早いもので、初めての沖縄から帰ってきて1週間が経ってしまった。
今どきの沖縄旅行では、現地でレンタカーを借りて自由に動き回るスタイルが一般的のようだ。公共交通機関が発達していない沖縄では、この方法は行動の自由度が大きいので融通が利いてとても良かった。
レンタカーは「Sクラスで車種は選べず」というのが基本であるが、追加料金を積めばもっと大きなサイズのクルマに変更できたり、台数を増やしたりも出来る。
もっとも私達は妻と二人の旅行なので、クルマのサイズを大きくする必要は無かった。
那覇空港から出ると、レンタカー会社のバスが目の前に停まっている。
受付の係員に名前を告げると、ではこのバスに乗ってお待ちください、と。私達以外にも観光客が居て、何組か乗るまで待ってから空港を後にした。
旅行当日を迎える前に、レンタカー会社のホームページから必要項目を打ち込んでおいたので、手続きには、たいして時間はかからなかった。
用意されたクルマは、日産ノート。
Sクラスというから、1000~1200ccくらいのヴィッツとかマーチとかフィットなどをイメージしていたのだが、ノートって良く知らないけどパルサーあたりの後継車でしょ?だから1500ccくらいじゃなかったっけ?得したな、などと思いつつ、スタッフのお姉さんと一緒に傷の確認。
帰ってきてから調べて知ったが、この型のノートって、1200cc(ただしスーパーチャージャー付?)なのね。車検証もエンジンルームもチェックしなかったのは、我ながら関心の無さを物語っている…(^^;)
レンタカー屋さんのお姉さんが私にキーを渡す。「キーレスですから」と言いながら。
そう。キーではない。楕円形の小さいリモコンである。
クルマのエンジンは既に掛かっている。引き渡し時の常でラジオも鳴っているので、運転席に座ってしまうと、うるさくて会話が聞こえない。ボリュームを下げたいが、ボリュームらしきツマミが無い。どれだ?もしかしてコレか?と、カーナビモニター下端にある薄くて小さな「+」「-」ボタンを押してみる。
当たった。
しかし今どきのクルマのインパネは判りづらい。
「エンジンは、ブレーキを踏みながらこのボタンを押すと掛かります。停める時もこのボタンを押すと止まります」
キーが無いので、キーを刺す穴も無いのである。キーレスなのである。
繰り返すが、渡されたのはキーではなく楕円形の小さなリモコンだけなのだ。
試しに、ボタンを押してみる。
エンジンが止まった(嬉!)。
そしてブレーキを踏みながらボタンを押してみる。
かかった(嬉!喜!)。
なるほど。
では、お借りします、と走り出す。
トルコンの設定は、かなりタイトである。ちょっとしか踏んでないのに「グン!」と走り出す。
ブレーキの噛みこみもキツい。これまた、ちょっとしか踏んでないのに「ギュ!」と止まる。
あくまで、我が家の2000年式イプサムとの比較であるが…。
とは言え、慣れれば特に問題ない。
変速タイミングの様子から、どうやらこれはCVTのようだ。
だが、マニュアルモードが無い。減速はフットブレーキのみのようだ。
信号待ちで停車する。
エンジンが止まった。
おお、これがアイドリングストップ機構か!
