タイミングベルト交換　その11

前回までで、ウォーターポンプおよびサーモスタットの交換は済んだことになっているので、タイミングベルトの交換に戻ります。


今回は、オートテンショナーなど、タイミングベルトに関わるベアリング関係を全て新品にします。

純正部品ではなく、社外品で揃えましたが、正直ほぼ純正と見分けがつかない感じになりました。


テンショナーベアリングが1つ、元のものと形状が違うものを選んでいますが、スバルのパーツカタログでも互換品として案内されるような組み合わせです。
詳しくはブログに記載しました。
https://minkara.carview.co.jp/smart/userid/512366/blog/43960349/

※ちなみに、純正品の13073-AA180は、ボールの保持器が金属で、ボールが1列です。
互換品(上側で使われているが)の13073-AA142は、ボールの保持器が樹脂で、ボールが2列です。
ボールの列の違いが、表面のオイルシールの高さに現れているのかと思います。




仮にオートテンショナーを再利用する場合は、写真の新品のようにアジャスターロッドを縮めてから、ロッドの穴にストッパーピンを差し込んで固定する作業が必要になります。

オートテンショナーや、テンショナーベアリングの取り付けの順番は、数字の通りに記載されてますが、①〜④については順番が前後しても影響はないかと思います。

⑤のテンショナーベアリングについては、先に取り付けてしまうとタイミングベルトがかけられなくなるので、ベルトを通したあとに取り付けます。


締付けトルクは、④のみ25N・m。
他は、39N・mです。


オートテンショナーのピンは、まだしばらく抜きません。

ベアリング類を取り付けたら、タイミングベルトを掛けるための準備をします。

ベルトを外した後に意図的に動かさなければ、運転席側のカムスプロケットと、クランクスプロケットの位置はほとんど変わっていないはずです。


問題は、助手席側のカムスプロケットです。

タイミングベルトを掛ける位置ではバルブがリフトするため、位置を合わせてもカムスプロケットが勝手に回ってしまいます。

位置合わせの際に、インテーク側とエキゾースト側のバルブが同時にリフトすると、バルブヘッド同士が接触してバルブが曲がり、エンジンの動作に不具合が生じる可能性があります。

インテークカムスプロケットと、エキゾーストカムスプロケットを1個ずつ回して、まず写真の右図のような位置にします。


(角度は大体ですが、インテークカムスプロケットの1本線のマークが左上を向き、2本線のマークが右下を向いています。
エキゾーストカムスプロケットの1本線のマークは右下を向き、2本線のマークが右上を向いています)

次に、スプロケットを最少移動距離になるようにして、スプロケット同士の2本線を合わせます。

上のNGの例では、工程が長く、その間にバルブヘッド同士がぶつかる可能性があります。



とまぁ、カムスプロケット合わせの理屈はこうなんですが、結局合わせても勝手に回ってしまうので、結構苦労するようなので、SSTを用意します。

スプロケットの両方のヘックスの穴にはまるような専用工具が売られています。

箱から出した状態だと、上下で段差ができるようにスペーサーが噛ませてありましたが、要らないので抜きました。

この工具があると、位置合わせのボルトを緩めた状態でも、ボルトの軸自体が回りどめの役割を果たすため、片方ずつ確実に位置合わせができます。
(しかも先端がマグネットになっていて、ボルトにしっかりと食らいつきます)

スプロケットのマークが全部合ったら、ベルトを掛けていきます。

新品のベルトにもしマークが付いていない場合は、古いベルトのマークを移しておいて下さい。
あとはベルトのサイドにもマークしてあげると、確認作業の視認性が良くなります。


HKSの強化タイミングベルトには、黄色のマークがありました。
取り外した純正品のベルトにも、うっすらとマークの跡が見えました。


ちなみに位置合わせの順番は、クランクスプロケット、インテークカムスプロケットLH、エキゾーストカムスプロケットLH、インテークカムスプロケットRH、エキゾーストカムスプロケットRHの順番です。


この間に、カムスプロケットの中心付近からオイルが垂れてくる可能性があるので、場合によってはウエスなどを当てておき、カムスプロケットの歯やタイミングベルトにオイルが付着しないよう、細心の注意を払って下さい。

ベルトを掛けた後、各マークが合っていることを確認したら、最後に残りのテンショナーベアリングを取り付けます。


まだオートテンショナーは、ピンを抜いていないので働いていませんが、この時点でも結構ベルトにテンションがかかります。

テンショナーベアリングをベルト方向に押しつけ、取り付けボルトが斜めになってボルトの先端が損傷しないように注意しながらボルト留めします。

ここの締付けトルクは39N・mです。


テンショナーベアリングの取り付け後、あらためてタイミングベルトとスプロケットのマークが合っているか確認し、問題がなければオートテンショナーからピンを抜き取ります。



次はタイミングベルトガイドの調整などに進みます。