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2013年10月23日 イイね!

【後編】神の郷(クニ)

【後編】神の郷(クニ)













【前書き】

下村博文 文部科学大臣 教育再生担当 東京オリンピック・パラリンピック担当 日本ユネスコ国内委員会委員

先だってのサッカー東アジアカップで、南トンスルサポーターの「歴史を忘れた民族に未来はない」と掲げた横断幕に対し、“国の民度が問われる”とズバリ切り込んでくださった下村先生。
そしてその下村先生を、五輪担当大臣にご指名くださった安倍先生。
と思ったら、今度はこんなことが起きた。

『文化庁は、政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に提案していた「和食 日本人の伝統的な食文化」について、事前審査を行うユネスコの補助機関が「登録」を勧告したと発表した([22日付22:31発 時事速報より)』

ありゃりゃりゃりゃwwww
『和食 日本人の伝統的な食文化』・・・これ、お寿司も入るんだよね!?

って、お寿司・・・オスシ・・・おすし!!

確か「お寿司も山葵もウリナラ起源ニダ!!」って・・・
対馬海峡の向こうっ側の、とある集団がほざいてましたね!?

しかも、“勧告”だよ?“K・A・N・K・O・K・U(韓国ではない)”

ユネスコwwwやってくれるわ!
こりゃあ(コリア)、猛烈な火病が起きるぞ!

諸氏、後は任せた!

【妙高から蓼科へ】
(長くならないように、今回は急いで書く)

梢のざわめきに、目を覚せた。
昨夜あれほど激しく降った氷雨の、痕跡すら今は無い

枕許の水差しに手を伸ばせば
一杯の水という名の、甘露
軽くやわらかな喉越し 朝から受けた、歓待



『窓のそとで 風が景色を揉んでいる 私は机のうえを走るくらい風をみた』
(竹中郁 著 『断片』より)

秋の青は突き抜けるように蒼く、風が運んだ栗の実ひとつ
小さい秋、見つけた!


指を当てれば、冷えきったエンジン-
たっぷりと時間をかけ、暖気

草原に出る
鰯雲高く 霜降の玉なす露
妙高が空を研ぐ


女郎花の叢から続く 獣道
こういうの見ると、ついつい分け入ってしまう
189kgの巨躯、タイヤもロードタイヤ
無理なら引き返せばいいか
・・・過去これで後悔した回数、数え切れず
だからハスクじゃないってのに・・・
ホント、救いようのない、バカ
(※よい子は絶対に真似してはいけません)

案の定、途中でスタック
汗まみれで押しまくり、朝っぱらから体力限界
言いわんこっちゃない…もう一人の自分に、鼻で嘲われた

然して、辿りついた場所は-



斑尾山を望む、小高い丘


草を枕に、大の字に寝転ぶ
山裾を降りてきた風には 秋の香り
土の茵(しとね)が 心地よい
・・・こんなことばっかやってるから、私の旅は距離を稼げない

気がつけば、お日様は中天に差し掛かっていた

急いで来た道を引き返す


草原のダウンヒル、絶対に向いてないことを
ついついやってしまう愚かさよ
これで転けても、文句は言えんわな

温泉街に戻り コーヒーに喉を潤す
季節外れの旅人ひとり
季節外れの風鈴ひとつ
所在なくして、心地よし


麓の国道を目指し、アクセルを開く
大河のような高速コーナー
支配するのは、私ただ一人

杉の原の集落
たゆたう旅
落ち穂の農道
収穫の音、澄み渡る空


妙高は何処までも誘い
ついその足許へ踏み込んでしまいそうになる


今日は蓼科まで行かねば-
常宿を予約していたことを思い出す
自由の筈が、自由でない自分に気づく

やっぱりホントは、テントだよなあ
昨日別れた某氏のほうが、バイク乗りしてるなあ

高速を使い、南下
佐久を縦走し、浅間を背にする

蓼科スカイライン
閑散とした別荘地を抜け
ひび割れたアスファルトを駆ける

高速、中速、S字、ヘアピン…
これほど喜怒哀楽に満ちた道程も珍しい
行き交う車も皆無
白樺の林を、若鮎のように

大河原峠-以前訪れたのはいつだったか
ここはいつしか舗装されていた
山小屋に辿りつく
一車線半の道を埋め尽くす、四輪の群れ
登山客が大集結、離合さえままならない

都会を山へ持ち込むな!

ここで事故が起きても、救急車は通れないだろう
マナー云々前に、危機感が完全欠如
溜め息ひとつ ただただ呆れ返る

こんな場所だからこそ、安易に舗装なんてしちゃダメなんだ

静けさを求め、峠を後にした
稜線を断ち切る切り通し
深呼吸して、北の空を仰ぐ
盆地を擁する 浅間の雄姿


白樺湖、ビーナスラインを越えて蓼科へ
通い慣れた道 野焼きの農道へ
ここにも秋は訪れていた


八ヶ岳もまた、蒼く
別烏(わかれがらす)が西へ飛ぶ


水涸れた田は、黄金色
コオロギが鳴きすだく


もうひとつの、約束の地
蓼科、三井の森
レストラン Tenedor、遅い昼食



バイク乗りとして来るのは初めてか
出で立ちもちょっと浮いてしまった
でも、変わらず迎えてくれるオーナー
遅い昼食 ここのビーフシチューは美味しい!
次は11月上旬、嫁とオシャレして
エヴォーラで参ります


