
中仙道木曽11宿、嘗ての尾張藩直轄地であり、伊勢神宮のお社をつくる主材である木曽檜を献上していた町、上松を後にした私。
ここで隣町の
木曽福島に立ち寄ります。ここは江戸時代、尾張の国に外敵が攻め込むのを防ぐため、厳重な関所が設けられていたところ。街中には木曽川ギリギリにまでせり出した民家が密集する、通称“
崖屋づくり”が並び、そこでは今もみなさん川と一緒に暮らしておられます。
それにしても、御岳と中央アルプスに挟まれた狭い木曽谷のなか、瓦屋根を被った木造の古い町並みが続く様は、ほっとするような、肅厳とするような・・・不思議な気持ちです。旧街道の傍らには足湯が設けられ、常に木曽川のせせらぎが聞こえて・・・
いいなぁ~日本は。
ここで一端、JRでやってくるハマーン様と待ち合わせ。
この方はここからバスで、日本の森林浴発祥の地、赤沢自然休養林へ向かわれるのです。
私のバイクには荷物が載っているのでタンデムはできないから、このお方は駅からバスで当地へ向かい、森林鉄道を体験なさるおつもりなのです。
私が駅に辿り着くと、既にそこにはハマーン様のお姿がございました。
いつもどおりの肩にヒラヒラのついた黒いスキニータイプのスーツでしたので、すぐわかりました。
ハマーン様「今朝の自宅以来、また会ったな?この縁、不思議とは思わんぞ」
(そりゃ待ち合わせしたんだから、当たり前でしょ・・・)
ハマーン様「それにしても・・・私を待たせるとは良い度胸だな。お前には失望したよ!」
(まだ約束の時間まで10分はあるんですけど・・・)
ハマーン様「貴様は確かに優れた資質を持っているらしいが、無礼を許すわけには行かない!!」
(アンタ貴女様が早く着きすぎただけだろでございますよね!?)
火に油は注ぎたくないので、だまっていたら・・・わさび味ソフトクリームをおごらされますた。
カミーユやジュドーくらいに、怖いもの知らずに言い返せない私・・・
(-_-)
さて、ハマーン様をバスに乗せたので、気を取り直して再びひとり旅を続けます。
19号線を離れ、薮原から野麦峠へ進路変更。
と、その前に、ここから先はスタンドも無し、給油給油。スーパーモトR、操縦性重視でタンク容量を絞ってるから、ガソリンすぐなくなります。おまけにROMセッティングはオーストリア本国のフルパワー仕様、ツーリングで15km/リットルはあまりに哀しい・・・。
とりあえずガソリン満タン、再出発。
このあたりからはめっきり通る車も少なくなり、谷沿いの田園地帯を快調に駆け抜けます。連なる高速コーナー、付近には民家無し。ギヤは3速主体、2気筒とは思えない伸びのある加速が楽しい。リヤ旋回重視でおしりをシートに押しつけ、スロットルはパーシャル、グィーっとタイヤが潰れるのがわかります。
広い青空の下、入道雲に向かってアクセルを開き続けます。
━━━━━━m9(^Д^)━━━━━━ !!!!!!
楽しいな、楽しいな!
やっぱバイク、いいわぁ~!
田園地帯を抜けると道はだんだん細くなり、渓流沿いの急坂に変わります。ここからが今回のハイライト、野麦峠から開田高原に抜けるまで、数十キロのツイスティロードはじまりです。
と、その前に・・・以前ちょびっと立ち寄った、山の中の溜池脇にある公園に立ち寄り、ジュースを一杯。
池の畔の東屋で、山中を駆け下りてくる風に涼んでいたら・・・蒼い夏空の下、緑濃い山々が池に向けて急峻に影を落とすなか、一羽の白鷺が、水面を滑るように渡っていきます。
おお・・・なんて・・・
生まれて初めて、“滑空”という言葉の意味を知らされました。
白鷺は羽ばたきもせず、僅か数秒で池の向こうに飛んで行ってしまいましたが、私はしばし呆然と、その見えない軌跡に心を奪われてしまいました。
はい、皆さん、期待の台詞ですね。。。
「美しいものが嫌いな人がいて?」
しかし、そこには・・・勿論そんな台詞を投げかけてくれる
黄色いワンピースを着たお姉ちゃんはおりません。
ただ、池向こうの民家に、おばちゃんが洗濯物を取り入れているのを認めただけだったのですが・・・
思わず見とれ続けてしまいました。
これだけで、今回の旅は
大成功、ひとりだったからこそ、味わうことのできたひとときです。
この感動をやはりいつまでも残したい・・・キッチリと、
スケッチしましたよ。
誰もいない夏の午後、水面を吹き渡る微風に吹かれて、私、黙々とデッサンを続けました。
水性絵の具を取り出して、空と、緑と、水の色と較べながら、簡単にレタッチしていきます。遠くの水色、近くの緑、そして記憶のなかの白鷺の色・・・
うん、なかなか良いぞ!こういうときは仕上げまでじっくりやらなくて良し、本当に思い出に残すんだから、自分の記憶の範囲で色塗りすれば完成。
家に帰ってアルバムにでも挟んでおきましょう。
お絵かきもしたし、そろそろ出かけます。
唐松林を縫うように2.5車線程度の登り。野麦までに峠をひとつ、越えます。ヘアピン、S字、路面はそこそこ荒れてますが、長脚のスーパーモト、こういう道は大得意。不快なキックバックもなく、股の間で右に左に面白いように倒れます。
うん、この前セッティング出しておいてよかった。
ブレーキング、おお、このタンク形状だよ、押さえ込みやすい!膝と腿でタンクを押し込み、頭を伏せて前荷重。フロント中心にリーン、クグィっと旋回。すぐに次の複合コーナー。更に押し込む。加速と同時にリヤにお尻をずらす・・・なんてスムース!路面を噛む感触がしっかり伝わります。
ホントにこのタイヤ、パンクしたやつか?
峠の頂上、杉木立の向こうに乗鞍岳が青空に蒼く・・・!
一瞬ため息ついて、もう下りだよ。
左手はガードレール越しに沢が流れてます。道幅も若干広くなったかな?所々にダート林道の入り口・・・走りながら、“今度
オフ車で来た時は、ここへ入ってみようか?”なんて余裕も。
下りも絶好調!アプローチからクリッピングポイントまで、ちょっと前荷重を長めにかけると・・・
ずり、ずり、ずりり・・・
とテールがスライド始めます。猫背になって、尾てい骨でテールを押し込み、アクセルを開くと・・・
ドゥルルー!ってV-Twinの音とともに、車体が起きはじめ、一直線に立ち上がります。フロントが軽くなり、路面の感触がなくなります。
もう、サイコー!
と、遊んでたら、お腹がすいたことに気がついた。
峠を下ったところは、
奈川高原。
もう一回
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Posted at
2010/08/11 14:04:11