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2016年08月31日 イイね!

【本当に重要】2016年夏、ポリシー・ミックス、その裏に見える危機 ~第五章 財政政策と売国・亡国 前編~

【本当に重要】2016年夏、ポリシー・ミックス、その裏に見える危機 ~第五章 財政政策と売国・亡国 前編~ 今回、とても大事なことを書く。
本当はずっとこのまま書かないでおこうと思っていたことだが、あえて書く。














【はじめに】

 いよいよアメリカが利上げに向けて動くようだ。
 中古住宅の販売件数が上昇、失業保険申請は予測を下回り、航空機除いた耐久財の受注は飛躍的に伸びてる。緩やかなインフレのなか、個人消費も増えている。

 コレを受けて、イエレンおばちゃん(※1)はジャクソンホールの講演で、『労働市場の堅調さが続いていることや、経済活動とイン フレに対する当局の見通しを考慮すると、フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はこの数カ月で強まったと考えられる。』

 これで水曜の金曜の雇用統計発表が、それぞれ予測数値を上回れば、アメリカは緩やかな利上げに入るだろう。

 利上げしたら多分円安になるし、アメリカの株価は下がる。
 が、基本、世界最強の軍隊に守られた基軸通貨国、〝生産年齢人口上昇〟、エネルギー源自前どころか絶賛輸出中、情報産業という手堅い内需、といった経済要素満載の国だから、政府の財政が傾かない限り、アメリカの強さは変わらないと思う。

 29日お昼、この流れで日本の市場も〝一時的〟に円が2円安・366円の株高になってる。
 
 

 が、この流れを定着させるには、日本は内需を何とかしないとダメだ。
 外需頼みの経済では、利上げでアメリカ景気に水が差されると、株も為替もすぐにまた元に戻ってしまうだろう。

 ( `ハ´)<`∀´ *>なんかはもっと深刻だ。
 内需育てる努力しないで輸出ばかりに頼った経済やってきてるから、利上げでアメリカの市場が冷え込むと、ダメージは深刻だろうな。 安全保障上( `ハ´)の一気崩壊は困るけど、これを機会に<`∀´ *>なんかさっさと掃除してしまいたいものだ。コイツ等いなくても別に困らんし。
 やっても損するだけなのわかってて、何でまたスワップ協定なんて進めるのかね?アメリカの意向もあるんだろうが…早くトランプ大統領誕生で、日本の外交もフリーハンドにしたいものだ…って、現在の自衛隊防衛装備(※2)じゃ無理か。

 改めて言うけど、内需ってのは、外で何か起きてもビクともしない経済であるための、いわば保険みたいなものだ。
 内需は株価やGDPよりも大事なんだよ。

 その内需が、将来に向けて暗雲立ち込めてる我が日本だけど、今回の財政政策は、一時的にはこれを底上げしてくれるだろう。そう、あくまで〝一時的〟な話だが。
 中身はアレだけどなw 

 今回は諸氏が最も関心をもつであろう、〝売国財政政策〟と〝日本政府財政の崖〟をも視野に入れて、財政政策について綴る。
 

 ※1…アメリカ中央銀行(FRB)のトップ。学者さんなので、市場現場の声よりも数値に頼る傾向が強い。優しそうな婆ちゃんだが、髪型は何とかして欲しい。
 
 ※2…拒否的抑止である敵の上陸阻止や島嶼レベルの奪還機能は強力だし、近年は敵の拠点を攻撃(懲罰的抑止)する機動力も備えているが、現在も依然、敵地攻撃能力…敵の勢力圏に侵攻して補給路や拠点を制圧し続けるための戦略的機能がない。だから、敵は継戦能力を削がれない。
 自衛隊は、数を頼った波状攻撃を繰り返されると弱く、根本的に敵に〝侵略させない〟よう仕向けることは不得手で、外交任せとなる。


【7月28日 財政政策】

 8月24日、3兆2800億の平成28年度秋の補正予算案が閣議決定された。
 第三次安倍改造内閣における経済政策、これまで述べてきた金融政策と対を成す、ポリシー・ミックスの〝もうひとつの翼〟、2016年度版だ。

 言うまでもなくこれは勿論、7月28日に安倍総理が福岡でぶち上げた〝過去3番目の事業規模〟となる経済政策の一部だ。

 中身は〝未来への投資〟として、構造転換と国際化を進める日本社会のインフラ整備に向けた内容だが、重要なのは〝日本経済への効果〟である。

 7月発動のポリシー・ミックスにおける財政政策の意義は、金融政策すなわち〝異次元緩和の継続〟と〝質的転換〟で、市場に〝押し出された〟マネーに〝流動性〟を与えることだ。
 政府は財政政策で〝内需〟をつくり、日銀は〝量と質の緩和(※1)〟で燃料投下を続ける(ヘリコプターマネーと言わないでw)。

 これがなければ、日本の経済の実質成長はありえない。 

 1.コンセプトと特徴

 一月前に発表された財政政策、総額26.1兆!なんて話題が一人歩きしたが、そのコンセプトはどのようなものであるのか?

 まずコンセプトを見てみよう。
 
 ・未来への投資
 …〝一億層活躍社会〟を目指して、老害、もとい高齢者が暮らしやすく、ま~ん、もとい女性が活躍しやすい社会インフラを整備する。
 ・『21世紀の列島改造(byノブテル)』
 …社会構造変化にあわせた普請。平成28年度内で土地接収と都市計画の見直しを行う。
 ・地方創生に向けた交通インフラの整備
 …(少子化止めんと意味ないと思うが)経済特区を中心とした産業ネットワーク基盤整備など。
 ・世界よ、(´・ω・`)について来い!
 …アメリカは利上げとテーパリングで、今までの伸長にブレーキがかかる。( `ハ´)は構造改革(※2)真っ最中で、寧ろ世界のデフレの原因になってる。新興国は内需不足で停滞変わらず、ASEAN経済共同体も本気出すにはまだ時間かかる。BrexitでEUはパッとしない(※3)。
 そして、イギリス・アメリカに較べて日本の株はまだまだ安い。だから「外国人投資家よ、株買って!!」
 
 なんか、(竹中平蔵+民進党)÷2、みたいな政策だな。日本の票田状態と金融資本主義への信奉がよくわかる政策コンセプトだ。
 5月のサミット議長国として、世界経済のリスクマネジメントをいち早くアピールしたことは意義があると思う。

 特徴としては、

 ・複数年次にわたる展開とすることで
 ・〝財政負担を分散〟しつつ、
 ・「政府は継続的に消費を刺激し続けますよ、だから仕事はなくならないし、お金使っても大丈夫だよ!」という無言のアピール…つまり企業と家計の〝サイフの紐を緩ませる〟空気づくり

 が見えてくる。
 考えたやつ、それなりに頭イイと思う。

 まあ、〝少子高齢化による市場縮小〟という〝根源的な問題〟解決せんと、企業の設備投資は進まんし、家計も社会保障費増大見込んでるのは変わらないから、簡単に内需は高まらないと思うが…それでも、ポリシー・ミックスが継続されてるうちはそれなりに〝下支え〟効果はあると思う。

 肝心なのは、〝中身より経済効果〟だからなw
 でも言っとくが、政府が〝下支え〟やめる時が来ても、また〝景気ガーッ!〟とか言うのはやめろよ?
 日本経済がそのときまだ〝流動性の罠〟から脱出できてなかったら、それは〝下支え〟に乗らずに自己保身に走り続けた、国民への〝因果応報〟なんだからな!


※1…『第三章 2016年夏、ポリシー・ミックス、その裏に見える危機 ~第三章 第一の矢=金融政策~』 内、【秋の金融政策】の節にて詳述。

※2…在庫調整して外需主体の一次加工産業を整理淘汰し、内需中心のサービス産業への移行を進めているらしい。李克強は180もの法人潰して失業者630万人出してもやる、と息巻いてるが、王朝変わるたびに伝統文化を破壊し続け、最後に文革でトドメをさした国にサービス業なんて育つワケがない。

※3…実はドイツもイギリスも、企業の業績は伸びている。ユーロ・ポンドの通貨安が効いて企業業績はよい。ただ、内需と金融はダメだ。



 2.概観

 コンセプトは見えた。では次は、総額28.1兆円の財政政策…その中身について見てみよう。

 ・一億層活躍に向けて 3.4兆円(事業規模3.5兆円) 
 …「保育園落ちた、日本タヒね」なんて便所の落書きにノセられた、世界史上類を見ない愚民政策の果実w こんなのにカネ出すなら、消費税5%に戻せよ(激怒)!
育児保育給付金で3700億、人材育成と職業訓練。

 (評価) マトモなのは〝病院まで15分〟を目標にした、シルバーシティ構想くらいか。高齢化に向けた都市整備の見直しは仕方なし。

 ・交通インフラ整備 6.2兆円(事業規模10.7兆円)
 …リニア新幹線開通を8年前倒し、2037年に東京~大阪間開通へ。
 整備新幹線やミニ新幹線も整備して地方都市間を結び、ローカルネットワーク機能を拡充して地方創生を加速。
 10万トンクラスの大型クルーズ船が寄航可能な港湾の整備 うち1.4兆円
 インバウンド強化 うち1.2兆円
 民泊サービスの制度化

 (評価) あのー、リニア開通2037年って…そのときの(´・ω・`)の人口動態、どうするのかね(意味深)?

 『2010~35年の人口は2010年比で1,704万人減(▲13%)だが、2036~60年の人口は2,036年比で2,569万人減(▲23%)と、前半の25年間よりも後半の25年間の方が減少数も減少率も大きいからである。(中略) 日本の人口は2010年から2060年にかけて4,132万人減少するが、このうち生産年齢人口も3,755万人減少する。つまり、日本の人口減少は主に生産年齢人口の減少によることがわかる。生産年齢人口には働いて税金を納める就業者が多く含まれ、その減少が経済社会に与える影響は大きい』 新将来人口推計で見る人口減少社会 みずほ総合研究所 より

 

 ニホンノジンコウゲンショウハ、オモニ生産年齢人口の減少ニヨル
 セイサンネンレイジンコウニハハタライテ税金を納める就業者ガオオクフクマレ、ソノゲンショウガ経済社会に与える影響は大きい

 コレ、後述で徹底的に追求するけど…誰が使うんだよwww

 そして豪華クルーズ船寄航とインバウンド、そして民泊…そろそろ解ってきた?
 次々節でしっかり言わせていただくw

 ・新興国経済の停滞とBrexit対策 1.3兆円(事業規模10.9兆円)
 …民間融資240億円強化、公庫基金の拡充と救済措置展開(4300億円)
 
 (評価)これは良いと思う。情弱、と言われればそれまでだけど、Brexitや( `ハ´)の崩壊と資源デフレ、アメリカ利上げと新興国経済の悪化は、(´・ω・`) の企業が起こしたものじゃないからな。
 グローバル化が進んでも、結局救済措置を講じるのは国の義務でしょ!?
 ただ、( `ハ´)に出て行った、ってのは、どう考えても情弱でしょ!?

 ・被災地復興 2兆円 防災対策 2.7兆円(事業規模3兆円)
 (評価)これはもう、絶対に必要!寧ろ少なすぎると思う。この分野を最大にしなきゃダメだろ!?国民国家の最大の責務は〝国民の財産と生命の保障〟だろうが!?

 ↓コレ、震災被害額な。ストックのみ対象だから、経済損失入れたらコレだけじゃ済まない
 

 ・島嶼警備のため、海保へ新型巡視船 674億円
 (評価)…あまりに少なすぎる。

 で、追い討ちかけるように↓

 ・低所得者への定額給付金、ひとり15000円を一括給付
 (評価)…もういいよ。

 ただ、希望的な〝未来への投資〟もある。こういうの↓をやらないとダメでしょ?

 ・産業構造改革~第4次産業革命~
 IoT(※1)により、すべてが相互に繋がった極めて効率的な社会イノベーションを実現。これにより30兆円の市場を〝創造〟する。
 介護・福祉サービスを拡充
 TPP時代を見越した、強い農業の育成
 (評価)本当に(´・ω・`)の〝未来への投資〟を掲げるなら、本来はこれを第一義にしなきゃならない。少子化、高齢化で(´・ω・`)の市場は萎まっていくばかり。
 収穫逓減(※2)と縮小が構造化している従来の日本内需市場に我々が居座り続けることは、経済プレーヤーの減少あるいは国外脱出を生むだけとなる。
 そこでは最早成長どころか税収減によって国家の運営そのものに支障をきたすことが明らかであり、更に高齢化で社会保障費は増大していく。
 最早現在の市場分野だけでは、構造的に日本という国を保持していくことさえ無理なのだ。だから、市場の創造と拡張という〝資本主義の論理〟に従えば、日本にはフロンティアが必要なのだ。
 
 
 以上が7月28日、政府が提唱した財政政策の概要と私の評価である。
 なんか、ホント…国防や防災、イノベーションなど必要なことにはお金かけないで、外にお金を使わせるとか、福祉ネタばっかで、〝政策〟としては情けない限りだな。
 
 でも、な。
 結局政府にこういうおカネを使わせるってのは、我々国民に原因があるんだぞ!?
 特に政策が高齢者優遇になったり、低所得者や在日外国人マンセーになりがちなのは、〝それによる受益者〟の票田が大きいからだ。
 本当にこの国を大切にしたいなら、この国の未来を希望あるものにしたいなら、若い連中がきちんと政治に目を向けることだ。
 シールズなんて低レベルの坊やたちでさえ、声をあげれば為政者は関心を持つのだ。
 日本を大切に、自分の未来を大切にしたいのなら、若者よ―
 〝年寄りより俺らを大切にしろ!〟と叫べよ! 

 今回の経済超大作、嫁からは「みんカラで書くことじゃない」と言われた。
 だが、私がこんなブログをここでわざわざ書く理由は、「みんカラ」だから意義がある、と信じてのことだ。無理だろうけどw

 まあ、いいや。
 喫緊大切なのは、〝ポリシー・ミックス〟で内需を喚起…流動性の罠から脱出することだから。
 

 ※1…家電から家のドアから自動車からぬこからワンまで、あらゆる〝モノ〟が無線ネットワークでつながって、所有者が端末を通してリアルタイムでそれらの状況把握と、それに基づいた指示ができること。産業革命の名に相応しい。これにA.I.が加わると〝モノ〟自身が考えて自分で最良の行動を取るようになる。
 たとえば、DQN小僧が単車を盗んだとする。この単車がIoTにつながってるとすると、単車は貴方の端末に「オレ、いまギられてるんすけど…」って電話してくる。で、ここに更にA.I.が絡むと、「盗んだヤツのっけて、そのまま警察に送り届けてきましたわw」ってのがオマケについてくる。

 ※2…市場において財やサービスを提供する先駆者はより大きな利益を得るが、市場が成熟してくると同種類の財やサービスが提供できる利潤は減少する。まあ、デフレだわな。提唱者のリカードォは、これを脱却するに、(比較生産といって)より利潤の大きい市場への生産移転を唱道した。今日のグローバリゼーションの先駆的考え方である。

 
 3.財源
 
 で、財源、である。

 今回の〝28.1兆円〟は、複数年次にわたって発動される。
 うち、本年度補正予算は3兆2869億円で9月の臨時国会で成立するはず。
 
 末恐ろしくなってくる話だが、〝流動性の罠〟から脱するため、名実共に市場にインパクトを与えるには、これくらいの〝広告宣伝費〟は必要なのかもしれない。

 ここでは、複数年度28.1兆円の財源を示そう。当たり前のことだが、この財源は必ず〝税金として取り立てられた〟そして〝税金として取り立てられる〟ものだw

 ・財政出動
 政府からの〝真水(※1)〟は6.2兆円。
 内訳として、建設国債で5兆円(9月補正予算2兆7500億円)+政府剰余金1.1兆円+特別会計0.1兆円。
 これのうち2.2兆円は2017年度予算に組み入れられる。

 ・地方債発行で1.1兆円。
 …日銀が買い取るのか?

 ・財政投融資(※2)で6兆円(3.6兆円が9月補正予算で計上)。

 ・政府系金融機関からの貸し出しと民間自身の支出 14.6兆円
 …あくまで〝期待〟だなw まあ、借りるか或いは投資するかは、事業内容によるが…あ、だから〝普請〟かw

  
 なんかね、歳出が単年度で100兆円超えて、財政規律はさらに酷くなってるのに、真水は大したことないし…民間への押し付け、すごいな。
 民間の投資を引き出すには、ある意味〝具体性のある〟プランが必要。
 だからシルバーシティやリニア、ローカル新幹線か。
 
 前章で述べた〝永久債≒40年超長期国債〟もコレに充てられるんだろうが、ホントにこれ、償還できるのかね!?

