• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

◇画太郎◇のブログ一覧

2022年09月22日 イイね!

西郷隆盛/画・横山まさみち 作・林房雄

西郷隆盛/画・横山まさみち 作・林房雄明治維新第一の功労者、西郷隆盛が江戸時代末期に薩摩藩の下級武士から台頭し、維新成立後に西南戦争で果てるまでの生涯と合わせて、そのなかでの時代、人物の流れを描いている。

江戸幕府が米・英・仏の脅威にさらされるなか、橋本左内、島津斉彬、平野國臣、坂本龍馬、中岡慎太郎、高杉晋作らが国のために死力を尽くして消えてゆく。
それらを見ていた西郷隆盛も明治維新がなった後、薩摩藩の下級武士時代からの盟友・大久保利通との対立から明治政府を去り西南戦争で消えてゆく。
その後も大久保利通、大村益次郎、板垣退助ら国のために命を懸けた功労者が暗殺されて消えてゆく。

読み終わると彼らが草葉の陰からまだ現在の日本を見ているような気分になってくるが、どうだろう。
彼らがもしも現在の日本の姿を見たならば慨嘆するかと言えば、冷静に考えを巡らせてみると案外、西郷隆盛は「そりゃあ全部が全部満足とはいきもはんが、なかなか悪くないどころか立派なものでごわすな」と言いそうな気がする。
それに対して大久保利通が同じく草葉の陰から「じゃっどん西郷どん、こんなことでは」と相変わらず反駁している、そんな姿を空想する。
Posted at 2022/09/22 03:05:36 | コメント(1) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2022年08月28日 イイね!

水滸伝/横山光輝

水滸伝/横山光輝私の場合『水滸伝』はこの横山光輝の漫画から入ったんだが、今読み返してもこの漫画が『水滸伝』の翻訳・翻案のなかでも良くできていると思う。

横山光輝はこの漫画について、日本の少年・少女にわかりやすくおもしろくを心がけて描いているので、大人になったら小説の『水滸伝』に触れてみてくださいーと執筆中に語っているが、とてつもなく長い水滸伝の内容を世界観を損なうことなくうまく120回本の終わるところまでまとめていてコンパクトながら完成度が高いので、基本的には水滸伝に触れるとしたらこの漫画だけでこと足りるんではなかろうか。

後年『水滸伝』は小説でもいくつか読んだが、とにかく前述のとおり120回本までとなると(『水滸伝』には70回本、100回本、120回本の3つがある)、とてつもなく長いので、丹念に描かれているが意図せず70回本のところで力尽きて終わっていたり、120回本の最後まで行くんだがダイジェストのように出来事のみ追っていくことに終始してしまうとか、「これ」と言えるものがなかなかない。

そこを乗り越えてあえて掘り下げていくと、今度は『水滸後伝』とか秀吉と思しき人物率いる日本軍との戦いに入ったり、また登場人物のエピソードを各個、追って行ったりし始めると果てしがなくなってくるので、ライフワークにする気でもなければ、どこかで折り合いをつけるとして、それはもうこの漫画で充分『水滸伝』の世界は堪能できるでしょと。

あとは横山漫画としてはこの作品の次の『三国志』あたりから絵柄と作風が変わってきて、一種「様式美」を帯びてくるので、「様式美」ってなんだっていうと、谷間でジャーン!ジャーン!って銅鑼が鳴って「伏兵だ!」って言って「げえっ!関羽!」って言って「あわわ」って言うまでの一連の流れがあるでしょ?たとえばそういうやつのことだけど。
この『水滸伝』は横山光輝の歴史漫画としては最初のもので、どこか混沌としていておどろおどろしい雰囲気を醸しだしていて、初期横山漫画の忍者物とかそういう名残をとどめており、そういう意味でもおもしろい。
Posted at 2022/08/28 15:50:19 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2022年08月21日 イイね!