初めて乗った。
停まっている間に、エンジンが勝手に始動する。どうやらエアコンのコンプレッサーが回り出す時にエンジンが始動するようだ。
こうして21世紀のクルマに驚きを禁じ得ない状態のまま宿に着いた。
本格的に乗り回すのは、明日からだ。
今回の旅行では、那覇の宿に泊まり、日曜に1日かけて島の南部、月曜にはこれまた1日かけて中部を走った。どこを訪ねたかは別稿に譲るとして、ここでは、借りたノートのインプレッション、沖縄中部南部の道路事情、その他について書いてゆこうと思う。
冒頭にも書いたとおり、レンタカーを使っての観光は一般的であるようで、市街地を走っているとあちこちでレンタカーを見かける。レンタカーといえば普通「わ」ナンバーだが、ここでは「わ」だけでなく「れ」もある。というか、見かけるレンタカーの殆どは「れ」ナンバーであった。私達が借りたノートも「れ」である。レンタカーの登録数が多すぎて「わ」が終わってしまったので字面が似ている「れ」を使っているのだろうか。
沖縄の内陸部の地形は丘陵地が連続しており、市街地でも内陸に入ると登り降りの坂道が連続する。首里城は広々とした平地に構えているのかと勝手に想像していたのだが、実は丘の頂上にあるという事、行ってみて初めて知った。
交通量は、朝夕の通勤時間帯に市街地が少し混むくらいで、日中は市街地・郊外とも交通量はそれほど多くない。現地のドライバー諸氏の運転は、良く言えばおおらか、悪く言えば雑な人が多いと感じた。注意が必要かなと思ったのは、片側2車線以上の道で、交差点前のイエローライン区間でも普通に車線変更してきたり、路地から通りへの合流で、あまり確認しないままフラフラと前進してくる事くらい。
総じて、首都圏を日常的に走っている人にとっては、走り易いのではと思う。
市街地も郊外も、車道から見える景色だけでは、「沖縄へ来た!」と実感できるものが意外にも少ない。強いて言えば、並木にヤシの木が混じっている場所があるくらいだろうか。ありがちな地方都市の道だなぁと感じた。ただし、日曜・月曜とも天気があまり良くなくて雨か曇りばかりだったので、それもまた沖縄感をスポイルしてしまっていたかも知れない。
沖縄は道路の起伏が多いと書いたが、降坂時にエンジンブレーキを使いたくても、借りたノートにはマニュアルモードが無いので積極的なエンブレが使えない。セレクトレバーはL、D、N、R、Pしか無いのである。Lはちょっとロー過ぎる。
だが、途中で発見した。セレクトレバーの普通ODスイッチがありそうな所に「SPORT」というモード切替スイッチがあった。コレをONにすると、全体的に変速線がローなスケジュールになるので、ちょっとだけエンジンブレーキを掛けられる。実家のトヨタ・ラクティスもCVTなのだが、アクセルオフで減速比がローになるような変速プログラムを組んでいるので、私としては好感が持てる。今回のノートは、アクセルオフでもそれほど減速比は下がらなかった。ちょっと不満な点である。
アイドリングストップ機構について、追記しておく。
停車直後にエンジンが止まるのだがエアコンのコンプレッサーが回り出すタイミングで始動すると書いた。コンプレッサーが止まっていても、ブレーキペダルから足を離したタイミングでもエンジンが始動する。はじめのうち、この設定に慣れなくて、信号が青に変わって、さあ走り出そうとブレーキから足を離すとエンジンが始動し、そのままアクセルも踏んでしまうので、走り出しのGの掛かり方が「グン!」と角のあるものになってしまう。助手席の妻からクレームが続出した。
エンジンが停止している状態から走り出したいとき、ブレーキから足を上げたら、アクセルペダルは踏まずにエンジン始動に任せて走り出せばスムーズな発進になる事を発見した。知っている人にとっては、何を今更と思うかもしれないが…。
月曜日に高速道路を走った。沖縄本島には那覇近郊から中部の名護市の手前まで1本だけ高速道路が走っている。交通量は少なくて走り易かった。走っているクルマは乗用車が殆どであり、たまに高速バスも見かけた。大型トラックは皆無であった。輸送コストに見合わないのだろう。ETCは対応しているが、ETCを搭載してないクルマも目立ち、料金所では支払いのゲートにクルマが並んでいた。高速道路を使うのは、観光客か、よほど急いでいる人くらいなのだろうか。
当然ながら、あまり攻め込んだ走り方をしてないのであるが、一般的な走り方をする限り、ノートの動力性能は必要十分であり、大きな不満は無かった。今考えても、過給機付きとは言え1200ccにしては上出来であると思う。ターボではないのでトルクの出方は自然であり、NAだとばかり思っていた。スーパーチャージャーのベーンの音、気づかなかったなぁ。もしかしてベーン式ではないのか?調べてないので判らないが。
足回りについても、ヨー、ロール、ピッチングとも不自然さは無く、ハンドリングもニュートラルであり気になる事は無かった。
