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◇画太郎◇のブログ一覧

2022年07月03日 イイね!

諸星大二郎/徐福伝説

諸星大二郎/徐福伝説A5判サイズのジャンプ・スーパー・エース『暗黒神話』に収録されているもの。

徐福は紀元前210年頃、秦の始皇帝に「不老不死の方法を知っている」と近づき、莫大な金品をせしめ、行方をくらませた人物。

始皇帝を騙した詐欺師というニュアンスで語られることが多いが、この作品では実際に不老不死の方法を知っており、少年少女を連れて東方へと出航している。

徐福一行の船は当時弥生時代の日本に到達するが、弥生人は不老不死の方法を知らず、弥生人の定住にともない東へ駆逐されていった縄文人の末裔がその秘法を知っているのではと聞かされ、富士山麓にたどり着く。

最終的に古代日本で破滅する徐福を、海で溺れて死んだのち、それを恨んで鳥となり小枝を咥えてきては海に落とし大海を埋めようとする精衛という少女の故事と絡めて描いている。



Posted at 2022/07/03 03:15:45 | コメント(1) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2022年06月17日 イイね!

岩明均/寄生獣

岩明均/寄生獣地球上の生物の頂点として人間が存在するが、人間より上位の生命体が突然、地球上に姿を現したら…というお話。

作中、突如地球に現れた人間より上位の生命体は、人間の頭部に寄生し、通常は人間が判別できないほどに人間に擬態しているが、頭部が刃物に近い形状に変形し、人間をあっという間に殺傷して捕食する。

この人間に寄生した上で他の人間を捕食する生物は「パラサイト」と作中で呼ばれる。
題名の『寄生獣』とはパラサイトを指すのではなく、終盤に広川の口から語られるが、人間のことである。

偶然右腕をパラサイトに寄生され、パラサイト「ミギー」との共生生活を余儀なくされた泉新一という男子高校生の数奇な運命の物語。

〇広川・田村玲子・後藤

新一とミギーの明確な敵としてパラサイトである「A」や島田秀雄らがいるが、終盤まで新一とミギーに関わった敵は広川・田村玲子・後藤。

広川は政治家である。
「人間の最大の敵は人間」ということをよく知っている。
彼は最後まで新一と接触することはなかったが、生きていた場合、非常にやっかいな存在になっていただろう。
「人間の最大の敵は人間」ということを知っている以上、「人間を滅ぼすのはパラサイトではなく人間である」ということを知っていたからである。
最終的には広川は消え、快楽殺人者である人間の浦上が新一の最後の敵となる。

田村玲子は女性に寄生したパラサイトである。
新一と一触即発の機会が二度あったが、戦闘には至っていない。
明確に他のパラサイトより高い戦闘力があったため、新一と戦っていた場合にどちらが勝ったかはわからない。
結局、田村玲子が戦ったのは新一ではなく、自身へ敵意を向けた他のパラサイトに対してである。
田村玲子は自身への関心、自身とその周囲との関係性への関心、それは自身を中心に拡大していき、新一への関心、人間という種への関心、パラサイトへの関心へとなっていく。
田村玲子の関心は、結局のところ「私とは何か?」という点に終着する。

後藤は男性に寄生したパラサイトである。
彼は作中最強の敵として新一に立ちはだかる。
きっかけは偶然だが、地球上の生物として圧倒的な存在となる。
最強であるにも関わらず、彼はさらに自身の強さを求めていく。
ナルシシズムからくる後藤の欲望には果てしがない。
極めて危険だが、どこか抗しがたいロマンのある最強の敵である。

〇新一とミギー

主人公の泉新一は平々凡々とした男子高校生である。
『寄生獣』は1990年代の作品だが、当時の男子高校生はおおむねこんな感じだったし、おそらく今の男子高校生もこんな感じだろうし、それより昔の時代の男子高校生もこんな感じだっただろう。
要するに普遍的な10代の少年から青年に変わるくらいな頃の男性である。
ただ彼、ひとつ他人と比べて変というか違う点があるとすれば、逃げないんだ。

序盤だが、同年代の子数人が公園で猫をいじめている。
ここで新一は迷わず「やめろ」と言う。
また、登校途中に同級生が他校の生徒に囲まれて痛めつけられているのを目撃する。
たいして考えずに止めに入って逆にやられちゃうんだよ、彼。
物語の中ではなんてことないエピソードだけど、できるかっていうと普通はできないよ。同年代で。
現実的には「何もしない」という選択肢をとる人が大部分に決まっている。
彼、最終的に後藤からも逃げなかったからね。