 本当に自信あるなら、政府はもっと〝真水〟増やさないとね。
 中途半端だと、却って不信感強くなるよ?
 

 ※1…政府が自分の手で行う事業。責任逃れはできない。
 
 ※2…政府が事業を民間にやらせるため、その資金をその民間あて貸し付けるやつ。


【短期的な問題点~効果への疑問~】


 28.1兆円の経済政策。
 これで今年度の政府歳出は100兆円を突破する。これは3年ぶりのことだ。いくらマイナス金利の副産物で利払い負担が減ると言っても、増えれば償還負担も利払い負担も増していく。

 財源を債券に求めるのはいいが、これだって事業の成功が担保されるからこそ、買い手がつくのだ。
 役人は民間に助成金や補助金要求するときは、無理やり事業計画書書かせたり事業の将来性について徹底追及するくせに、自分達は議会で多数決取ればいいんだから、気楽だ。

 しかし、その評価は市場がする。
 今回の経済政策発表、それは市場に〝日本の復活〟を予測させるものだっただろうか?


1.プロバガンダ効果はあったか?

 7月26日の経済財政諮問会議で、今回の財政政策が発表された。
 8月2日夜には、安倍総理自らがこれを説明した。

 この実行への意思が市場に伝われば、空気は動く。
 空気は円を売らせ、株などリスク資産に向かう。

 ただのシザース・キャンペーンであっても、きっかけが生まれれば、それは政府の〝勝ち〟だ。

 而して、市場評価は・・・
 
 

 ダメだった。

 これ、知り合いのバンカーやシンクタンクの投資マネージャー、地元中堅メーカーの役員とも話したのだが、

 私も前述『2.概観』で述べたけど、全員の感想は・・・「大したことないね」だった。
 プロバガンダ効果を為すほどには、市場は驚かなかった。

 理由を集約すると、以下の3つに絞られる。

 ・年度内の事業費がたったの4兆円…大山(28.1兆円)鳴動してネズミ一匹。

 内需の弱さが構造的で、そこへBrexit来の円高で輸出セクターの所得減少が追い討ちをかけ、しかも消費税増税延期(※1)で政府の財政規律がガタガタ、という日本経済のファンダメンタルズ(※2)を改善するだけの期待を、〝たったの4兆円では〟市場は持ち得なかったのだ。
 
 ・また、この4兆円は政府の〝出し惜しみ〟と思われた。総額28.1兆円というわりに、単年度ではこの歳出…。
  前第4章『日銀への不安【そもそも国債は大丈夫か?】』で述べたように、日銀の国債買入の限界も危惧されている。現に29日の金融政策決定会合では、国債の買入はなかった。
 
 市場は、「アベノミクスって、もう打ち止めではないのか?」
 そう懸念した。

 ・さらには財投債発行の6兆円…JRはじめ買い取る民間企業の、将来にわたっての利払い負担は大きい。
 一方で、彼らが政策の果実を手に出来るのは、〝完成引渡し検収後〟や〝建設仮勘定(※3)の償却開始時〟、或いは〝設備の稼動開始〟時である。
 それまでは、この事業に限れば、財投債を購入した民間企業の収益性は、近未来単年度ではマイナスになるだろう。
 
 これらの思惑が錯綜して、市場はリスク資産への投資を手控えた。

 (評価)ま、いいんじゃない(震え声)?

 今回の経済対策に求めるのは、株価じゃないもの。
 投資家喜ばせるより、大切なのは内需の喚起、〝流動性の罠からの脱出〟。
 それには、目の前の〝空気=株価〟ではなくて、〝中身=内需創出〟だから。

 プロバガンダ効果などの〝市場の感想〟…短期的な株価なんかより、もっと長い目で…〝日本がポリシー・ミックスに本気〟であることを見せられれば良いんじゃ…ない!?

 ※1…これは政略としては正しい。6月当時の日本経済を考えたら、あそこで消費税を上げていたら実体経済は大変なことになっていた。但し、投資家の心理には、日本の財政の恐ろしさというものが潜在的に根付いている。それがこの懸念になった。
  
 ※2…国の場合は経済成長率、CPI上昇、財政収支などが対象。企業の場合は株価に表れ、売上高、利益などの業績、資産負債、C/Fなどの財務状況、市場の将来性などで判断される。

 ※3…『建設中の建物や製作中の機械など、完成前の有形固定資産への支出等を仮に計上しておくための勘定科目である。 有形固定資産が完成し、事業の用に供した時点で、本勘定に振り替えることを要する。(wiki)』


2.構造的な問題

 しかし、今回の財政政策、上記よりももっと困った問題を抱えている。
 それは、内需を創出して実質経済を奮い立たせるだけの〝可能性という名の神〟はそこにおわすのか?、という懸念でもある。

 


 懸念…そのひとつが〝金融政策効果の減衰〟だ。

 経済学に、マンデルフレミングの法則、というのがある。
 財政政策時に国債などの公債を新規発行したとき、それが市場で買い取られるには莫大な資金需要が発生する。これが市場のキャッシュフローを圧迫し、市場の現金が足りなくなり、市中金利を上昇させる。結果通貨高を生む。
 つまりこの法則によれば、せっかく大規模緩和で国債を日銀が市中から買い上げて現金を市場に流しても、新規発行した公債の買取にこのお金が使われ、結果として日銀が期待したほどのマネーが市中に流れなくなる、ということだ。
 この問題を解決するには、日銀は新規発行した公債額面とほぼ同額の国債を、市場から買わなくてはいけない。
 そうなると、日銀緩和の限界はより近未来に手繰り寄せられるのだ。
 それは前章で示したように国債価格の下落を呼び、周り回って財政負担をさらに重くする。

 もうひとつの懸念は、〝投資の弾性効果〟への疑問だ。

 上記『2.概観』で述べたように、今回の経済政策は社会福祉の色合いが濃い。
 また、裾野効果の拡がるインフラ投資や産業構造改革には時間がかかる。
 防災対策や被災地復旧には投下する資金が少なすぎる。
 つまり、経済面での投資に対する費用対効果は、短期的には非常に薄く、長期的な投資対効果を期待するしかない。まあ、公共事業って本来そういうものなのだか。
 当たり前だが、リターンを未来に置けばおくほど、その効果は朧気になってくる。
 少子化して縮小する市場のなかで、満足できる投資対効果は得られるのか?
 返す返す疑問だ。

 そして最後の懸念…これと前述〝投資の弾性効果〟が結びつくと、次章の〝深刻な問題〟に行き着く。

 それは労働力不足。

 もう一度この複合グラフを見てくれ。

 
 
 日本の生産年齢人口、つまり一般的な働き手の数は、1996年の8716万人をピークに、毎年減少している。今年2016年では7598万人だが、仮に出生率(※)が現状の1.43から1.8に上昇しても、この経済政策が終了する2040年頃には6000万人を切ってしまうのだ。
 実に現時点から20%の減少。
 民主のクソ共が『ハコからヒトへ』なんてやったせいで、日本の建設業従事者は5年間で100万人も減少した。さらに東日本大震災の復興もあり、この業域では現在でも深刻な人手不足なのだ。

 この先も〝建築現場の省力化〟が進まぬ限り、この傾向は変わらない。
 そして省力化が進んだら進んだで、その効率性と安定した生産性、労働コストの削減から、〝ヒトから機械〟への転換は、この業界からの失業者が大量発生する。

 ちな、先述IoTの効果が発揮されるのは、主に工場のリューチーンワークから対面ビジネスに至るまでの、比較的人件費コストの高い現場な。
 そして建設作業員は、IoT化が進んだとして、それでも現状仕事量でも〝人手不足〟、経済政策で仕事増えたらもっと人手不足になる。

 
 
 コレでホントに、インフラ整備やシルバーシティ整備、そしてリニア新幹線、できるのか?


 …解決策、そろそろ見えてきた? 
 

※…女の子が〝おかん〟になってから産む子供の数。 
 

【中期的な問題点~危惧される治安と安全保障~】←重要!

 生産市場、国債の価値、財政、経済。
 ここまで5章にわたり、様々な問題点を述べてきた。
 
 諸氏には問題の根源は何処にあるか、もうお判りいただけたことと思う。

 すべての根源、それは〝生産年齢人口の構造的不足〟だ。
  
 15歳から64歳までの〝日本国民〟。 
 
 彼等は、財やサービスの〝供給者〟。

 その〝供給者〟が不足している。

 確かに、これはIoTやA.I.でカバーできる課題かもしれない。
 政府が力を入れる理由も納得できる。

 しかし、彼等にはもうひとつ、重要な側面がある。

 それは、〝消費者〟であること。
 それは、〝納税者〟であること。

 これは人でもモノでも、〝日本人にあらざる者〟にはできない。

 15歳から64歳までの〝日本国民〟。 

 彼等がいなければ、日本の〝経済〟は成立しない。
 彼等がいなければ、日本の〝社会〟は成立しない。

 だから日本は〝生存をかけて〟、生産年齢人口を確保せねばならない。

 そうだ。
 〝移民〟だ。

 極めて近い将来、日本は〝移民〟を開始するだろう。
  
 生産年齢人口の減少と高齢化が進むなかでの、事業規模10.7兆円。
 弾性効果が期待できないインフラ整備、リニア新幹線前倒し、ローカル新幹線整備―『21世紀の列島改造(byノブテル)』
 その投資効果を出すのは、〝移民〟という市場だ。 

 今回の財政政策は、単なる経済政策に非ず。
 それは、〝移民受け入れ〟準備を含めた、〝売国〟政策でもある。

 しかし、それでも為政者たちは、これを止めようとしないだろう。
 何故なら、これを止めれば、日本は崩壊するのだから。
 

1. 10万トンクラスのクルーズ船寄航可能な港湾整備

 『クルーズ船の訪日客が出港時までに船に戻らず、不法残留した疑いのあるケースが、福岡県や長崎県で相次いで確認されている。
 外国人の「爆買い」などを背景に入国審査の簡易化が進む中、不法入国の新たな手口とみて関係当局は警戒する。
 (中略)
 入国管理局は、テロ対策などとして19年から入国時の顔写真撮影と指紋採取を義務付けたが、昨年1月、クルーズ船客を対象に写真撮影を省略する制度を本格導入した。
 (中略)
 訪日客の経済効果は見過ごせず、審査簡易化の流れが変わる可能性は低い。(8月20日付 産経WEST)』

 …内需喚起、基軸通貨=ドルの確保、円転しての国内消費。
 或いは、日雇い労働力の確保か?
 そのためには治安も、いいや、法も捻じ曲げる外務省。
 
 鈴木江理子教授(移民政策:国士舘大)の弁―『「審査が緩いと思われれば(クルーズ船を利用した)不法残留者が増える可能性もあるが、訪日客増加による経済的メリットも踏まえて対応を検討すべきだ」と話す。(同)』
 
(オワコンの)爆買い&労働者供給源>法と治安、ですか?
 不法移民、続出ですなw

2. 旅館法規制緩和と民泊推進

 『政府は国家戦略特区で一般住宅に旅行客を有料で泊める民泊を短期滞在客向けにも解禁する方針だ。
 同じ住宅に6泊7日以上滞在する客に限定した日数要件を今秋にも2泊3日以上に短縮する。
 特区以外ではホテルや旅館が技能実習制度を通じて外国人をより活用しやすくするなど規制緩和を検討する。(8月30日付 日経)』

 …ほう、不法移民はここで仮滞在して、職業訓練やお仕事に向かうのねw

3. インバウンド消費の拡大

 …観光だろうが爆買だろうが、政府は2020年までに4000万人の外国人を受け入れるそうだ。
 人口の3分の1、街を歩けば4人に1人は外国人、か。
 外国人参政権、人権擁護法(※1)、法制化、だな。
 日本は、外国人のための国になるのか。
 そしてそれを批判したら、「差別ニダ!」となって刑事罰を適用されるwwww 

日本がこのような政策を展開して、一番多くやってくるのは何処の国民か、わかるな?
 彼等は自国経済の崩壊と構造改革で生まれた、事実上の〝経済難民〟だ。そして日本は、この種の難民の受け入れは禁止しているが、現在、上記のように日本の入国管理はザルになりつつある。
 そして彼等には、本国より〝国防動員法(※2)〟という法律が適用されている。


 ※1…既に全国479の自治体で条例化されている。

 ※2…2010年7月1日、( `ハ´)にて制定。〝北京政府が任意に指定する〟有事の際、『全国民が祖国を防衛し侵略に抵抗する』ため、あらゆる私有財産と社会インフラの全てを国家の統制下に置き、国内外に住む〝( `ハ´)国民すべて〟を〝人民解放軍〟兵士として徴用することが出来る法律。
 そして簡易ビザで日本へ来ることのできる( `ハ´)人は、今や1600万人を超えている。


3. 都市インフラ再整備とマイナス金利、そして株高円安

 …金融政策が円安を呼び、マイナス金利は不動産取得を容易にし、インフラ再整備の財政政策は、都市部を中心に土地資産価格を上昇させる。
 


 ( `ハ´)はこれを投機対象として、自身の資産にする。東京はじめ都心の高層マンションなどは、( `ハ´)の共産党上層部が丸ごと買い占めてオーナーとなっているところも多い。
 もしここへ、( `ハ´)が〝家族や親戚(※)〟を滞在させたりすると、日本の背負う潜在的リスクはとてつもなく大きくなる。

※…日本は( `ハ´)にマルチビザを発行している。彼等は日本全国のあらゆる空港・港湾から、彼等の血族を簡易審査で入国させることが出来る。これが前述国防動員法とリンクすると、このマンションはたちまち人民解放軍の拠点となる。


4. コンセッション

 国であれ自治体であれ、公の資産(総じて固定資産やハードウェア)の運営管理を民間に委託する規制緩和、これをコンセッションという。
 〝規制緩和〟と〝財政の健全化〟の名の下に、これは現在、ちょっとしたブームとなっている。
 例えば経済特区である福岡市においては、入国手続きの待ち時間を短縮して〝より多くの外国人に来日してもらう〟ため、入国管理手続き業務の運営も簡素化する。
 そしてこの空港を運営するのは、2018年には〝民間企業〟となる。

 現在、世はM&Aブーム。
 コンセッションを展開している民間企業も、いつ外資に〝食われる〟かわからない時代だ。
 特にマイナス金利、異次元緩和で円安を迎える日本企業は、格好の標的となる。

 そして現在の世界のM&A市場で、一番猛威を振るっているのが( `ハ´)だ。

  

 想像して欲しい。
 ある日M&Aにより、日本の港湾や空港を運営している会社が、( `ハ´)など敵性国家に買収されたら!
 そして前述、国防動員法が発令されたら!
 その運営会社は、実質的に〝中国共産党〟の支配下に置かれる。
 その施設は、事実上人民解放軍の基地となる。
 日本は、自衛隊の出動もなく、経済レベルから本当に侵略されてしまうのだ!

