メガーヌの音響をaudisonのDSPで改善!
目的
チューニング・カスタム
作業
ショップ作業
難易度
中級
作業時間
12時間以上
1
ルノー・メガーヌのダッシュボードです。
メガーヌはルノーが展開する5車種(トゥインゴ・ルーテシア・キャプチャー・カングー・メガーヌ)のうち、最もスポーツ性能を打ち出したモデルです。
フランス車らしく、どれも個性的な車ばかりで、ちょいちょい見かけますが、やっぱりスポーツを売りにしてるモデルは売れますよね。メガーヌを目にする機会が一番多いような気がします。
それは当店でのお仕事にも色濃く反映されていて、ルノー車でお預かりするのもダントツでメガーヌですね。
インストールギャラリーに複数台登録させていただいていることもあり、よくご相談をお受けします。
趣味性の高い車だからでしょうか、サウンドアッププログラムによるスピーカー交換にとどまらず、DSPアンプやサブウーファーも組み合わせた、こだわり志向のお客様が多いような気がします。
さて、今回ご登場いただくメガーヌは、いつもと違うパターンのアプローチ。。
ゼロからスタート!でもなく、さらにステップアップ!でもなく、(一応、お金かかったんだけど)コレどうにかなりませんかねぇという切実なご相談からのスタートでした。
以前のお車では、ダイアトーンのスピーカーを堪能されていたオーナー様。今回のメガーヌではソニックデザインのスピーカーを使ってみようと、純正デッキをソースに、まずはフロント2wayだけ交換なさったそうです。
しかしながら、以前のような感動が得られない(-_-)?ので、改善策を考えてほしいということでした。
施工内容としては、純正ヘッドユニットから出力されるフロント/リヤのスピーカー出力をaudisonのDSP、Prima AP F8.9bitに入力し、内蔵されている8ch分のアンプをつかって、フロント・リヤの8ユニットに出力します。
フロントスピーカーはスピーカー配線の引き直しのみで防振はせず、リヤスピーカー側をしっかり鳴らすためにデッドニングをおこない、条件を整えました。
DSPの設定としては、相対的に主張の強かったリヤスピーカーはサブウーファーとしての役割に徹してもらうべく、上限を思い切って80Hzにまで下げました。接するフロントウーファーについては、こちらの下限も同じく80Hz付近まで下げ、ボリュームも少し強くして中域の演出に頑張ってもらいます。
なお、フロントウーファーとツイーターのクロスポイントについては3.5kHz付近に設定しました。
(リヤツイーターはほとんど鳴らしてません)
要はリヤを引き立て役に配置転換し、フロントウーファーが目立つように演出した格好です。
小口径のフロントウーファーでは低域再生能力には不足があるので、改善効果には限りがあるものの、ひとまず聴ける水準にまで引き上げることは出来ました。
施工の様子を御覧くださいー。
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まずはシステム構成ですが、、この車はフロント2wayに、リヤにもセパレートツイーターがついている「2way+2way」の構成になっています。
試聴させていただいたところ、フロントツイーターが仕事をして、社外品ならではの輪郭を感じるものの、実態のほとんどがリヤの純正スピーカーから聴こえており、これはモヤモヤなさっただろうなという状況でした。
試しに(前後の音量配分を決める)フェーダーを前席側100%にして、オーナー様と確認してみたところ、高域のディテールは感じられ、中域も多少聞こえるものの、低域側については、中高域とのバランスがとれているとは言いにくく、オーナー様もちょっと落胆されてました。
こういった場合、ここまでの出費はサンクコストだと割り切って、入り口からやり直すのが早道なことも少なくないのですが、まずは現状の機器を活かす前提での改善策を講じることになりました。
方針としては、フロントツイーターとフロントウーファー、そしてリヤウーファーを3way構成としてとらえ、それぞれに適切な帯域を割り当て、別アンプによる駆動力の向上と合わせて、音量のバランスを調整するというアプローチを考えました。
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フロントドア外観です。
メガーヌは複数グレードがありますが、当然ながら共通デザインです。相違点は見いだせません。
肘掛けからドアハンドルへのラインと、ポケットからスピーカーへラインの仰角がきれいにパラレルになっていて素敵です。
スピーカーはお決まりの位置で、ツイーターはダッシュボードの両端にレイアウトされています。
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それでは仕事にかかります。
冒頭でも触れましたとおり、ソニックデザインの製品はその使います。
製品は2wayのセットではなく、ツイーターとウーファーユニット別売りの商品のようです。オーナー様から直接お聞きしなかったのですが、外観からすると、UNIT-N70Fという製品かなと思います。
筒状のエンクロージャーの中には、77ミリ径のスピーカーが入っています。
このエンクロージャーの筒状部分の外形が一般的なスピーカーの内径に合わせて作ってあるようですね。
筒からは固定用のフランジがちょこっと飛び出していて、車両側のネジ穴とは別途変換用のバッフル等を介在させて取り付けるようです。
