社用スマホ転売で6億円着服──バンダイナムコはなぜ、社員の不正を防げなかったのか
4000台を無断転売
2023年01月18日 21時12分 公開
[樋口隆充,ITmedia]
バンダイナムコホールディングスで衝撃の事件が発生した。子会社社員が会社の備品を無断で売却し、約6億円を着服していたことが、同社の調査で明らかになったのだ。同社は社員を懲戒解雇するとともに、損害賠償を求め、社員を相手取り、1月18日付で東京地裁に民事訴訟を提起した。社員による転売事件はなぜ起きたのか。同社担当者に経緯を聞いた。
転売したのは50代男性社員 機材の発注・管理を担当
懲戒解雇されたのは、子会社に勤務する50代の男性正社員。2015年4月ごろから22年4月ごろにかけて、同社が保有するタブレット端末やスマートフォンなどのモバイル端末を、都内の中古端末販売店などに持ち込み、6億円の売却益を得ていたという。
同社はゲームアプリの開発などを手掛けていることから、動作環境の確認やデバッグのために端末を大量に購入していた。男性社員は社内の備品の管理や発注を担当しており、現時点で約4400台以上の無断売却が判明している。
アナログ管理に原因か 担当者変更で発覚
約7年という長期間に及んだ備品の無断転売。同社はなぜ見抜けなかったのか。同社担当者は原因について「管理システムと社内の体制に問題があった」と説明する。担当者によると、備品は社内の専用ツールで管理していたが、製品番号を手打ち入力するなどの比較的簡素なものだったという。そのアナログな仕組みを悪用し、男性社員は長きにわたって、虚偽の数値を入力。購入数と保管数が一致するように見せかけていた。
管理体制にも問題があった。男性社員は発注や管理を行う業務を、一手に引き受けていたのだ。「組織規模が大きい上、業務も多岐にわたっていたため、結果的に備品の管理を男性社員に任せきりにしてしまった。管理体制が不十分だったのは間違いない」。同社担当者はこう説明した。1人の社員に任せていたことが、事態発覚を遅らせることにつながった。
発覚のきっかけとなったのが、担当者の変更だ。21年度末に男性社員から業務を引き継いだ別の社員が、システム上の数値に疑問を抱き、会社に報告。社内で調査を進めたところ、疑惑が浮上し、その後の会社のヒアリング調査で、男性社員は事実関係を認めた。調査の結果、男性社員が着任した年と売却を始めたとみられる期間がほぼ重複しているため、着任早々からシステムの欠陥に気づき、売却を繰り返していたとみられる。
発覚防止? 複数店舗で売却進める
同社によると、男性社員は備品の売却先に専門業者ではなく、一般的な業者を利用。買い取り業者側に疑念を抱かれないよう複数の店舗に分散して、売却するという用意周到ぶりだったという。リース契約が終了したPCやスマホが大量に店舗側に持ち込まれるケースもあるため、業者側も気がつかなかった可能性がある。
現時点で、業者と男性社員の関係性は明らかになっていないものの、同社はオークションサイトやフリマサイト経由の売却もあるとみて、被害届を出した警視庁三田警察署とともに調査に協力している。
再発防止のため、同社は今後、外部の専門家とともに、管理システムの再編も含めた業務プロセスの見直しや内部の管理体制の強化を進める方針だ。加えて、備品の管理体制に関する内部調査をグループ全体にも拡大。備品が適切に管理されているか、確認を徹底する他、事件の経緯をまとめたレポートを社内向けに作成する予定だ。
これまでも同社は、グループのコンプライアンス憲章を制定し、冊子の配布やeラーニングを使った教育によって社員にコンプライアンス意識の徹底を図っていたが、「コンプライアンス意識のさらなる徹底に取り組む」としている。
事態発覚を受け、同社は経営陣の管理責任を問い、自社や関連会社の役員を減給処分とすることも併せて発表している。今後の民事訴訟で、男性社員が転売を行った理由や正確な被害状況が明らかになるとみられるが、他の企業にとっても自社の備品の管理体制を見直すきっかけとなりそうだ。
まぁ、どこの会社でも似たようなことがあるんでしょうね。
今、勤務している会社の親会社でも過去に似たような事件があって、廃棄するPCを持ち帰り部品にして転売していたという事例がありましたが、小遣い稼ぎの可愛いもので、とは言え会社の備品を勝手に持ち出して売るのはNGな訳で、懲戒解雇になっていたと記憶していますが、長年に渡って6億円も着服していたとはねぇ。
バレなければ、まだまだ続けていたのでしょうねぇ。
コンプライアンスの問題なのか?モラルの問題なのか?
この手の事件が起こると、似たようなことがないかと点検業務が増えたりするんでしょうねぇ。ホントに迷惑な事件ですなぁ。
Posted at 2023/01/19 20:39:07 | |
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