コンセッションもまた、日本という国を破壊する。

5. 6月の成長戦略

 財政政策やコレに基づいた規制緩和。他にも売国政策は多々あるのだが、数え上げたらキリがない。



 ここでは〝移民政策の実現〟を担保する、気になるものを3点ほど挙げておこう。

 ・外国人向け大規模病院の整備

 …2020年には外国人の受け入れ対応可能な大規模医療施設を全国に100箇所整備する。
 これは完全に長期滞在を前提とした財政政策だ。外国語による院内情報の表示インフラを完全整備し、受付にも英語、中国語、韓国語などを話せる専門スタッフを置くことが義務付けされる。
 勿論そのコストは、日本人受診者の診療費や税金で賄われる。
 確かに少子化で運営が危ぶまれる小児科や産婦人科などには歓待される制度ではあるが。

 ・相続税の減免措置

 …これは完全に移民政策だ。
  〝相続税を減免する〟ということは、外国人の〝世代にわたる実質永住〟を〝政府が担保〟する、ということだ。具体的には、日本国内に居住している外国人が死亡した場合、その資産相続には海外資産も課税対象とされていたものが、この措置が実行されると、それが除外されるのだ。
 一方で平成27年より、日本人への相続税課税は強化されている。そして勿論、日本人が死亡した場合の相続税算定には、〝海外資産も含まれる〟のである。
 メディアは殆ど報道しないが、まさしくこれは〝在日特権〟である。

 ・外国人ヘルパーの受け入れ

 『神奈川県や内閣府などは27日、国家戦略特区を活用した外国人による家事代行サービスを手掛ける事業者として3社を認定し、通知書を交付した。黒岩祐治知 事は「女性にもっと活躍してほしいが現実問題、家事に追われて十分力を発揮できていない。日本の労働環境が大きく変革することを目指し成果を上げたい」と 述べた。(7月28日付 日経)』

 …外国人による犯罪に対する抜本的対策もないまま、ヘルパーを個人宅に受け入れる。要介護認定されたお年寄りの家庭では、窃盗など起きても、犯罪が起きたことにすら気がつかないかもしれない。

 



 狂気の沙汰だ。
 国の経済を、そして財政を守るためには、売国も辞さない、か。

 狂気…狂わねば救えないほど、日本という市場は泥沼に嵌っている、ということか。
 本来は経済って、国を、社会をより良く保つために存在するんだよね。
 経済の生きる場所、市場。

 しかし、日本人は自らの手で少子化を生み出し、市場を縮小させてしまった。
 ゛責任者は、他ならぬ日本国民自身。

 〝日本を取り戻す〟には、時間が経ちすぎた。
 他に選択肢は、ない。
 彼はこう言った。『この道しかない』と。

 これは贖罪なのか…。
 

(前編 終わり)
Posted at 2016/08/31 13:27:12 | コメント(0) | トラックバック(0) | 任務 | 暮らし/家族
2016年08月27日 イイね!

2016年夏、ポリシー・ミックス、その裏に見える危機 ~第四章 日銀への不安~

【はじめに】

 経済ネタ、やはり嫁にはまったく受けないw
 彼女は、安いからといってイ○ンとかでは絶対に買わない、ある意味ハイエク経済学(※1)の実践者でもあるのだが、そのような日常行動を文書化したのを見ると〝眠くなる〟らしい。

経済ってのは私たちド素人が国益に直接かかわることの出来る行為なんだが、やっぱりダメかなあ。
 
 ま、私としては、(以前某氏も仰ってたが)ブログ化する、というのは自分の考えを整理するために行ってる行為だから、嫁ウケはどうでもいいのだけど…無料でジャスミンティー(※2)飲ませてるようなものだし、家計負担は減っているw
 

 ※1…グローバル経済を優先せず、同じ法制度や文化の下での自由競争を唱えた。今日のブロック化経済の先駆者である。価格がすべての経済を規定する、という考え方(社会主義経済)も断固として否定した。
 安いからといって嫁がイ○ンで買わないのは、「何処で作ってるかわからんものを食いたいか?」だそうだ。正論である。

 ※2…『ワタシラシク イチニチヲオエタイ』…〝私らしくwww〟 スイーツ(糞藁)臭満艦盛の亡国歌である。ちな、ウチの嫁は尾崎亜美は勿論、平松愛里とか竹内まりやとかが大嫌いである。


【二人三脚となった日銀と政府】

1.日銀の独立性

 日本銀行法第3条の第1項には、以下のような条文がある。

 ・『日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない』
 ・『日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない』

 そもそも日銀含め中央銀行には、
 〝物価を安定させる〟
 〝通貨価値を安定させる〟
 〝その国の信用秩序の維持〟
 という大義がある。

 それとは反対に、民主主義制度下における政府というものは、ともすれば景気浮揚のために金融緩和に走りたがる。

 金融緩和は短期的な政策としては有効だが、中長期的に展開するとデメリットが多い。例えば、度重なる金融緩和は恒常的な物価の上昇をもたらす。

  緩和が常態化すると…
 ・国内的には〝この先もずっと売買価格は上がり続ける〟と思い込むようになる。それはバブルとなり、〝働いても働いても買えない〟という悪循環が起こる。
 ・さらに、貿易相手国を中心に世界中からは〝あの国は為替操作をして輸出を奨励している〟と認識され、〝どうせこの先もこの国は緩和を続けて通貨価値を落とし続けるだろうから、今、代金決済にこの国のお金を貰うと損だ〟と思われる。
 結果その通貨に対する信認だけでなく、その国そのものにが愛想をつかされる。 そうなれば取引をしてもらえなくなるし、その国の通貨は価値を失い、大暴落する。そうなれば国内的にはハイパーインフレの到来である。

  で、このような政府の〝愚民政策〟を止揚するために存在するのが中央銀行であり、彼等は政府の〝お目付け役〟兼〝引止め役〟の御旗をもっている。これを担保しているのが、〝中央銀行の独立性〟である。

 日本でも1997年に成立した新日本銀行法の下で,政府(大蔵大臣:当時呼称)の日本銀行に対する命令権や総裁解任権の廃止等,日銀の独立性強化が図られている。

 ところで、今年の10月から( `ハ´)が、人民元のSDRバスケット(※1)入りをIMF(※2)に認めさせているが、上記理由から先進国において人民元はまったく相手にされていない。
 何故( `ハ´)が相手にされないかと言うと、人民銀行が北京政府のつまり共産党の傀儡であるため、上記独立性を有していないからだ。
 人民銀行が北京の傀儡であるということは、( `ハ´)は国内景気対策のために自由に為替操作ができることを担保できている、ということだ。これでフェアーな自由競争など出来るワケがない。だからまともな国であればあるほど、人民元など信用しない。
 仕方なく( `ハ´)は途上国相手にAIIB(※3)をつくった。

 
 ※1…IMF加盟国の特別引出権。ドル・ポンド・円・ユーロ・人民元(10月から)で構成する通貨バスケットを自由利用可能通貨とし、1ドル単位で毎日、相対的な通貨価値を決める。IMF加盟国はこれらを決済通貨として融資を受けたりするわけだが、基本通貨バスケット内の通貨は公明正大で透明性が高く、為替安定に貢献できるよう当該国の信認が高いことが要件とされる。
 ※2…ブレトン・ウッズ体制下でつくられた、加盟国相手の貸し出し基金。ドルの力の象徴。
 ※3…アジアインフラ銀行。事実上、( `ハ´)の植民地代金決済銀行。パキスタンとかバングラデシュとか、( `ハ´)の目の上のタンコブたるインドを包囲するための一帯一路構想実現のために作った。投資先には「港を作って貿易で豊かにするアル!」とか「道路を整備して中央アジアに大動脈を作り、共に栄えようアル!」とか甘言を弄しているが、投資したら自分の国の不動産会社と海運会社で牛耳るのが見え見えである。
 

 2.日銀の独立性に不安

 上記のように中央銀行の独立性というものは、その国の通貨価値だけでなく国際的な信用までをも担保する、大変重要なテーゼである。

 しかし、それがここへ来て揺らいでいる。
 
 例えば、前章【7月29日の反省】で、私は日銀の政策の規模の小ささを指摘した。
 しかしそれは、単に量の問題だけではない。
 本章において指摘したいのは、もっと深刻なことだ。

 7月29日、日銀が行った緩和は、ETFの買い増し2.7兆円のみ。
 日銀は〝デフレ脱却〟のための金融政策は、何かしたか?

 他には〝何もしていない〟

 角度を変えてみると、これは株価のPKO(※1)ではないか?と思えてくる。

 投資家から見たら、日銀の目標が〝株価目標〟になってしまったかのように見えたことだろう。
 諸外国経済相から見たら、政策実現のための経済浮揚という政府の戦略に、日銀が踊らされているかのように見えはしないか?

投資家は喜ぶだろうが、為政者から見たら、日銀は政府の言いなり…つまり、
〝日銀の独立性は何処へ行った?〟
ということになる。

 前章で述べた、ヘリコプターマネーだってそうだ。

 8月2日の黒田麻生会談。
 ここで政府と日銀は、超長期40年国債の発行と、その引受けを約定した。
 
 さすがに直接引受けにはしなかったが、これ、事実上の政府圧力ではないか?
 これによって、日銀の独立性に疑問符がついただけでなく、日本は財政信用を著しく損なったことになりはしないか?

 折から8月10日には、財務省が〝政府借金が1053兆4676億円になった(※2)〟と発表した。




 そこへ〝政府主導〟で、本質的には永久債たる〝ヘリコプターマネー〟。

 前述のように8月3日、報道発表と同時に長期金利はハネ上がった。
 利払いが膨らむ、ということは、国債の資産価値はタコ足化した、ということだ。
 それは市場において、国債の信認がぐらつくことを意味する。

 ヘリコプターマネーが発動し、円の信用失墜が常態化すると、市場は円=日本経済そのものの持つ潜在的回復力を信じなくなる。
 「日本の政府は景気が悪くなったら国債を発行し、日銀にヘリコプターマネーをばら撒かせれば済む、と思っている」
 市場がそういう認識を持ったら、日本経済に投資する者はいなくなる。
 そのとき、日本では円売り、国債含む公債売り、株や社債の売りが嵐のように吹き荒れ、上海のオフショア市場(※3)が大崩壊した1月と同じ…いや、それ以上のことが起きるだろう。
 スタグフレーション(※4)が猛威を振るい、購買力を失った企業や家計をインフレが直撃する。だが、それを救済する力は政府には既になく、社会不安が一気に現実化する。

 だから〝日銀の独立性〟は、取り繕ってでも確保し、たとえ緩和の本質がヘリコプターマネーであっても、政府や日銀はこれを〝違う!〟と力説しなきゃならない。
 前章で述べた〝国債金利の上限設定〟や〝40年超長期債買入〟は、質のうえではヘリコプターマネーだが、政府や日銀が決してそのような言い回しをしないのは、このような理由があるからだ。

 そこへ、ノブテルの阿呆が…!!
「政府と日銀が一体となって (ฅ`ω´ฅ)キリッ!」




 …これじゃ、シナと同じじゃねえかよ (-”-;A
  

 ※1…プライスキープオペレーション。国による民間企業の株価操作。
 
 ※2…例の〝対外純資産〟とか〝95%は国内消化〟というまやかしに対する謎解きは第5章でする。現実には、財政破綻はしないが、間違いなく日本の経済は財政レベルから危機的状況に陥っている。

 ※3…ある人が海外投資を行うとき、その運用や投資に対するルールや課税方法などが、その人の住む国内のそれではなく、投資先の国の基準で適用される市場のこと。パナマ文書で有名になったケイマン諸島や香港市場などが有名である。

 ※4…インフレ下での景気悪化。


 3.疑心暗鬼

 「政府と日銀が一体となって云々」

 吐いちゃいけないこの台詞を吐く方も吐く方だが、では、そもそも何でこんな台詞が出るのだろうか?

 それは、日銀のCPI(※1)目標管理への認識の甘さに、政府が業を煮やしていることの表れではないか?

 日銀は7月29日、2017年度のCPI伸び率を1.7%と予想発表した。それでも目標の2%達成は「2017年度中」。
 一方、政府の発表は1.4%。



 どっちも現状(6月は前年比0.5%低下)考えたら「無理だろ?」ってところだが、『もはや2%目標と歩調をあわせた数値とは言い難い。(8月2日付 日経)』

 で、業を煮やした政府が、日銀に圧力をかけた、と。
 曰く「俺の言うことを聞け!」と。

 で、出てきたのが前章『2016年夏、ポリシー・ミックス、その裏に見える危機 ~第三章 第一の矢=金融政策~ 【まだ終わりじゃない~まとめにかえて~】』で述べた、金融政策の〝量〟から〝質〟への転換。
 
 再々になるが具体的には
 ・(永久債=超長期債買って)ヘリコプターマネーやれ!
 ・国債購入の年度計画打ち出せ!
 ・長期金利に天井設けろ!

 ってやつだと思う。

 もうね、「一体」どころか「強制」だわ。
 黒田総裁、何か弱みでも握られてるのか?
 それとも政府と日銀は、最後の機会として〝なりふり構わず(※2)〟となっているのか?

 上記3つの金融政策どれかやったら、日銀の独立性は有名無実化したと思ってもいいと思う。
 それは日本への信認が揺らぐことにつながり、国債金利が跳ね上ったら要注意だ。
 
 
 ※1…消費者物価指数。家庭で買ってるもので生鮮食品以外全ての値段がどれくらい上がってるか下がってるかを示す。
 ※2…日本周辺の事態を考えたら、おそらく此方だと思う。そのために前々エントリー『警告』を綴った。


【そもそも国債は大丈夫か?】

 政府がそして日銀が、いいやそれらを包括する日本と言う国が〝なりふり構わず〟の状態にあるとしたら、それは〝一時的には〟私も同感だ。

 最終章で私の真意を明らかにするが、私の思想の根底には、ハイエク(※1)の〝秩序ある自由〟と、佐伯啓思(※2)の〝フロンティア経済〟を両立させた、〝経済による安全保障〟がある。
 経済は、それがミクロであろうとマクロであろうと、自国を破壊してはならないし、寧ろ積極的に戦略的に、〝国家を守る〟ものでなくてはならない。

 しかし、〝一時的な対処療法〟を〝根治療法〟と履き違えれば、それは国家を破壊してしまう。首を毒蜘蛛に噛まれた患者の傷口をナイフで切り裂いても、毒は吸い出せても命の危機が去ることない。切り裂いた傷口が大きければ、寧ろ失血死のおそれが出てくる。

 ここでは、現在展開されている金融政策が常態化した場合の危険性について述べる。
 
 ※1…Friedrich August von Hayek 器《Utsuwa》が専攻したレギュラシオン経済思想の大元。市場は文化や民族性によって異なるのであり、そこで生まれた夫々の秩序が法を作る。世界はそのような多様性を崩してはならない、という考え方。

 ※2…資本主義の本質は無限の拡張であり、もし拡張の場がなくなればそれを創り出しつつ発達するものである。人間は目標との距離があるからこそ努力するものであり、その実現こそが幸福の最大追求である、という考え。


1.国債買入の岐路


 2013年4月からの日銀による〝異次元の〟金融緩和。
 
 

 3年4ヶ月にわたる日銀の国債買受オペレーションで、ついに7月末時点では、日銀国債保有残高は380兆円を超えた。前年比で33%の増加…これは市場にある全国債の34%を日銀が買受したことを意味する。
 黒田総裁就任時点、日銀の国債保有残高比率は13%だったのだから、この3年半で日銀は2.6倍の国債を買い受けたことになる。ちなみに、同じく大規模緩和を行ってきたアメリカやECBでさえ、中央銀行の自国債保有比率は10数パーセントだ。このままでいくと、2018年には日銀の国債保有比率は50%を超える。

 ↓対GDP比で表しても、日銀の国債保有率は〝異常〟だ。


 
 返せるんか!?コレ。
 細切れで返せば良い、とかいうバカがいるが、こんなん利払いだけでも大変だし、細切れだって重ねて積もればとんでもない年払い額だ。

 私は前章『2016年夏、ポリシー・ミックス、その裏に見える危機 ~第三章 第一の矢=金融政策~  まだ終わりじゃない~まとめにかえて~』にて、「国債の3分の2はなお市場にあり、限界に達しているとは考えていない」との黒田総裁の言葉を紹介した。
 また日銀は、8月24日には25年債を2000億円買入、8月26日には、物価連動債(※1)も購入した。

 本気度は変わらない、とのアピールであるが、こんなの国、というか〝政府が返せない〟のは当たり前のハナシで、そんな不良債権度満々の債券、日銀はいつまで買う気になってるんだろうか?
 というか、民間企業である市中の機関投資家や金融機関は、こんな時限爆弾を買う気になるのか?

 これも前章で述べたが、8月2日、市中銀行による国債の買入が不調に終わった。
 7月29日の金融政策決定会合発表での、〝日銀国債買入増額なし〟、の報を受けた市中銀行が、政府からの国債の引受けを渋ったのだ。
 彼等は、日銀の国債買入〝鈍化〟を危惧して、つまり「国債については〝安定顧客〟たる日銀がいよいよ〝テーパリング〟に入ったのではないか?」と危惧し、国債価値の下落を心配するようになり、国債の在庫削減=即ち〝買わない〟に入ったのだ。

 財政問題満艦飾である日本政府、ここが発行する日本国債の価値の低さ。
 普通なら市場はこれを求めはしない。
 しかし、中央銀行である日本銀行がこれを〝買い取り保証〟しているからこそ、市場は安心して〝買う決断を下す〟ことが出来る。

 しかし、もし日銀の〝買い取り保証〟に疑念が生じてしまったら?

