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2020年11月28日 イイね!

アメリカ海軍原子力潜水艦スレッシャーは何故沈没したのか最終回

まず、もう半世紀も昔の事ではありますが、殉職された兵士、犠牲になられた民間技術者合わせて129名に敬意と黙祷を捧げます。
このような事故は民間であろうと軍であろうと発生するものです。
このような事故の教訓が我々にフィードバックされています。
ヘリコプターや飛行機なども同様に軍からのフィードバックが大きい代物です。


さて、これまでの考察や実験でいろいろなことがわかってきました。
これにより最終章に入りたいと思います。

原子力潜水艦スレッシャーには兵士と民間技術者合計129名名とともに2560ⅿの深海に大きく6つの区画に分かれて沈没しています。

船尾・機関室・指令室・作戦室・ソナードーム・艦首です。
沈没に関するイメージはこちらは近くはありませんが…
大体のイメージですがこちらを改めて再掲します。


非常に恐ろしいですが、現実とは少々異なります。
幸いなことにara san juanについては資料が公開されています。
長くなりますが、よりリアルにお届けしたいため読み進めていただければ幸いです。

ara san juanではこのような壊れ方をしました。
設計深度や破壊深度もおおむねスレッシャーと同等な事から同じようなことが発生したと思われます。
alt
alt

参考
https://www.lanacion.com.ar/politica/reconstruccion-3d-asi-esta-el-submarino-ara-san-juan-en-el-fondo-del-mar-nid2246842#/

さて、壊れ方といってもなかなかイメージが付かないと思いますので、こちらをご覧ください。
2:43秒からでお願いします。

恐らくですが、スレッシャーやara san juanもこのように破壊されたことでしょう。
よく映画であるような徐々に破壊されるようなものではなかったと思います。

こちらのほうがわかりやすいです。
内圧の変化に伴って限界点を超えた瞬間一気に圧壊する。
これらは強度の低い鋼材の為たった0.1Mpa(1気圧)で破壊されましたが、
彼らにはこの70倍の力がかかっていた…
凄まじい世界です。

さて、ではここまでを踏まえて考察してみましょう。

07:47:深度400mへ潜行を開始する。
07:52:深度120mで水平状態になる。支援艦に連絡、異常や漏水はなし
08:09:予定深度の半分に達した(深度200m)
08:25:深度300mに到達
09:02:低速で巡航を行い、右20度下方5度へ進む
09:09:機関室で配管のろう付けされた継ぎ手が破断
    ダメコン実施、機関室内に靄が充満。
    機関室内部の圧力は浸水量に比例して上昇し機関室員は酸素中毒に陥る。
    漏水は止められず内圧は上がり続け、
    最終的は溺れる前に全員酸素中毒で死亡したと思われる。
    その後亀裂が発生する
    全速力、昇降舵最大、バラストタンク・ブロー(排水)を行い浮上を試る。
    浮上の為の圧縮空気は気圧低下で数秒で凍結、配管に詰まりタンクの排水
    を不能とする。
    漏水が基板をショートさせ原子炉が自動停止。艦は推進力を失う。
    ショートした基盤は原子炉制御基板ではなく冷却水循環ポンプ制御基板。
    冷却できなくなったことで原子炉は緊急停止した。
09:13:艦長は水中通話器で状況を報告する。
    「小さな問題が発生、上昇角をとり、浮上を試みる」
    (「小さな」という表現は対ソ連関係を意識してのことと推測)
    機関室の浸水で艦は艦尾を下にして沈降を続ける。
    バラストタンクの再ブローを行うが、凍結により失敗。
    この時点で支援艦は圧縮空気が漏れる音をスピーカーから聞いた。
09:15:支援艦よりスレッシャーへ制御可能かを尋ねる。返答はない。
09:16~17:「試験深度を超えつつある...」(水深400ⅿが試験深度)
09:17:水圧の増加により破損した管からの浸水が広がる。
09:17:スレッシャーから雑音混じりの通信を受け取る。
    この雑音は圧力隔壁が変形し始める音と機関室の亀裂が拡大したことによる浸水の轟音と
    思われる。
    「900 N」 試験深度を超えて900feet沈降していた。
09:18:水深730ⅿの深海で圧壊した。
    圧壊は0.1秒以下、おそらく0.05秒程度で進行したのと推測。
    圧壊と同時に中の人間は脳が超加圧され委縮・破壊・溶け、
    肺は圧縮空気により押しつぶされ、内臓は衝撃で飛び出したと推測する。
    圧壊までの沈降速度は毎秒4ⅿ程度。
 
