
【はじめに】
『
コラム:平昌五輪後に待ち構える日本の国難と円高=斉藤洋二氏』という記事が、ロイターに載った。
本日この記事をテーマに、同誌にて同じく執筆している友人ストラテジスト(※1)と、以下のような内容でメールやりとりをした。
…ストラテジストと呼ぶのもめんどくさいので、以後本エントリでは彼を
“ぽんちゃん(※2)”と呼ぶことにする。
※1→学生のころから内閣府経済社会総合研究所で働いていやがった。21世紀初頭からしばらくの間、日本の経済政策にはヤツの影がチラホラ見え隠れしている。
※2→何故“ぽんちゃん”と言うかというと、ウチの嫁が“コロコロした人”を指してそう呼ぶからであり、彼の見た目はまさしく“ぽんちゃん”である。今回は彼女のそのような言い回しにあやかることにした。
【本日14:07のメール】
以下、早速コピペしていこう。
器《Utsuwa》より-
> 実は私、トランプ当選時から、あの男の公約や国際情勢考えて、構造的な円高、いいえ
ドル安を予感していたのですが、皆さんと意見が違うようだから、と黙っていました。
>しかし私の予測は見事に外れ…といっても、トランプは(公約とはえらい違いがありますが)年末の税制法案を通すまで何もしなかったわけですが…結果としてオバマ-バーナンキ-イエレン路線が長引き、アメリカの名目上の成長率は年率2%台後半まで回復…私はやはり、
金融資本主義はキライです(笑)
> で、この↓記事
> 『
コラム:平昌五輪後に待ち構える日本の国難と円高=斉藤洋二氏』
> ですが、
ぽんちゃんはどう思われますか?
> 正直、私はもともと
レギュラシオン経済学を学んだ身なので、“一国経済は、外的要因や国内の政治や社会事情に規定される”という見方をする癖がついています。
>だから、この枠を超えたグローバル金融資本主義についてはすべて想定外、予想も外しっぱなしなんです。
> ぽんちゃんのご意見いただけたら嬉しいです。
> 器《Utsuwa》より
【同16;18のメール】
ぽんちゃんから返事が来た。
曰く-
>器《Utsuwa》さん、ありがとうございます。
>構造的にドル安なのはその通りですが、それはトランプがドル安を望むからというよりも、米国経済が孤立的になる中で、外貨準備としてドル保有のインセンティブ低下やユーロや新興国の方が投資家にとってリターンの可能性があると考えていることの反映かと思います(※3)。
>
財政赤字を拡大して成長を刺激しても、米国からリターンが得られるかの期待は高くないこともドル安を作っています。
>具体的には、
>・トランプ政策に対する
期待の剥げ落ち
>・併せて、欧州や新興国の景気加速に伴う米ドル建資産から
他通貨、他国資産へのシフト
>・米国財政赤字拡大による
通貨への信任
>・外貨準備保有の
インセンティブ低下
>などが
構造的なドル安要因となっています。
>トランプがドル安を望んでも、トランプ政権誕生後に急激なドル高が続いていたように、
市場は別のロジックで動きます。
>また、金融政策の引き締めによる金利上昇の観点では一定程度ドル需要は残ります。3%程度の利回りであれば米国資産の安心感はまだ投資家に強く残っています。
>なお、
米国経済が、シェールとインフラとサービス業でしか成長できていない点は、経済的な孤立主義を高めています。実際に、
日本やアジアから米国向けの輸出はあまり伸びていません。
>以前の賃金上昇で自動車が売れていた状況とは明らかに異なっています。一方、
中国と世界経済との連動性が高まっていることは、それはそれで大きな問題(※4)も孕んでいます。
>
米国が世界経済のけん引役ではなくなり、基軸通貨としての魅力も低下している状況は、様々なところで世界の混乱を引き起こす要因になりかねない気がします。
ぽんちゃんより
※3→こいつの文章も、私に負けず劣らず長い…どうしてこう、官僚ってのは小難しい理論を並べるのが好きなのだ?人のことは言えないが…
※4→それが一番の問題である
【同17:14のメール】
再び、器《Utsuwa》より-
>いつもながらご丁寧な御返信、ありがとうございます。
