
事前の下調べが甘く、飛んでもない目に遭ってしまった。いや、遭わせてしまった・・・。
自販機フード・シリーズ第3弾と銘打ち、そば&うどんとトースト自販機を揃える群馬県みどり市の「
丸美屋自販機コーナー」と、そこから程近い山中に続く全長20km程の「小中西山林道」を組み合わせたパスハンツーリング。
“おそばとトーストを楽しみ、のんびり回って遅くとも15時くらいまでに解散しましょう”などと
taboomさん、
a-waterさんのお二人を甘い言葉でたぶらかし、激坂地獄に引きずり込んでしまった。
タイトル画像は真実の一端。このような坂が一箇所や二箇所ではなく、かなりの区間に渡って続いたのである。もういやっ!
まだ余裕充分のプロローグ。
起点の「道の駅くろほねやまびこ」から5km程、国道122号沿いの「丸美屋自販機コーナー」に到着し、はしゃいでいた頃だ。
こだわりのオーナーが生麺を下茹でしてセットする「手造り」と、当たればかき揚げにプラスして海老天が付いてくるという「当り付き」がここのそば&うどん自販機の売りだ。
これは、くじ運にてき面の効果があるという稲敷・大杉神社の「当守」。
「あらいやオートコーナー」の途中で立ち寄った大杉神社へ改めて初詣に訪れ、その際、猫の絵が可愛くて購入したものだ。
これをバッグに忍ばせてきたところ、早速のご利益。「大当り海老天入り」が当たってしまった。
思い返せば、こんなところで当たりに喜んでいる場合ではなかったのだが、
「これは幸先いいぞー」
などと、かなり本気で悔しがるtaboomさんを横目に海老天入りそばを味わう。
だしはやや薄めで、先日訪れた「オートパーラーシオヤ」のそばとは随分味付けが異なっているところもまた、面白い。
ところでこの「丸美屋」、うどんを食べに立ち寄られた地元の方によると、一時は閉鎖も危ぶまれるほど閑古鳥が鳴いていた。
そこでオーナーさんが思いつき「海老天大当り」を導入したところ、これがヒット。近隣の人たちがゲーム感覚で食べに来るようになり、今では結構人気のスポットなのだとか。
実際、居合わせた地元の方の間で、「どう当たった?」「ダメだったよ」「あっ、オレ当たった」などといった会話も交わされており、地元の方のコミュニケーションにも一役買っているのかもしれない。
お次はこれ、今回初体験のトースト自販機。
下ごしらえされたパンを、恐らくは急速オーブン加熱でもしているのだろうか。
40秒の調理時間の後、アルミホイルに包まれ熱々の状態で取り出し口に落ちてくると、同時に「もわん」とトーストの香りが漂い食欲をそそる。
アルミホイルの中には、しっかり焦げ目のついたトーストサンド。
勢いに任せツナとハムの2種類を立続けに購入してしまったが、シンプルながら不思議に懐かしい味があとを引く。実はもう一つ、お代わりしてしまおうか迷ったほどだ。
3人して、ここで予想以上に盛り上がり、“さぁさぁお次は何を楽しみましょう”的ムードのうちに漕ぎ出だす。
自然、目に止まるものがあれば足を止め、案内役の自分自身、不覚にも時間のことをすっかり忘れてしまっていた。
渡良瀬川とわたらせ渓谷鉄道沿道、つい足を止めたくなる見どころが多すぎる。
趣きある駅のホーム。ここは「丸美屋」近くの花輪駅だ。
鉄道のすぐ脇を行く。
「小夜戸(さやど)」という非常にきれいな名前の集落の一角、飲料用か手洗い用か、湧き水が鍾乳石のように凍っていた。
その脇の用水池は表面がピキンピキンに凍っており、これなら乗れそうだと、taboomさんの勇気ある一歩。
日陰ながらいい雰囲気の道が続いて行く。車も全くと言っていいほど通らない。
警笛を響かせながら進むわたらせ渓谷鉄道。ジオラマの中を行くおもちゃの列車のようだ。
滝も凍る寒さ。
草木ダムにより堰き止められ、なみなみとした水を湛える草木湖。その東側湖畔を進んで行く。
湖の向こうに見える国道は、結構な交通量だ。
鮮やかな赤色がまぶしい草木橋。
鉄橋に目を止め写真を撮っていると、
ちょうど列車がやって来た。
沢入(そうり)駅の駅舎はログキャビン。
未だかつて“鉄”であったことは一度もないのだが、列車が来ると何故かカメラを向けてしまう・・・。
さぁ、遊びはここまで。