※赤字部分は調査報告と実験により分かったことになります。



さて、それではここまでで疑問にお答えしていきたいと思います。
得たものすべてを記載できているわけでもないので、質問お寄せいただければありがたいです。
例えば、


●●何故浸水を止められなかったのか●●

まず潜水艦は圧力隔壁というものがあり、複数の隔壁で守られています。
今回最後に圧壊したのは生存区画で最も頑丈な部分ですが、機関室はこの外側に位置しています。

機関室の浸水が発端となりますが、このバルブは溶接ではなくロウ付けされている部分となっています。
このロウ付け、溶接とは違い剥がれると一気に取れるという欠点があります。
なのでバルブごと吹っ飛んだのではないかと思います。
通常であればそこに栓を打ち込む(木の棒に布を噛ませてハンマーでたたきこむ)のですが、それが出来なかった理由として

海水温は非常に低く、水温は4℃以下と推測(緯度は北海道と同等だが北極海の海流が直接流れている海域)
レイアウトが非常に複雑で手間取り、出航前の浸水対策では浸水を止めるまでに20分かかっていた。
水圧が4Mpaもかかっている状況では不可能だったでしょう。
機械系の人は少し思い浮かべてもらいたい。
エアーコネクタを接続する際、圧力が高すぎるとうまくはまらなかったりしませんか?
その10倍程度の圧力です。
非常に難しかったでしょう。
そのなかで、0.05Mpa(浮上時、出航時の補助海水配管圧力)しかないのに20分かかっている作業を
4Mpa(約80倍)の条件下で9:09~9:13の4分で停止させることは不可能であったと思う。
ましてや急激な室温低下も生じていたでしょうから体の動きもままならなかったことでしょう。
何故9:13分かというと、酸素酔いによる症状がこの頃から現れだしたと推測するのと、
機関室とのやり取りが不可能であったため、この時には死亡または意識混濁か意識を喪失していたと推測。

このため、次艦よりバルブ操作などは直接人が行うものではなく
圧力隔壁内から遠隔操作が出来るようになりました。

●●毎秒どれくらいで水圧が上がっていったと思いますか?●●
水中排水量から浮上時の排水量を差し引いたものから比重を割り出し、圧力隔壁の体積を計算した結果、圧壊直前での比重は1.61となりました。
ここから沈降加速度が割り出されます。
加速度は3.79ⅿ/秒となります。
終末速度がありこの終末速度は実験の結果3~4ⅿとなりました。
この終末速度に関する資料が全くないため試験用の潜水艦を比重1.4で削り出して実験する必要がありました(そこまでするか?)
比重1.4での加速度は2.8/秒となり、自分が用意した800㎜の筒では終末速度どころか加速度として加速している間(1/3もいかないくらい)で底に到達してしまうものですから実質的な算出は不可能でした。
そのためあくまで推測値となります。
ちなみに比重1.4で試験筒の底まで到達する時間は0.3秒もないくらいでした。
意外と早すぎてびっくりです。
もしこれ以上をやるとしたら10ⅿくらいのパイプを用意するしかありません。
削り出した潜水艦モデルはお渡ししますのでだれかできる人があればお願いしたいです。

※なおこの試験と算出数値は事故同様の沈没姿勢(艦尾を下にする)で行いました。
このことから圧壊直前では毎秒4ⅿ程度で沈降していたものですから、恐らく圧力は0.4Mpa以上で上昇していたと思います(実際には海水濃度や水温で変わるためそれ以上の圧力がかかっていた)

※潜水艦はその形状からどの姿勢で沈没させようとしても必ず正立(本来の姿勢)に戻ります。
風呂と会社の水槽で何度もやってみました。
転覆姿勢でやっても復元しますし、艦首を先に入れても艦尾を先に入れても復元します。
また、艦首・艦尾のどちらかから沈めても、成立したときは前進も後退も左右に振れることもなくそのまま沈みました。
これは潜水艦そのものの形状がバランスを取るために出来上がっているためだと思います。

追記

YOUTUBEで見つけました。
1000ⅿで圧壊したときの人の状態(ダミー人形)


現在も改定に鎮座するスレッシャー
Posted at 2020/11/29 11:33:23 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記
2020年11月28日 イイね!

