2014年12月24日
さよならワゴンR
少し前になるが、何某(実際、名前は忘れた)という男性フリーアナウンサーが、自身のブログで少子化対策について持論をまくし立てていた。
曰く、欧米では誰もが自分の子供が大好きで、職場には写真を飾り、残業は可能な限りせず定時になれば家族のもとへ一目散であるのに対し、日本の若者は自分の事が一番好きで、自分の物語を他の誰にも邪魔されたくない傾向がある。故に結婚、まして子供をつくるなどと言った行為には後ろ向きになる、といった旨を書いていた。
これを読んで、これは私にも当てはまるな、と反省した。
確かに形では家族や子供に関わる行動もそれなりに取ってきたが、心の中では自分の趣味に費やすエネルギーやコストを<犠牲にして>行動している、といった気持ちが常に見え隠れしていた。それはきっと妻や子供達も届いてしまっていたかも知れない。そんな私をある程度寛容に見てくれてい彼等は、私よりずっと大人である。
ただ、そうはいっても、今回の事も、やはり子供達に学費のかかる時期に備えて私の趣味を<犠牲にし>た行動である、という概念から抜け出せないでいる。
まあ、そんな事をする必要も無いくらいの高収入を稼ぎ出せていればよかったのだろうが、それが出来ず、また、自分の趣味を最優先にして譲らない生活を貫くほどの図太さも無い。
そんな訳で、今日、私のワゴンRは、手許を離れていった。
話は少し遡る。
長男の大学進学が半年後に迫った今年10月のこと。
家計の中で大きな支出を占めている自家用車。引越し当初から妻から不要論をずっと言われ続けてきたが、いよいよ整理に向けて行動せねばならないと思うようになった。
飯田では妻が通勤用に使っていたイプサム。八王子では徒歩とバスでの通勤になったので、週末に実家や飯田へ行く時にしか使わなくなっていた。来年、長男が八王子へ戻れば、飯田行きも無くなるのでイプサムの出番は殆ど無くなる。どちらの実家にもクルマはあるので、普段我が家にクルマが無くても非常時に実家から借りる事だってできる。
更に、10月半ばに私へ人事異動の辞令が下り、11月からは遂に電車バス通勤に変わってしまうことになった。そうなると通勤手段として存在意義を主張できていたワゴンRも、有閑設備と化してしまう。残念ながら「私の趣味の対象」などという存在意義は認められていない…。
そして、イプサムの車検は来年2月、ワゴンRは来年5月。長男の卒業は来年3月。
やっぱり走行距離は短くなるかもしれないが、1台はクルマを残しておき高額な修理が必要な故障に見舞われるまでは乗ろう、という結論になり、妻にとって運転し易いイプサムが我が家に残る事になった。
私としては、もろ手を挙げての賛成ではないが、家族優先としてやむを得ずの判断である。
11月は異動先の職場での混乱を落ち着かせる事で手一杯になり、それもひと段落ついた12月になって、ワゴンR売却への具体的な動きを取り始めた。
そうはいっても、平日も土曜日も仕事で身動きが取れないし、日曜日だって丸々一日使える訳ではない。そして、巷にはクルマ買い取り業者は少なからずあるが、それはノーマル車か或いはちょっとした部品交換をした程度のクルマが対象である。ワゴンRは贔屓目に見てもその範疇は超えている。そういったクルマの知識が無い業者から見れば、あまり手を出したくないクルマである事は目に見えている。
そこで頼るのがインターネットである。
買い取ってくれそうな業者が目についたので、まずは一報いれてみた。
間もなく返信。
「割に合わないので買い取りは出来ない」旨の返信が来た。
やっぱり現実は厳しい。
20年前、R30鉄仮面を売却すべく中古車店を回った時の悪夢を思い出す。
次に見つけたのが、登録すれば複数のチューニングカー買取り業者がそれを観て、関心を示した業者が買い取りの打診をしてくるというサイトである。
登録後まもなく、1社から打診が来た。後日聞いたのだが、通常は数社から打診が来るのだそうだ。
1社だけか…。
それでも、興味を持ってくれたのだから交渉は進めようと、何度か電話でやり取りした。
都内にある、チューニングカーを専門に扱う業者で、無料で出張査定もしてくれる。電話口の担当者は、若そうだが、それなりに営業経験を積んできた事を思わせる青年のように思えた。
で、買い取り金額だが、やっぱり厳しい。
本来、売りたくないクルマであり、もっと乗っていたいクルマなのだが、家族の為にやむを得ず手放す。故に、バラされて部品取りになってしまうのは忍びない。販売車両として扱ってくれるのであれば、額面についてはウルさい事は言わない、といった旨を何度か説明し、現車を見る運びとなった。
後で妻に話したら、バラして売るならもっと高く売れたの?と問われ二の句が継げなかった(話さなければよかった…)。どこまで傷口に塩を塗る気だろうと思ったが、もしそんな事を言おうものなら、「だったらあの時は」、「その時は」、「この時は」…と100倍返しで反撃が来るので黙るしかないのである。
現車確認の日取りが決まり、手放す意志に変わりは無い旨を何度か確認され、当日を迎えた。他に何件か回ってくるというので我が家へは遅い時間の到着になる。せめて最後の化粧でも、と午前中にワックスがけと室内やエンジンルームを清掃した。
洗車道具は実家に置いてあるので出向くと、私が来た事をこれ幸いにとあれこれ頼みごとをする両親に、今日だけは御免、と最後の洗車に専念させてもらった。
電話で何度が話をした営業の人が我が家を訪れたのは、日が落ちて辺りが暗くなってからであった。
暗い所では確認も大変だろうと、照明の明るい近所の量販店の駐車場へ移動して、作業してもらう。
ついでに、私が助手席に乗って近所を一回り運転してもらった。
業者さんも販売車両として考えてくれていて、しかし、そのためには下回りの整備、塗装面の研磨やヘッドライトの研磨、傷のあるエアロパーツの補修、そしてエンジン廻りの整備の必要性(排温が高めでありインジェクタ清掃が必要である旨を正直に話した)等々にかかる費用を考えると、やはり額面的には、かなり厳しかった。が、やっぱりこのワゴンRにはクルマとして存続できるものなら存続して欲しかったし、我が家としても、これからの日々の出費が無くなるという意味では、その額であっても引き取ってもらう事が妥当と判断しハンコを押した。
再び我が家に戻り、契約書を完成させて、駐車場で業者さんの運転で走り去るワゴンRを見送った。後日、名義変更の通知が来るそうだ。
そんな訳で、次男も大学進学を目指すと仮定して、これから8年は趣味のクルマとはオサラバである。その間、次は何に乗ろうかをじっくりと考えようと思う。
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クルマ | 日記
Posted at
2014/12/24 00:34:27
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