
ホンダ、軽で大攻勢 危機感バネに2強を猛追
2012.11.25 18:00
[写真]
ホンダの「N BOX」・左上
ダイハツ工業の「ミライース」・右
スズキの「ワゴンR」・左下
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ダイハツ工業、スズキの2強時代が続いていた軽自動車市場に異変が起きている。昨年12月にホンダが発売した「N BOX」が今年4~9月の軽の車名別販売ランキングで首位を奪取、ホンダが急速にシェアを伸ばしているのだ。今後も3年以内に軽5車種を投入するなど野心的な目標をぶち上げ、2強の牙城を崩そうと虎視眈々(たんたん)と狙っている。
■懐疑的な声
「本気なのか」
「N BOX」誕生の約1年前にさかのぼる平成22年秋、全国の販売店向けミーティング会場。1千人を超える販売店のオーナーや幹部が一堂に会した場で、小林浩日本営業本部長(当時)が「軽強化」を宣言すると、会場からは懐疑的な声が上がった。
無理もない。当時、ホンダにとって軽は生産台数が少なく生産効率が悪い“お荷物”。主力セダン「アコード」「シビック」の輸出で利益を上げ、軽の赤字をカバーする状況が長年にわたって続いていた。社内や販売店には、「軽では利益を上げられない」とあきらめムードすら漂っていた。
だが、長引く景気低迷で、維持費が安く燃費もいい軽の存在感は高まる一方。円高で輸出採算も悪化し、軽で稼げる体質に転換しなければ、いずれ国内工場を維持できなくなることは明らかだった。
その危機感から生まれたのが、ホンダ初の軽「N360」から「N」の名を引き継いだ「Nシリーズ」の開発プロジェクト。研究開発・生産コストなどを抜本的に見直し、「国内で生産してももうけが出る軽」を目指した。
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第1弾となる「N BOX」は「軽最大級の室内空間」を開発コンセプトに置いた。軽のメーンユーザーである女性から話を聞いたところ、軽にも室内空間の広さを求める声が多かったからだ。このため、通常の開発プロセスとは違い、まず「室内空間」の確保を目標に定めたうえで、それを実現するためにエンジンの開発やガソリンタンクなどの配置を決めていった。
■フィットしのぐ利幅
「N BOX」の室内は全長218センチ、高さ140センチ。子供であれば、立ったまま着替えもできる広さだ。スライド式のドアなど軽らしくない機能を徹底的に充実したこともユーザーの心をつかみ、4月には軽の車名別新車販売台数でダイハツ「ミラ」を抜き、軽でトップに立った。
これが社内の雰囲気を一気に変えた。11月2日に発売したNシリーズ第3弾「N-ONE(エヌワン)」には「N360」をモチーフにした外観が採用されることが決まった。「(主力小型車)フィットに遠慮せずに開発しろ」との号令のもと、「過去のモデルをリバイバルしてはならない」という暗黙の社内ルールさえ打ち破ったのだ。
Nシリーズのヒットで部品の調達コストも低下。かつての“お荷物”はいま、フィットの利幅をしのぐまでになった。
一方、ホンダの猛攻にさらされているダイハツ幹部は「1年前は考えられなかったが、今や軽は“3強時代”に入ったと認識せざるを得ない」と危機感をあらわにする。スズキの営業担当者も「エヌワンの質感とデザインを見て、正直悔しかった」と唇をかむ。
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だが、両社とも指をくわえているだけではない。ダイハツは今年に入り、ミライースに搭載した改良エンジンや無段変速機(CVT)を他車種にも搭載、自動車取得税と自動車重量税が免除される「免税対象車」を拡充している。スズキは9月に発売した「ワゴンR」の商品力で販売上積みを狙う。
■日産、三菱がタッグ
販売店改革も進めている。ダイハツは平成27年度までに現在の670店舗から730店舗程度に拡充する計画だ。販売店をカフェのようにする「カフェプロジェクト」をほぼ全店に導入し、軽のメーンターゲットである女性が入りやすい雰囲気を作り出す。
比較的小規模店舗が多かったスズキは、店舗の統廃合を進めて大規模店舗を増やす取り組みを推進。整備スペースを拡充させることで顧客の待ち時間を短縮する試みも進めている。
軽をめぐっては、日産自動車と三菱自動車の動きも無視できない。両社は合弁会社「NMKV」を昨年設立し、来年にも共同開発した軽を発売する。両社合計の軽のシェアは、1割強にまで落ち込んでいる。だが、かつてはホンダを上回るシェアを誇っていた日産と、日産の販売網を活用して軽の強化をもくろむ三菱自がタッグを組み、シェア20%を目指している。
自動車保有台数に占める軽の割合は23年度末時点で36・5%と過去最高となった。新車販売が伸び悩むなか、軽は数少ない成長市場だ。4陣営による主導権争いは、そのまま生き残りをかけた戦いでもある。(古川有希、飯田耕司)
MSN産経ニュース
≪くだめぎ?≫
ホンダ軽はある程度のシェアがあると思っていたが。確かに"
黄色い日産"がここ10年でシェアを伸ばしたから、相対的にも下がっていたのだろう。もちろん、 「
トヨタの軽参入」も一つのきっかけだ。
Posted at 2012/11/27 13:03:16 | |
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