アメリカ海軍原子力潜水艦スレッシャーは何故沈没したのか7-2

さて、先ほど試験用の筒に製作した比重1.4の潜水艦スレッシャーの1/500モデルを史実同様の姿勢でいれて沈降速度を確認してみました。

筒は800㎜しかなく、潜水艦の長さは170㎜のため、実質試験距離はおおむね600㎜程度となります。

この600㎜のうち手はなした瞬間から加速度が働くので一概に正確な数値は言えませんが、
この600㎜の移動速度は0.5秒ほど。
ということは、この距離ですでに毎秒1.2ⅿ/S以上となります。
このことから、先の算出結果(3ⅿ/s)におおむね準ずるのではないかと思います。

史実では16分で深度330ⅿから730ⅿまで400ⅿ沈降しますが、これは平均毎秒41㎝となりますが、
まず状態として、この時は浸水しはじめなので比重は1.0からスタートです。
最終的に比重は1.61まで増加していたはずです。
従って進行しはじめの速度は浸水量による比重の増加と比例するので、非常にゆっくりであったはずです。
9:17分??秒 400ⅿ 「試験深度を超えつつある」 比重1.0以上(この瞬間に機関室の隔壁が破壊されたと推測)
9:17分??秒 670ⅿ 「900N」 比重1.4と推測(機関室は水没)
9:18分04秒 730ⅿ 圧壊 比重1.61と推測(機関室と前方ソナー室が浸水・水没)

すなわち1分半弱で330ⅿ、この間だけでも3.7ⅿ/Sで沈降しています。
圧壊直前ではやはり4ⅿ/S以上になっていたことは間違いないでしょう。
※Wikiでは9:16分に900Nとありますが、事故資料では900Nは試験深度を超えてネガティブ方向に900feetと意訳されているため、時系列は逆転します。
なおソ連に傍受を恐れていたため「North」と伏せられていたようです。

1-試験深度を超えつつある
2-900N

となります。
今回の試験は1300feet(400ⅿ)潜航試験でした。

さて…
毎秒4ⅿ沈む…非常に恐ろしい速度です。
圧力は毎秒0.04Mpa上昇、とはいってもなかなかイメージが出来ませんよね💧
僕もです。
気圧が高くなるという経験を僕らはまずしないのでなかなかイメージが出来ません。
毎秒0.4気圧高くなる…
車の空気を入れる速度がそれくらいでしょうか?
3秒程度でパンパンになりますよね。
あんな力が毎秒加わっていくわけです。
先の計算より単位は変わりましたが、それでも非常に恐ろしいですね。

さて、これらのことをしていて気が付いた点があります。

こちらの前後にある赤丸部分、非常退避区画です。

こちらにもし遺体が無ければ彼らは必死に浸水を止めようとして命を落とした、すなわち「命と引き換えに仲間を救おうとした」となります。

もしもこちらに遺体があれば…

どちらかはサルベージ又は調査しない限り分かりませんが、万が一後者であれば海軍のメンツは潰れます。
前者であればアメリカの事ですから大盛り上がりでしょう。
こればかりはわかりません。
おそらく前者でしょうね。
もし自分なら…限界までやって耐えられなくなってそのまま死ぬパターンでしょう。

大規模亀裂が生じた瞬間、機関室の人間は全員即死ですから退避はできません…

このシリーズの最後は超リアルに現象を再現したいと思っています。
原子力潜水艦事故は機密中の機密で今出ていること以上が公になることはまずないので、事実の確認作業をしていくしかありません。

参考
https://www.seacoastonline.com/news/20180403/uss-thresher-disaster-still-matters
https://news.usni.org/2020/11/25/1963-uss-thresher-investigation-rickover-testimony
Posted at 2020/11/28 16:56:18 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2020年11月27日 イイね!

アメリカ海軍原子力潜水艦スレッシャーは何故沈没したのか7

アメリカ海軍原子力潜水艦スレッシャーは何故沈没したのか7どもです。
更新が遅くなりました、すみません。
こういう性分なもので、
徹底的に調べないと次に進めません💧




さて、作りました!!!
そして会社の水槽で試験もしてきました!!!
残業要請無視して!!!
みんな残業してる中僕だけせっせと潜水艦作り(笑)

図面ひいて設計から完成まで4時間かかりました…💧
まだまだですね。
といいつつ実はマシニングでやったら折れちゃって、汎用旋盤で削り出したんです💧

縮尺は1/500です。
最初は1/1000でやったんですけど小さすぎて💧




現在比重は1.4。
史実で言うところ、機関室が完全浸水した状態です。
そして実際に会社の水槽で試験してみました。

みんな残業頑張ってる間自分会社の水槽の上でこれ沈めたり拾い上げたり…(笑)

さて、驚いたことがたくさんありました。

まず潜水艦スレッシャーの沈没速度は先に記した数値に近いと思います。

そして驚いたことに・・・
潜水艦モデルは浮力を失ったとしてもその形状から正立したまま姿勢を崩しませんでした。
また、転覆状態から試験しても成立に戻りました。
艦橋構造そのものが姿勢制御の機能を果たしていることがわかりました。

驚きの結果です。
設計上そうなっているんですね。
考えられていますね。

さて、それでは試験はさておき話を進めましょう。
Posted at 2020/11/27 22:53:49 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2020年11月25日 イイね!

