V37の納車の時は、R33との今生の別れの方が辛くてひどく滅入った気持ちのまま、新たな相棒とも呼びたくなさげな今のクルマに乗り込んだものだ( 笑 )。
しかし、そんな暗~い気分は走り出した瞬間に “ ハッ!” とさせられた。
それは残念ながら、V37がいきなり “ スバラシーッ!” という感動ではなくて・・・、
ステアリングセンター( ハンドル中立位置 )付近の落ち着きがまるで無い。ドライブモードセレクターで “ スポーツ ” にするとエンジンパワーと連動して油圧パワステも重くなるんだけど、それでも “ すわり ” の無い感触。
直進方向に向かおうとしない。
手を放した時、右へ左へヨタヨタと落ち着きが無い。
ワダチに負ける。
試しにスタッドレスタイヤの空気圧をコンマ2キロほど上げてみたものの、あまり変わらず・・・。
長い長いと言われたR33よりも + 130mm の超☆ロングホイールベース、トレッドも + 85mm という大きな四肢でこの落ち着きの無さはナイでしょ!
→ アライメントがおかしいよ、コレ・・・。
トーインが浅過ぎる、いやヘタするとトー角がゼロあるいは開き気味!
“ 元 ” チューニングカー乗り( 笑 )から言わせてもらえば、
“ まるでシャコタンにしてアライメント調整していないクルマ ” の症状。
こりゃあ、要調整だな・・・。
まぁ新車なだけに、慣らし運転でブッシュ類の馴染みでも変わるから、1000Km まではガマンしといた後に調整しようと決めていた。
ただ、アライメントのチグハグ感を除けばV37のハンドリング特性はかなりイイ。
コーナリング中のステアの切り足しがかなり効き、ハンドルを切っている間の横Gが非常に強い。それでいて柔らかいサスペンションにもかかわららずロールが少ない。ショボいスタッドレスタイヤをこれでもかというほど地面に押し付け、仕事をさせる。スタッドレスの範囲内での感想だけどね。
これでステアリングセンターに “ すわり ” を付ければ、もっと自分好みの、いや、より “ 自分の言うこと聞く ” ハンドリング特性にできそう、と期待してコクピットへV37スカイラインのアライメント測定と調整を依頼した結果は・・・♪

やっぱり予想通り、フロントがトーアウト状態だった。
しかもメーカー基準値内ギリギリ。自動生産ライン上でならこれで “ 出荷OK ” となるのだろう。
リアは揃ってはいたものの、かなり浅いトー角。これは昔の車よりもハブやナックルの精度が向上しているから、と良心的にはとらえたいところだが、浅過ぎる。度数からミリに直すとトータルで1ミリにも満たない、ほぼ “ トーゼロ ” 。→ これってドリ車のセッティングだよね( 笑 )。
フロントがトーアウトで、リアのトーも浅い。これではせっかくのロングホイールベースも活きない。不安定なロングホイールベースほど無駄なものは無いでしょ。

調整後は、メーカー基準値のほぼ真ん中に合わせた数値になった。
リアのキャンバーは今後の馴染みによる車高の低下も考慮して、若干立て気味にしてくれた♪ トラクション重視、俺好みだ☆
アライメントの調整にあたっては運転席に約70kg のウェイトを積み、ドライバーの乗車を再現した状態で調整してくれた。コクピットさん、ナイス仕事( 笑 )!

これはR33のアライメント。
フロントは調整式テンションロッドでキャスター角を寝かせ、トーインもキッチリ付ける。V37とキャスター角が大きく違うのは、構造の違い。リアはシャコタンなら尚更の、“ キャンバー立て気味 ”♪ トーインがキツいのは HICAS 車特有の設定。
本来、真っ直ぐ走り難くなるはずの、アシとボディを強化したクルマがアライメントでビシッと “ 躾 ” を付ける事で、矢の様に突き進む。
高速向けのセッティングだから町乗りではユル気味で良い。逆に町乗り程度の速度で『 クイックで楽しいハンドリング 』は、正に町乗りが限界。
そしていよいよ調整が終わったV37に乗ってみたら、もうハンドルを切り出した瞬間に手応えが出ているのが分かった!
ステアリングセンターに “ 芯 ” が備わった感じだ♪
トーインのメリットは直進安定性だけではない。タイヤが常にイン側に向いている事によって、実はコーナリングするためのチカラを常時タイヤに発生させている訳で、即ち切り始めのレスポンスが良くなる。更にはブレーキ時やワダチでの安定性向上のみならず、切り足しもより利くようになる。無論、トーインの付け過ぎはタイヤ内側を片減させるしハブやナックルの寿命を縮めるけど、適正なトーインはメリットが多大!と言うか、必要不可欠なものなんだヨ♪
アライメント調整というと何やら難しく感じるし、工賃もかかる。でもそのアライメント調整を手っ取り早く理解したいなら、ラジコンがオススメだ! 実車のアライメント調整料金とほぼ同じ金額か、それ以下で買えるでしょ。そのラジコンで車高やタイロッドを調整してみれば、サスペンションの動きとクルマの動きが正に目で見て解るから☆
ちょっと話は逸れたけど、ともあれV37 Ken-G. 号の不快なハンドリングは、アライメント調整によってビシッと良くなった♪
これぞ正に調律 = “ チューニング ” だ( 笑 )!
クルマ雑誌ではV37スカイラインの上級グレードに備わる “ ダイレクトアダプティブステアリング ”( 要は従来のシャフトではなく、サーボモーターによる電子制御舵取り装置 )に『 違和感がある 』とのレビューが非常に多い。
加えて、200GT-t の従来式の油圧パワステも『 落ち着かない 』と評価されている事が多いけど・・・。
もしかして、
単に広報車のアライメントが狂っていたんじゃないの?
と言いたい( 笑 )。
だとしたら、世に何万何百万と出回るクルマ雑誌の記事を書く、中にはプロドライバー上がりのライターだって居る
モータージャーナリストの皆さんの、“ 脳のアライメント ” が明後日の方向に向いているのかも知れない( 爆 )!
要はさ、オーナーにもならず試乗程度でクルマを語るのはそろそろヤメようね、って事。評価するなら最低でも1000Km 以上のロングランレポートだろ。
そして今回のアライメント調整の様な “ 目に見えないチューニング ” は性能だけではなく、オーナーだけが享受し得る “ 所有する悦び ” をも向上させてくれるのだ【 笑 】♪