この記事は、
法則発動~安かろう悪かろう。について書いています。
今回は ながいさんのお話にトラックバックさせて頂きました。
まずは ながいさんのお話、ご覧になってください。その上で、以下の長文、ご覧くださいね。
それと、後々の文脈で、情報産業とか広告産業とか、或いは小売業に携わっておられる方には不快な表現もあろう事かと存じます。その点はご容赦頂けましたら幸いです。
さて本題。
私のいる会社は、愛知で石油化学加工品のメーカーやってます。
で、私のいる業界では数年前にもう、東アジア製品についてはそれなりの評価が出てました。
結果高品質なモノ作りやサービスを要求される産業資材のレベルでは、今再び日本製が見直されてます。
一方品質への訴求力を求めない使用者市場や一般市場では、未だに“安けりゃいい”って言いながら、“耐久力や品質は国産並”を当たり前のように要求する人たちが沢山おられます。
この耐久力とか、品質というものは、たいてい“買ってみないとわからない”ことが多い。
で、買ってみたら“こんな筈じゃなかった”ってなっちゃう。その典型が毒入りなんたら。
これは後に説明しますが、結局情報不足なんですね。そしてその方達は、“安物買いの銭失い”を身を以て味わうわけです。
嘗て北米・欧州市場を日本製品が席巻したときは、品質と価格がきちんとバランスされていたからこそ、“made in JAPAN”ブランドが確立できました。でも、残念ながら(少なくとも高精度の工作機械とか、一次産品など、高品位を要求される市場では)東アジアで生産された製品は、えてしてそこまでブランド化するには至っておりません。
昨今の円高デフレ下で輸入廉売される東アジア製品は価格は安いが、まだまだ安全性とか、品質とか、耐久性とか、精度面とかではmade in JAPAN商品には追いつけないのが現状。
それがたとえ軽工業レベルの品物であっても、“高品位”を求められる“プロ”の使用現場では、東アジア製品は避けられてますが、大多数の一般市場にはこういう事が起きない。
つまり“プロ”が見れば、東アジアの製品は選択されず、(言い方悪いですが)“アマ”レベルでは“安物買いの銭失い”が起きてる。
あ、ここでいう“アマ”ってのは、“ふつう=ordinary”って意味です。決して“アマ”を格下的に見てるわけじゃないですよ。私も“アマ”ですから。
例えば、ウチのハマーン様は、私なんぞに較べたらそれなりに家事とかお化粧についてはプロフェッショナルです(当然)。で、彼女は食べ物とか、衛生品とか化粧品については絶対に東アジアのやつは買わない。販売元なんて無視して製造元と原材料表示を確認してから色々買ってる。一方で家電品とか、衣料品なんかについては頓着がない、つまりアマ。先日は“安かったから”お買い上げになられた東アジア製ベルトを身につけてたら、お腹のところに湿疹つくってた。
これは、ベルトの塗料(顔料)に重金属やら硫黄やらの毒物が大量に使用されているが故の結果なのだが、そんなことプロでもない彼女は知らない。こちらは一応石化製品については多少の知識もあるので、“そんなの安くても絶対怖くて買えない”。
で、プロはまず、高い品質を要求される製品については、まだまだ東アジア産を求めたりはしないのだが、それはmade in JAPANとmade by ◯◯◯◯◯の違いを、モノ作り段階から理解してるから。
一方でそのような情報をもたないアマは、その品質を知らぬが故にどんどん廉売品に流れてく。広告の謳い文句に、ネットの価格に振り回されてる。
そして“よいものをつくっても、救われない”人たちが、企業が、廃業したり海外に出て行ったりしてしまう。
みんながもっと、made in JAPANとmade by ◯◯◯◯◯の違いに気がつくと良いのに・・・これほどネットで情報が氾濫してるのに、なかなかプロの情報が行き渡らない。
何でだろ。
私思うに、これって、売る側に“プロ”意識がないからじゃないかな。
売る側ってのは、正確には小売業(一部業界の卸業も含む)。
これの亜種としてマスコミ・広告代理店等情報産業の連中がいる。
彼等は、モノを知らない人たちばかり。モノづくりを知らず、勉強もしないで、ただただ無責任に表面(オモテヅラ)と低価格を煽り、自分たちでは利益を確保し、そのしわ寄せを生産業者に被らせ、赤字を出させる。
結果として生産者は廃業し、あるいは海外に移り、雇用は失われ、そして購買層は自ら首を絞め、結果として経済を破壊させていく。あ、食糧自給率もね。
今の状態は異常です。
耐久消費財はもちろん、一般的な商材についても、made in JAPAN品質のすばらしさを何でこの国は自分たちに向けてなかなか宣伝しないんだろ。
確かに、価格だけで買われる商品があるのも正しい。そういう商品しか作れない国内メーカーは、淘汰されても仕方ない。でも、たとえ一般消費財であっても、価格を超えた価値を必要とする世界も、すなわちmade by ◯◯◯◯◯では信用できない世界が、間違いなくある。
例えば寝具とか、衣類。人の健康に関わる食べ物や食器、それらを生み出す生産機械など、枚挙に暇がない。この間なんかは、防災頭巾で思いっきり燃えちゃうやつが東アジア某国から大量に輸入されて新聞沙汰になってた。
(再々繰り返すけど)大半がアマチュアで成る一般市場に提供される様々な商品情報は、プラス面もマイナス面も含めて、きちんと消費者に伝わっているのだろうか?