 結果、前章で述べたように10年債長期金利が〝たった1日で0.1%〟も急上昇した。


 

 また、あまりマスコミが採り上げなかったためか大きな騒ぎにはならなかったが、この空気に追い討ちをかけるような報道もある。

  『三井住友フィナンシャルグループは13年3月末の26.2兆円から14年3月末で13.8兆円まで減らした(三井住友銀行単体ベース)。金額にして 12.4兆円、実に約5割の減少だ。一方、みずほフィナンシャルグループは8.8兆円(みずほ銀行とみずほ信託銀行の2行合算ベース)、三菱UFJフィナ ンシャル・グループは8.1兆円(三菱東京UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行の2行合算ベース)減らした。(2014年5月16日付 東洋経済)』
  
 『三菱UFJ銀、国債離れ 入札の特別資格返上へ
国債の安定消化を支えてきたメガバンクの「国債離れ」は、市場から大量の国債を買い上げてお金の量を増やしてきた日銀の異次元緩和に影を落とす。(中略)
 銀行はかつて国債の最大の買い手として安定消化を支えたが、いまや国債を購入するメリットは薄い。利回りの低さに加え、金利がひとたび上昇すれば多額の含み損を抱えるリスクもあるためだ。(中略)
 だが民間の担い手が減れば、中長期的な国債の安定消化には影が差す。(6月8日付日経) 』
 
 『国債入札には同資格がなくても参加することはできる。ただ、日本銀行による異次元緩和やマイナス金利政策の導入の下で、落札利回りは10年物までマイナス化しており、償還まで新発債を保有すれば損失が発生する運用環境となっている。(6月8日付Bloomberg)』
 
 上記だけでなく、今や国債を買わないどころか、〝手放す〟流れさえ形成され始めている。
前章で私は、日銀内の(一部の)当座口座にマイナス金利が適用されたことを述べた。
 この〝一部〟ってのは、額面でいうと10兆円くらい、あまりにも少ないレベルだ。
 しかしこれに〝アベ政治を許さない〟マスコミが食らいつき、まるで〝日銀内の全ての口座にマイナス金利がかられけた〟かのように誇大放送をした。

 結果、金融セクターの株が大きく値を下げた。
 そして、日本経済の将来への不安から、長期10年国債の利回りもマイナスになった。

  私はマイナス金利についてはそれなりに評価しているが、前章でこれが銀行収益を圧迫する、という暗黒面も述べた。

 各銀行は現在、マスゴミのマイナス金利報道の誘導で、株価が低迷している。
 (一部とはいえ)利回りがマイナスになってしまった、つまり〝持っていれば持っているだけ、評価の上がらない国債価値を金利が食っていく〟ことに加え、市場が金融株を避けてしまった。
 各銀行は自社株対策として、国債を手放し始めている。

 特に9月の中間決算、3月の期末決算時においては、この流れは顕著になるだろう。

 確かにこれは、〝日銀が買い受ける〟という保証がある限りにおいては、マイナス金利政策の狙い通りではあるのだが…日銀は、いつまでこれを実行してくれるのか?


 ※1…物価が上がると元金がレバレッジされ、下がると価値が下がる。

 ※2…現在このプライマリディーラー資格を有する金融機関は、三菱東京UFJ銀行除いて21社。このディーラー資格を有する金融機関は、国債入札の際に発行予定額の4%以上の応札が義務付けられているが、そのかわり財務省の役人と直接、今後の金融政策などについて話すことができる、というメリットもある。
 ちな、市場での国債消化の9割近くが、このPD制度によって担保されていた。
 蛇足ではあるが、この資格を返上したのはMUFGのなかでは銀行だけであり、モルスタ一派は依然資格保持者だ。にもかかわらず、市場がこれだけ反応するってことは…(お察しください)


2. 国債の買い手不足=供給過剰

 現在日銀は生存のジレンマにある。

 〝独立性〟を取って〝中央銀行の信認〟を保つか?
  それとも、国債を買い続けて〝日本の財政を担保〟するか? 

  前者を取れば、日本国債のリスクを回避することで、日銀そのものの破綻を何とか防げる。が、(日銀の撤退で)買い手が激減した日本の国債価値は暴落する。それは日本の財政を破壊する。
  後者を取れば、(市場からリスク過多と見られ)日銀の信認は失墜し、決済通貨としての円は価値を失っていく。それはつまるところ超円安を意味し、日本の名目借金は減るが、国内には超インフレの嵐が来る。
  
 どちらを取っても、日本の経済は壊滅する。
 
 進むも地獄、戻るも地獄。
 それが日銀の置かれた立場。

 それでは、ダメージを少なくするためにはどうすればいいか?

 それはズバリ、〝先延ばし〟だ。

 経済が壊滅する、という最悪の事態におけるダメージが発生することを少しでも先延ばしして、国内にその〝備え〟をさせる。

 戦略的な意義としては、これが最善だろう。

 それにはやはり日銀は、国債を買い続けるしかない。
 それが日銀自らをして、国債の〝不良債権化〟を先延ばしすることになる。

 しかし、〝その日〟はいつか必ずやってくる。

 これも前章内で指摘したが、私の試算では、現状年間80兆の買入ペースが100兆になっても、日銀は国債を2018年の秋くらいまでは買受できる。

 だが、その先は…恐ろしい。

 日銀が国債を買受せず、(当然ではあるが)市中金融機関これに習った場合…つまり〝国債デフレ〟が生じたとき、経済はどうなるか?

 ちょっと参考になる国内事例がある。

 ご存知だろうか?
 実はそう遠くない過去に、日本は〝国債の消化不良(※1)〟を起こしかけた、という事実を。
 
 2002年9月20日のことだ。
 日本の国債は、入札に際して発行提示額を割り込んだことがある。
 そこに至った経緯を以下に述べる。
 諸氏には是非、これまで説明した現在の金融政策の状況を思い浮かべながら読み進めて欲しい。

 2002年9月18日、日銀の速水総裁は、折からの金融システム安定化に向けて、日銀による大規模な、単独株直接買いを発表した。

 その結果、市場は不安になった。

 ・株というリスクの高い資産を日銀が買うということは、好景気のときは日銀の資本価値を増やすことも可能だが、不景気になればこれは逆作用をもたらす。
 ・もしそうなれば、日銀の資産内容は一気に悪化し、それが日本銀行券つまりお札の価値を落とす。
 ・そうなると日本という国から国内外に支払われるお金に対する信認が低下する。
 ・当然お札の発行母体である日銀への与信が低下し、決済通貨としての円を求める動きが減退していく。
 ・結果日銀の資産内容は更に悪化し、保有する国債にも悪影響を及ぼす。

 この不安が、国債を含めた政府系債券価格の値崩れを引き起こした。
 政府が提示した入札額面を、市場は受け入れられなかったのだ。

 それは円安を呼び起こした。8月に入り市場で日銀の単独株買入が報道され始めると、対米ドルでそれまで117円台だった日本円はジリジリと値を下げ、123円台に到達した。たった2週間で円は6円も下がったのだ。
 株価は日銀の買入と円安を受けて殆ど影響を受けなかったが、それでも発表前は9200円台だったのが発表翌日には9600円へ、そして一週間も経たないうちに9100円へと乱高下した。
 深刻だったのは債券だった。
 速水総裁発表直後、債券先物は1999年6月11日以来のストップ安をつけた。これを受けて日本証券取引所は、この時から中期国債先物と超長期国債先物取引を休止、超長期先物についてはこの後、2014年の4月まで取引が再開されることはなかった。

 ちょっとした日銀の動きと、金融資本主義の生む市場の空気が、日本という国の価値を簡単に貶めたよい実例である。 
 
 この事態を収めたのが、〝ある方法〟だ。
 
 それは即ち、〝国債引き受けシンジケート団(※2)〟による国債引き受け。
 国債引き受けシンジケート団、この存在により、このとき日本政府は救われたのだ。

 もしこの機関が存在していなかったら、国債は本当に〝札割れ〟をし、国債デフレのもと日本の長期金利はなし崩しに上昇し、円は暴落して、看過できないインフレが起きていたかもしれなかったのだ。

 シンジケート団様様である。

 駄菓子菓子、2016年8月現在、〝リスク覚悟で〟日本の国債を引き受けることができるのは、日本銀行だけだ。
 実は、国債引き受けシンジケート団は、2006年を以って解散している。
 
 
 ※1…これを国債消化の未達という。政府が発行した国債が市場で売れ残ること。その場合、当然国際価格は暴落して、相対的に長期金利が暴騰する。

 ※2…国債を引き受けるため、民間金融機関が資金を出し合ってつくった共済組合みたいなもの。シンジケート、というとなんか悪いことをしている集団のイメージがあるが、このように正義の味方みたいな組織もある。


3.国債の品不足=買いたくとも買えない

  商品の効用(=価値の満足度)が高く需要も多い場合、市場流通量が枯渇気味になれば、その価格は上がる。
  しかし記述のように、少子高齢化で構造的な市場縮小傾向が決定的で将来を悲観しされ、かつ財政規律がボロボロの日本政府を頭に置く日本国債の価値は、相当低い。
 そのような〝商品〟は、流通量が減っても価格は上がらない。寧ろ市場は別の商品に目を向け、そちらを買おうとする。そうなると、その商品の価格は更に下落する。これを経済学では〝価格の需要弾力性〟という。

 市中銀行、という〝市場のプレーヤー〟から見放されたら、日本国債の価格は〝堕ちる〟。
 自由競争下の市場プレーヤーは、買いたくないものは買わないし、より価値のあるものに投資する。
 日本の国債を〝直接買い受け〟しているのは、この市場プレーヤーだ。
 そして彼等は、日本国債の〝商品性〟に魅力を感じて投資をしているのではない。日銀と言う〝中央銀行〟が〝買受を約束してくれる〟というリスクヘッジがあるからこそ、彼等は国債の買受を続けている。
 そのリスクヘッジがない場合、日本国債を購入する価値はあるのだろうか?
 
 一方、日本国債の内容がどうであろうと、それを〝無条件〟で買受できるのは日銀だけだ。
 
 その日銀が今、ジレンマに陥っている。
 日本を救うか?、それともコンプライアンスに従うか?

 そして日銀は、(短期的かつ対処療法的にではあるが)日本を救う道を選んだ。

 ところがそこへ、もうひとつの問題が訪れつつある。
 それは政府や日銀に内包される問題ではない。

 市場の問題だ。

 リーマン・ショック後の金融資本主義下において、中央銀行が協調的に国債を買い続けるインフレ政策は、市場の通貨供給量を増やし、購買力を底上げし、デフレを破壊する。〝対処療法的に〟経済を下支えする、という意味では、これは正しい。

 しかし、なかなかインフレターゲットが達成できないからといって、国債を買って、買って、買いまくったらどうなるか?




 当然、国債の市場での〝流動性が枯渇〟する可能性が出てくる。

 その場合もやはり、市場に〝日銀の国債買取が終わる〟という悲観論が渦巻き、緩和の終焉が株価を押し下げ、成長を下降させていくだろう。

 ・元手の国債が市場で枯渇気味となれば、緩和は最早不可能。お金はより成長期待の大きい市場を求め、企業はじめ資本は海外へ出て行ってしまう。所謂キャピタル・フライトだ。賃金は上がらなくなり、国内企業の設備投資も停滞する。
 ・政府は財政政策の財源を失い、少子高齢化でもともと先細りの内需は、更に荒れ野と化していく。この時点で失業率がどんどん伸びていく。
 ・発行済み国債や公債、政府系機関債の償還や利払いの財源がなくなる。借金を返すための債券発行が滞るなか、政府は超長期というごまかし文句を捨てて、〝正真正銘の〟ヘリコプターマネーを日銀に刷らせる。
 ・或いは緩和で流したマネーを逆流させようとして、緊縮財政となり、社会保障も縮小される。そして課税を徹底的に強化する。消費税など20%クラスになるかもしれない。日銀は金利を上げて金融機関に貸し渋りをする。運転資金不足で倒産が増える。
 ・或いは自棄糞で、政府は更に国債を発行するかもしれない。目的もなく、金融緩和のためにw

 いずれ策を講じても、国債の価値は下落し、相対的に金利は上がり、インフレが止まらなくなる。行き着く先はデノミで徳政令か、或いは衆愚政策を続けて財政破綻か…。

 このままでは、金融資本主義に依拠したままでは、日本経済は自滅していく。
 
 上記 『1.国債買入の岐路』で述べた、『急上昇する国債利回りとボラティリティ』などは、この予感が生んだ産物だ。

 これも前出したが、国債の増発ペースが現状のままで、かつ日銀の買受が年間80兆円のままの場合、市中で日本国債の流動性が何とか確保できるのは、2018年の秋くらいまでだ。
 


 その頃には、日本の金融政策は段階的に、市中と対話を重ねながら、根源的な見直しをはからねばならなくなるだろう。

 上記のようなカタストロフを迎えないようにするためにも…!!


【マイナス金利が効かない!?】

 私がマイナス金利を評価していることは、既に述べた。

 しかし、マイナス金利の〝心太効果〟は蓋然性を持ったものではない。
 それは、企業や家計が〝押し出された心太マネー〟を市場へ流通させず、〝手元へ置いてしまう〟ことで起きる、もうひとつの〝流動性の罠〟が考えられるからだ。

 大口の預金について銀行に置いておいても、マイナス金利が手数料の上乗せを呼び、金額が目減りする。
 だが、家計では政府に対する不信感や将来の不安から箪笥預金が増えるだけ。 企業では少子高齢化で縮小する日本市場に成長性を見出せず、投資は海外へ向かう。
 いずれもキャッシュに流動性をあたえない=国内の投資や消費にカネが回らない。
 これがマイナス金利が効果を出さないメカニズムだ。

 ま、現在の日本、実はこれが既に起きてるんだけどね。



 更にはバーゼル条項を適用されて資本規制を受けている金融機関は、もっと守りに入る可能性が高い。
 現に彼等は、マイナス金利を適用された本年1月29日以降の国債売渡金当座口座(※1)からは資金を移動させたものの、そのお金をそのまま日銀内の別の当座預金口座に移動させているのだ。
 
 流動性の罠を解決するためのマイナス金利が、実は流動性の罠を呼び込んでいる、という皮肉。

 マイナス金利は銀行口座預金に流動性を与えることは出来るが、このレベルになるともう、手の施しようがない。

 日本のDFPの60%以上は内需で構成されているというのに、それが自らの意思で硬直してしまっている。

 これを動かすこと、つまり内需マネーに流動性を持たせるには、社会の不安や政治的な危機を払拭するか、政府が需要を創造すべく財政政策を発動〝し続ける〟しかない。

 しかし、社会不安や政治的な危機を解決するには、この国の政治はあまりに突破力を欠きすぎている。何でもかんでもリベラル重視で八方美人を繰り返し、嘘だらけの歴史に謝罪を続け、敵性国家には通貨スワップという追い銭を払い、領海内にミサイル落とされても遺憾の意を発するだけ、日本人よりも外国人を優遇する政治文化を改めるに、あと何年かかるだろう?
 その前に市場は日本を見限ることだろう。
 嗚呼、ドゥテルテの親父(※2)やスシおばちゃん(※2)の有言実行力が羨ましい。


 そして残った最後の手は、ポリシー・ミックス。
 マイナス金利と、財政政策の復活だ。

 内需を喚起するための財政政策。

 次章で詳述するが、これが最後の手となる。
 野党の経済音痴共は〝旧い自民党の復活〟などとほざくが、日本に残された手はもう、これしかない。

 確かにこれは短期的な対処療法であり、財政規律の更なる悪化という深刻な副作用も連れてくるだろう。何より(次章で綴るが)〝売国〟という亡国リスク要素がてんこ盛りである。
 
 しかしもう、内需を喚起するには、これくらいしか手はないのだ。
 
 このまま現金を溜め込むだけでは、年金や保険の積み立てもままならない。
 このままでは、社会保障セクターの債務履行にも影響が出てくるだろう。
 日本企業は、国民は、自己防衛という近視眼に酔って、自分で自分の首を締めていることに気がついていない。

 今は将来のためにこそ、お金を使わなきゃならんというのに!!!!
 