長い語らい
近頃の私の旅は、若き日と較べ
少し、変わった
それは行く先々に、知己ができていること
彼等との会話もまた、楽しみのひとつ
ただその時間・・・旅愁を、寂寥を失ったことが少しだけ・・・

蒼黒く沁みた風が、落ち葉を巻き上げる
いつしか訪れる つるべ落し
陽は遠く 乗鞍の稜線にかくれゆく
オーナーに別れを告げ、宿へ向かう

といっても“宿”・・・かなあ?
バイクの一人旅には、似合わないと思う


ヘルメットを脱ぎ、シャワーを浴びる
月の光の 幻灯会
八ヶ岳が、影絵のように
夜空を切り取るそれは、巨きなエピック

そぞろ寒さに窓を閉めれば
大変なことに気づく

今日の晩ごはんが ない・・・
晩ごはんの予約、忘れた!

ビーフシチューはまだこなれてないが
夜も更ければ きっとおなかがすく
どうしよう?

部屋を出、ホテルを擁するリゾートタウンを、ほとほとと歩き回る
欧風料理、お蕎麦屋さん、インド料理・・・どこも満席
ホテルのレストランに行けば・・・ひとりフレンチ、或いはひとり会席
ブログのネタ作りにはいいけど、心情的には惨めすぎる
温かな団らんと笑顔が交錯するなか、ひとりごはんのバイク乗り
絶対に嫌だ、死んでも嫌だ
部屋へ戻り、ベッドで丸くなった

おなかが、ぎゅーって鳴り始めた
つらい

たまらなくなり 階下のバーへ
顔見知りのウェイターが、笑顔で出迎えてくれた

「おなかがすいて死にそうです。なにか食べものをください」

ぼさぼさの髪、汚れた革ジャン、土埃で汚れたジーンズ・・・涙目で訴えた


私の出で立ちを見て、彼は何かを悟ってくれたようだ

「どうぞ」

そう言って彼が運んできてくれたものは・・・ワッフル6枚と、アイスクリーム。
そしてアイスコーヒー


これが今夜の私の、晩ごはん

人の心の 有り難さよ
立ち去る彼の後ろ姿に、私は“神”を見た

お礼と言ってはなんですが、テキーラを一杯、所望した


今夜は、ぐっすり眠れそうだ

おしまい
Posted at 2013/10/23 02:39:18 | コメント(3) | トラックバック(0) | | 旅行/地域
2013年10月21日 イイね!

【前編】神の郷(クニ)

【前編】神の郷(クニ)














【前書き】

 アメリカの茶番は一応の区切りを見せてはくれた。
といっても、緊急でデフォルト回避措置とっただけで、債務上限先送りは相変わらずだし、これは下院で民主が過半数を取る中間選挙まで延々と続く問題だ。従って先頃の国債格付低下に現われるように、アメリカの信任は低下傾向にあるのは間違いない。
 次のFRB議長のイエレンおばちゃんがハト派ってこともあり、当面来年年明けまでは、つまり次の“財政の崖”を迎えるまで、ドル安は続く。
 となると、日本は当面日銀の大胆な緩和やリスク資産買入サプライズが起きない限り、(実需面では)更なる輸出拡大もなく、五輪、リニアやエネルギー、復興、国土強靱化に向けた内需以外、大きな景気回復要因はない。市場ではこのような材料は既に出尽くしている。従って、株価も大きく上がりはしない。
 このなかでの消費税増税…タイミングが悪い。投資による所得税も来年からは倍額になるし、マーケットにおいても実需においても、本当に景気回復が本格的に軌道に乗るのかどうか…不安だ。折しも『貿易収支は上半期赤字額が過去最大に(21日付ロイターより引用)』の言葉が入ったばかりだ。
 もしも対外収支が回復せず、そのうえで内需に活路を見いだすのだとしたら、法人税減税や設備投資減税がなされたままだと、税収は…よくはならない。
 税収が良くないってことは、防衛予算も今年度の0.8%上げで終わってしまったりして、そうなると第一列島線や壱岐対馬や竹島から繋がる海底資源、白樺はじめメタンハイドレードの保護さえ、単独で行うのはつらい。
 やはり台湾やASEANとの権益共有を進展させ、外交を強化しないとダメだなあ。

 まあ、それはそれとして現実に帰ると、此方は仕事が雪だるまのように増殖していき、完全にスランプに陥ってしまっている私がいる。今日は日中来客が2件入っているし、週末から週明けにかけ、出張も入りまくっている。というか、台風の最中に大阪へ出撃せねばならない。

 もういいや、何か書くか。

【というわけで】
10月12日から14日迄、半年ぶりに単車に跨り、ひとり旅をしてきた。
 以下、レポート。紀行文だと思ってお読み頂けたら幸いである。

《10月12日》
 今年も、この季節が訪れた。
 出勤時と大して変わらぬ時刻、ガレージの門扉を開け、やや灰色がかった北の空に目を遣る。
 あの向こうへ辿りつけば、未だ冷めやらぬ夏の残滓から、少しは逃げ出すことができるだろうか?
思いは水冷高回転型V-Twin、999ccの転がるような音色を掠め、目覚めはじめた街に霧散する。
 