彼は選択し、行動していく。
行動していく主人公から物語は生まれていく。
逆に言えば行動しない人間からは何も物語が生まれない。
行動こそが人間を人間たらしめるとすれば、やはり彼は普遍的人間である。

新一の右手に寄生するパラサイト、ミギー。
このことによって新一とミギーは人間とパラサイトの狭間にいる存在となる。
ミギーは同種であるパラサイトを倒す。
一方、新一と同種である人間を倒すことは新一に許されない。
ミギーは悪意なく何度か新一に訊ねている。
「私と逆の立場なら君はどんな気分だ?」
知的好奇心が強く、自身を進化・深化させていったミギーは物語の最後、利己的行動でもなく自発的に人間(それも新一にとって極めて重要な人間)を助けている。

〇デビルマンと寄生獣

さて、人間より上位の存在が突如現れるとして、1970年代の『デビルマン』ではそれが「悪魔」、1990年代の『寄生獣』ではそれが「パラサイト」。
主人公はいずれも人間でありながら、敵側と同化し、狭間の立場から人類のために敵と戦う。

『デビルマン』では考えうる限り人類にとって最悪の展開になったのに対し、『寄生獣』は希望とまでは行かないが、問題を抱えながらも順調に進行する世界が描かれる。

これまでの歴史を振り返れば、人間は人間を殺せる限りの数、殺してきた歴史があるので、キューバ危機を経て切実に「これもう人類アホ過ぎて全滅するんじゃないか」という時代的空気感のなかで『デビルマン』があのような結末を迎えても特段違和感はない。
『寄生獣』の連載直後くらいの時期と思うが、ベルリンの壁が崩壊した。
ヒューマニズムと人間の連帯が勝利する人類史上まれにみる展開に「…いやいや案外だいじょうぶかもよ」という期待感…。これは今のところ現在まで続いている気がする。
そしてそのあいだは『寄生獣』という漫画が古びることはない。
Posted at 2022/06/17 04:37:37 | コメント(1) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2022年04月15日 イイね!

Dr.コトー診療所/山田貴敏

Dr.コトー診療所/山田貴敏とりわけ若い頃の話だが、人生というか生業というか、そういうものが例えばでっかい歯車的なものとして、これはいったん動き出せばあとはそんなに難しくないんだ。
ただこのでっかい歯車的なものが最初のうちは押せども引けどもビクともしねー。
みんカラにいる人はおおかたもう中年だろうから忘れちゃってるだろうが、若い頃を振り返るとこの押せども引けどもどうにもなんねー的感覚をたいていの人は経験してるんじゃないだろうか。

さて私がごく若い頃、そんな感じで日々何とも言えない閉塞感を抱いていたが、ふとTVをつけた時に見たメジャーリーガー。
日本人だった。
大きく伸びあがるようにグラブを高々と上げ、それからくるりと打者に背を向ける。
トルネード投法と呼ばれ、ストレートとフォークしか投げない。
夏の暑い日に陽炎が、これは部屋から見える景色に立ちのぼっていたのか、ブラウン管の向こうがわの遠い、自分のいる地点とは限りなく遠い場所で行われているデーゲームのグラウンドから立ちのぼっていたのか覚えていないが、陽炎とともに飄々とマウンドに立っている男を私は見ていた。

その男がとりたてて何か言ったわけではないがその背中から、窮極の場面ではこれはもう手練手管ではなく真っ向勝負しかないことを私は知った。
野茂英雄。
あれはもう名前どおりのヒーローだったね。

ただそんな誰もが知ってるヒーローばかりじゃなく、人生のいたるところで特に名前の知られてないヒーローというのは介在してきてるはずなんだ。
それは人によって小学校時代の担任の先生かもしれないし、電車でたまたま隣に座った名前も知らない人物かもしれない。
まあ他人の人生をふとしたことでぐいと日の当たる方向に曲げてくれる力を持っている人物というものは、案外身近にもいるものだ。

この漫画の主人公である医師もそういう男で、鹿児島県甑(こしき)島(現在の薩摩川内市)に実在した医師をモデルにしているといわれる。
離島医療に従事して無名だが、卓越した実力を持っている医師として描かれている。
ただ、卓越した実力を持っているだけじゃとくだんヒーローってことにはならないんだ。
他人の人生をぐいと日の当たる方向に持って行く力。
これはもう資質というか、なろうと思ってなれるものでもないだろう。

現在連載が中断され未完となっているが、再開の気配がないまま、もう長い年月が経っている。
Posted at 2022/04/15 03:36:37 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2022年04月11日 イイね!