 ※1…実は日銀において各金融機関が設けた当座口座のうち、額面で言えば1割に満たない金額にしかマイナス金利は適用されていない。それ以外の口座の金利は〝0%<1%〟だ。

 ※2…フィリピンの大統領。麻薬DQNの親玉に向かって「お前を、殺す」と言うわ、1ヶ月で麻薬犯罪者400人を射殺するわ、トドメに「人権ガー!」と文句たれてきた国連に向けて「なら国連辞めるわ」上等をきった。

 ※3…( `ハ´)の違法漁船を片っ端から爆破するインドネシアのおばちゃん。一応海洋大臣である。


【その男、山本幸三】

 さて、ここまで、金融政策―異次元緩和につき、日銀にスポットを当ててその危険性を述べてきた。
 
 諸氏には、

 ・日銀=円の信認がぐらつき始めたこと
 ・日銀の独立性が揺らいでいること
 ・これ以上の緩和には限界があること
 ・それを感じた日銀が、〝量から質へ〟政策転換したこと
 ・しかしそれは、さらに日銀や政府の信任を失いかねないリスクを内在させていること
 ・そのリスクが顕在化すれば、日本経済が崩壊すること
 ・日本の復活には内需の喚起が不可欠であること
 ・そのためにはもう、マイナス金利の拡大とポリシー・ミックスしか残っていないこと

 などをお判りいただけていたら嬉しい。

 ここで強調しておきたいのは、単純な金融〝緩和〟政策には限界がある、ということだ。
 それは〝流動性の罠〟。

 日銀自身が方向性を変えたように、この課題を乗り越えないと、緩和の効果は出ない。

 しかし、である。

 参院選後の第3次安倍内閣で、安倍総理は地方創生・規制改革担当相にある男を任命した。

 山本幸三。

 東日本大震災復興財源を、国債の日銀直接引受(!)で確保させようとした『筋金入りのリフレ派(Bloomberg)』
 アベノミクスを成功させる会、会長。
 異端の旧大蔵族。



 地方創生担当としては、遊休農地の買い上げと大規模営農への集約を提言したり、インバウンド観光と消費を奨励したり、育児を家族から社会へ委譲させることで女性の社会進出を奨励したり、と、まるで竹中平蔵を思わせる発言が多々見受けられる人物だ。

 更には、流動性の罠から脱出するための〝質的〟政策転換を行う黒田総裁に対し、「日銀の伏魔殿に侵されつつある」と発言したり、或いは6月の消費税延期に対して否定的な意見を述べたり。

 私はこの男、とにかく問題が多すぎると見ている。

 最早、単なる〝量的〟緩和では、流動性の罠を強化するだけだ。
 それなのにこの男、未だに国債買入の拡大と規制緩和だけで、インフレターゲットの達成が可能と見ているようだ。
 
 これは国益にはならない。
 山本幸三…この男の言動には注意が必要だ。


【パンドラの希望】

 ほぼ手詰まり感の見えてきた金融政策。
 ただ、まだ可能性はある、と私は見ている。
 ひとつだけパンドラの箱があるとすればそれは、安倍総裁の総裁任期満了が延長される、という報だ。

 安倍総理にしても、経済崩壊を覚悟しつつの総裁任期延長など、絶対に受け入れはしないだろう。
 となると、考えられることはふたつ。
 
 ひとつは、リフレ経済論者の主張を信じ続けて心中すること。
 いまひとつは、必ず日本経済を復活させたうえで増税と緊縮財政を進め、〝日本を取り戻す〟確信があること。
 パンドラの箱…ラプラスの箱(※)の持つ可能性は、勿論後者にある。

 

 後者については、総理がどのような戦略をお持ちなのか、不遜の身では量りかねる。だが総理には何らかの、起死回生の一手がおありなのかもしれない。



 
 私は、それをこそ信じたい。


 ※…起動戦士ガンダムU.C.(ユニコーン) episode1より
 「人間だけが神をもつ。現在(いま)を超える可能性という、内なる神を!」
 「私のたった一つの望み…可能性の獣、希望の象徴。父さん…母さん、ごめん。俺は…行くよ!」
 胸熱シーンである。
 

 第四章 おわり
Posted at 2016/08/28 07:39:00 | コメント(0) | トラックバック(0) | 任務 | 暮らし/家族
2016年08月26日 イイね!

【閑話休題】 ドイツ第4帝国のハナシ

【閑話休題】 ドイツ第4帝国のハナシ経済ネタが終わったらしばらく休憩して、次はEUネタになると思うが、主水さんのところでも取り上げられてたドイツネタ。











一昨日のこと、AFP見てたら

『Germany on Wednesday urged its population to stockpile food and water in case of terrorist or cyber attacks』。

ってのがあった。

以下、AFP日本版より
『ドイツ、冷戦後初の民間防衛計画を導入へ 国民に食料・水備蓄奨励 2016年08月22日 16:09 発信地:ベルリン/ドイツ

ドイツ政府は、東西冷戦の終結後初めてとなる民間防衛計画を今週承認する見通しだ。計画の下、国民は数日分の食糧や飲料水の備蓄などが求められることになる。21日付の地元日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)が報じた。

計画では軍に対する民間の支援を優先事項とし、建築物の防災力強化や医療制度の拡充も図る。24日に政府が承認する見込みという。

 FAZが引用した計画の一節では「従来型の防衛を必要とするようなドイツ領土に対する攻撃の可能性は低い」としながらも、「将来的に除外することのできない、存在が脅かされるような展開に対する十分な備えが必要だ」と指摘。また市民に対しては「10日間分の食糧」や、1人当たり1日2リットル程度とみられる「5日分の飲料水」の備蓄が奨励されるとも記している。』―以上、引用終わり


うわっ!

こりゃ、国家レベルのテロでもあるんかいな !? と。

で、急いで伝手を使ってスイスとドイツ本国の<普通のサラリーマン>あて訊いてみた。

そしたら、以下のことがわかった。
ちょっと順を追って説明する。

1989年から1990年にかけて東西ドイツの統一が進んだ頃、東側のポーランドとの国境を従来のオーデル・ナイセ線↓から見直すかどうか、議論が分かれた。



オーデル・ナイセ線と言うのは、戦後のポツダム協定で連合国が強制的に線引きした国境であり、ドイツ国民としては、国境はもっと東に置くべき、という気持ちがあった。

しかしそれはポーランドとの新たな火種になりかねなかった。
新たな国境紛争を配慮して、西ドイツ政府は1989年に防衛綱領を策定、連邦議会で民間防衛基本法としてこれが可決された。

しかしこれは有名無実化した。
東西統一ドイツにおいて、ポーランド国境は従来どおりオーデル・ナイセ線となり、当面の火種はなくなったためだ。

民間防衛綱領は暫く放置プレイされた。

だが、それから12年後の2012年、当初の法律に謳ってあった〝10年後の見直し〟の期日が迫ってきた。

で、それが今回、見直し改訂版『ドイツ、冷戦後初の民間防衛計画を導入へ 国民に食料・水備蓄奨励』として閣議決定された、というワケ。

つまり、
①ドイツ政府が民間防衛綱領について予定通りに事を進めてたのを、
②フランクフルター・アルゲマイネっていう日刊紙がゴシップ扱いして取り上げ、
③これをフランス左翼政権下の反ドイツマンセー通信社たるAFPが世界中に広めた、
というのがオチ。

ご存知のように、民間防衛綱領の見直しをぶち上げた2012年は、シリア難民やクリミア問題といった移民問題は発生しておらず、ギリシア危機やPIGsなどで噴出したアメリカ債権の不良債権問題のほうが大きかったわけで、ドイツの関心もECBの量的緩和や経済対策のほうが大きかった。

でも、一応見直ししなきゃいけない、という法律はある。
それでドイツとしては、〝一応やっとくか〟となった。

だから、今回のこの件に関しては〝テロや戦争の危機感〟から生まれた話ではなく、予定調和をメディアが煽っただけ、ということになる。

これが、私が現地に問い合わせた結果得た情報。
騒いでるのはドイツ国内じゃなくて、ドイツ以外の世界だったのね。


でも、ね。
これ、捉え様によってはドイツの第4帝国化を加速する、という見方も出来る。

それについては、なぜ識者が、ドイツを〝帝国〟と呼ぶのか?、ということから説明しなきゃならない。

ドイツを〝帝国〟と呼ぶ理由。
それは欧州金融危機以後、ドイツが政略的にEU域内、特にフランスやイタリア、ベルギーを金融政策で〝借金漬け〟にして〝傀儡化〟し、政治的に〝ドイツに従うEU〟を作り上げたため。

そして更に経済面でも、ドイツはシェンゲン協定と€をエサに用いてインフレにあえぐルーマニア、旧ユーゴ、スペイン、そして旧ソ連東欧国の労働力を吸い上げ、(ここがミソであるが)ドイツ本国で働く〝奴隷兼人質〟とし、自国の生産性を高め続けている。



ここで稼いだ富が(最大拠出国たるドイツの言いなりの)ECU(欧州中央銀行)に拠出され、さらにそこからの借金で借金を返し続けている、自転車操業状態のEU域内諸国全てを衛星国家にしていく。

つまり、ドイツと言う国は、ユーロ圏の国々からの労働力を使って富を稼ぎ、そのカネでEU圏の国々を言いなりにさせているのだ。
まるで経済ヤ○ザのやり口。

これを帝国と呼ばずして、何という?

当然、これに反発する連中が出てくる。
ドイツ=EUからカネをもらわずとも、アングロサクソン経済を展開できると踏んだイギリスは、Brexitというカタチでドイツから離れた。
ナチス大嫌い、自由主義の祖国たるフランスでは、民族主義の国民戦線が躍進している。
こういった動きは、スウェーデンやスペイン、オーストリア、デンマークなどでも大きなムーブメントになっている。このムーブメントや、ほぼ無制限だった移民によるスンニ派イスラム原理主義、ISの動向は、テロの脅威を更に高めていく。

だから、報道がなくとも水や食糧、日用品の備蓄なんかは当然、市民意識の中では強化されるだろう。オリンピックを前にして訪日客4000万人を唱えるにもかかわらず、新幹線さえ手荷物検査のない日本とは大違いの危機意識だ。

しかし、イギリスは兎も角、ドイツにカネと人質を握られてる国々は、叫ぶことは出来ても当面離脱なんて簡単には出来ない。
離脱したら、ユーロ圏の経済恩恵が受けられなくなり、借金の返済にも支障をきたすからだ。

先日ブログでも書いたが、メシが食えなきゃ生きていけない。
その意味では、今後EUでは、〝ドイツなしでも食っていける〟連中は出て行き、逆にドイツは〝ユーロ圏に居なければ食えない〟国を更にカネで雁字搦めにしていくことだろう。彼等は治安の悪化を危惧はしても、そこから出て行くことはできないのだ。

つまるところ〝ドイツ第4帝国〟の集約化と、純粋な深化…EUではコレが顕実化していくことだろう。
上記〝加速する〟ってのは、そういう意味。


次からまた経済超大作な。
Posted at 2016/08/26 21:13:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 時事 | 暮らし/家族
2016年08月24日 イイね!

警告

①シーレーン喪失

9月4日と5日に広州G20がある。
その後年末まで、尖閣諸島エリアが非常に危険です。
過去最大の危険度だと思ってください。

シナは、スカボローと南沙で南シナ海を抑え、尖閣諸島を抑えたら、完全にシーレーンを掌握できます!!
武装漁民、つまり“台風避難を名目とした避難民”の上陸です。
西沙諸島はこれでやられました。

尖閣諸島を取られると言うことは、南シナ海から東シナ海、日本海から太平洋に向けての海上輸送航路を、シナに独占されると言うことです。
なぜかというと、津軽海峡は公海であり、日本の領海との扱いがないからです。津軽海峡ではどの国にも航行の自由が保障されています。

だから、南シナ海と尖閣諸島を抑えたら、シナは事実上日本のエネルギー入手経路を確保したことになります。
以前指摘しましたが、そうなると日本のタンカーはオーストラリアから西太平洋を通るしかなくなります。エネルギーコストは最低でも4倍くらい上がります。

さらに言うと、ここが最大のポイントですが、シナが日本のシーレーンを手にいれたい理由は、香港⇔カナダの直接交易ルートを手にするためです。これは台湾を手にせずとも、尖閣諸島を掌握するだけで可能になります。

尖閣諸島は、日本のエネルギー路であるだけではなく、太平洋のチョークポイントです。

繰り返しますが、東シナ海や南シナ海、そして台湾を抑えなくても、尖閣諸島を抑えるだけで、シナは日本を窒息させることができます。

そしてモンロー化するアメリカが、それでも守りたいのは日本ではありません。アメリカが守りたいのは、移民=華僑の“祖国”、台湾です。アメリカの移民は最早マイノリティではなく、相当な票田かつ議会勢力です。

アメリカは台湾のためなら本気になりますが、尖閣諸島のためには本気にはなりません。

また、日本の領空領海内でドンパチが起きた瞬間、日本円と株価が暴落し、日本国債の長期金利が嘗てない規模で高くなります。

何度も言いますが、9月の広州G20の後が危険です!
せめて一人300万円程度はお金をドルに換えておくことをおすすめします。


②テレビ討論を見ていてください

来月にCNNでやります。

ここでクリントンが負けると、アメリカの保護主義は明確化します。
アメリカの利上げは当分なくなります。
1ドルが90円台半ばを切る可能性が高いです。

輸出株を中心に、株価は14000円台を割る可能性もあります。

先述の通り、尖閣諸島危機に備えて資産の半分はドル、トランプ大統領誕生に備えて残りを円のキャッシュで持ちましょう。

以上、出先からなので此処まで。


Posted at 2016/08/24 21:59:51 | コメント(1) | トラックバック(0)
2016年08月23日 イイね!

2016年夏、ポリシー・ミックス、その裏に見える危機 ~第三章 第一の矢=金融政策~

2016年夏、ポリシー・ミックス、その裏に見える危機 ~第三章 第一の矢=金融政策~













【はじめに】

 何故私が尖閣ネタや売春婦ネタなんかを語らず、ここまで経済ネタに拘るかを書こう。

 正直現実、人間ってのは〝食っくこと>信条とか安全保障〟だ。
 そして〝食ってくことが豊かになれば〟支持率は上がるw
 尤も、現在の日本では〝食ってくこと〟が〝上見てピーチクパーチク囀る〟で実現できると思っちゃってるwww

 

 日本の安全保障?…ナニソレ美味しいの?
 財政規律?…もっとナマポを!年金増やせ!

 景気が悪いのはアベノミクスの失敗だ!アベ政治が悪い!!
  保育園落ちた、日本タヒねw

 そして…ケイキヲヨクシテクダサイ!


