【まえがき】
ちょっと嬉しいことがあったので、お目汚しに。
先日、27日付21時53分付けの〈何シテル?〉とやらで、
『先程までアフリカ人とイギリス人3人で飲んでた。聞けばナイロビでは豊通が大活躍してて、更にはシナ製商品はかなり嫌われてるらしいw理由は…“使えない”だって。』
なる旨綴らせて頂いた。
今回はその件から発した、“ちょっと嬉しい”思いをしたことについて綴る。
【経緯】
夏の終わりの夕刻より、場所は名古屋の某シティホテル。
アフリカ東部から来られた某国際機関職員とその通訳を、和食懐石のコースで接待申しあげたのだ。

勿論、確かに互いに本意は、ビジネスチックな商談事ではあった。
例えば先方にしてみれば、小職会社の新商品を、近日行われる現地での展示会に出展してもらいたいこととか…まだ試作段階だからお断りしたのだけど。
逆に此方からは、Cool JPNの絡みで別商品のプレゼンをさせていただきたく、現地商社のご紹介をお願いしたりとか。
その他諸々、資本主義らしいお話が多々あったりはしたのだが…。
※資本主義ってものについては、“市場経済+欲望の創造+消費”と解釈してもらえれば結構である。
しかし本題はそこそこ、話し始めてみれば、お互いの文化の話とか、政治経済の話ばかりw
果てはTPPのこととか、グローバリズムのなかで食料安全保障を高めるにはどうすればいいか、とか、(私の友人である)有機米農家のお米やお餅は、アフリカ東部に通用するか、なんてミクロレベルの話もどっちゃりした、大変有意義な時間を過ごすことができた一日だった。
ま、此方もそれを楽しみにしてたので、ユネスコ無形遺産でお迎えするようにしたのだが。例えば、「日本料理って、器から盛り付けまで“目でも味わって”食えよな(笑)」なんて。
・・・因みに彼等は、鶏卵はおろか“イクラ”まで食べちゃいけない、ってのはびっくりした。
【お礼と返信】
後日、当日の件につき、本日以下のようなメールが届いた。
差出人は、アフリカ東部の某氏。
以下、一部修正のうえ抜粋して引用。
『From: ○○○○○○Corporation
Sent: Thursday, August 28, 2014 11:14 AM
To: 器≪Utsuwa≫
Subject: 先日はどうも、ご馳走様でした
器≪Utsuwa≫様、
先日は大変ご馳走様でした。久しぶりに日本料理をたくさん食べて、帰宅してすぐにねってしまいました。
色々な文化の話もできて、とても嬉しかったです。アフリカは日本文化から色々なことを参考することができるため、将来的になにか実現したいなと思います。
今回の10月の展示会は残念ですが、次回またよろしくお願いします。あと、お米も会社はぎりぎりですが、もしご興味もちそうであれば是非、ご紹介をよろしくお願いします。
今後もひきつづき、よろしくお願いします。
アフリカ東部の某氏 』
…>すぐにねってしまいました。
はともかくとしてw
お礼もらったこと、すごく嬉しかった。
で、私からの返信。同じく一部修正のうえ原文まま。
『前略
こんにちは、日本GDP第二四半期対前年比6.8%落ち込みで、鬱になってる器≪Utsuwa≫ですw
貴殿は仮名交じりの漢字も書けるのですね!すごい!!
それと…このようにきちんとお礼のお手紙を頂けたこと、大変嬉しく存じます。
昨今の日本ではこのような礼についても失われつつありますが、それを遠い異国の方から頂けたこと、本当に喜ばしく存じます。
貴殿は、私たち日本人より日本人らしいメンタリティをお持ちですね。
>久しぶりに日本料理をたくさん食べて
・・・お口に召しましたでしょうか?今度は“うなぎ”でも御馳走しましょうかね?