李広利将軍の活躍/画・久松文雄 作・久保田千太郎

李広利将軍の活躍/画・久松文雄 作・久保田千太郎コミックシルクロードのなかの一編。

前漢・武帝の時代(紀元前100年頃)、北方の匈奴との間で長く続く抗争において度々劣勢に立たされるが、匈奴の馬が俊敏で頑健なのに比べて、中国の馬は貧弱だったことも大きな要因とされていた。

武帝は大宛(現在のウズベキスタンのあたり)にいるとされる汗血馬を導入することを熱望するが、大宛までの道のりが非常に遠いうえに、経路は確立されていたが途上は匈奴が進出してきているために、大宛まで到達しこれを攻略し、さらに汗血馬を国内まで導入することは無謀と思われた。

李広利将軍は武帝より大宛遠征の任務を承ったが、妹が武帝に寵愛されたために台頭した成り上がりで、たとえば同時代の李陵のように代々武官の家柄で教育を受けているわけでもなく、軍事経験もない。
かなり無茶で荷が重い任務と思われたが、数々の失敗をしたものの、汗血馬導入という任務を果たす。

このように大きな功績をあげた李広利だったが、後半生は匈奴戦で成果を挙げるものの、国内で宮廷を交えて派閥争いの要素を含む呪いが大流行し、それに巻き込まれるなど、本人の意思にかかわらず否応なしに悪い運命に流されてしまう。
李陵が匈奴に服属してしまうきっかけを作ったとされ、ネガティブなイメージを持たれていたが、自身も李陵同様、一族を処刑された結果、匈奴へ服属するという運命をたどることになる。

李陵の立場からすれば李広利は悪人だが、李広利の立場からすれば、取り巻く周囲の環境や人など、あらがえない渦にのみ込まれていった部分もあるのかなと感じる。
Posted at 2022/04/11 22:15:27 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2022年02月26日 イイね!

諸星大二郎/暗黒神話

諸星大二郎/暗黒神話弥勒菩薩(みろくぼさつ)とは「釈迦の死後56億7千万年後の世に降りてきて釈迦に代わって人々を救う未来仏」とされている。ー(京都じっくり観光HP|広隆寺・弥勒菩薩半跏思惟像の紹介文より引用)

『暗黒神話』は諸星大二郎のかなり初期の頃の作品だが、以降の他の作品と較べると全体的に展開に自在感がないというのかなー、硬直している印象があり、拙速に内容を詰め込み過ぎている感じがある。

古代インド・バラモン教でいうブラフマンと一体となる境地(梵我一如)に達した人間をアートマンといい、アートマンは世界の覇者か救済者となる。

主人公の少年はアートマンとして選ばれた少年で、それに気づいてる人間たちが己の欲望のために少年をコントロールしようともくろむが、…はっきり言ってこの少年、世界の覇者にも人々の救済者にもなりたくないんだ。
なんならすべての人とかかわるのがもう嫌というか、わずらわしくなってんだ。

最終的にアートマンとなった少年は己の望むままに世界を創造できる。
彼はブラフマンのもとから暗黒星雲を伴った自分が地球に帰還すれば世界が滅亡すると思いこみ、どうしてよいかわからなくなる。
…なんのことはない。
彼が世界を救うためにどうしてよいかわからなくなったと思いこんでたどり着いた場所は、実は彼が自分の意志で望んで得た世界なのだ。

Posted at 2022/02/26 22:02:01 | コメント(1) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味

プロフィール

「新ポケット版 学研の図鑑 野菜・くだもの。
こうしてみると今ふつうに流通して食べてるものも、よくこれだけ世界じゅうから集めてきて広く普及させたなという感が強い。
日本国内で野菜・くだものが充実してきたのは江戸時代後期~戦後にかけてで、それまでは長期間、需給がかなり貧弱だった。」
何シテル?   07/06 02:50
おもしろきこともなき世をおもしろく-高杉晋作
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