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◇画太郎◇のブログ一覧

2022年07月12日 イイね!

『未来世紀ブラジル』

『未来世紀ブラジル』ジョージ・オーウェルの小説『1984』。
近未来に徹底した管理社会が築かれ、そのなかでふと気づいてしまった人としてのささやかな幸せさえ叶えられず、最後にそれをあきらめてゆくことの現実的な恐怖感と、そこにかすかな哀感が漂うラストは不朽の名作と言える。

テリー・ギリアムが1985年に制作した『未来世紀ブラジル』は『1984』を当時の視点から現代的に解釈したものだとされ、制作当初のタイトルも『1984 1/2』だった。

ただ、今観ると「少し違うかな」というのを最初から最後まで感じてしまう。
時代を超えていく『1984』にはなりえていない。
なぜって『1984』の主人公が願うのは、普遍的にいつの時代もどの世界でも人が願うであろうささやかな幸せであるのに対して、『未来世紀ブラジル』の主人公である一官吏の願望は「自分が騎士となり美女と結ばれること」だから。

わかるのよ。
平々凡々とした官吏とか私のようなサラリーマンがスパイとか任侠者とか探検者とか自身がそういったものであることを退屈な毎日の中で夢想する、こういったものは特に1980年代的世相ではあっただろうとは思うけど。
でもそれって夢想からパッと覚めては時折またパッと夢想する、スパイ映画を観終わって映画館から出てきたときには夢醒めやらずだけど、職場のデスクついたときには忘れてるようなものなのよ。

こういう願望を現実に移そうと行動することってまずありえないけど、もし中二病的現実認識の甘さから行動に移してしまった場合、それはまあこの映画の主人公みたいな最後になってしまうでしょうなあ、と思う。

ただ、その最後に向かっていくまで、主人公が現実から完全に夢の世界の住人になっていくまでの描写が凄絶であるとともに、そこには確かに『1984』にも通ずる表現しがたい哀感がある。
Posted at 2022/07/12 03:54:39 | コメント(1) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ
2022年06月03日 イイね!

『ジュマンジ』

『ジュマンジ』ざっくり言うとスゴロクで遊んでてサイコロを振って進んだマス目の内容が現実で起きてしまうという話。

主人公の少年は「5か8の目が出るまでジャングルで待て」という指示のマス目で止まるんだが、次にサイコロ振る女の子がビビッて逃げ出してしまい、以来ジャングルに閉じ込められたまま26年の歳月が経つ。

さて26年後、主人公の少年の家からは人が立ち退き、新しい住人が越してくる。
事故で父母をなくしたばかりの姉弟と、その叔母だったが、姉弟は果たして例のスゴロクを見つけ、途中までになっているゲームを再開する。

そんなこんなで主人公の少年は26年振りにすんごいおっさんになってジャングルから自宅に戻ってくるが、このとき少年は自分が行方不明になったせいで父母が嘆き悲しみ、失意のうちに世を去っていたことを知る。

強烈にやる気を失う状況だったが、なにがなんでもスゴロクを上がらないと、とんでもない内容が現実で起き始めてるので、やむを得ず、26年前に逃げ出してその後すっかり情緒不安定になってしまった女も見つけ出し、4人でゲームを進める。

ちょっと間違うと深刻な内容になってしまいそうだが主演のロビン・ウィリアムズがいい塩梅に間抜けだったり、子役時代のキルスティン・ダンストが「可愛いけど少しおかしい子」を絶妙に演じてたり、頼りない4人のプレイヤーが全体にうまくコミカルさを醸し出している。

さて、スゴロクを上がり主人公が「ジュマンジ!」と唱えると、大混乱した世界のすべてが元に戻り、主人公と、当時いっしょに遊んだ女は26年前に戻っている。
他界したはずの父母はいて、なにくわぬ顔をしている。
いっしょにジュマンジをしてくれた幼い姉弟のためにやらなければならないことがあるが、それにはあと26年もある。
Posted at 2022/06/03 04:22:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ
2022年05月07日 イイね!