>色々な文化の話もできて、とても嬉しかったです。
・・・貴殿の郷(同じ読み方ですが、国ではありません)も私たちの国も、同じ多神教(霊)国家。
互いに“森羅万象(気象から物体、時には言葉にまで)すべてのものには神様が宿る”という思想風土故に、多くのものを受け入れ、文化のなかに組み入れていくのは得意としている筈。
貴殿の郷、植民地時代の悲劇・・・すべてを外部から書き換えられてしまったことについては、本当に残念だとは思うけれど、いつの日か必ず、私たちがもっともっと貴殿の郷について学び、そして共感できる…そんな機会が増えることを祈ります。
>お米も会社はぎりぎりですが、もしご興味もちそうであれば是非、ご紹介をよろしくお願いします。
・・・はい、彼のところのホームページ、貼り付けておきますね。http://www.○○○○.com/
日本って政策で、食料自給率保つために農家を保護してきたのですが、昨今これを自由化(=独り立ち)させる方向に進んでます。そのような時代のなか彼は今、農場の立て直しと切り盛りで大変な様子ですが、いつかきっと振り向いてくれる日が来ると思います。
ジェンダー左翼による女性の価値転換から生み出された少子化政策の結果、日本は労働力デフレが起こりました。それは同時に国内市場の縮小、という構造的な問題を抱えるに至りました。
結果、日本が“価値を生み出す”ためには、貿易の自由化は不可避となりつつあります。
そのような時勢においては、余剰価値の“輸出”ってのは、いよいよ大きな選択肢になってきます。
既に日本海(東海ではない!)を越えた大陸では、富裕層がその安全性から日本のお米をたくさん買ってるそうですが、彼国についてはいつどうなるか分からない状態。一方でTPPはおそらく年内妥結の方向で進むとなれば、国内の考え方も一変する筈。
そのとき(勿論TPP加盟国ではございませんが)将来的には供給先のひとつとして、貴殿の郷、考えられるのではないかと。
その先駆けとして、私も番外編“自由と繁栄の弧”構築のため、草の根レベルで貢献したく存じます。
公人としては、地政学リスクを加味するとなかなか動くことは難しいかもしれませんが、私人として、できるだけ協力させていただきますね!
それでは、アフリカ東部の某氏には、時節柄風邪など召されませんよう御自愛のほどをお祈り申し上げつつ、またお目にかかれる日を楽しみに。
早々
器≪Utsuwa≫拝』
…以上である。
麻生先生の提唱なされる“自由と繁栄の弧”は、日本からASEAN(台湾はお立場上御提唱しづらい)、インドから中央アジアそして中東、最終的には西欧に至る相互依存経済に基づいた安全保障戦略である。
確かにここには、アフリカ諸国は入っていない。
それは植民地時代につくられた“他律他存”が生んだ国境と、一神教信者に押しつけられた宗教観世界観と、一次産品時代が生んだ“議会制民主主義の限界”が孕む諸問題からの、民族紛争という地政学的リスクがあるためだ。
【シナの脅威】
しかしそうこう言っているうちに、アフリカはいま、シナに蹂躙されつつある。
曰く『(本年1月22日付レコチャより)
2005年以降、金を求めてガーナ入りした中国人は約5万人に上るという。その多くが、中国の貧困地域出身者だ。
国内で金もうけの方法を持たない彼らは、冒険心を抱き、夢を実現させるべくアフリカに渡った。ガーナ政府は80年代以降、小規模金採掘を禁止した。しかしそこは、ごまかしに長けた中国人。現地政府職員への贈賄などを通じて、違法な金採掘を行っている。
大挙してやってきた中国人は、ガーナ人の仕事を奪い、金を濫掘した。また有害化学物質を採掘に使用し、大量の農地や森林を破壊し、湖や河川、地下水源を汚染した。「中国人は私たちの、そして子どもたちの未来を潰した」と話すガーナ人もいるほどだ。 』
曰く『(2013年3月26日付F.T.より)
石油などの資源を確保するためアフリカ投資を拡大する中国。蜜月関係とされた中国とアフリカだが、変化の兆しが出てきた。ナイジェリア中銀総裁が中国を警戒する必要性を訴えた。
「アフリカは中国に対する幻想を捨て、中国をパートナーであると同時にライバルで、植民地時代の宗主国と同様の搾取を行う能力を持つ国と見るべきだ」――
ナイジェリアの中央銀行総裁であるラミド・サヌシ氏がこのほど本紙(フィナンシャル・タイムズ紙)に寄稿し、こんな警告を発した。 』
曰く『(本年2月24日付AFPより)
英国の高名な霊長類研究者で自然保護論者のジェーン・グドール(Jane Goodall)博士がAFPとのインタビューで、現在の中国はかつてアフリカを植民地支配した欧州列強と同じように、環境に壊滅的な被害をもたらしながらアフリカの資源を搾取していると述べた。』
奴等はアフリカの大地に埋もれる各種の資源を入手し、価格コントロールの権利を以て共産党の資金源にしようとしている。
勿論そこに、アフリカとの共存意識はない。
そしてその資金は、アジアでの安全保障にも悪影響を与えている。
【アフリカとの共栄】
このような時勢のなか、地政学的リスクからいつまでも彼地を無視し続けるわけにもいかない。
既に安部先生は、“地球儀俯瞰外交”において、アフリカとの共栄をはかろうとはしている。しかし、外務省が本当にこれを完璧に実行していく意思があるかどうかは、疑問だ。
だから故に民間・・・私たちの“草の根”の動きは大切なのだ。
幸いにして、日本にも前述“アフリカ東部の某氏”のようなエージェントが、手を差し伸べてくれている。

彼らがリスクのクッションになってくれるというなら、後は此方も自己責任のもと“出来ることをする”ことも良いのではないか?