太平記/横山まさみち

太平記/横山まさみち鎌倉幕府崩壊から南北朝争乱を題材にした『太平記』を「楠木正成」「足利尊氏」「新田義貞」の三者による視点から描いている。
斬新な構成だが、内容は史実とされるもの、あるいは底本の『太平記』を忠実に再現している。

なぜこのような三者視点を等分に扱う構成を取ったかと思うに。
戦後『太平記』は非常に扱いづらい存在になった。
どうしても「忠臣」楠木正成と「朝敵」足利尊氏の扱いが戦前の軍国主義教育にオーバーラップしてくるからである。
このような「触れてはいけない」雰囲気は戦後、時間を経るにつれ「足利尊氏再評価」という機運、それが許される社会的土壌の形成の中で解けていった。
この漫画もそうした風潮のなか、足利尊氏の功績にも脚光を浴びせると同時に、さらに楠木正成、足利尊氏の存在のためにやや影が薄くなっていた新田義貞を大きくクローズアップすることになった。
結果『太平記』の内容を読者に忠実に紹介すると同時に、作者独自の世界観を作ることに成功している。

ただ「足利尊氏再評価」のなかで他の作者にも起こりがちなんだが、足利尊氏に関しては「ごめん、がんばったけど俺やっぱこいつ無理ですわ」というニュアンスはそこはかとなく匂わせている。
足利幕府開府という絶対目標に進むなか、天皇の意向をないがしろにして行動した結果、皇族は次々弑逆するわ、あげく朝廷の分断を招いて長期化させ争乱の収拾がつかなくなるわ「この人何がしたかったんだよ」というのはどうしても感じさせられる。

そしてこれも他の作者とだいたい見解が一致してくるところなんだが、足利尊氏自身は明確なビジョンを持っていて、目的を遂行するための戦略・戦術に圧倒的に強かったものの、穏やかというか抜けてるというか甘いというか、そういう人物像のため、我の強い身内と部下が勝手な行動をとり始めるのをうまく律することが不得手で、そのため自身の意に反して混乱が続いたとされる。
まあ実際問題、信長は特に安土に本拠を置いて以降、配下に非常に厳しく当たっていたし、秀吉も晩年は暴君化していたし、徳川幕府も三代かけてシステマチックに配下の統御機能を完成させていったし、継続して武家を制御しておくのはかなり難しいんだろうと思う。

さて足利尊氏で長くなってしまったが、物語性としては新田義貞も重くとりあげることで悲劇性がぐっと増している。
というか新田義貞についてはこうして漫画で絵にして描かれてしまうとホントに悲しい。
悲しすぎて少々読むのが辛い。

で、楠木正成ですよ。





やはり楠木正成はロマン溢れてますよ。
描いてるほうも「結局楠木正成だよなー…」とはなってたんじゃなかろうかと思う。

足利尊氏による大軍の侵攻を前に、楠木正成は足利方に高く評価されていたため、領地を確約しての寝返りを持ちかけられるが断る。
当時はポンポン有利なほうに寝返るのがあたりまえの時代である。

次に楠木正成は朝廷に足利軍を京都に侵入させてから包囲する作戦を進言するが却下される。
ちなみに京都は非常に守備が難しいとされる。
後年、徳川家康が京都の本拠に二条城を置いたが、ほとんど防御力を持たせてないのは、わざと城を奪らせてから大軍で包囲したほうが楽だからである。
話がそれたが、楠木正成は「もう終わったわ…」というこのタイミングでも足利に寝返らない。
自身の進言が却下されたこのタイミングで足利方についても誰にも非難されないにもかかわらずである。

旗揚げから一貫して朝廷のために戦った楠木勢は、最後、必ず負けるとわかっている足利軍との戦闘に赴き、楠木正成はその弟の正季とともに壮絶な最期を遂げる。

男なら誰でも楠木正成の生きざまには憧れる。
ただ、ま、難しいんだ実際は。
ある程度人生経験、社会経験のある人にはわかることだが、太平洋戦争にしたって「楠公精神」で勇敢な人から死んじゃうんだよ。
臆病者や狡い人ってのはいつの時代でも生き延びるんだ。
Posted at 2022/08/21 20:49:40 | コメント(1) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2022年07月03日 イイね!