 3連休の初日、高速は既に四輪の群れに覆われている。
 流れはよくない。家族連れのファミリーカーと、帰路に就くトラック。
 これらが混然となって、鼠色のアスファルトに閉塞感を募らせる。

  〈出るのが遅すぎたか?〉

  フルフェイスのヘルメットのなか、鈍く舌打ちしつつ、走り慣れた道程をたぐる。
 小牧、瑞浪、中津川・・・狭く山間を縫う中央道、開放感のない単独行。
 恵那山をくぐる長いトンネルを越え、アルプスの狭間へ-
 退屈な、日常からの逃避行。

 塩尻の峠。重い日差し。
 ここにもまだ、残暑が居座り続けている。 
 針葉樹の林は深く、左手に北アルプス。
 雪嶺の欠片さえ見えず、濃紺の山塊は遠く薄灰に解けゆく。
 右手は白い扇状の、松本平(まつもとだいら)。
 
 安曇野に差し掛かかれば、いつしか四輪の群れも数えるほどに減っていることに気づく。
 漸く、空の明度が、変わった。
 気流の銀鱗から、重みが失せる。
 軽く、透明で、引き締まった、冷たい風。
 今年初めての、エッジの効いた、秋の日差し。
 
 友人との待ち合わせは正午、梓川SA。
  仕事でトラブル発生、との連絡。
 合流地を先に延ばし、高速を降りる。
 
 豊科を抜け、雑然の明科を過ぎる。
 狭い旧街道、例大祭が季節が変わったことを知らせる
 大樹の並木、往来を囲むしめ縄、バックミラーの向こう、揺れる御幣
 この地にはまだ、神々が生きている。

 T字を右折、上田方面。旧道へ入る。
 緩やかに続く、片側1車線。左手は里山、右手にはせせらぎ。
 未だ濃緑の、広葉樹の道。

 道はやがて勾配を増し、風に渦音が混じりはじめた
 高度を上げ、山岳路へ
 そぞろに捻る、アクセル。
 山の端には落ち葉が舞い、路面も波打つ。
 肩慣らしの、ツイスティロード
 
 突っ込みで身体がビビる。
 ピッチング大きく、ブレーキングでつんのめる。
 アカン、ニーグリップに力が入らない。
 アンダー強し。
 半年ぶりの体重移動、 内足荷重忘れてる
 思ったより曲がらない。
 立ち上がりでタンクに伏せるのも忘れてた。
 本調子には、ほど遠い。四輪ばっか乗ってたからなあ・・・
 
 これはいけない
 真面目に乗り方、思い出さないと。
 まずは身体を温めようと、峠の遂道を越えたところで、本道を外れる。
 未舗装の林道、深いサンドにバラス
 落葉と、啼鳥の道
 日差しと木陰のコントラスト、路面を理解しづらい。
 何処にギャップがあるのかわからない。
 バイザーつきのメットでないことが悔やまれる。



 115馬力も、ここでは無用の長物。
 腹ン中ではなく、腕がパンパンだぜ
 腿が痛い、背筋が悲鳴をあげている
 噴き出る汗、グローブの中がねばつく。
 シールドが曇り、前が見えない。

 長すぎたブランク、いや、齢のせい?それに・・・
 やっぱ重いわ、てか重すぎるわ、このバイク。
 仲間達とゲロ道を走り、ダート林道を駆け抜けたあの頃-
 DTやRMX、DR-Zの時代が懐かしい
 
 それでも幾つも数えぬうちに、余計な力は入らなくなった
 疲労と失われた体力が、無駄な動きを慎ませる

 右コーナー、フラット。
 フロントが深い砂につかまる
 アクセルを開けば、流れるテール
 思いっきり前乗り、ステップを踏みしめ、向きが変わればシートに尻を押しつける
 急角度で、土の巨人に後塵をぶちまける
 これぞKTM!砂漠の血は争えない…! 
 
 儀式は終わった
 距離にして10キロにも満たない、心と身体の解放。
 “次はハスクで来よう”、と後悔しつつ…
 麓の村へ降り、待ち合わせの場所へ向かう
 
 村はずれの酒屋の前で、某氏は待っていた。
 合金の悍馬、4気筒600cc、13000回転のエクスタシー
 煌めく赤、青、金色…星屑のメタリック
 
 
 再会を祝い、煙草を吹かす
 中天に消える紫煙 
 私の旅の発祥の地-北アルプスを望むあの場所を目指して
 2台のオートバイは走り始めた
 
 アスファルトのざらつき
 重力を背骨に感じ、里山を駆ける
 林檎畑の石垣が途切れると、道は蛇行をはじめる

 先刻のダート走破のおかげだろうか?
  コーナーと戯れる余裕も出てきた

 ブレーキングに任せ、身体を預ける
 重心をフロントへ移動、フォークが沈むと同時に、トップブリッヂ目指し、伏せる
 リヤから抜重、内足のステップを踏み込む
 重力を手に入れた車体が、旋回をはじめる
 つま先が路面を擦り、乾いた音を立てる
 立ち上がり、土踏まずでステップを前に押し込む
 縮み上がるリヤサスペンション、浮き始めるフロントを、反動で押さえ込む