>私の説明不足があったようで、補足しますね(※5)。
>私の言う
“トランプ公約と構造的要因によるドル安”、というのは、以下のことをさしています。
>それは大きく言うと、ひとつは(ぽんちゃん仰るように)財政赤字拡大危惧からのドル信認の低下。
>今一つは、
モンロー主義によりアメリカの需給市場活力が低下、これが生む
キャピタルフライト=ドル売り、の二つです。
>即ち、前者については
>①
大規模減税
>②
10年にわたるインフラ投資
>③
軍事費拡大
>④
(メキシコ国境に)カベをつくるwww
>-により膨らむ
財政赤字が、ドルの信認を低下させる
>後者については
>⑤
移民の大規模規制或いはNAFTAやTPP離脱による
域内大量消費市場の成長鈍化
>⑥同理由による
税収の鈍化と財政政策実現可能性の低下=自力成長しか期待できないが、
移民のダイナミズムを否定するがゆえにイノベーションへの道は狭くなる一方
>⑦同理由による
労働コスト上昇が生む輸出品競争力低下
>⑧ドット・フランク規制(※6)撤廃による
ブラック・スワン(※7)誕生機会の増加
>という
アメリカ市場の縮小或いは危険性が、アメリカそのものの魅力を削ぐ…ということです。
>トランプ公約の微細にわたっては覚えていませんが、私は大統領選の折上記のように思ったことで、(内需に乏しい)日本株ETFにつきベア型ダブルインバースを大量購入、結果トランプラリーにしてやられまして、見事自爆した次第です。
>いや、むしろトランプが“何もしなかった”期間が長すぎたから、そうなったのか。
>で…
>>
市場は別のロジックで動きます。
>…なんでA.I.任せ(※8)ってのは、こうも非論理的なのか、とw
>>
シェールとインフラとサービス業でしか成長できていない点は、経済的な孤立主義
>…ですよねえ!何も
富を生み出さず消費するだけでは、新興国の良いカモなんですがw
>まるで
80年代前半の再来www もしもレパトリ税制(※9)通らなかったら、アメリカの製造業は間違いなく全滅するか、あるいはその前に国の財政が…
>…まったくあのオヤジ、本当に経済について解っているのかどうか…いえいえ、そもそも
アメリカという国の活力が何処から来ているのかさえ判っていない様子。
>秋の中間選挙でマルコ・ルビオ(※10)など知的保守派が増えてくれたら、あのオヤジにもよい重しになるのでしょうが…
>それと、近いうちに新しいネタを箇条書きにしてまた送りますね。
>今年は月一のペースでそちらに伺うことになりそうです。またネタを仕入れますので、面白いやつはお知らせしますね。
それでは。
※5→言い訳ではない。嫁曰く、私の言い訳はもっと“分かり易くて草”でそうだ。
※6→無責任な金融商品の氾濫を防ぐ法律。リーマン・ショック後に制定された。金融機関資本規制を強化したバーゼル条項とあわせて、金融秩序維持に一役かった。
※7→経済秩序をぶっ壊す“悪い子”、その予兆のこと。平壌五輪における人面鳥=戦争の預言者みたいなやつ。実際これが見つかるのは殆ど“悪いことが起こってから”である。
※8→今のオンライントレード市場は、実物商品だろうと金融商品だろうと、その商品の値動き動向は、その商品に関連する“ネット上の語彙”がポジなものが多いかネガなものが多いか、瞬時に集計され、そのネガポジの比率に応じて値が上がったり下がったりする。2月以降の株や債券価格の乱高低は、これによるところが多い。
※9→いわゆる、国境輸入税のこと。
※10→アメリカ共和党議員のなかでは、かなりマトモな人。カトリック派なので“エルサレム大使館”などに拘ったりはしない。アレに拘るのは、ペンスなどプロテスタント“福音派”教条主義者や、クシュナーなどのユダヤ教徒である。
【言いたいこと】
で、長々とコピペしてきたわけだが、今回言いたかったことはただひとつ。
2018年、アメリカの凋落はいよいよ本格化する。
そのときシナはどう動く!?
そして・・・日本は!?
以上
Posted at 2018/02/20 19:02:26 | |
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