更新予定

すみません、ちょっと更新が出来ませんでした。
現在、係数や演算で求めた数値と僕が予想している数値とで隔たりがあり、再計算したところ、毎秒3.7ⅿ程度の沈降速度だったのですが(圧壊直前の非常に重くなった時)
それでも予測と離れているため、小さな模型を作って比重1.6で調整して試験してみたいと思っています。
終末試験の予定です。

彼らが置かれていた状況をなるべくリアルに再現したい
個人でやるにはぶっ飛んでいるかもしれませんが…
やるからには、ちゃんとしっかりやり切らないとです!!

ということですみません、沈降速度については後日試験結果をもとに。
潜水艦のモデルは1/1000です。
比重1.6にて。
沈める深さは最大800㎜です。この時間で200㎜から800㎜まで到達する時間を求めたいと思います。
どこにもデータが無いものですから…
少々お待ち下さい<(_ _)>
Posted at 2020/11/25 20:46:51 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2020年11月22日 イイね!

アメリカ海軍原子力潜水艦スレッシャーは何故沈没したのか6

アメリカ海軍原子力潜水艦スレッシャーは何故沈没したのか6ここから先は事故報告書を和訳しながら紐解いています。

まずはスレッシャーのおおまかな配置を和訳しました。


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そして、赤い部分で囲ったのが耐圧殻となります。
最大潜水深度は耐圧区画ではなくすべての区画が安全である範囲となります。
圧壊深度とはこの耐圧区画がくしゃくしゃになる深度です。
万一機関室で浸水した場合は乗組員は後部退避球へ、前方で浸水した場合は前方の退避区は逃げれるようになっているのですね。
alt
前記事で
洋上の支援艦が水中電話で圧縮空気が漏れる音がした、と証言していますが、
この圧縮空気とは水中電話は耐圧区画内、ハーヴェイ艦長とやりとりしていることからCICでやり取りしていたと推測します。
であるならば、その音はどこからしていたか、となると…
後部耐圧殻隔壁ハッチから4Mpaに近い圧力の空気が入り込んできていたと考えるべきでしょう。
最終的にはこのハッチも圧力に耐えきれず吹き飛んだと思います。



僕の業務は設計、加工からリークテストまで一貫して行うため、リークの治具も作ります。
中には0.4MPAでの水中圧力試験なんてのもあるもんですから、圧力のヤバさは身をもって知っています。
大気解放なんかも試験項目にあるもんですから破裂音しますよ。
だから想像できます…
こっわ!!!

さて、調べていくうちにだんだんと詳しくなってしまったんです…
耐圧区画は基本的にどの区画よりも耐圧能力が高いです。
乗員の生存を維持するための空間ですから…
そこに空気が漏れこむことがあるのであれば…
それは艦尾機関室だけにとどまらず前部ソナー室なども既に致命的な浸水に侵されていたと想像するのは難しい事ではありません。
恐らく前方でも破断は生じていたことでしょう。
しかしもうどうしようもありません。

スレッシャーは他の爆発事故と違い
本当に恐怖する事故だったのです…

さて、まだ時系列は9:13分です。
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alt
画像は鉄のくじら館あきしおより。スレッシャーとあきしおは似たサイズです。
僕は一昨年行きましたが写真がどこ行ったか…

09:13
ハーヴェイ艦長は水中通話器で状況を報告する。
(いくつかの言葉は認識可能だが、雑音で聞き取りにくい)
「...小さな問題が発生、上昇角をとり、浮上を試みる」

機関室の浸水で艦は重くなり、恐らく艦尾を下にして沈降を続ける。
再びバラストタンクを空にしようと試みられたが、凍結により失敗。
この時点でスカイラークの士官たちは圧縮空気が漏れる音をスピーカーから聞いた。


最新の事故報告書では、9:09分に初回のブローを行い、約90秒で氷結し失敗します。
次に09時13分、4分後に再ブローをかけますが、これは30秒で氷結し失敗します。