諸星大二郎/徐福伝説

諸星大二郎/徐福伝説A5判サイズのジャンプ・スーパー・エース『暗黒神話』に収録されているもの。

徐福は紀元前210年頃、秦の始皇帝に「不老不死の方法を知っている」と近づき、莫大な金品をせしめ、行方をくらませた人物。

始皇帝を騙した詐欺師というニュアンスで語られることが多いが、この作品では実際に不老不死の方法を知っており、少年少女を連れて東方へと出航している。

徐福一行の船は当時弥生時代の日本に到達するが、弥生人は不老不死の方法を知らず、弥生人の定住にともない東へ駆逐されていった縄文人の末裔がその秘法を知っているのではと聞かされ、富士山麓にたどり着く。

最終的に古代日本で破滅する徐福を、海で溺れて死んだのち、それを恨んで鳥となり小枝を咥えてきては海に落とし大海を埋めようとする精衛という少女の故事と絡めて描いている。



Posted at 2022/07/03 03:15:45 | コメント(1) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2022年06月17日 イイね!

岩明均/寄生獣

岩明均/寄生獣地球上の生物の頂点として人間が存在するが、人間より上位の生命体が突然、地球上に姿を現したら…というお話。

作中、突如地球に現れた人間より上位の生命体は、人間の頭部に寄生し、通常は人間が判別できないほどに人間に擬態しているが、頭部が刃物に近い形状に変形し、人間をあっという間に殺傷して捕食する。

この人間に寄生した上で他の人間を捕食する生物は「パラサイト」と作中で呼ばれる。
題名の『寄生獣』とはパラサイトを指すのではなく、終盤に広川の口から語られるが、人間のことである。

偶然右腕をパラサイトに寄生され、パラサイト「ミギー」との共生生活を余儀なくされた泉新一という男子高校生の数奇な運命の物語。

〇広川・田村玲子・後藤

新一とミギーの明確な敵としてパラサイトである「A」や島田秀雄らがいるが、終盤まで新一とミギーに関わった敵は広川・田村玲子・後藤。

広川は政治家である。
「人間の最大の敵は人間」ということをよく知っている。
彼は最後まで新一と接触することはなかったが、生きていた場合、非常にやっかいな存在になっていただろう。
「人間の最大の敵は人間」ということを知っている以上、「人間を滅ぼすのはパラサイトではなく人間である」ということを知っていたからである。
最終的には広川は消え、快楽殺人者である人間の浦上が新一の最後の敵となる。

田村玲子は女性に寄生したパラサイトである。
新一と一触即発の機会が二度あったが、戦闘には至っていない。
明確に他のパラサイトより高い戦闘力があったため、新一と戦っていた場合にどちらが勝ったかはわからない。
結局、田村玲子が戦ったのは新一ではなく、自身へ敵意を向けた他のパラサイトに対してである。
田村玲子は自身への関心、自身とその周囲との関係性への関心、それは自身を中心に拡大していき、新一への関心、人間という種への関心、パラサイトへの関心へとなっていく。
田村玲子の関心は、結局のところ「私とは何か?」という点に終着する。

後藤は男性に寄生したパラサイトである。
彼は作中最強の敵として新一に立ちはだかる。
きっかけは偶然だが、地球上の生物として圧倒的な存在となる。
最強であるにも関わらず、彼はさらに自身の強さを求めていく。
ナルシシズムからくる後藤の欲望には果てしがない。
極めて危険だが、どこか抗しがたいロマンのある最強の敵である。

〇新一とミギー

主人公の泉新一は平々凡々とした男子高校生である。
『寄生獣』は1990年代の作品だが、当時の男子高校生はおおむねこんな感じだったし、おそらく今の男子高校生もこんな感じだろうし、それより昔の時代の男子高校生もこんな感じだっただろう。
要するに普遍的な10代の少年から青年に変わるくらいな頃の男性である。
ただ彼、ひとつ他人と比べて変というか違う点があるとすれば、逃げないんだ。