  


 しかし考えてみると、この風潮、利用しない手はない。
 国防とか外交とか、或いは財政とかそういうネタは、危機が目に見えて現れなきゃ、争点にはなり辛い。

 しかし現実、〝今そこにあっても関心の向かない危機〟には対処しなきゃならない。それには議会で過半数を取るしかない。
 それには〝生活に近い〟とされる経済政策や福祉政策を〝戦略上の手段〟として、〝よい夢〟を見せ、支持率を上げ、選挙で勝てばいい。
 多少(と言っては語弊があるが)のリスクはいいから、兎に角「景気をよくしてくれ」とか「女性が活躍できる社会マンセー」「パチンコはナマポただひとつの娯楽」とか、パンとサーカス(※)を与えておけば、支持率はよくなるし、選挙にも勝てる。

 逆説的だが、日本が〝自立した美しい国であり続けるには、目の前の経済を何とかしなきゃならない〟のだ。

 だから、ややこしい経済ネタを語ってる。

  前章では、吹いても吹いても火がつかない日本の経済につき、バーナンキが行ったであろう5つ(!)の助言のうち、ポリシー・ミックスとインフレターゲット、そして国債引き受け保持コミットについて綴った。

 改めて本章では、本年9月から年明け早々のうちに発動されるであろう経済政策のうち、〝金融政策〟について綴る。
 

※…古代ローマでは、周辺国征服により富の集中が生んだ富裕層と、(当時の)グローバリゼーション=移民による農奴によって職を追われた無産階級との間に、社会的格差が生じていた。そこで為政者たちは、この問題から市民の目をそらすため、食糧無料配布と娯楽を蔓延させた。今日の愚民政策のルーツであるが、ローマのやつは法制化されたものではなく、ただの風潮だった。一方、今日の左翼国家で行われるこれは法制度のもとで発動しており、ローマのやつより度し難い。
 参考:中国共産党 「日本解放第二期工作要綱」 中央学院大 西内雅教授(故人)昭和47年 西アジア歴訪時入手 より抜粋
 『2-2テレビとラジオ 資本主義国においては「娯楽」であって、政府の人民に対する意志伝達の媒介体ではない。この点に特に留意し、「娯楽」として利用することを主点とすべきである。 』
 嫁→https://minkara.carview.co.jp/userid/712411/blog/20536765/


【7月29日の反省】

 さて、 7月29日の日銀金融政策決定会合(※)。
 コイツがダメだったことは、前第二章『バーナンキの訓示』で述べた。


 ※…『日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の会合のうち、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合を、金融政策決定会合といいます。(日銀HP)』だそうだ。ま、平たく言うと、公定歩合(国の金利の大元)や通貨発行量など、市場に流すお金の量をどうするか決める大事な会議のことだ。


 1.評価点

 それでも唯一できる点は、ポリシー・ミックスに相応しいタイミングでの発表であったこと、それも市場の予想(※)を覆して、参院選直後に行われたこと、であった。
 このタイミングは、Brexitの爪あとがまだ記憶に生々しい時期、かつリオ五輪で市場の注目が娯楽に走る前、という点で、サプライジングとしてはまあ、評価はできるものであった。


  ※…みんな日銀が動くのは9月だと思っていた。


 2.中途半端

 しかし、中身は決して評価できるものではなかったことは、前章で述べたとおりだ。
 7月29日の金融政策決定会合は、市場の『モットクレロン』を動かすには至らなかったのだ。
 〝黒田バズーカⅢ〟という割りに、大山鳴動して鼠一匹。

 行われたのは、GPIFによるETFの買い増し2.7兆円。
 KKR(※)、地方公務員共済、日本私立学校振興共済、といった日銀子飼いの各機構は動かなかった。

 そしてBrexit被害で資金に苦しむ中小企業救済のための、貸出支援基金への追加注入。
 
 これではあまりに小物臭が強すぎる。
 だから市場は失望し、株が売られ、リスクオフ資産の円が買われた。


 ※…国家公務員共済組合連合会。国家公務員の福利厚生の面倒を見るため、日銀のもとで共済費を資産運用している。


 3.何故こうなったのか?

 小物臭プンプンだった7月緩和。
 では、〝小物〟と称するには、それなりの〝大物〟の存在を市場は期待していた、ということだ。

 ここでは、市場の思惑は何だったのか? 考察してみよう。

 今回は株の買い上げが2.7兆円増しただけ、である。これは市場とのギャップに大きな開きがあった。
 
 市場の思い―それは、以下のようなものではなかったか?
 7月29日の金融政策決定会合、黒田総裁記者会見を見ていた市場関係者の心理状態。
 
 ・国債購入の追加がある筈だ!
 …現在の金融緩和を更に拡大、現状年間80兆円としている日銀の国債引き受け(※1)を年間100兆円に拡大。市場にさらにお金を回す。それは(名目上意図的ではなく)円安を招き、輸出セクターを中心に株価が押し上げられる。それがトリクルダウン(※2)を加速させる。そうすれば(´・ω・`)の成長は底上げされるから、(´・ω・`)を買うのはアリ。

 しかし現実7月29日には、日銀が国債を引き受けることはなかった。

市場は、ヾ(--;)ぉぃぉぃ、となった。

 ・いやいや、ヘリコプターマネー(※3)があるんだろ!?、と思う。
 …だってバーナンキが来て総理にも会ったし、(黒田総裁は否定してたから)直接のヘリマネーばら撒きはないとしても、きっと償還期限なしの新規国債(※4)を今までの国債と等価交換するんじゃない?それで国債買うなら、財政負担もなくなるよね!?
 これなら国債の新規発行じゃないから筋は通るじゃん!?
事実上のヘリマネーだけど、これなら金利負担だけだから、政府は国債増発できるよね?

 


 日銀「んなもんやるわけないわw」
 市場は、( ´・ω) (´・ω・) (・ω・`) (ω・` )となったw

 ・まだだ、まだマイナス金利(※5)の拡大があるかもしれない!、と思う。
 …これなら現実的だろう?と。現状のマイナス0.1%を0.2%にしてやれば、市場にお金は押し出されるはず!預金は投資に回るよね!
 政府の貸出支援基金にもこれが適用されれば、お金借りる会社がもっと増えて、設備投資も頻繁になるよね!

 しかし、これもなかった。
 市場は、(´-д-;`)どよ~~~ん 、となったwww  

 むしろ市場は、以下のやつに嫌気がさした。
 
 ・日銀「Brexit対策の資金供給枠を240億ドルに倍増します(`・ω・´)キリッ!」
 …これは日銀がドルを市場に240億押し出すことになり、実質はドルやポンドに対するマイナス金利の発動だ。勿論ドルとポンドの下落要因になる。
 相対的に海外からの円調達コストは上昇、日本の金融資産を買うために円を調達しようとする海外投資家から見たら、事実上の円の利上げになる。
 
 市場は、絶望した。
 

 これが、7月29日緩和の内実だ。


 ※1…日銀は日銀法で、政府の意のままには動かない、という独立性を課せられている。だから日銀は、金融緩和のために国債を買うのは政府からの直接引受けではなく、政府から市場に流された国債を持っている民間銀行から買い受ける、というスタイルをもつ。
 ここにおいて問題なのは、市場に国債がある限りはいいが、市場の国債がなくなると、日銀はこのタイプの緩和が出来なくなる、ということだ。そうなると政府は国債を市場に強引に買わせるしかなくなるが、これは社会主義国家のシステムであり、市場が政府の言いなりになってしまう、という資本主義経済とは真逆の、経済を通した国民の基本的人権への介入を意味することとなる。( `ハ´)がやってるのはこれだが、おかげで中国の人民元相場はまったく信用されていない。
 ちな、日銀が国債を政府から直接引き受けることは、今度は通貨安競争につながることになるため、これも禁じられている。でも、( `ハ´)は平気でやっている。だから人民元は〝将来( `ハ´)政府の意図で突然価値を失ったりする〟怖さがあり、誰も信用しない。
 
 ※2…金融商品をもっている富裕層が儲かれば、それは投資につながり、投資が活性化すれば企業の成績も上がり、賃金も上がる、という考え方。〝イエ〟社会の日本の中小企業には向いているが、グローバルな視点をもって戦略展開する中大手企業では、投資の儲けは国内だけに向かうわけではないから、効果は限定的である。

 ※3…次節で述べる。 

 ※4…いつ返してもらえるか判らん借金など誰も引き受けんw日銀でもやらんし、そもそも民間が買うわけないだろ!? これやった瞬間、長期金利が大暴騰して国債はタコ足状態になって、一気に円が暴落するわwww

 ※5…次々節で述べる。


 4.背景にある思惑

 たとえそれが逆効果となることが判っていたとしても、7月の小規模緩和、器《Utsuwa》はこれを、主に政府と日銀の〝確信犯〟的行動だと思っている。

 今回の日銀緩和は規模だけでなく、時期的にあまり意味があるとは思えないものだ。先に述べたように私も市場も、黒田バズーカⅢの発動は、9月だと思っていた。

 その理由は、前章『【バーナンキの訓示】1.素早く、かつ大規模なポリシー・ミックス』で述べたように、11月のアメリカ大統領選後、FOMC利上発表にあわせ、大規模補正予算と連携した方が、より巨大なシナジー効果を期待できるからだ。
  
 そのようなことは日銀も政府も、重々承知しているだろう。 

 しかし、それでも敢えて何故7月29日だったのか?

 思うに、これはプロパガンダだ。

 日銀と政府は、2月のG20、そして5月の伊勢志摩サミットで、通貨競争の禁止にコミットしている。
 だから、この時期大きな金融緩和をやるのは早すぎる。サミットが終わってまだ2ヶ月。この時期大規模なポリシー・ミックスを展開すれば、政府は世界中から「サミット合意を反故にするのか!?」との謗りを免れまい。

 だが、あくまで政治命題を〝憲法改正〟に置く安倍政権としては、Brexit後の国内経済混乱(※1)に対し〝希望の出口〟を見せておきたい。それによって支持率を高くキープしておきたい。冒頭にあるように、国民の関心は景気や社会保障なのだ。

 支持率を高くしておくには、9月の補正予算前に、
 〝安倍政権は経済を忘れていませんよ!〟
 とアピールしておきたい。
 投資家にも
 〝バーナンキの言ったポリシー・ミックスを大事にしますよ!〟
 と念押ししておきたい。

 順当な流れであれば、
 ①大規模補正予算を〝成立させ〟中身があることを明示して、
 ②金融政策でフォロー
 …このカタチが普通である。
 中身があることで投資家は方向性を見極めて、そこへ資金を流す。

 でも、この流れは9月にしか出来ない。
 一方政府は、夏枯れ相場(※2)事前に経済指標を短期的にでも良くして、投資家の注目を浴びていたかった。

 日銀としても、4月26日の金融政策決定会合で何もしなかったことで、市場から大顰蹙を買った。今回は、わざわざ政府しかも総理大臣が財政政策構想を発表する、というお膳立てまでできている。

 これで日銀が何もしないとなれば、市場は、
 〝もう(´・ω・`)には金融緩和の余地はない〟
 と愛想を尽かす。
 そうなれば、円高株安は危機的レベルになってしまう。

 だから、日銀も〝渋々〟動いた。但し、お茶を濁す程度には。
 
 政府と日銀の思惑、この二つが、今回の金融政策が小発だった背景にあるのではないか?
 繰り返すが、これは政府と日銀のプロパガンダだ。
 
 何度も言うが、このままでは済まさないはず。

 本命は、9月だ。
 

 ※1…混乱していたのは実は日本だけである。


 ※2…(´・ω・`)のお盆や海外のバカンスで市場関係者が仕事をしないので、投資活動全般が薄くなること


【ヘリコプターマネー】

 いま、キーをタイプしている私の足元では、ぬこがつまらなそうに寝ている。
 嫁は今回の超大作について、「睡眠薬」と称した。

 これだけ一生懸命解説もつけているのに、二人とも「わからん!」という。
 少しは新聞なりネットで調べればいいのに、そういう努力は「したくない」らしい。
 おまけに、昨夜はまたしても>●99999999999○<に噛まれた。じんましんが出た。医者にはアナフィラキシーショックに気をつけるよう言われたが、どこをどうやって気をつければいいかわからん。まったく、踏んだり蹴ったりだ。

 仕方ない。せめてこの超大作を少しでも解りやすくするために、解説をもう少しつけよう。  

 で、ヘリコプターマネーである。これ、ミルトン・フリードマンという経済学者が唱道したのが最初で、バーナンキはその後継者。

 そのバーナンキのブログ『アメリカに残された手立て』から。

 
 ここにヘリコプターマネーについての解説がある。
 『a “helicopter drop” of money is an expansionary fiscal policy—an increase in public spending or a tax cut—financed by a permanent increase in the money stock.』
 即ちヘリコプターマネーとは、財政政策の拡大や公共投資、減税を、通貨供給量の拡大という財源によって担保することだ。
 平たく言うと、政府による投資や減税の財源を、通貨の増発で賄うことだ。
 
 従来の財源償還や利払いは、別の税金や国債発行上塗りでの資金調達で賄ったり、財政投融資(※1)などの措置で代替していたが、ヘリコプターマネーを使うということは、政府の償還負担はなくなることを意味する。

 実践的に言うと、民需による内需が振るわないなら、政府が財政政策でこれを代替し(※2)、その血流たる資金については金融緩和で対処する、というのがヘリコプターマネーの基本構想だと思えばいい。

 ヘリコプターマネーの最終目的は、賃上げ、設備投資などだ。これはマイナス金利と同時発動させることで市場にお金を沢山回してインフレを起こすことを意義としている。
 喩えるなら、便秘のときに更にごはんを大量に食べると、自律神経で胃袋とか腸が強制労働させられ、翌日う○ちが沢山でる、ということと一緒だ。ここでいうごはんがヘリコプターマネー、胃腸の強制労働がマイナス金利、う○ちは市場に回るお金だ。
 ヘリコプターマネーの実例としてはスイスやデンマーク、スウェーデンなどでの実施が挙げられ、投資が活性化されることによる固定資産価値の上昇や、為替の下振れつまり輸出価格競争力の上昇、内需の拡大などが見られている。

 で、市場が期待するところの、現在の日本においてこれを行うとしたら、どういうカタチを採ることになるだろうか?

 前節【7月29日の反省 3.何故こうなったのか?】で触れたが、赤字国債を発行して市場に買わせ、これを日銀が買い上げる、というのは参院選前に安倍総理自らが否定した(※3)。
 というか、これやったら政府はやりたい放題だし、日本は国内外からダメなやつとの烙印を押される。
 曰く「日銀って、政府の都合が悪くなるとカネ刷ってごまかすんだね?(国内銀行、海外)」
 曰く「日銀にカネ入れといたら、全部国債買うのに使われちゃってウチ等の預金なくなっちゃうじゃん?(銀行)」
曰く「そんな国にお金置いといたら、いつ増税でウチ等の資金持ってかれるかわからんね(海外資本)」
 曰く「もうやだこの国。出て行こ!(全員)」

 国債は投売りされるし、円の通貨価値は地に落ちる=ハードカレンシー(※4)としての円の地位はなくなる。そうなればハイパー円安となり、すさまじいインフレになる。特に輸入に頼る食品やエネルギー、各種一次資源(※5)の価格は暴騰する。
 ヤバくなった法人や個人資産家は、円をドルやユーロなど他のハードカレンシーに交換しようとしたり金を買ったりしようとするが、政府は預金封鎖で円の海外流出を不可能にする。
 政府は国債の償還どころか利払いも出来なくなり、財源確保のため増税に次ぐ増税の後、デノミ(※6)をやって債務負担を大幅削減する。最悪徳政令(※7)で借金帳消しにする。
 円建てのあらゆる資産の価値は暴落し、相対的にドルやユーロ、人民元であってもその価値は現在の数百倍になる。
 銀行は次々と倒れ、企業の倒産は続出し、家庭内ではメザシ一匹買うのにも命がけとなる。みんカラ?知るか!!

 こんな政策、とても怖くて出来ない。
 であれば、別の手がある。

 それが前述、
 ・償還義務のない国債、すなわち永久債を
 ・政府が民間金融機関に売りさばき、
 ・これを日銀が買い受け、
 ・かわりに日銀が今まで保有してきた国債を政府が等価で交換する、
 というやつだ。

 これなら国債は政府がその気になる(インフレターゲット達成)まで償還しなくていいし、国債の発行額は変わらないから、政府の実質上の債務負担は一気に軽減され、同時に市場には莫大なお金が供給できる。
 
 と言ってもコレ↑、実質日銀にとってはたまったものではない。
 何せ日銀は、元本保証があるのにいつ返してもらえるかわからない、というイミフな債権を握らせられることになるからだ。
 
 こんなの、ただのごまかしである。
 日銀が買いあげてくれなきゃ、民間銀行だって買うワケがない。
 仮に日銀が引き受けたとしたら、今度は日銀が世界中から白い目で見られる。
 それはやっぱり、円の信認が揺らぐことになる。
 その先にあるものは、円安どころかハイパー円安だ。

 …と思ったら、どうも雲行きが怪しい。

 実は安倍総理が秋の補正予算、つまり『未来への投資』なる財政政策を公式発表したその日、麻生先生が黒田総裁と会ってた。



 そしてこれはメディアは殆ど採り上げてないのだが、ここでとんでもないコミットメントがなされている。

 それは、実質的には〝ヘリコプターマネー〟。
 事実上の〝永久債〟の発行と、その日銀引き受けにつき、具体的な話がなされたらしい。

 事実上の永久債とは、超長期40年国債の発行。
 その金融機関や機関投資家(※8)への売りつけ。
  
 日銀がこれを、買い受けるらしい。
 そして日銀は、今まで持っていた同額の長期10年債以内のもので未だに償還を迎えていないものを、これと交換して政府に返す。

 つまり、事実上の債務延長。
 所謂リスケジューリングだ。
 一般企業なら、対金融機関では倒産危機度が2ランクは上がるし、対一般債務者なら〝不渡り手形〟だ。

 名目上は〝超長期インフラの財源〟らしいが、そもそもコレ、40年後の日本を担保できるのか?
そのときの円の価値は?いやいや、そもそもそのとき日本の借金はどうなってる?
 いや、そのとき世界秩序は安定してるのか?経済はどうなってる?アメリカが破綻して、日本が持ってる米国債が死んでないか?
 後述するが、今から40年後って、2056年だぞ!?
そのとき日本の人口は、出生率が今のままで9000万人ちょっと、多くなっても1億人ちょっとだぞ!? 2.3人にひとりが爺ちゃんや婆ちゃんだぞ!?