原子炉については09時09分に浸水が始まり09時11分に緊急停止しています。
この時点ではまだバッテリーでの予備推進に切り替われていません。
スレッシャーは全ての動力を失ったことになります。

ここで訂正があります。
スレッシャーの圧壊深度した深度は730ⅿです。
圧壊時刻は09時18分4秒です。
これらの情報はまだwekiにもありません。
これで沈降速度が割り出せました。
09:02 深度330ⅿ
09:18 深度730ⅿ
わずか16分で400ⅿ沈降しました。
最終的な沈降速度は30ⅿ/sに達していたであろうと推測します。(←訂正。30m/Sは計算式のいずれかの係数の算出を誤っていると思います)
(艦内の浸水の量によって沈降速度が加速するため)

これは想像をはるかに上回る速度です。
毎秒0.3Mpaずつ圧力が上昇していく…
凄まじい恐ろしさだと思います。
深度計はすさまじい勢いで回ったことでしょう…
そして最後に耐圧区画は圧壊し全員が…

こうやってしっかりかみ砕いていくとだんだんベールの裏側が見えてきましたね…
怖!!!

これ、想像していたよりはるかに怖いです。

次回こそ圧壊まで進めたいですが、内容が濃すぎてなかなか…
小難しいところはなるべく簡潔にしましたので許してください(´;ω;`)ウゥゥ



以下計算式などの説明になります。


公開されている排水量からしてスレッシャーに使われている鋼材の重さは2237トン程度と推定。
(艦橋を含まないサイズで計算したところ、こちらの計算では船体排水量3400トン、公式では3700トンなので艦橋を含めば計算のつじつまはあうと想定)
ここから水の抵抗を加味すると…
浮力はほぼなくなっていたので抵抗値としての係数は6程度でいいと思います。
(船体に使われている材質の比重をおおむね8程度と仮定)
もっとも、この場合は浮力が失われていくため係数は時間とともに変化するという恐ろしい放物線を描きます。

計算式は、船体幅×船体長さで円筒体積×0.5(左右対称の流線形の為)で船体の体積を算出、艦橋部分の体積を入れれば公表とほぼ同じ値。
次に喫水位置ですが、これについては満載喫水位置での公表しかないため、そうりゅうを参考に算出したところ、無積載喫水は6.5ⅿと推定(試験時喫水)
そこから比重をわりだし試験時の密度は0.59、使用された鋼材の重さは2237トンと推定。
ここにかかる水の抵抗と重力加速度を見て、耐圧区画以外は全て水没として圧壊直前の終末沈降速度を算出したいと思います。
気密室以外の区画が全て水没した際の潜水艦の比重は1.61です。
これで終末沈降速度が割り出せます。
沈降加速度は毎秒3.76ⅿですが、水の流体抵抗があるためこちらから算出しました。
https://toyotanishi-h.aichi-c.ed.jp/education/ssh/r2/2019buturiol2.pdf
沈降速度は最終で毎秒30ⅿ近くに達していたと思われます。(終末速度はおおむね30ⅿ/sとなった)


※本記事での計算は、事故報告書の通りの沈没姿勢に従って割り出しています。
すなわち、沈没時の流体抵抗値は球体型とし、抵抗面積は潜水艦の直径×1.05(0.05は艦橋構造物と潜水舵などの突起による抵抗として加算)しました。
でも超適当ですので大体の目安です。
詳しい方お願いできれば幸いです。


※次回更新は24日となります。
1日1話ずつ、を目指していますがなんせ資料と計算の量が膨大過ぎて追い付きません…
24日分は仕事が忙しいためひょっとしたら中途半端または未更新になってしまうかもしれません💧
なるべく頑張ります。


※訂正とお詫び
鋼材使用量と比重いついてはおおむねあっていると思いますし、沈降加速度についても問題ないと判断しますが、沈降速度について30ⅿ/Sはどう考えても計算ミスがあると思います。
僕の予測ではおおむね6ⅿ/s(時速40㎞弱)程度だと思います。
これは戦艦大和の主砲の沈降速度が約45~60キロだったこと、タイタニックが15㎞~30㎞程度で沈降したことを昔文献で読んだ事が有るので…
考えられるとしたら係数を出すために弾いた数値の圧力係数の単位をキロとメガで取り違えているとか、形状抵抗係数の算出を誤っているとか、あと、逆濁域による沈降速度低下を加味していない(これは忘れてました)とか…
物理エンジンを使わないと厳しい世界になってきました。すみません(11/23日夜10時)
Posted at 2020/11/23 00:30:34 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記

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