【さいごに】
『(本年1月14日付:安部先生のアフリカ政策スピーチ)より
ハイレマリアム・デサレン・エチオピア連邦民主共和国首相、ヌコサザナ・クラリス・ドラミニ=ズマ・アフリカ連合委員長、親愛なる友人、ご列席の皆さま。
私は、TICAD Vの誓いを果たそうと、AU本拠を擁するここ、アジスアベバにやって来ました。「近いうち、必ずアフリカの大地を踏みしめたい」。――横浜で、私はそう言いました。約束を果たせ、嬉しく思います。
(中略)
さて、親愛なる友人、ご列席の皆さん――。
TICADの全プロセスを通じ、多くの日本人は、アフリカを、明るい色で想い起こす心の習慣を身につけました。アフリカとは、日本にとっての希望であると、少なくない日本人が思っています。さればこそ、ここで、再び申し上げます。TICAD Vでしたお約束を、我が政府は、ひとつ残らず実行します。
(中略)
アフリカが、その輝かしい未来を実現するため、日本は、日本ならではの貢献として、何ができるでしょうか。
TICAD Vで、あるアフリカの指導者が、こう言ってくれたのを思い出します。
「日本の企業だけだ、働くとはどういうことで、何が労働の喜びか、『倫理』を教えてくれるのは」。
私は感動しました。日本企業と、そこで働く無名の日本人たちが伝えようとしてきたことを、見事に要約してくれた――、そう思えたからです。
日本の会社とは、利益を生む場です。が、それより前に、学びと、工夫を共にし、苦労だけではなく、喜びを分かち合う場です。
「一人、ひとり」の、内なる動機に基づく努力を、大切にすること。また、命令などなくても努力する人間「一人、ひとり」を、最も貴重な資源と考えること。――それが、日本企業の神髄でした。
日本が成長できた理由も、同じこと。未来を、今より明るくしたい、できるはずだと信じ、努力を怠らなかった無数の日本人、「一人、ひとり」の努力にあったのだと思います。
皆さんに、ご理解いただきたいのは、日本企業がアフリカにやってくるとき、このような、経営の思想を、必ず一緒に持ってくる、ということです。
「一人、ひとり」に力をつけてもらい、創造を引き出そうとする思想です。
(中略)
「一人、ひとり」を大切にする日本企業がアフリカに来ると、本当の意味で、Win-Winの関係ができます。
受け入れ国に、労働を苦役とみなす価値観がもしあるなら、それは、日本企業と付き合う中で変わります。
「一人、ひとり」の工夫、努力を尊ぶ労働の場は、喜びの場にさえ、なり得るからです。
日本企業が数多く進出した東南アジアの国々で起き、いまなお起きている、静かなる文化的変革とは、私の見るところ、こういう変化を伴います。
日本企業を触媒として、次にこれを経験するのは、アフリカの国々であり、人々であるに違いないと思います。
一緒に来てくださった、日本企業代表の皆さまと共に申し上げます。
どうか、アジアで皆さんが長年かけて織り上げた成長のタペストリーを、今度はアフリカの、思い切り明るい色の糸を使って、紡いでいただきたいと思います。

(中略)
「一人、ひとり」が、確かな自信を身につけ、毎日たゆまず働くうち、会社は伸びるでしょう。そういう会社、職場が、ひとつ、またひとつ増えて行くと、社会は次第に安定し、やがてそこに、民主主義の、確かな土壌ができてくるでしょう。
しかも、すべては、アフリカにもともとあった豊かな文化や、人間を大切にする発想に、相通ずるものです。――カイゼンとは、アフリカが、本来の姿を再発見するわざなのだといえるかもしれません。
日本と、日本企業と深く付き合ってくだされば、アフリカが、その本来備わる力をテコに伸びて行くことが、きっと容易になります。未来への、確かな種子を手にできると信じます。
(以下略)』
以上