沢入駅付近から渡良瀬川を対岸の国道側へ渡り、国道を300m程南下して「けさ丸山登山口」方面へ右折、「小中西山林道」を目指す。いよいよ本日の長い長いエピローグの始まりだ。
当初はもっと下流の「小中」付近から林道へ入り、こちら側へ下ってくるプランを考えていた。しかし路面凍結の可能性を考え、北側から登り日当たりのよい南側へ下る逆ルートに変更。
結果的にそれは正解ではあったが、地図ももう少しよく見ておくべきだった。

東から西へ、赤線を引いた道を登っていくのだが、よく見ると等高線を突っ切るのに近い方向で進んでいく部分がところどころ目に付く。
等高線の間隔にもよるが、通常これを巻き込むように進んで行けば少しずつ標高を稼げるものだが、突っ切ると言うことは、目の前の斜面に真っ正面から挑むようなもので、それだけ斜度もきつくなる道理。
男らしすぎる林道だ。
前半遊びすぎのツケから、先程の登山道方面入り口で時間は既に12時を大きく回っていた。
このときはまだ等高線のことには気付いていなかったが、時間的に、一抹の不安が頭をかすめないでもなかった。
それでも「目の前の峠を越えずして・・・」と、「さぁ行きましょうか」とお二人に声を掛け漕ぎ出すと程なく、急勾配の上り坂が目の前に現れた。
「これ続くんですかね?」
若干不安げに尋ねるa-waterさんに、
「ここだけじゃないですかね」
と答えたものの、ごめんなさい、何の根拠もありませんでした。
しかも全然ここだけじゃなかったし・・・
相変わらずの斜度に、蛇行して進むa-waterさん。自分も蛇行しながら着いて行く。
一部アイスバーン化した残雪も登場。
道端の小屋も急傾斜。あっ、これは雪の重みか何かで傾いたのかな?
妄想はいつももっと先。5kmくらいは進んでいたかと思っていたが、ぐいっと現実に引き戻す「沢入駅3.6km」の標識。
国道からはまだ3kmほどしか来ていないことになるが、もう既に2回目の休憩だ。
ピーク地点まではまだ10km近くを残している。
緩急はあるものの、心理的「激坂率」は60%くらい。半分以上は苦しい坂を登っているように思えてしまう。
登れども登れども、遅々として先へ進んだ実感はない。そのうち段々と開き直り、踏ん張り続けても疲れるだけと、目に止まるものを見付けては小刻みに足を休めて行くことにする。
山側から流れ出る沢の水がカチンコチンに凍っている。それでも体は、登っていればむしろ熱いほど。
ひと段落して寒さを感じ始めたら自転車にまたがっての繰り返しだ。
路面を覆う残雪。こちらへ下ってこなくてよかった!
勾配はきついものの、紅葉の季節に来てもよさそうな林道だ。
やっとピークが見えてきた。ガードレールの角度から、最後の最後もなかなか手強そうな勾配だ。
ようやく到着したピーク地点。
既に日は陰り始めており、火を焚く余裕はない。
衣類を着込み、そそくさとランチを済ませる。
親の仇のダウンヒル。
さぁ、今までの恨み辛み、一気に晴らさせてもらいまっせ!
お二人には失礼をして、途中から先行させていただいた。
ぐんぐん下る。
ひたすら下る。
WOLBER SPORT25Cタイヤも快調だ。自分程度がいくら飛ばしてもグリップは申し分ない。
本日は空気圧を5.5kgに若干下げているが、クッションもよくきいて荒れた路面も走りやすい。
10kmほどで標高差700mを急降下するダウンヒルは爽快そのものだった。
お二人と合流後、「小中」交差点から国道へ戻り、そのまま道の駅へ。
この区間、距離にして8kmほどではあるものの、この期に及んでもまだアップダウンしながら進んで行く。
走りながら、朝、出発して間もなく下ったことを思い出した。ここで気を緩めたら、もう足が動かなくなってしまいそうだ。
ラストスパートを掛け、道の駅に帰還したときにはもう体がヘロヘロ、時間もは定より大幅遅れの17時となってしまった。
非常に楽しく走り出充分のツーリング、taboomさん、a-waterさん、お付き合いいただき、ありがとうございました。
また、準備・確認不足でスケジュール的に無理の残る内容となってしまい、すみませんでした。
これに懲りず、是非またお付き合いください。
<今回のコース>