 誰が税金納めるんだよ!?
 …移民、やる気満々だなw

 そう思った矢先、長期金利が急上昇(※9)、ワロタ…ワロタ。



 このようにヘリコプターマネーは、次節のマイナス金利よりも問題点の多い政策ではあるが、それについてはアベノミクスの金融政策の問題として、後でまとめて詳述する。本章ではまず、この概念について理解していただきたい。


 ※1…国債の一種であるが、政府が財投債という儲け度外視の債券を自治体や公益法人なんかに買ってもらい、その代金は民間では採算性の見込めない事業に充てられる。事実上政府のなかでお金を貸借しているだけだから、借金の負い目もない。但し、その償還は一般財源すなわち税金で賄われる。

 ※2…これが世間で言うケインズ政策である。それまでのアダム・スミス的利己主義(=セイの法則)、すなわち『神の見えざる手理論』では、1920年代の大恐慌を解決できなかった。
 だからケインズは、マルクス主義的要素を資本主義経済に注入し、政府が公共事業などで有効需要を創出して、減税で購買力をあげれば、経済は活性化し、雇用も増加する、と唱えた。
 ルーズベルトはこれを使ってニューディール政策を発動、農地の減反とか銀行の健全化を推進して供給力を制限しデフレを解決、同時に金本位制の停止を実施してドルの通貨価値を保持した。

 ※3…民進はこれをやろうとした。財政規律なんて考えていない、実に民進らしい発想である。日本を壊す気満々に見えるが、民進上層部にはそのようなリスクさえ理解できる頭はない(断言)。

 ※4…国際決済通貨。多国間の貿易に使う信用をもった通貨のこと。発行国の経済力や安全性、政治的安定性などが担保になっている。サヨクが言うように日本がアメリカの軍事力の傘から抜け出したり、自衛隊がいなくなったりしたら、その時点で円はハードカレンシーではなくなる。

 ※5…自然の中で採取され、加工されていない産出品(コトバンク)。石油とかお米とか、お肉とかお魚とか、ウランとか綿とか麻とか。

 ※6…正式にはデノミネーション。政府が借金を圧縮するために通貨価値を強引に切り下げること。ソ連崩壊時、1000ルーブルは一気に当時の1ルーブルレベルの価値になった。先頃破綻したジンバブエは、通貨価値が一気に一兆分の一に圧縮された。当然物価は一兆倍になった。日本では昭和21年に行っている。

 ※7…借金を合法的に〝なかったことにする〟こと。

 ※8…法人形態で資産運用をしている連中。許認可制である。証券会社や保険会社、ファンドとかがコレに当たる。

 ※9…長期金利が上がる、ということは、相対的に国債の価値が下がる、と言うことを意味する。国の信用度が高い場合、当然国債の市場価格は上昇する。しかし国への信用が損なわれると国債の価値は下がる。価値が下がれば価格も落ちる。相対的に金利は上昇する。金利の支払いには本来、債券の値上がり分が資金源となるが、債券が値下がり市場価格が債券本来のレバレッジを下回ってしまったときは、その債券そのものを資金源とて利回りを捻出しなきゃいけない。いわゆる〝タコ足〟である。それでさらに当該債券の価格は下落する。国債の場合、価格だけでなくて国の信用度や通貨の信用度も落ちる。


【マイナス金利】

 続いてマイナス金利の解説と実践について。


1.マイナス金利の目的

 ご存知のように、本年1月29日の金融政策決定会合で日本にもマイナス金利が導入されることが決定、翌2月16日、これが施行された。
 対象となるのは市中銀行が日銀で保有する当座資産の一部で、そこに預けられた市中銀行の預金金利はマイナス0.1%だ。
 これは、日銀にお金を預けていると〝預けた資金×年利0.1%でお金を取られる〟ということだ。

 政略上の意義を簡単に言うと〝銀行が溜め込んだお金を市場に押し出す〟こと。
 銀行が預入しているお金を逆ザヤにして〝預ければ預けるほど損をする〟環境を作り、預金を引き出させて市場に流させる。これがマイナス金利の真髄だ。

 目的は、〝流動性の罠〟からの解脱。
 流動性の罠ってのは、人はお金を持ったらどうするか、という命題についてのひとつの答えだ。
 人は基本、お金をもらったらあまり遣いたくはない。それは何かモノを買っても、将来それを売り払うとき、その価値は購入時の価値を保ってはいないからだ。
 それでももらったときのお金を投じて人がモノを買うときというのは、そのものを手にしたことによる便利性とか満足度とかが、もらったお金以上の価値をもつことを期待するからだ(これを経済学では効用という)。
 同じく、お金をもらって、もらった以上の価値を生み出すものはもうひとつある。それが金融商品だ。これは価値が下がるものもあるし、上がるものもあるが、基本景気がいいときは株やETFを買えば投資価値は上がるし、景気が悪ければ人は国債や公債を買って少しでも金利を得ようとする。
 しかし、世の中が不景気だったり、特に戦争や財政問題などで社会不安が高まっているときは、人はモノを買わない。金融商品も買わなくなる。
 何故買わないかと言うと〝もしモノや金融商品を買っても、それは買ったときの値段以上で売ることができるのか?〟という猜疑心が、人の心に育つためだ。
 こういうとき、人はお金を使わず、お金の姿のままに銀行に預入する(※)。 
 その場合、いくら低金利でお金を貸してもらえても、資金がいくら市場に供給されても人はそれを借りようとしないし、使いもしない。お金はお金のまま、銀行の預金に預け入れられる。だから金利は上がらないし、あらゆるモノや金融資産の値段も上がらなくなる。
 これが〝流動性の罠〟と呼ばれる現象だ。

 ちな、マイナス金利発動時の日銀当座資産の残高、すなわち〝罠〟に陥っている緩和資金残高は、( `ハ´)ショックや欧州金融危機という国際経済不安を経て、2014年4月の日銀国債80兆円買受以来、2015年度ではなんと200兆円も増加している。
 また2016年2月末では、民間企業の内部留保は対GDP比で世界第1位であり、前年同月比の3倍にもなっている。

 設備投資も振るわず市場も活性化されず、これでは賃金が上がるわけがない。



 このグラフ↑を見てくれ。
 ユーロ圏、アメリカ、日本においては夫々金融緩和をしているし、アメリカについては既にそれは終了している。
 にもかかわらず、内部留保が上がっているのは日本だけだ。

 これは日本が、先述社会不安により〝流動性の罠〟に陥っていることを意味する。社会不安は内需を弱らせる。日本にとって内需とりわけ個人消費は、GDPの6割を占めている。
 ここが(停滞ないし)縮小しているので、実需面では日本の経済は輸出とりわけ海外市場に頼らざるを得ない。
 その海外市場の中核にあった( `ハ´)は死に体である。何とか北米市場相手の輸出セクターが下支えしているが、日本の実需はこれでは片翼をもがれ、かつ残った半身も深手を負って入院していると同様だ。

 こんなボロボロの身体に、お金と言う血液を大量輸血しても、それは傷を癒すために体内で処理されるだけだ。
 動いて働かねば、食欲は生まれないし豊かな生活など望むべくもない。
 つまり、内需が高い経済構造でないと、金融緩和をしてもお金は貯蓄に回るだけなのだ。
 
 流動性の罠を解決する方法は、3つしかない。
 ひとつは、人にお金を使わせない原因たる、社会の不安や政治的な危機を払拭すること。
 ひとつは、政府が需要を創造すべく財政政策を発動すること。

 そしていまひとつが、マイナス金利なのだ。


 ※…そうでない人もいる。その典型例が、ナマポもらってもパチ屋に直行して破産するクズどもだ。他にも〝宵越しの金は持たない〟ことを粋とする、江戸っ子という人種もいるらしい。
 

2.マイナス金利の意味

 ところで前章で、各市中銀行が日銀に売り払った国債の売却代金は、日銀の当座預金に預けられることを書いた。
 諸氏は思うだろう。「なら、日銀の口座じゃなくて自分のところの口座に入れれば良いじゃん?」と。
 ところが、そうはいかないのだ。理由は二つある。

 ひとつは、日銀の口座にお金を置いとかないと、何かのときに政府から示された金融支援が受けられなくなるからだ。
 例えば、バブル崩壊後、北海道拓殖銀行や長銀、日債銀が倒れたとき、国会は金融安定化二法を制定し、政府は破綻した金融機関が当面業務を存続するための資金援助を行ったが、この受け皿は日銀の当座預金だった。また、当時はバーゼル条項(※1)を満たしえない金融機関の合併連衡が続いたが、この合併にかかわる資金は日銀から助成された。当然口座は日銀当座預金を通じて行われた。
 
 ひとつはもっとシンプル。それは、市中銀行の資産運用には国債が使われたり、銀行同士のお金の貸し借りには国債が担保として使われているからだ。従って、市中銀行はその経営活動を続けるためにも、最低限の国債は保有し続けるしかない。そしてその調達には、日銀の当座預金を使うしかない。

 このように、日銀と政府はあの手この手で市中銀行を雁字搦めにしているので、市中銀行は日銀当座預金の引き上げが難しいのだ。
 
 話を戻そう。

  前節では、マイナス金利の目的が〝流動性の罠〟からの脱却にあることを述べた。ここではマイナス金利について、もう少し掘り下げてみる。

 マイナス金利の作用というのは、喩えるなら心太(※2)のてんつき棒のようなものだ。
 
 
 マイナス金利が発動されると、我々の生活は具体的にどうなるのだろうか?
 政府や日銀が想定しているのは、以下のようなものだ。 

 ・クルマとか家のローンの新規契約分の金利が安くなる。
 ・財政政策、特に国土強靭化とかと都市再開発と連動すると、地価が上昇して固定資産評価が上がる。家賃なんかも値上がりする。
 ・国債保有率が高いためにマイナス金利の影響を受けやすい都銀を中心に、市場への貸し出し攻勢が起こる。安い金利では利ざやが少ないから、彼等は個人レベルへの貸し出しを拡大する。
 ・都銀の攻勢に対抗すべく地銀同士が合併し、地銀の信用不安が解消する。これについては先頃の福岡銀行と十八銀行の合併、千葉銀行と武蔵野銀行の連携が記憶に新しい。
 ・企業の設備投資が活性化する。都銀に大口預金を預けていても、マイナス金利での損失補てんとして、都銀での資金移動手数料などが拡大し、それはただでさえ安い預金金利を食いつぶしてしまうほどになる。そうであれば企業は、安い金利で設備投資を行うようになる。
 ・民間設備投資の進行で経済は活性化され、雇用の増加と賃金の上昇が見込まれる。それが消費を拡大し、沈降している内需を活性化させる。

 政府と日銀の目論見は、こんなところだ。


 ※1…国際金融業務を行うすべての銀行には8%の、国内金融のみを行う銀行には4%の自己資本比率(総資産÷自己資本)規制がある。本章ではバーゼルⅡ、すなわち株やETFなどリスク資産比率(リスク資産総額÷自己資本キャッシュ)について述べている。

 ※2…ヘリコプターマネーの節では、う○ちに喩えたが、下品だとの謗りを受けたので〝ところてん〟にした。ウホッ!ちな、私はあの心太をつくる器具が、てんつき
棒と呼ばれていることを知らなかった。


3.マイナス金利への誤解

 で、2月に発動した日本初のマイナス金利だが・・・結果は芳しくはなかった。

 

 マイナス金利導入後数日間、株価は一旦上昇したものの1週間もすれば急降下、対ドル為替にしても一旦円安の後、更なる円高の深みへ。

 ここでは〝市場評価が低かった理由〟について述べることにする。
 
 マイナス金利が市場に逆作用した理由、器《Utsuwa》が推測すると、それは6つある。

 ひとつは、日本にとってマイナス金利と言うのは史上初の試みであり海外でも事例は少なく(ユーロ圏は大成功なんだけどね)、これが発動した直後において市場は〝どうしていいのか判らず〟、とりあえず(根拠不明だが)安全資産たる〝円キャッシュ〟に逃げて様子見を決め込んだこと。これは円高と株安を招く。

 ひとつは、マイナス金利はその性質上、発動後すぐに市中が設備投資需要に応えたり住宅ローン借入増に動く、といった反応にはならないため。これらが動き出すには最低でも一四半期程度の時間がかかる。逆に言うと、直接効果が薄いから、株価上昇は磐石ではなかった。

 いまひとつは、マイナス金利発動は、比較的資金力に乏しい地方銀行を中心に、金融業会の収益性を圧迫することが予見済みだったため。これが株価上昇基調の足を引っ張った。
 金融機関にとっては、自らの資金運用先だった国債の金利がマイナス金利に引っ張られて低下するし、市中に融資するにしても超低金利に拍車をかけた超々低金利で利ざやは薄い。
 しかも前々年の消費税引き上げ、1月の( `ハ´)デフレとアメリカ利上げで冷え込む市場のなか、資金需要は設備投資など積極的なものではなく、運転資金にベクトルが向いていた。前述したマイナス金利の政策メリットとは逆に、資金を貸したくても、需要があるのは与信不足の相手ばかり。とてもホイホイ貸せない。それでは、と更なる資産運用を目指して株式を買えば、バーゼル条項に引っかかる。金融機関のお金が外に出て行くには、障害が多すぎるのだ。

 ここに市場の危惧が輪をかけた。マイナス金利は銀行の収益を圧迫するから、銀行はこれの穴埋めに貸出金利を逆に高くしたり預金金利を下げて利ざやを稼ぐのではないか、従って緩和効果は薄れるのではないか、と市場は勘繰った。さらに株価は下がった。

 さらに銀行ネタ。
 国債の大規模買入、すなわち日銀の緩和が難しくなるのではないか、という市場の思惑が走ったこと。
 市場は思った。そもそも国債を銀行が買わなくなるかもしれない。前述したように、日銀は国債を政府から直接買い付けることはできない。従って、日銀は国債を市中の銀行を通して買うのであるが、市中銀行は売った国債の代金を日銀の当座預金に入れている。そこにマイナス金利がかかっているので、お金を預け入れる=銀行は損をする、となる。
 だから銀行は国債そのものを買いたくなくなる。そうなっては金融緩和は不可能になる。日本は再びデフレに沈降する、市場の懸念が、円安を阻害した。

 そして最後に、日本の経済力そのものの脆弱さが、マイナス金利効果を台無しにしてしまったため。
 年明け1月4日の上海市場サーキットブレイカー(※1)連発は( `ハ´)国策バブル経済が最早最後の断末魔をあげ始めたことを予感させた。これに伴い、世界の工場として資源をザルのように飲み込んでいた( `ハ´)の需要は後退、世界中に資源デフレが広まった。
 一次産品に頼る新興国は発狂寸前になり、宗主国様に多大な貢物をしていた<`∀´ *>が火病を発生させた。
 世界中で経済危機が声高されるようになり、各国中央銀行が政策金利が低下させて、国内の景気を下支えしようとした。特に本年は4回、と言われたアメリカの利上げが当面嘘っぱちになったことが、ドル価値を相対的に低下させた。
 金融政策緩和による日本の円安は、この勢いで木っ端微塵になった。

 いかがだろうか?
 2月に発動したマイナス金利というもの、その政府や日銀が想定した政略をすべて、市場はネガティブに見てしまった。

 マイナス金利の本質は、間接効果だ。言うなれば〝流動性の罠〟を脱するための政略である。日銀の国債引き受けのように、市場にダイレクトに訴えるものではない。

 市場はマイナス金利について冷静に見ることが出来ず、直接効果がないというだけで、ただ気分で動いた。
 情けない限りであるが、これが金融資本主義における〝経済人(※2)〟、現代の〝投資家〟と言われる人たちの行動の本質なのだ。


 ※1…『株式市場や先物取引において価格が一定以上の変動を起こした場合に、強制的に取引を止めるなどの措置をとる制度である。(wiki)』付加するなら、極めて短い一定時間内での変動が対象となる。