内装が安っぽいのは、このクラスの宿命だろうか?実家のトヨタ・ラクティスもそうであるが、ダッシュボートにシボの表面処理をしていても、プラスチック特有の安っぽさを感じてしまう。一昔前のようなソフトパッドで覆うような造りにしないのであろうか。エアバックがあるのでパッドで覆うような事をしなくても乗員の頭部は保護されるから問題無い、みたいな理屈が聞こえてきそうである。
それだけなら、見た目だけなのでまだ良いのだが、ダッシュボートの蓋の立て付けが悪く、路面の荒れた道を走ると、「バタ!」と開いてしまっていた。設計/製造上の問題なのか、それとも荒く使われた事があったのだろうか。
空調のベント吹き出し口のルーバーは優秀だと思った。円形で360°回転するので、風を当てたい部位の自由度が広い。ルーバーを閉じればシャット機構も兼ねているので風を当てたくない時にも有り難い。
ボトル・ホルダーが、センターに運転手・助手用の2本分が有る他に、左右ドアポケット前端部にも1本入るようになっているのも良かった。運転中に水分補給をマメに行っているので、2本分のボトル・ホルダーがあると有難い。
シート形状は優秀だと思った。そこそこのホールド感があって、硬過ぎず柔らか過ぎずであり、長時間運転しても疲れなかった。腰や尻が痛くなる事も無かった。
不思議だったのはカーナビである。
純正品なのか社外品なのか不明だが、エクリプスという商品名がモニターの額縁に書いてある。
見知らぬ土地を走るのでルート案内を使うのであるが、目的地へ向かう道で、そのまま県道を走ってゆけばいいのに何故か細い住宅地へ案内されて路地から再び県道に戻る、みたいな案内をされる事が時々あった。他にも、ホントにこんな細い路地へ入って良いの?と思うような道を指定してきて、結果的に目的地には着いたのだが、反対側から回って来ればもっと太い道から来れたのに、というケースとか、もっとひどいのは、高速道路に乗るように指定してきて、さすがにそれは無いだろうと思って無視して一般道を走ったのだが、案の定、高速道路は目的地の近くを走っていて、もし高速を走っていたらインターも無い路上で「目的地付近です。ルート案内を終了します」となってしまっただろう。
ナビも使いようである。
そして、ナビの使い方を調べる時間が惜しかったのでそのままにしていたのだが、音声ルート案内を使いたいとき、ラジオやオーディオを使ってしまうと案内の音声が出なかった。両方出るような設定があるのかどうか、時間があれば調べても良かったのだが、走行中のBGMは絶対条件では無かったので音声案内を優先した。それに、画面でのオーディオ操作が判りづらいと感じ、あまり使う気になれなかった。慣れてしまえば大丈夫なのかも知れないが、どうも新しくなるに従ってオーディオの操作は判りづらく退化しているように感じてしまう。’90年頃のメーカー純正オーディオあたりが、機能と使い易さのバランスがベストなのでは、と思う。
こんな装備が?と思ったのが、路肩の駐車車両を避けたりするために白線をまたぐと「ピピピ」と遠慮がちなアラームが鳴るのである。たぶん、居眠りで車線を割った時に警告するためと思われる。スイッチで解除できる。
自動ブレーキの解除ボタンもあった。念のためONにていたが、幸いにしてお世話になることは無かった。
総じて、多少の不満はあるものの、大きな問題も無く楽しめた日産ノートであった。
走行距離は290km。使ったガソリンは18.4L。燃費は15.8km/L。
起伏が多い市街地を走ったし、高速道路でも追い越し加速をするシーンがあったり故障車渋滞に巻き込まれる事もあったので、まあこんなものであろう。イプサムと比べても仕方ないが、1.5倍くらい燃費が良い。
最後にタクシーのこと。
クラウンコンフォートやプリウス、更には最新式のロンドンタクシーみたいな両側スライドドアのやつ(←名前知らないし調べようともしない…)に混じって、日産クルーが未だに使われていた。それもけっこうな台数を目撃した。
最終日、レンタカーを返したあと、帰りの飛行機まで少し時間があったので散歩していたときのこと。道端に停めてあったクルータクシーの横に運転手さんが立っていた。
まだクルーを使っているんですね?と話しかけると、もうだいぶ年代モンだけどね、と。
妻はあまり興味なくて、その先にある神社へ行きたかったので、会話もそこそこに立ち去ったが、こんな塩害が多そうな土地で、20年以上前のタクシーが現役で使われている事が、ちょっと嬉しかった。書いていて気づいたが、日産勢のタクシーはクルーだけだった。首都圏で見かけるセドグロは1台も見なかった。あとは全部トヨタ。
さすがである…。
プロアイズ筑波サーキットTC2000enjoy走行会 カテゴリ:その他(カテゴリ未設定) 2025/07/21 17:25:30 |
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