 時に滑らかに 時に蜷局を巻き
 さながら急峻な谷筋を分け入る清流のように
 道は饒舌に語り、歌う

 木立の道が、ざわめきながら背中へ吹き飛んでいく
 信濃の峠道との、舞踏会
 2台のオートバイは、輪舞曲(ロンド)を奏でる

 宴もたけなわ-
 針葉樹の山肌を過ぎた頃
 出迎えたのは、日本の原風景
 大岡の集落-細い路地の向こう、群青の北アルプス
 棚田と、畦道と、土壁の家
 庭先には柿の古木
 山の端から赤光が差し、クリッピングポイントを染め上げる。
 オレンジと黄金色の、ペイジェント 
 
 幾ばくのコーナーを過ぎて、幾ばくのストレートを駆けてきたことか-
 辿りつけば道は塞がれ、通行止め
 オフ車なら強行突破も辞さないところ、が-
 ここは大人に、迂回。

 小さな集落、金色の稲田の端
 しばしの休憩
 エンジンを切れば、収穫の音ばかり
 傾きはじめた陽の斜線を浴び、汗を拭う
 
 右手の里山の麓には
 鎮守の森と、小さな社
 苔むした石段が、黒い境内へ続く
 しばしの語らい


 (某氏ブログへの私のコメント)
 『日本人の“やまとごころ”は、四季折々に見られる森羅万象の移り変わり、生と死に万物の魂を見、それが全ての事象に神が宿る、という認識に継がっていったのでしょう。
 そして(今回のように大きな)自然災害があったりすると、その神々は“慈愛いに満ちた”ものではなく、“畏ろしきもの”、“祟るもの”であると考えられていったのでしょう。
 “人の力ではままならぬ、しかし感情をもった、畏ろしき神々”
 人々にできるのは、それが怒ることのないよう、祈ることだけだった。
 その場所は、時には神社という場であったり、災害をもたらす山そのもの立ったり、海や空だったりする。
 山深い信州で農耕や畜産を生業としたいにしえの人たちは、都会に住んで電脳の世界に触れあう私達よりも、(日々の暮らしのなか:筆者注)ずっと沢山の神々と接していたのでしょう。だから、彼の地には小さな神様から(黒姫みたいな)大きな神様まで、沢山の神様がお祀りしてある。
 それが、外界に対して剥き身の、そして雨の怖さや風の冷たさ、重力の力を知る、私達バイク乗りの心にシンクロするのかもしれませんね。
 オートバイの旅は、私達のやまとごころを呼び起こし、神々を感じさせてくれる、特別なものなのだと思います。』

 オートバイに乗り、野山を“駆ける”と理解る
 -土にも、雨にも、風にも、落ち葉にも、大樹にも、草花にも、雲にも、太陽にも、アスファルトにも-
 抗えぬ畏ろしきものがいる
 
 “日本は神の郷(クニ)”

 同時に、これを特定の立場の人が言うと引責辞任にもつながる国家(クニ)www

 …いつしか陽はオレンジ、東の山端から下弦の月
 急ごう。
 集落を縫い、狭い村道を下る。
 草むらに鳴く虫の音が、少しずつ大きくなってきた。
 
 木曽川の深淵を渡り、懐かしい峠を目指す。
 独身時代幾度となく訪れた、天の岩戸を仰ぐ、あの場所へ
 麓の集落を貫く、V-TwinとIN-LINE4
 急峻な登坂路、2速と3速の繰り返し
 深山の冷気が、濁流のように
 
 峠の端、アクセルを戻す
 二人煙草をくゆらせ、天の岩戸-戸隠の山を仰ぐ
 『分け入っても分け入っても青い山』~種田山頭火~
 遠山無限碧層々
 吐く息はいつしか、白く
 残照のなか、山柿の影は長い
 この地の秋は、既に盛りを迎えようとしている
 やがて濃緑の樹木は朱く染まり、山は濃い灰色と落ち葉に覆われ、山々の頂は白く飾られることだろう。



 
『里の秋』 (斎藤信夫作詞・海沼実作曲)

静かな静かな 里の秋
お背戸に木の実の 落ちる夜は
ああ 母さんとただ二人
栗の実 煮てます いろりばた 
 
針葉樹の木立は藍色、道は隘路。
  突き落とされるようなヘアピンを、幾つも駆け下りた。
 峠を越え、北信の地へ。
  小川村。
  整備された県道、2台のオートバイは、T字路で別れた

「お気をつけて!」
  「また、走りましょう!」
 
  多くは語らず、ハンド・サインを交わす
  某氏は西へ、私は東へ
 
  …これが、バイク乗りの旅だ。
  言葉は要らない、語らいは、もう十分に尽した
  さながらジャズのセッションのように-
  道連れも不要
  連む義務もなければ、同宿を請う理由もない
  行く先は、己の心のままに-

  更埴の盆地を越え、越後の地を目指した
  左手の野尻湖は、水煙で見えない
  右手を捻れば、霧氷は飛礫に変わる。
  寒い…

梢を渡る風に、ランタンが揺れる
  ストーブの息吹に、雨音が混じる
  フライシート越しに、草の匂いが漂う
  今夜はひとり、山中でのキャンプ泊…なんてやったらカッコイイのだが、私は基本的につらいのはいやだ。