 ※2…ベンサムが提唱。経済的合理性、すなわちその行動指針において、儲けがすべてに優先する人たちのこと。ベンサムは、みんなが経済的合理性のもとにエゴを追求すると、これは社会の間で相互補完関係を生み出すので、結果的に文明は進歩する、と言った。クソくらえである。ちな、彼らがよく口にする言葉に〝儲かりまっか?〟がある。
 

4.マイナス金利の今後

 諸氏はご存知だろうか?
 実は世界の富の25%弱は、マイナス金利国によって産出されているという事実を。



 マイナス金利は、ユーロ圏に賃金上昇とGDP成長促進をもたらした。
 デンマークでは、住宅ローンが活況を呈した。

 勿論失敗例もある。
 スウェーデンでは住宅バブルが発生、家計が不動産投資に夢中になって、何か起きたら連鎖的に不良債権が発生するだろう。
 スイスは、欧州危機の傷が癒えぬなか、EUに対抗してマイナス金利を導入した。これが銀行の収益を圧迫し、スイス銀行のCDS(※1)が跳ね上った。コレが更に欧州の金融不安を煽った。

 だが、私は、今後も日本においてはマイナス金利は拡大すると見ている。

 折から、本8月23日、厚生労働省は2016年度の全国最低賃金平均が前年度比25円増、823円となったことを発表した。これは過去最大の引き上げ幅だ。
 マイナス金利効果が顕現し始めた。

 繰り返すが、〝流動性の罠〟から逃げ出すには、3つの方法しかない。
 
 ひとつは、人にお金を使わせない原因たる、社会の不安や政治的な危機を払拭すること。
 ひとつは、政府が需要を創造すべく財政政策を発動すること。

 そしていまひとつが、マイナス金利なのだ。

 それは今後、以下のように展開されるだろう。

 ・第一段階(2016年1月29日~現在)
  日銀はその当座預金の一部、各銀行の預金に0.1%のマイナス金利をかけて、そのお金を金融市場へ押し返し続けている。
  一方、自身の国債買い上げで板の薄くなった国債市場においては、その需要を別の市場、特に公社債やETF、株式などに振り向けようとしている。

 ・第二段階(2016年夏ごろ?)
  次の段階として、日銀はマイナス金利を用いて各銀行の収益を圧迫することで、これら銀行に別の利ざやを発掘させるよう仕向ける。具体的には法人の内部留保預入口座への取り扱い手数料や資金移動手数料を値上げさせる。つまり、最終的に日銀は、内部留保の豊かな法人に対し〝貯蓄をしたら収益に悪影響が出る〟環境をつくる。
  そうなると、法人はお金を使うしかなくなる。例えば、賃上げであるとか、設備投資であるとか、自社株買いなどだ。現に先述賃上げは勿論、自社株買いなどはマイナス金利導入後、すごい勢いで進んでいる。
 
 

 ・第三段階(2016年9月・補正予算成立後)
  補正予算成立に伴う財政政策とのポリシー・ミックスで、マイナス金利は以下のものに向けて展開されるだろう。
  地方インフラの整備、シルバーシティ(※2)の構築に向けて、都市計画が進む。そうなると、新たに土地を買う法人や個人が出てくる。彼等にはマイナス金利のメリットとして、空前の超低金利が提示される。勿論住宅ローンも同様だ。
  それは家具や自動車などの耐久財の購入、すなわち裾野を開くことにつながり、結果として経済全体が活性化する。

  ・・・まあ、無理なんだろうけどね。理由以後の章で明らかにする。
  今後金融政策について、政府や日銀が期待している効果はあまり出ないだろうけど、それでも一時的には市場は活性化する。
  実はコレがみそで、我々はこれを最後のチャンスと見て、ここでケインズ政策の恩恵を大いに享受し、将来に備えるべきだ。
  

 ※1…クレジット・デフォルト・スワップ。貸し倒れに対する保険みたいなもの。

 ※2…じいちゃんやばあちゃんが安心安全に暮らせる街づくり。例えば病院にいくに、僻地でも30分以内に着けられるよう道路や交通網を整備する、など。


5.マイナス金利への私見

 いろいろ批判もあるし市場の反応もよくなかったが、実は私、この政策については結構評価している。

 それは、以下の2点に集約される。

 ひとつは、(´・ω・`)にとっては従来の量的緩和が通用しない、ということを明らかにしたこと。
 先に示したとおり、金融政策において日銀や政府がマイナス金利を採択したすると言うことは、裏返せば、(´・ω・`)と言う国が深刻な社会不安に陥っていることを認めている、ということだ。

 それは経済的なものや社会保障的なものではあるのだが、これが(´・ω・`)にペシミズムを呼び起こしている。
 そしてそれは、『日本経済を維持してきたさまざまなシステムや技術にとどまらず、日本の社会と経済を支えるヒトの問題、たとえば社会における人間関係、価値観、治安意識、社会的ビヘイビアにまで、「船酔い現象」が波及しつつあり、日本は、明らかに過去多くの先進国がたどってきた社会的衰退の初期症状を呈し始めているのである(『国まさに滅びんとす』 中西輝政著 より)』

 そのうえに立脚して、我々は来るべき危機に備えようとしている。
 ペシミズムがあるからこそ、備えはできるのだ。
 既に気がついている人は気がついて行動している。ポピュリストのバラマキには背を向け、テレビの流すサーカスを疑い、やりたくもない勉強を実践の場でも机上でもやり続けている。 意識高い系のウチの嫁は、なんかわからんが難しい資格をとって、困難な時代でも生きていけるように頑張っている。

  マイナス金利が暗に示したものは、日本という国に深刻な不安が立ち込めていて、それを払拭させるために、リーダーたちは経済を活性化させようとしている、ということだ。まだ、希望はある。

 そしていまひとつ、これはマイナス金利の実践的な評価点であるが、それはその性格・・・構造や環境を調整することにある。

 前節で触れたが、本来マイナス金利とは直接大規模緩和につながるものではない。それは〝流動性の罠〟を脱するための政略である。
 であるがゆえに、マイナス金利を展開すると言う行為そのものは、投機筋の干渉を受けようがない、ということだ。投機筋の干渉は、政策の結果を助長したり、或いは結果を不満足なものに止揚するにおいて影響は大きいが、仕組みそのものを歪めたり壊したりすることはできない。
 従って今後彼らが我が国の金融政策の尻馬に乗ろうとしても、それは対処法的な範囲に限定されるだろうし、従って政策対象たるお金の流れそのものの根本的な潮流や環境を変えてしまうことは(量的緩和のときのようには)出来なくなるだろう。

 以上が、私がマイナス金利政策を評価する理由である。

 ところで、おことわりしておくが、経済を評価するにあたっての私の視点は、決して投資家のそれと同じではない。
 仕事柄投資について相談されることもあるが、基本私は金融資本主義が大嫌いな人間だ。どんな分野に投資したらいいか、とか、何をやったら儲かるか、というのは考えるのも嫌いだ。

 私の見地は、あくまで〝国益〟。

 金融政策にしろ財政政策にしろ、ポリシーミックスにしろ、それが直接的だろうが間接的だろうが〝国にとって有益〟ならば、私は評価する。

 逆に、金融資本家や経済人にとって有益であっても、それが国益を損なうようなものであれば、徹底的に批判する。9月に発動する財政政策などは、その最たる例であるが、それは第6章あたりで述べることにする。

 
【秋の金融政策】

 バーナンキが提言したポリシー・ミックス…すなわちインフレターゲットを目標とした、財政政策との共同プロジェクト。
 超長期40年国債発行というカタチで始まったヘリコプター・マネー。
 そしてマイナス金利。
 本年から始まったこれ等の経済政策は、昨年までのものとは明らかに違う。

 それは、我が国の金融政策が、〝量〟から〝質〟へ転換を始めたことで具現化している。
 従来のものが、低金利や量的拡大に拘泥しあとは市場に任せる、といったフリードマン的マネタリズム(※1)に基づいて行われていたのに対し、今年に入ってからの金融政策は、質的に構造的に、明らかに変容している。

 今年に入ってからの金融政策は、量的なものを縮小し、どちらかと言うと
  ・金融政策に使うお金をスムースに確保する方法をつくり
  ・確保したお金が市場にスムースに流れる仕組みをつくり
  ・流したお金が市場で活躍できる環境をつくる
 ことに転換し始めている。

 要は、金融政策を効率的に進めるための普請を行っているのだ。

 中央銀行の協調で量的にはお金は十分供給した。
 しかし、供給したお金は〝流動性の罠〟に嵌っている。

 ならば、お金の流れをよくし、お金が使われやすい環境をつくるのは、当然と言えば当然だろう。

 そして世界は多極化をはじめ、グローバル主義に背を向け始めた。中央銀行の協調は足並みが揃わなくなりつつある。リーマン・ショック後の世界は協調的に歩を進めたが、( `ハ´)経済の崩壊は被害を受けた国と受けていない国の間に格差を生んだ。
 先進国ではグローバル化への反動でナショナリズムが台頭し、あちこちでブロック化が進んでいる。

 時代が変わるなか、金融政策にも変化が現れているのだ。
 (´・ω・`)の金融政策も、量的=協調的なものから質的=内部構造の改革に変わり始めた。
 

(※1)…通貨供給量で景気はどうにでもなる、だから政府は余計なことをするな、規制なんぞ無くなっちまえ、という考え方。福祉、増税、貧富が生じるのは本人の努力結果、という新自由主義思想の元祖。自己責任(by小泉純一郎)、という言葉が代表的。わからんでもないが、この思想を信奉する人たちは、経済数値を重視するあまり、自由主義経済の根底にある〝国民国家の経済は国民のためにある〟という原理を忘れてしまうことがある。だから竹中みたいなクズが取り立てられることになる。


【まだ終わりじゃない~まとめにかえて~】

 今年に入って行われた金融政策は、量のみだ。それも量的緩和を2.7兆円水増ししただけである。
 これで終わるほど、現時点の日本の経済力は強くはない。
 
 私は、経済政策発動は9月、そう述べた。
 11月から来年1月の米大統領選にあわせ、そのシナジー効果を最大限に発揮できる時期にこそ、真の経済政策は動き始めるだろう。
 
 では、(´・ω・`)の金融政策構造が変わるなかで、9月のポリシー・ミックスを受け、新たな金融政策はどのようなものになるのだろうか?

 それはおそらく、〝大規模緩和+金融政策構造改革による流動性の担保〟というカタチで姿を現すと思われる。

 以下、実施される確率の大きそうなものから述べよう。

 1.確立大

 ・<国債の追加購入20兆円、合計年間100兆円の量的拡大>
 …現在市場は、もう日銀には量的緩和を拡大する気はないのではないか?、との懸念が広がっている。それは同時に、市場の国債の板そのものが薄くなっているのではないか、という懸念でもある。
 しかし黒田総裁は「国債の3分の2はなお市場にあり、限界に達しているとは考えていない」と明言している。
 
 


 世界の緩和から見ると、日本はまだまだ余裕があるように見える。
 しかし、↑のなかで最も財政収支状態がダントツで悪いのも(´・ω・`)であるw



 


 現状の買入ペース(80兆円/年)が保持され、政府が赤字国債を追加発行しない(というかしちゃいかんが)としても、市場にはあと2年間、購入できるだけの国債は存在している。
 勿論、先に述べた市中銀行が互いに資金を融資しあう際の担保確保や、万一公的補助を受けることになった場合のための5%を確保することを前提としてだ。

 何より、ここで日銀が追加購入をしなかったら、市場は(´・ω・`)を見放すだろう。  それは4月26日の悪夢(※1)から日銀も十分学んでいるはずである。

 ・<政府関係機関債、地方債、財投債(※2)などの買入増発10兆円/年>



 …これは現状まで手付かず。だからやる余地は十分ある。
 但し、これをやった場合、上記国債買入増額が20兆円から10兆円に減額されるかもしれない。その場合、市場はやはり「日銀にはもうこれ以上国債を買う余力はないんじゃないか」と思って、(´・ω・`)国債の引き受け手がいなくなる恐怖に駆られる。そうなると円・株・債券のトリプル安が起きる可能性が高くなる。
 円は一旦リスク回避で高くなるが、量的拡大が頭打ちになるとの憶測から株が売られ、同時に国債の引受け不足予想から長期金利が上がり、次に円を持つことそのものへのリスクから円が売られる。
 
 ・<マイナス金利を0.2%に拡大>
 …ここへ来てようやくマイナス金利の効果がでてきているので、これは有効と検証されると思う。国債買入と同時発動。


 ※1…年明けから( `ハ´)経済が崩れ落ち、世界的な資源デフレとイタリアの経済危機が報じられるなか、本年4月26日の金融政策決定会合で、日銀は市場の予想を裏切り、何の手も打たなかった。結果株価は17500円から16000円に大暴落した。
 
 ※2…政府系の特殊法人なんかが、自分のところの事業を推進するために発行する債券。これを政府系の保険機構なんかに買ってもらい、奴等は事業資金を入手する。


 2.確率中

 ・<ヘリコプターマネーの発動>
 …バーナンキの提言も受け、とどめに麻生先生と黒田総裁が公式発表したこともあり、事実上のヘリコプターマネー=40年超長期国債の既存国債との交換があるかもしれない。オソロシイ。これ、間違いなく長期金利上昇のネタになるな。
 
 ・<国債買入幅の年度設定発表>
 …日銀が国債の買入幅を年間70兆円から90兆円程度に漸減しつつ、それを中期にわたって行うことを市場にコミットする。当初期待の100兆円よりは減るものの、日銀国債購入が単年度ではなく複数年度にわたって担保されるため、市場は安心感を得る。
 但し、その買入年度が終わるあたりから、今度は日銀の緩和が終了する、という思惑が現実的に斟酌されるので、円高と株安が一気に始まる(※)。また、日銀と言う国債の超大口買受手が一気に撤退するため、(たとえ消費税が10%になっても)長期金利は上昇し、国債は暴落し、将来不安から円が投売りされる。

  
 ※…所謂バーナンキ・ショックの再来である。バーナンキがFRB議長をやっていたアメリカの場合は、政府が市場の状態を省みずにテーパリングを一方的に宣言したため、ドルやポンドといった投資マネーが一気に引き上げられた。特に債務超過状態ではあったものの民間経済が好調だった資源国は、これの煽りをモロに被り、通貨が暴落して深刻な債務危機に陥った。


 3.確率小

 ・<長期金利への天井設定>
 …日銀が長期金利に上限を設けることで、国債の暴落を防ぐ予防措置である。
 日銀が大規模緩和を減速し始めると、国債が市場であぶれ、買い手がいないと価格が下がる。それでも国債はシニア債(※)みたいなものだから一応元本は崩れにくいが、金利は払わなきゃならない。国債のレバレッジが金利を下回ると、金利支払いは国債の元本を削って行われることになり、結果国際価格は下落する。長期国債の天井設定とは、その金利に上限を設けることで、元本を保証する戦術である。
 また、設定した金利を既に超えてしまっているものについては、日銀が優先的に買い上げる。
 これに市場が反応すれば、金利は自動的に安くなるので、金融緩和と同じ効果が出る。
 但し、これも日銀や日本の国債への自由競争原理を否定する所業に変わりはないので、日本に対しての不信感は増大し、海外からの投資が引き上げられる可能性がある。


※…元本割れが一番起き難い債券のこと。反対語は劣後債。



 以上が当面私が思いつく、秋の金融政策である。どれが実行されるかはわからないが、過激なものを除いては、政府日銀はあまりフリーハンドとは言えない。

 ただ、これを以って日銀を攻めることは出来ない。
 何故なら、冒頭で述べたように、経済というものは〝お上に望めばよくなる〟ものではないし、そもそも〝流動性の罠〟にかかってしまっているのは私たち自身に他ならないのだ。
  
 肝心なことは、〝自助努力〟なのだ。
 それには、私たち市場のプレイヤーが〝お金を使う〟ことが一番大切なのだ。
 あ…金を使う、と言っても、〝安けりゃ良い〟なんて考えをしてたら、いつまで経っても日本は復活しないぞ!?

第四章 ~第二の矢=財政政策~に続く
みんなが好きそうなネタは、第5章あたりからだ。
Posted at 2016/08/24 04:23:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | 任務 | 暮らし/家族

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