メガーヌの場合、インナーパネルにリベット留めされた樹脂ブラケットが基準となりますので、このブラケットとユニットの間をワンオフ制作っぽいアルミパネルでつなぐ格好で取り付けられていました。
配線については、スピーカーまで来ている純正スピーカー線とユニットの間にバンドパスフィルターを噛ませてつないてありました。
バンドパスフィルター=広域と低域をカットして、特定の幅の周波数帯だけ通過させるフィルターですね。
今回のフロントドアへの対処としては、DSP導入に伴うスピーカー配線は引き込むものの、防振に関しては、小さなエンクロージャーに収まっていることも合って寄与度が低いので行わないことにしました。
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純正グリルの下に設置されているツイーターです。
こちらはSD-T25という製品でしょうか。
標準の位置にきちんと取り付けられていました。
配線は、純正スピーカー配線とユニットの間にハイパスフィルターを介在させてありました。よくある解決方法ですね。
今回、audisonのDSPから信号を供給するので、ツイーター、ウーファーともに既存の配線はそのまま残し、新規に配線を敷設します。
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DSPは助手席のシート下です。
シート下といっても、正確にはフロア下ですね。
カーペットに溶着されているスポンジを切除してスペースを確保するのですが、従来からあるAP 8.9bitに比べ、内蔵アンプの出力が大きくなったAP F8.9bitは発熱量が大きいため、周囲にだいぶ余裕を設けました。
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これはDSPに供給する電気の電圧を安定させる効果のあるレギュレーターです。
一度納車したのち、エンジン始動時にDSPの電源が入らなかったり、バッテリー電圧が不安定なときに電源が落ちる症状があるとご指摘いただいたので、調査の結果、レギュレーター導入によって解決を図りました。
これはなかなか同類の事例がなく、メガーヌの電源周りの仕組みに由来する現象ではないかと考えています。調べてみると、エンジンスタート時にバッテリーからかなりの放電をするようで、10ボルトを遥かに下回る水準まで電圧が低下しています。即、オルタネーターが全力で発電し、すぐに10Vは回復するものの、おおかたの車載機器が問題なく動作する13ボルト超えの水準にまでは一気に行かないため、AP F8.9bitが起動しないという因果に繋がっているようでした。
こちらのメガーヌGTの事例では、ESX社のDSP(XE6440-DSP)を使ったのですが、これでは症状が出ていないため、要求電圧の下限が低いと推察しています。
こちらのメガーヌRSの事例では、最初の段階から安定化電源を入れていたので、結果的に問題の事態に遭遇することはなかったのですが、オーナー様いわく、オーディオ機器はちゃんと動いているが、純正モニタがつかない時があり電源周りがおかしい感じがする。とのことでした。
正確に原因を特定できるだけのリソースがなく、現況レポートの域を出ないので恐縮ですが、いずれにしても、電圧の低下・変動に対する解決策としててっとり速いのが安定化電源であることは間違いなく、今回の症状の封じ込めには成功しました。
追加の出費になってしまったことは申し訳なく思いましたが、聴いて分かるほどの音質向上への効果は間違いなくあるので、どうにかご了解いただきました。
こういうことは国産車ではまず考えられず、外車あるある。。というほど遭遇したこともないので、引き続きデータ収集には努めますが、要求電圧が高い機器との相性問題には気をつけておきたいと思います。
8
今回はメガーヌの事例ご紹介でした。
ご不満の解消を目的とした改善プランでしたので、非定型的な構成にはなりましたが、それなりに聴けるようになりました。
ゼロからのスタートの事例に比べて、少々わかりにくい点があったかもしれませんが、実情に合わせて個別対応した結果ですので、ご了承ください。
◆
私達は生活の中でさまざまな機会に出会い、その時々で持ち得る知識をフル回転させつつ、気分やムードにも大いに影響されながら、吟味と判断を繰り返していくわけですが、時にはベストとは思えない選択をしてしまうことはありますね。
生活や命に深く関わる対象であれば、石橋を叩きまくるので、失敗リスクは低くなるんでしょうけども、その時々の満足感を求めることが目的の趣味の世界だと、良いと思って即断してみたものの、、となってしまうことは少なくないと思います。
当コーナーでご紹介する事例のほとんどは、ゼロから直線的にステップアップしてゆく事例がほとんどですが、お店の現場においては、2,3割がたはコレなんとかならないか系のご相談です。
せっかくやってみたけど思わしくないなーという時は、どうぞお気軽にご相談くださいね。
特に一定の金額を投下したシステムの場合、バックギアに入れるのはなかなか勇気がいりますが、もやもや続きでQOLが下がってしまっては、何のための趣味だよっ!ってことですから、早々に出口を目指してください。
ご予算とご希望に応じて、ご満足いただける水準に引き上げられるよう対応策を提案させていただきます。
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