根性無しと言われてもいい
  今日は旅館に泊まろう
 宿に着いたら、お風呂に入ろう
あったかいごはんを食びよう
  ぬくいお布団で、持って来た本を読もう

  そう思ったとき、私はバイク乗りであることを忘れていた。

 

  ごちそうさま、一日目おしまい


【おまけ】
 JBPress読んでたら、面白いネタを見つけた。日刊ベスト・・・日べ(いるべ)。南トンスルの、VIP板の極端に偏ったヤツ、かな?
 クリスマスぼっちが男女とも集結して合コンやろうとしたら、集まったのが男8割、女2割だったんだって。何で女が殆ど集まらなかったかって言うと…予め強姦パーティーが計画されていたから、らしい。
 公開された掲示板でそんな計画立てたら、そりゃあ女も引くわなあ。
 相変わらず、詰めが甘いというか・・・すぐわかっちゃうようなことをわざわざやるなよ。
 あー、民度低っ!
Posted at 2013/10/21 17:34:49 | コメント(4) | トラックバック(0) | | クルマ
2012年11月26日 イイね!

買うじょ!

買うじょ!ネタがネタだから、大変僭越に聞こえるかもしれないが、まあ聞いちくり。













以前のブログにも書いたが、私は長野県から新潟上越エリアに狂ったように出没している。
なぜそんなにその辺りを訪れるかというと、昔から兎に角、雪嶺を望む山里の風景が大好きで、それを味わうにはこのエリアを“単車”で訪れるのが最適に思われるからだ。


なかでも、木曽開田エリア、飯田上村からしらびそ高原を経て大鹿に至るエリア、乗鞍から野麦峠のエリア、長野市大岡、小川村、美麻村、中条村、飯綱、鬼無里といった山村集落エリア、新潟県新井、戸狩、妙高や黒姫のエリア・・・。

こういったあたりについては、“日本の原風景”を求め、国道から市道村道、田んぼの中から山の林道獣道まで、かなり、かな~り綿密に走り込んできた。



このような日々を、これからもずっと味わって生きていきたい。
単車でのひとり旅、そりは私の生き甲斐なのれす。



しかし、単車というのは、特にオフロードバイクで獣道なんかを走ると、兎に角疲れる。

疲れ度合いでいうと、例えば、晴天無風気温23℃くらいの条件で、エヴォーラで山岳ロードを1時間くらい流す場合の疲れ度数を〈1エヴォーラ〉とした場合、エキシージで同じ山岳ロードを(休憩取りつつ)1時間真面目に走る→3エヴォーラくらいとなる。
これが更にロードバイクだと6~7エヴォーラくらいであろうか。


極めつけはオフロードバイクで、これで獣道アタックや藪コギを30分もすると、私のエヴォーラ値は一気に50、いや80位に跳ね上がる。

この時点では、私の心臓はバクバク状態、吐く息はゼハゼハでゲロの一歩手前…いや、2回くらいは吐いたこともある。汗は滝のごとく滴り落ち、血行がよくなって指先がジンジンとなり、グローブの中で指はふやけ、真冬でもポカリ1.5リットルは確実に飲み干す。

・・・何が言いたいのかというと、つまり、バイクの本気走りは疲れるのだ。

で、走り終えた後、つまりごはんと就寝についてであるが、若いときは自炊の後テントで野宿も良かった。
が、単車で無茶をすると2日後位に全身がボロボロになるようになり、ロードバイクに乗ると革ジャンに重さを感じるようになった昨今、遠出をしたらやはり温泉に浸かって温かいごはんをいただき、ふわふわのお布団に潜り込みたい、という欲望が頭をもたげてくることは、きっと誰にも否定はできない筈だ。

そうなると、常宿が欲しくなる。
思い立ったら気軽に出かけることができ、泊まるにもハズシがなく、しかも安く、トイレも野◯ンせずに済み、夜分徘徊する野獣の足音にも怯えずに済み、晴天の夜の底冷えで鼻水を垂らすこともなく、突然の雨で寝床ごと浸水する・・・などという凶事など、何ひとつ心配しなくて良い、自分だけの世界。
ごはんも“食パンにインスタントカレーをぶちまける”、などという野蛮なものではなく、ほこほこの白いやつにお魚やお肉がついたりして・・・或いは、せっかく作ったキノコ鍋のなかに、ランタンの灯りに吸い寄せられた巨大な蛾が墜落してきたにも関わらず、空腹のあまりそれさえも食糧にみえてがっつき、噛み切った瞬間に、むせかえるような苦みに苦痛さえ感じることも無く・・・。

極めつけは、チェックイン時には若くて綺麗なねーちゃんが、“◯◯様、お待ちしておりました(はぁと)”なんて笑顔で出迎えてくれたら・・・私はもう、年甲斐もなく胸をときめかせてしまいそうである。

(『あぶない刑事』の館ひろし ばりに・・・)

“今夜、どう?”

・・・なんて。

もとい、いつでも出かけられて、屋根があって、暖かい部屋があり、ふわふわのお布団、そして美味しいごはんが出てきて・・・。

そんな、私だけの宿が欲しい。


この悩み、贅沢・・・だろう。私もそう思う。

でも、社会人になってからコツコツ貯めてきた、定期預金がもうすぐ満期になる。

勿論、嫁には内緒だ。もしも嫁にバレたら、今度こそ自宅の耐震補強やら外壁塗り替えやら、老後対策貯蓄やら、新しいPCやソファーへセットやダイニングキッチンの原資に使われてしまう。
折角会社の財形制度を利用して、給与から天引きされる形でブラックボックス化させてきたこの貯金は、私の虎の子なのだ。
このお金は、私のためにだけ存在するのだ。
もしもこの貯金がバレたら、長年かかって行ってきた裏工作も、すべて水泡と化してしまう。

ならば

遣われる前に遣う。

これしかない。

皆さんにもご記憶があるだろう。
数人で鍋を囲むとき、鍋の蓋が取り払われたと同時に、素早く肉ばかりをまとめて胃袋に流し込むヤツ。
合コンで、一番可愛い子の前の席に、ちゃっかり座ってしまうヤツ。
カラオケで、皆が上司に気遣ってなかなか歌おうとしないなか、真っ先に自分の持ち歌を披露して得意になるヤツ。
接待の席で、入り口から一番遠くに座り、一番上司から離れた席を分捕るヤツ。
タバコが吸える会議なのに、皆が遠慮して吸わないなか、一目散に灰皿を自分の前に持ってきて、美味そうに煙をくゆらせるヤツ。
打ち合わせに遅れても、見積書だけは自分で抱え込んで、駆け引きの主導権を手にしてしまうヤツ。
露天温泉で皆が湯船の周囲に浸かるなか、悠然と湯田し口の前に居座り続け、気持ちよさそうにうたた寝を始めるヤツ。
人の領土を平然と実効支配し、どんなに間違いを指摘されても、“ココはウリの土地ニダ!”といって居座り、いつの間にか自分のものにしてしまうヤツ。
世界3大宗教の発祥が、たとえ自分たちには全く歴史的因果がないとしても、有名な大学教授が“キリストはウリナラ出身ニダ”と言えば、歴史的な既成事実として万国に発信してしまうヤツ。

結局こういったヤツらが、勝者であるということを。
撃たれる前に撃て、と昔見た何かのアニメでも言っていたではないか?

遠慮は美徳ではない。
遠慮するヤツは、敗者だ。

私は、そう思った。

“世の中、やった者勝ち”だ。

要は、カネを換金不能のモノにしてしまえば、そこに奪われる脅威はなくなる。
何より、私には欲しいものがある。

“21世紀は心の時代”・・・名だたるエコノミストも、リーマン前はそう言っていたではないか!
ならば、私だって、心を豊かにできる買い物をしたって良いじゃないか!?

エヴォーラ?何すか?それ。

で、だ。

本当に良いものなら会員権、買ってもいいかなあ、と思って、この数ヶ月、私は狂ったようにリゾート会員権の研究をしている。
パンフも取り寄せた。
仕事をさぼって、顧客訪問の名目で、リゾー◯トラストや東◯リゾートの営業マンとも、いっぱい面談した。
リゾート経験豊かな、会社出入りの損保会社役員にもいろいろ教えてもらった。
みんカラのブログでも“教えてクン”と化して皆さんにリゾートの意見を伺った。
シンクタンクの担当者にクーポン券をせがみ(30枚くらいくれた)続けた。
単車に乗るのを我慢して、一生懸命嫁にプレゼントを買うお金を捻出した。
黙って犬猫のごはんのグレードも下げた。
賞与の現金支給も経理にお願いした・・・。

そのうち体験宿泊価格がユースホステル並のものについては、いくつかを試してみた。
もちろん、嫁には、出張と言っている。
だから、いつもひとりで行く。

で、今回、最後の体験宿泊を終えた。

長かった。本当に長かった。
葛藤した。私ごとき身の上の者が、こんな贅沢をしていいのか?と。

しかし、私はくじけなかった。

で、決めた。

リゾート会員権、買うじょ!





あとは、(会員権を買うには)
まだお金が(全然)足りない、
という問題をどうするか、だ。

・・・まいったな、フッ
Posted at 2012/11/26 13:42:49 | コメント(8) | トラックバック(0) | | 暮らし/家族
2010年09月16日 イイね!

地獄のロード

今週仕事で900キロ運転することになりそう。
水曜~木曜 和歌山・奈良出張で運転400キロ。
金曜~土曜 長野出張で運転500キロ。

で、帰ってきて・・・
日月火と信越ソロツーリング。
プライベートで600キロバイク走りします。

しめて1500キロを走ります。

ブログはちびっとお休み。
3連休終わったら、バイクツーリングはきちんとレポートします。

Posted at 2010/09/16 23:00:55 | コメント(8) | トラックバック(0) | | 日記
2010年08月17日 イイね!

行ってきましたⅢ 『道の鼓動は愛』編 (長い紀行文・旅好きな人、どうぞ!)

行ってきましたⅢ 『道の鼓動は愛』編 (長い紀行文・旅好きな人、どうぞ!) 幾らなんでも10日も前の旅行記を書くのもなんですが・・・諸事情で今日更新します。











さて、奈川高原(前章参照)でお蕎麦をいただいた後は、いよいよ旅のクライマックスです。
県道39号線飛騨街道、つまり有名な野麦峠を東から西に横断し、国道361号線から開田高原に出るルート。
前半は狭い2車線レベルのツイスティロード、後半はそこそこ広い、いわゆるワインディングロードです。
いずれも高原の森林地帯を縫って走るルートですが、このルートを選んだには理由があります。
ひとつは、野麦峠のルートはそこそこ狭いため、観光バスはじめ大型車が入ってこないこと。また、大型車に限らず国道19号から高山へ抜ける観光ルートは、前述国道361号のほうが走りやすいため一般車も入ってこないこと。
もうひとつは、野麦峠を越えてから走る361号もまた、東から西に向かうルートは確かにそこそこ観光ルートとして使われることが多いのですが、逆方向は案外空いてます。

やっぱり、走りを楽しむなら道は空いているに限りますから、ね!
あ、勿論地元ナンバーの農作業車や路線バス、一般車輌には最大限気を遣って、どんなに遅くても我慢我慢で。

さて、野麦峠ルート。ここは有名な女工哀史のお話、山本 茂実著『ああ野麦峠』の有名なシーンの舞台。口減らしで故郷の飛騨を追われ、生糸女工として苛酷な労働を続けるなかで腸閉塞になり、仕事を失い兄に背負われて雪道を故郷へ向かう主人公 政井みね が、朦朧とする意識の中、「ああ、飛騨が見える・・・」と呟いて息を引き取る、あの舞台です。
有名な街道とはいえ、観光地にありがちな土産物屋もコンビニも、ペンション街も、ここにはな~んにもありません。麓の集落はいかにも雪国の寒村、という感じ。
特徴的なのは、みーんな平屋ばかり。通常この地方の集落は、嘗ては夏は農業、冬は生糸の原料となる養蚕を生業にしていることが多く、従ってたいてい母屋の2階には蚕部屋が作ってあるはずなのですが・・・平屋つくりには、どんな理由があるんでしょ?
今でも並走する街道沿いに車道こそは舗装されていますが、過酷な自然環境のせいでしょうか?崖崩れも多く、雪のため1年のうち半分は閉鎖されてしまう道です。

そんなことを心の片隅にぶら下げて、幾分か涼しさを増した、杉林の旧街道を走ります。3速に入るのもわずか、殆ど2速中心でまわります。コーナーにあまり変化がないといえばないけれど、路面はうねり、何度か渓流を横切りつつ峠の頂上までは一気に登ります。途中蛇さんが道を横切ったり、イタチ(テン、かな?)が飛び出してきたり、こんなとこで地元の生き物に迷惑かけちゃいけないから、結構気を遣います。
といっても、案外走りに集中してると、攻めたりしてなければ大抵回避できるんですけど、ね。

そんなこんなしてるうちに、“お助け小屋”の看板、野麦峠の頂上です。

旧街道に出れば可能なのですが・・・ここからは残念ながら遠く飛騨の里を眺めることはできません。
本来なら単車を降りて、嘗ての富国強兵日本を支えた女工さんたちに思いを馳せながら、旧街道を歩きたいところなのですが・・・しかし、そこには“ツキノワグマ注意”の看板。
これは怖い。熊よけ何ぞ持ってないし、昔ソロキャンプしたときみたいに、携帯の着メロをひたすら流すか・・・といっても、それで他の登山者に迷惑かけたくないし、なにより、もしも電池が切れようものなら・・・

ハマーン様「なぜ通信を切った!?貴様、私が何度連絡をとろうとしたか、わかっているのか!?」

私「いえ、熊よけに携帯の電池を使い切ってしまって・・・」

ハマーン様「言い訳とはな・・・信頼すればこそ地球圏(野麦峠のこと)の偵察に出してみれば・・・貴様には失望したよ!」

なんてことになり、今度は夕食に、最高級地ワインでもご馳走させられてしまっては身も蓋もないので・・・。

仕方なく、人気のない駐車場に出ました。そして、そこから見る乗鞍岳の雄大さといったら・・・!
あちこちに啼くウグイス、カッコウの声。見たこともない蝶や虫達。乾いた涼風に雲は払われ、名に聞く大雪渓が遠くに確かめられます。
遠くは濃い蒼、織り成す緑色の山塊から、すぐ手前は野花と虫たちの黄色、ピンク、オレンジ・・・自然の何と、何と饒舌なことでしょう!
空気のにおいは軽ろやかで、透明で、まるで岩清水のよう。
思わず伸びをすれば、お天道様は蒼穹に銀色。

ここには自分しかいなくて、この景色は独占状態だけど、家に置いてきたみけにゃんことしばわんこに、ちょっと後ろめたい気持ち。あいつら連れてきてやったら、多分・・・
しばわんこは、到着早々その辺で糞尿を垂れ流し・・・
みけにゃんこは、脱走の後、小動物の虐待開始。
まあ、一気に環境破壊ですね。あ・・・ここに単車で来てるだけでも充分破壊者か。