結局、この国のモノ作りを壊してるのは、日本人。
日本人の生産者が、日本人の小売業者に、マスコミや広告屋に煽られた消費者に“安くしろ!”と言われ続けて、もう、この国にいて“モノ”を生み出す力が無くなってきてる。
モノの価格なんて言うのは、本来小売側が決めるものではない。それは生産サイドと使用者(消費者)の満足度で取り決められるものだ(需要の価格弾力性)。
廉売やって自分は利益あげ、生産者に赤字を出させる小売業者など、すっこんでるべきだ。
(早く生産者と購買者が直接結ばれる、CALSの世界ができると良いのに)
では、販売側たる小売業は何をすべきか。
それは、“プロ”として価格の裏付けとなる商品の意味をきちんと説明し、買い手により良い商品選択を促すことが第一。
“これは確かに安いですが、それは設計生産が低工賃の国で行われたからで、品質は国産品には及びません・・・買われる場合も長持ちしにくいことはご了承くださいね”って説明する販売員なんて、あんまり聞いたことない。
皆さん、知ってますか?
皆さんがよくお買い上げになってる某大手家電量販店の決算書。
営業利益は“赤字”なのに、何で配当できるか知ってますか?そのカラクリ。
彼等は本業では儲かってませんが、メーカーからリベートもらって、それで税引前利益を黒字にしてるんですよ。
ここの店員、商品の説明できますか?お店はただ価格だけを宣伝してませんか?
made in JAPANが、今確実に失われ始めてる。
カローラが、2年後にはとうとう海外生産です。
カローラはうちの営業車でも使ってますが、本当に良いクルマです。正直、自分のレクサスHSよりお買い得で、足りないものはなく、壊れず、しかもよく走り、燃費も良い。
そのカローラを、トヨタは本家本元たる日本の国から手放そうとしています。
名古屋の南部、ちいさな町工場がどんどん廃業してます。
岐阜県南部、愛知県西北部の繊維産業は壊滅状態です。
もう、時間がないです。
海外移転の問題だけじゃない。
国内でも、made in JAPANの品質は、受け継がれなくなってきてる。
長年“モノ作り”の底辺を支えてきた“プロ”の方達が、定年で仕事を去っていく。
一方若年層では、広告屋にあおられた転職ブームとやらで、“プロ”が育たなくなってしまいました。
『うそっ…私の年収、低すぎ?』←アホか、オマエ。
愛知県に、北見賃金研究所というシンクタンクがあります。
ここでは、モノ作り“あいち”における30歳までの若年層において、従業員300人までの一製造業の平均就業年数は2~3年と発表しております。
これはとてつもなく短い期間です。この期間にmade in JAPAN品質なんて覚えられるのでしょうか?
地元マスコミはこの問題について、殆ど報じない。報じないし、今の政府は就業者に対して厳しいことは言わない(厳しいこと言った首相はメチャクチャ叩かれましたね)。
これは国益の問題なんですが。
結局、広告屋、小売、政府と揃って、日本のモノ作りを壊しています。
生産財を資本家が持ち、労働者を搾取するなんてのは、西欧型資本主義の古い考え方。
日本の製造者、生産者は、圧倒的に真面目な方が多いのです。だから経済停滞すると、自ら命を絶ってでも負債を返そうとする方が増えるのです。
岡田さんには、そんなことわかんないんですね。
追伸:名古屋にエイデンという中堅家電小売業があります(エディオングループ)。以前ここの社長様とお話しする機会があり、その時↓のようなことを言っておられたのが印象的でした。
『しばわんくん、ウチは価格競争で大手の量販店に勝とうとは思わない。ただ、俺はウチの連中に、お客さんが迷ったり困ったりしているときは絶対に買って損をさせないように、とことんアドバイスしろって言ってるんだ。だから君がウチの店に来て、何を選んで良いかわからないときは必ず近くの店員に訊いてみてくれ。彼等にはそれだけの教育はしているつもりだ』←正直、格好良かったなあ。