６０なってもＳ２０００のブログ一覧

人に教える事で、自分で分かっていたつもり、実行していたつもりだった当たり前の事を
実際に口に出して話している内に、再び確認や認識、新たな発見をしたりします。

後輩にアドバイスとして話している事は、そのまま自分のドライビングにも跳ね返って来ます。
私の場合は、特にライディングの方にありました。



各フェーズでの操作は、確かに一個一個、確実に操作しなければなりません。
でもそれは、あくまでも練習中の話であって、目指すところは、トータルで全ての操作を
綺麗につなげる事です。しかし、いきなりあれもこれもと欲張ってしまうと、結局、何一つ
成果をあげることになりません。
練習では、自分でテーマを作って、それに専念します。
ある程度、複数の操作が各々出来るようになって来たら、２つ・３つを同時に綺麗に
つなげて行く練習に入ります。
何事も新しい試みをしている時が一番、不安定で危険だったりします。


練習中は、速さを気にしてはいけません。
操作は、遅い速度域で出来ないものを、速い速度で出来る訳がありません。
操作の基準となるものを速度のフィーリングやリズムに合わせてもいけません。
あくまでも操作の手順を一個一個丁寧に操作して、それが確実に出来るようになってくると
自然にその操作全体が速くなって来るのです。その速い操作こそが本物です。


マシンの操縦と言うものは、ガマンの連続です。
人間の本能として、やりたくなる事は、ほぼ全て悪い操作に他なりません。
だから本能を抑えて、物理法則に則った操作を意識的にします。
何が気持ち良いのかと言うと、色んなガマンをして操縦が上手くいった結果、
良い操作・良い姿勢・良い挙動・タイヤの限界を引き出す・臨界点で走る事で、
綺麗なドライビングとなり、かつ速さも持ち合わせている走りとなるからです。


目指すはビューティフル・ドライビング（ｏｒライディング）です。
速さは結果的になるだけで、速さを目的にしてはダメとは言いませんが、何か違う。
ま、この辺は走りのスタイルの違いにより優先度は異なりますね。
綺麗に遅く走ったってしょうがないという考えもあるでしょうが、それはまだ練習中での過渡期を
意味します。「綺麗に」が重要で、「遅く」と言うのは、後（何十年になるかもしれませんが）で
「速く」に移行していきます。それが時間が掛かり過ぎて、痺れを切らず人もいるのでしょう。


恥ずかしながら、私の場合、４輪出身の２輪もかじっているドライバー（メイン）なので
車で出来ている事が、バイクの方で活用できていなかったようです。

上記の通り、本来は丁寧に遅くライディングしていても、それがトータルで纏まって来れば、
後で速い走りに繋がっていくのに、どうしても速さ基準で走っていたようです。本能ですかね・・・。
基本を守って高めながら、それらを高次元で上手くリンクさせて走るのが大事だったんですが
速さという速度基準になると、操作が手抜きになるというか、タイミングが悪くなると言うか
全ての操作の確実性も落ちるし、正確性も落ちるし、精度も落ちてしまうのです。

そんな状態で、速く走らせていても、出るのはその時のライダーのスキルでの速さだけで、
実情としては、何ら成長もしない（多少はある事も）し、また危険なだけなのです。

忘れてはいけないのが、「楽しむ」という気持ちです。心構えと言っても良いでしょう。
楽しくなければ続かないし、続かなければ果てしなく遠い「探求の道」を歩む事も出来ません。
生涯かけて探求し続けれるものですから、それはもう「趣味」の世界ですね。
まずは、極めるには生涯かかっても無理という現実を知る事が第一歩だと思います。
マシンを操縦するという事は、そういう楽しみを持っているのです。


後輩にアドバイスしていて、色々と思い出しました。昔、苦戦していた事を。
思い出した事を２輪に適用して、自分のライディングを見つめ直すと、思った以上に成果が
ありました。
自分ではきちっとやっているつもりだったんですが、どうも最近、操作に対するマシンの
動きがチグハグになって困っていたのですが、解決しました。
私自身が速さ基準の操作になっていただけだったのです。それはほんの少しだったのですが、
２輪の厳しさというのは面白いもので、ライダーに教えてくれてました。

それを解決させてしまえば、マシンのコントロール性が向上するので、これまた妙に感じますが
当然のように結果的な速さが出てしまうんですね。しかも安全にです。
ライダーに余裕も生まれ、安全に速いなんて、良い事尽くめです。良い循環です。

今度は、この状態をさらに高次元になるように、さらに個々の操作を高めつつ、
それらを上手くリンクさせていく練習、ひたすらその繰り返しになります。
速度域が上がれば、これまた２乗で精度を求められますのでね。


人に教えていて、結局、自分も教えられていた・・・そんな話でした。