなハンドリング・マシンをね。
HONDAには期待したいです。頑張れ!!
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Posted at
2012/02/05 14:19:25
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