『TAKESHIS'』

『TAKESHIS'』北野映画のなかでもとりわけ異質な作品だと思う。
断片的で意味をなさないものが形を変えて繰り返し現れる。
ウイリアム・バロウズの小説を知っていれば、そのイメージがいちばん近い。
シームレスに連なっていく退屈しない、断片的なシーンのおもしろさを観てればそれでいいと思うんだけど、それだけでもべつにいいと思うんだけど…。

…ただこの映画、最後のほうで次第に意味をなしてくるんだよ。
なにか怖いような、それでいて切ないような、でも曖昧模糊として表現に苦しむような…あえて言えばそれはやはり北野映画全般に通じる暴力、それに至る過程の問題なんだけど、種類というかベクトルというかそういうものが従来のものと違う気がするんだ。

芸能界で裕福に暮らし地位もあるビートたけしと、芸能オーディションを受け続けるが受からない、しがないコンビニ店員の北野という、二人のたけしが現れる。
境遇の違う二人のたけしが出会うんだけど…人が人を見下すようなときとか、驕ってしまって境遇の恵まれない人に対して最低限の慮りすらできなくなったとき、こういうときは怖いんだよ。

現実の北野武は言うまでもなく前者の側だから、そういう状態になっていった場合の自分自身に対しての恐怖と自戒があったように感じるよ。
Posted at 2022/05/07 19:19:39 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ
2022年05月03日 イイね!

『キル・ビル』

『キル・ビル』結婚式の最中に、かつてのボス、ビルとその手下たちの襲撃を受け、夫だけでなく、お腹の子供の命まで奪われた元女殺し屋は、彼らへの復讐を誓う。

日本のヤクザ映画、香港のカンフー映画の要素を多く含んだ復讐劇。
タランティーノが純粋に「カッコイイ!」と思ったものを妥協せず突き詰めていった結果、映像・音楽を計算し尽くし、張りつめた空気から一気にボルテージが高まってゆく描写の連続は、これもうタランティーノじゃなきゃムリだなっていう世界観を造り出している。



ただただ華麗な復讐劇を次々とおこなっていった結果、最後のビルへの復讐。
このとき元女殺し屋は復讐が無意味なものだったことを初めて知り、衝撃を受ける。
しばしビルとの穏やかな時間を過ごすが…、

自分が行ってきた行為へのやりなおしってのはないんだよ。
仮にやりなおしますって意思を持って、それを行動に移した場合、これは自分が過去におこなってきた行為をなかったことにする、つまり復讐を始める前がA地点だとすると、A地点まで戻れるわけじゃないんだ。
復讐をおこなったところをB地点だとすると、A地点、B地点を経由して、復讐をやめて関係性を修復するというのは新しいC地点ができるということに過ぎない。

C地点を作ることに意味はない。過去のおこないへの、自分の選択した人生への後悔を深めるだけだろう。
つまり今や不毛な復讐となってもそれはやり遂げなければならない。
元女殺し屋もビルもそのことはよくわかっている。
ふたりは対決するが、元女殺し屋は、最後の最後、涙を流しながらビルに「ありがとう」と言う。
Posted at 2022/05/03 12:12:44 | コメント(1) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ
2020年12月30日 イイね!

『エイリアン3』

『エイリアン3』巨額の製作費を投じたがシナリオの段階で二転三転した挙句、撮影に入ってもスタッフ同士のトラブル続きで、そういったものを反映してか、展開が陰鬱で単調で暗い。

ただ、リプリーという女性航海士の物語としては、予期しない存在に翻弄され、抗うが呑み込まれていく個人の運命を描いた、哀しいがきれいな物語としてここで幕をおろしたことになるだろう。

続編はリプリーのクローンが主人公で、一見おもしろいような気もするが(実際、制作に口を出すようになったシガニー・ウィーバーが、このアイデアにはOKを出した)、それでもここでピリオドとして、以降はあくまで外伝と思ったほうが良いように思う。
Posted at 2020/12/30 12:44:47 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ

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「クリプトンが初音ミクというキャラクターを創っていなかったらYAMAHAのVOCALOIDはそれまで失敗続きだったので消滅していた可能性が高かったらしい。」
何シテル?   08/18 20:00
おもしろきこともなき世をおもしろく-高杉晋作
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