序盤だが、同年代の子数人が公園で猫をいじめている。
ここで新一は迷わず「やめろ」と言う。
また、登校途中に同級生が他校の生徒に囲まれて痛めつけられているのを目撃する。
たいして考えずに止めに入って逆にやられちゃうんだよ、彼。
物語の中ではなんてことないエピソードだけど、できるかっていうと普通はできないよ。同年代で。
現実的には「何もしない」という選択肢をとる人が大部分に決まっている。
彼、最終的に後藤からも逃げなかったからね。

彼は選択し、行動していく。
行動していく主人公から物語は生まれていく。
逆に言えば行動しない人間からは何も物語が生まれない。
行動こそが人間を人間たらしめるとすれば、やはり彼は普遍的人間である。

新一の右手に寄生するパラサイト、ミギー。
このことによって新一とミギーは人間とパラサイトの狭間にいる存在となる。
ミギーは同種であるパラサイトを倒す。
一方、新一と同種である人間を倒すことは新一に許されない。
ミギーは悪意なく何度か新一に訊ねている。
「私と逆の立場なら君はどんな気分だ?」
知的好奇心が強く、自身を進化・深化させていったミギーは物語の最後、利己的行動でもなく自発的に人間(それも新一にとって極めて重要な人間)を助けている。

〇デビルマンと寄生獣

さて、人間より上位の存在が突如現れるとして、1970年代の『デビルマン』ではそれが「悪魔」、1990年代の『寄生獣』ではそれが「パラサイト」。
主人公はいずれも人間でありながら、敵側と同化し、狭間の立場から人類のために敵と戦う。

『デビルマン』では考えうる限り人類にとって最悪の展開になったのに対し、『寄生獣』は希望とまでは行かないが、問題を抱えながらも順調に進行する世界が描かれる。

これまでの歴史を振り返れば、人間は人間を殺せる限りの数、殺してきた歴史があるので、キューバ危機を経て切実に「これもう人類アホ過ぎて全滅するんじゃないか」という時代的空気感のなかで『デビルマン』があのような結末を迎えても特段違和感はない。
『寄生獣』の連載直後くらいの時期と思うが、ベルリンの壁が崩壊した。
ヒューマニズムと人間の連帯が勝利する人類史上まれにみる展開に「…いやいや案外だいじょうぶかもよ」という期待感…。これは今のところ現在まで続いている気がする。
そしてそのあいだは『寄生獣』という漫画が古びることはない。
Posted at 2022/06/17 04:37:37 | コメント(1) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味

プロフィール

「自動二輪AT限定→限定解除する。
昨年くらいから教習車がCB400SFからNX400(アドベンチャーバイク)に代わっていて正直とまどう。
先入観なければNX400のほうが2気筒で出足のトルクがあるため楽っぽい。」
何シテル?   11/08 18:44
おもしろきこともなき世をおもしろく-高杉晋作
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/11 >>

      1
2345 678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      

リンク・クリップ

NCロードスター カーナビ・バックカメラ取付 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/03/29 03:54:12
ロードスター NC3 RHTとソフトトップ 比較してみた 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/03/16 02:55:42
NCロド パワーウィンドウスイッチ流用 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2019/12/30 02:54:39

愛車一覧

フォルクスワーゲン ゴルフ (ハッチバック) フォルクスワーゲン ゴルフ (ハッチバック)
運転した瞬間、背中を押しつけられる加速とエグゾーストの重低音、DSGの電光石火の変速にや ...
マツダ ロードスター マツダ ロードスター
幌のRSを手放してから2年半、こうなるだろうなとは思ってたが今回はRS RHTに。電動開 ...
ヤマハ ビーノ ヤマハ ビーノ
2000年製ビーノクラシックをライトレストアしたもの。 重量71kgの車体に6.3psの ...
スバル R1 スバル R1
横浜にいた頃サブカーとして活躍していたんだが、地元に戻った際に手放した。後姿がカッコイイ ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation