【前書き】
アメリカの茶番は一応の区切りを見せてはくれた。
といっても、緊急でデフォルト回避措置とっただけで、債務上限先送りは相変わらずだし、これは下院で民主が過半数を取る中間選挙まで延々と続く問題だ。従って先頃の国債格付低下に現われるように、アメリカの信任は低下傾向にあるのは間違いない。
次のFRB議長のイエレンおばちゃんがハト派ってこともあり、当面来年年明けまでは、つまり次の“財政の崖”を迎えるまで、ドル安は続く。
となると、日本は当面日銀の大胆な緩和やリスク資産買入サプライズが起きない限り、(実需面では)更なる輸出拡大もなく、五輪、リニアやエネルギー、復興、国土強靱化に向けた内需以外、大きな景気回復要因はない。市場ではこのような材料は既に出尽くしている。従って、株価も大きく上がりはしない。
このなかでの消費税増税…タイミングが悪い。投資による所得税も来年からは倍額になるし、マーケットにおいても実需においても、本当に景気回復が本格的に軌道に乗るのかどうか…不安だ。折しも『貿易収支は上半期赤字額が過去最大に(21日付ロイターより引用)』の言葉が入ったばかりだ。
もしも対外収支が回復せず、そのうえで内需に活路を見いだすのだとしたら、法人税減税や設備投資減税がなされたままだと、税収は…よくはならない。
税収が良くないってことは、防衛予算も今年度の0.8%上げで終わってしまったりして、そうなると第一列島線や壱岐対馬や竹島から繋がる海底資源、白樺はじめメタンハイドレードの保護さえ、単独で行うのはつらい。
やはり台湾やASEANとの権益共有を進展させ、外交を強化しないとダメだなあ。
まあ、それはそれとして現実に帰ると、此方は仕事が雪だるまのように増殖していき、完全にスランプに陥ってしまっている私がいる。今日は日中来客が2件入っているし、週末から週明けにかけ、出張も入りまくっている。というか、台風の最中に大阪へ出撃せねばならない。
もういいや、何か書くか。
【というわけで】
10月12日から14日迄、半年ぶりに単車に跨り、ひとり旅をしてきた。
以下、レポート。紀行文だと思ってお読み頂けたら幸いである。
《10月12日》
今年も、この季節が訪れた。
出勤時と大して変わらぬ時刻、ガレージの門扉を開け、やや灰色がかった北の空に目を遣る。
あの向こうへ辿りつけば、未だ冷めやらぬ夏の残滓から、少しは逃げ出すことができるだろうか?
思いは水冷高回転型V-Twin、999ccの転がるような音色を掠め、目覚めはじめた街に霧散する。
3連休の初日、高速は既に四輪の群れに覆われている。
流れはよくない。家族連れのファミリーカーと、帰路に就くトラック。
これらが混然となって、鼠色のアスファルトに閉塞感を募らせる。
〈出るのが遅すぎたか?〉
フルフェイスのヘルメットのなか、鈍く舌打ちしつつ、走り慣れた道程をたぐる。
小牧、瑞浪、中津川・・・狭く山間を縫う中央道、開放感のない単独行。
恵那山をくぐる長いトンネルを越え、アルプスの狭間へ-
退屈な、日常からの逃避行。
塩尻の峠。重い日差し。
ここにもまだ、残暑が居座り続けている。
針葉樹の林は深く、左手に北アルプス。
雪嶺の欠片さえ見えず、濃紺の山塊は遠く薄灰に解けゆく。
右手は白い扇状の、松本平(まつもとだいら)。
安曇野に差し掛かかれば、いつしか四輪の群れも数えるほどに減っていることに気づく。
漸く、空の明度が、変わった。
気流の銀鱗から、重みが失せる。
軽く、透明で、引き締まった、冷たい風。
今年初めての、エッジの効いた、秋の日差し。
友人との待ち合わせは正午、梓川SA。
仕事でトラブル発生、との連絡。
合流地を先に延ばし、高速を降りる。
豊科を抜け、雑然の明科を過ぎる。
狭い旧街道、例大祭が季節が変わったことを知らせる
大樹の並木、往来を囲むしめ縄、バックミラーの向こう、揺れる御幣
この地にはまだ、神々が生きている。
T字を右折、上田方面。旧道へ入る。
緩やかに続く、片側1車線。左手は里山、右手にはせせらぎ。
未だ濃緑の、広葉樹の道。
道はやがて勾配を増し、風に渦音が混じりはじめた
高度を上げ、山岳路へ
そぞろに捻る、アクセル。
山の端には落ち葉が舞い、路面も波打つ。
肩慣らしの、ツイスティロード
突っ込みで身体がビビる。
ピッチング大きく、ブレーキングでつんのめる。
アカン、ニーグリップに力が入らない。
アンダー強し。
半年ぶりの体重移動、 内足荷重忘れてる
思ったより曲がらない。
立ち上がりでタンクに伏せるのも忘れてた。
本調子には、ほど遠い。四輪ばっか乗ってたからなあ・・・
これはいけない
真面目に乗り方、思い出さないと。
まずは身体を温めようと、峠の遂道を越えたところで、本道を外れる。
未舗装の林道、深いサンドにバラス
落葉と、啼鳥の道
日差しと木陰のコントラスト、路面を理解しづらい。
何処にギャップがあるのかわからない。
バイザーつきのメットでないことが悔やまれる。
115馬力も、ここでは無用の長物。
腹ン中ではなく、腕がパンパンだぜ
腿が痛い、背筋が悲鳴をあげている
噴き出る汗、グローブの中がねばつく。
シールドが曇り、前が見えない。
長すぎたブランク、いや、齢のせい?それに・・・
やっぱ重いわ、てか重すぎるわ、このバイク。
仲間達とゲロ道を走り、ダート林道を駆け抜けたあの頃-
DTやRMX、DR-Zの時代が懐かしい
それでも幾つも数えぬうちに、余計な力は入らなくなった
疲労と失われた体力が、無駄な動きを慎ませる
右コーナー、フラット。
フロントが深い砂につかまる
アクセルを開けば、流れるテール
思いっきり前乗り、ステップを踏みしめ、向きが変わればシートに尻を押しつける
急角度で、土の巨人に後塵をぶちまける
これぞKTM!砂漠の血は争えない…!
儀式は終わった
距離にして10キロにも満たない、心と身体の解放。
“次はハスクで来よう”、と後悔しつつ…
麓の村へ降り、待ち合わせの場所へ向かう
村はずれの酒屋の前で、某氏は待っていた。
合金の悍馬、4気筒600cc、13000回転のエクスタシー
煌めく赤、青、金色…星屑のメタリック
再会を祝い、煙草を吹かす
中天に消える紫煙
私の旅の発祥の地-北アルプスを望むあの場所を目指して
2台のオートバイは走り始めた
アスファルトのざらつき
重力を背骨に感じ、里山を駆ける
林檎畑の石垣が途切れると、道は蛇行をはじめる
先刻のダート走破のおかげだろうか?
コーナーと戯れる余裕も出てきた
ブレーキングに任せ、身体を預ける
重心をフロントへ移動、フォークが沈むと同時に、トップブリッヂ目指し、伏せる
リヤから抜重、内足のステップを踏み込む
重力を手に入れた車体が、旋回をはじめる
つま先が路面を擦り、乾いた音を立てる
立ち上がり、土踏まずでステップを前に押し込む
縮み上がるリヤサスペンション、浮き始めるフロントを、反動で押さえ込む
時に滑らかに 時に蜷局を巻き
さながら急峻な谷筋を分け入る清流のように
道は饒舌に語り、歌う
木立の道が、ざわめきながら背中へ吹き飛んでいく
信濃の峠道との、舞踏会
2台のオートバイは、輪舞曲(ロンド)を奏でる
宴もたけなわ-
針葉樹の山肌を過ぎた頃
出迎えたのは、日本の原風景
大岡の集落-細い路地の向こう、群青の北アルプス
棚田と、畦道と、土壁の家
庭先には柿の古木
山の端から赤光が差し、クリッピングポイントを染め上げる。
オレンジと黄金色の、ペイジェント
幾ばくのコーナーを過ぎて、幾ばくのストレートを駆けてきたことか-
辿りつけば道は塞がれ、通行止め
オフ車なら強行突破も辞さないところ、が-
ここは大人に、迂回。
小さな集落、金色の稲田の端
しばしの休憩
エンジンを切れば、収穫の音ばかり
傾きはじめた陽の斜線を浴び、汗を拭う
右手の里山の麓には
鎮守の森と、小さな社
苔むした石段が、黒い境内へ続く
しばしの語らい
(某氏ブログへの私のコメント)
『日本人の“やまとごころ”は、四季折々に見られる森羅万象の移り変わり、生と死に万物の魂を見、それが全ての事象に神が宿る、という認識に継がっていったのでしょう。
そして(今回のように大きな)自然災害があったりすると、その神々は“慈愛いに満ちた”ものではなく、“畏ろしきもの”、“祟るもの”であると考えられていったのでしょう。
“人の力ではままならぬ、しかし感情をもった、畏ろしき神々”
人々にできるのは、それが怒ることのないよう、祈ることだけだった。
その場所は、時には神社という場であったり、災害をもたらす山そのもの立ったり、海や空だったりする。
山深い信州で農耕や畜産を生業としたいにしえの人たちは、都会に住んで電脳の世界に触れあう私達よりも、(日々の暮らしのなか:筆者注)ずっと沢山の神々と接していたのでしょう。だから、彼の地には小さな神様から(黒姫みたいな)大きな神様まで、沢山の神様がお祀りしてある。
それが、外界に対して剥き身の、そして雨の怖さや風の冷たさ、重力の力を知る、私達バイク乗りの心にシンクロするのかもしれませんね。
オートバイの旅は、私達のやまとごころを呼び起こし、神々を感じさせてくれる、特別なものなのだと思います。』
オートバイに乗り、野山を“駆ける”と理解る
-土にも、雨にも、風にも、落ち葉にも、大樹にも、草花にも、雲にも、太陽にも、アスファルトにも-
抗えぬ畏ろしきものがいる
“日本は神の郷(クニ)”
同時に、これを特定の立場の人が言うと引責辞任にもつながる国家(クニ)www
…いつしか陽はオレンジ、東の山端から下弦の月
急ごう。
集落を縫い、狭い村道を下る。
草むらに鳴く虫の音が、少しずつ大きくなってきた。
木曽川の深淵を渡り、懐かしい峠を目指す。
独身時代幾度となく訪れた、天の岩戸を仰ぐ、あの場所へ
麓の集落を貫く、V-TwinとIN-LINE4
急峻な登坂路、2速と3速の繰り返し
深山の冷気が、濁流のように
峠の端、アクセルを戻す
二人煙草をくゆらせ、天の岩戸-戸隠の山を仰ぐ
『分け入っても分け入っても青い山』~種田山頭火~
遠山無限碧層々
吐く息はいつしか、白く
残照のなか、山柿の影は長い
この地の秋は、既に盛りを迎えようとしている
やがて濃緑の樹木は朱く染まり、山は濃い灰色と落ち葉に覆われ、山々の頂は白く飾られることだろう。
『里の秋』 (斎藤信夫作詞・海沼実作曲)
静かな静かな 里の秋
お背戸に木の実の 落ちる夜は
ああ 母さんとただ二人
栗の実 煮てます いろりばた
針葉樹の木立は藍色、道は隘路。
突き落とされるようなヘアピンを、幾つも駆け下りた。
峠を越え、北信の地へ。
小川村。
整備された県道、2台のオートバイは、T字路で別れた
「お気をつけて!」
「また、走りましょう!」
多くは語らず、ハンド・サインを交わす
某氏は西へ、私は東へ
…これが、バイク乗りの旅だ。
言葉は要らない、語らいは、もう十分に尽した
さながらジャズのセッションのように-
道連れも不要
連む義務もなければ、同宿を請う理由もない
行く先は、己の心のままに-
更埴の盆地を越え、越後の地を目指した
左手の野尻湖は、水煙で見えない
右手を捻れば、霧氷は飛礫に変わる。
寒い…
梢を渡る風に、ランタンが揺れる
ストーブの息吹に、雨音が混じる
フライシート越しに、草の匂いが漂う
今夜はひとり、山中でのキャンプ泊…なんてやったらカッコイイのだが、私は基本的につらいのはいやだ。
根性無しと言われてもいい
今日は旅館に泊まろう
宿に着いたら、お風呂に入ろう
あったかいごはんを食びよう
ぬくいお布団で、持って来た本を読もう
そう思ったとき、私はバイク乗りであることを忘れていた。
ごちそうさま、一日目おしまい
【おまけ】
JBPress読んでたら、面白いネタを見つけた。日刊ベスト・・・日べ(いるべ)。南トンスルの、VIP板の極端に偏ったヤツ、かな?
クリスマスぼっちが男女とも集結して合コンやろうとしたら、集まったのが男8割、女2割だったんだって。何で女が殆ど集まらなかったかって言うと…予め強姦パーティーが計画されていたから、らしい。
公開された掲示板でそんな計画立てたら、そりゃあ女も引くわなあ。
相変わらず、詰めが甘いというか・・・すぐわかっちゃうようなことをわざわざやるなよ。
あー、民度低っ!