この景色の暮れゆく様をいつまでも見ていたいけれど、そろそろ出発しないと夕食に間に合いません。
ここからは国道まで下り1.5車線。にわかに道が荒れ始めました。谷側の路肩からはススキの葉が飛び出し、山側路肩には落石の破片が沢山・・・クリッピングポイントの見えないブラインドコーナーが連続します。時折でかいミニバンが突然出てきたりして、冷っとすることもしばしば。こんなせまい道で何であいつらはイン側ギリギリを走るのかねえ・・・対向車のこと、考えてるのかな?
ていうか、そこまでデカイ車でこんな狭いとこ入ってくるなよ・・・。

でも、山の中腹を縫って走るなか、左側が深い谷で、右側は崖をえぐるようなヘアピンを走ったりしてると・・・その峡谷の大きさに感嘆し、また畏ろしくもあり・・・楽しいです。
注意深く高度を下げていくと、今度は木曽側とは異なる趣の、飛騨の集落がポツリポツリ。
気がついたんだけど、木曽側の民家に使われてる材木(ヒノキ?)は、どちらかというと明るい茶色だけど、飛騨側は濃いこげ茶色なんだな。使ってる木が違うのかしらん?
で、このあたり、都市ガスはもちろん、プロパンも使ってないんですね。各家々には薪木が沢山用意されてます。勿論、携帯は圏外です。

“かくてもあられけるよ・・・”

こんなふうにでも、人は生きていけるんですね。

陽はいよいよ西に傾いてきました。あたりは少しずつ藍色になって、遠くの峰々にはオレンジ色のフィルターがかかってきました。飛騨街道は国道361号に突き当たり、ここを再び木曽方面に西進します。道幅はうってかわって広々、学生のスポーツ合宿地域に出ます。中速コーナーから高速コーナー、ヘアピンと、多種多様な道のり。とにかく涼しくて、明るくて、道がやっと高原に差し掛かったことを教えてくれます。
峠をひとつ越えれば、本日の目的地、開田高原。
宿に入る前に、ちょっと路地に乗り入れて寄道。振り返ると背後には、野麦でみた乗鞍と優劣つけがたい迫力の御嶽山。
“木曽のナァ~なかのりさんはァ~夏でも寒いィ~”有名な木曽節を口ずさみながら、御嶽山に見とれます。雲ひとつない夕映えの空、宵の明星?一番星が顔を出しています。
御岳は灰色がかった藍色、その向こうに太陽が沈んでいきます。
と、面白いこと、発見。御嶽山は標高3056m(だったかな?)、完全な独立峰なので、周囲に高い山はありません。だから、こんなふうに背後から夕陽をまとうと、山の中腹から裾野にかけて、その向こうの地平線の影が真っ直ぐできるんですね(扉絵参照)。
へぇ~地球って、やっぱり丸いんだ。

日は沈み夜の帳が下り、もう秋の虫の音色が聞こえてきました。何処からか聞こえる、コロコロとした沢の音。すこし切ない心細さと懐かしさ・・・小さい頃、日がとっぷり暮れるまで外で遊んで、なかなか帰ってこない私を心配して(今は亡き)母が迎えにきた、あの頃のことを思い出しました。

『旅愁』が、心の何処からか、聴こえてきます。

更け行く秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ

恋しやふるさと なつかし父母
夢路にたどるは 故郷の家路

更け行く秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ

窓うつ嵐に 夢もやぶれ
遥けき彼方に こころ迷う

恋しやふるさと なつかし父母
思いに浮かぶは 杜のこずえ

窓うつ嵐に 夢もやぶれ
遥けき彼方に 心まよう


すっかり暗くなった道。メーターの色が、ヘッドライトの手前に淡く光ります。もう、ゆっくりと、ゆっくりと・・・静かに宿に入ります・・・エンジンを切り、キーを抜き、ヘルメットを脱ぐと・・・冷え冷えとした空気が、一日の疲れを教えてきました。冷房無しでも寒いくらいの夜に、宿の灯りがほんのり暖かくて・・・。
夜は星空を見に行こう。天の河を、見に行こう。カシオペアと、白鳥と、海蛇と・・・。その前に、浴衣に着替えて、黄色くにごったお風呂にゆったり浸かって・・・ごはんはきっと、鯉の甘煮、岩魚の塩焼き、山菜の天ぷらってとこかな?


部屋に通され、窓辺から一人静かに外を見ていたら・・・



「迎えにも来ず・・・貴様も偉くなったものだな、俗物!」



・・・部屋の入り口には、両手に抱えきれないほどの旅行バックを携えて、肩で息をしているハマーン様がおられました。

おしまい。
Posted at 2010/08/17 23:52:49 | コメント(4) | トラックバック(0) | | 旅行/地域

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「5年乗ったスピトリRSから乗り換えた。旅先でどうしてもダートを見ると心がときめくからだ。林道レベルならモタードはオフも走れる。問題はタイヤだが、純正のスーパーコルサSPはナラシ終了時に坊主になってるはず。次はスコーピオントレイルあたりにしたい。だが情報が大陸に漏れるのは必至。」
何シテル?   09/19 00:51
平成30年2月現在、 【四輪】 家車…モデル末期、叩き売りのアウディA4 AllroadQuattro。 使用用途は主に近所のスーパーへの買出し、...
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