
今回は手抜きだ。
写真ばっか。
【最後の仕上げ】
2015年6月某日、いよいよ GM社のシヴォレーブランド、C7型コルベット ZO6の受け渡し当日である。
しかし私は、車両の受け渡し先である販売店を横目に、嫁にV37スカイライン350GT TYPE Pのハンドルを握らせ、某県一宮市北部に向かっていた。
販売店を左手に一瞬、Daytona Sunrise Orange Metallic の不可思議な艶やかさを確認する。
ああ、もう身請けの装いも済んだのか・・・ショールーム内のネオ・ジオングに気を取られる素振りさえ見せず、私は窓外から目をそらし、ぼんやりとCDから聞こえるボサノヴァに耳を傾ける“フリ”をした。
いかにして嫁の機嫌を取るか、考えあぐねながらの行動である。高鳴る鼓動を臆面にも出さず、ひたすらに“○○○○まんえん”もの大金を無断で使用した、という贖罪を償うための、三文芝居。
-これでは道化ではないか?
自らの振る舞いに口の端を歪め、私は自嘲的に笑った。
朝方の雨も上がった梅雨の中休み。
盛夏に向かいつつあるアスファルトは時折逃げ水に煙り、ハガネ・ブルーの車体は、原色と灰色が無秩序に交錯する街並みを切り裂くように北上する。
フリーズとミスリードを繰り返す(過去に遭遇したなかでも)最悪のナビ・システムを無視し、代わりにAndroidタブレットが示す道程を従順にまでトレースして辿り着いたのは、一軒の焼肉屋さん。
そう、これも叱られないための“予防線”。
この時点でも、嫁のネオ・ジオングに対する印象は、相も変わらず激烈に悪く(
前章参照)、ことここに至っても、彼女のなかでボルドーレッドのジャガーF-TYPE Rクーペ AWD に向ける慕情が潰えてはいない。
だからこそこれまで、本当に
色々と努力した。
あの日予告したとおり『20歳以上限定のレストランでの、サプライズ付イタリアンのフルコースを』御馳走した。
ある事情(後日『愛車紹介』で報告)で納期が遅れたため、ネオ・ジオングで乗り付けることはなかったが、それでも-嫁への感謝をこめて、美しい花束を捧げた。
おまけに生演奏にあわせてスタッフ全員に、カンツォーネを以って“ごめんなさいのうた”を歌ってもらったりもした。
そして―そして今日という日は、これまでの努力の集大成。
庭園の見える個室での、優雅な“やきにく”。
個室の床はガラス張りで、眼下には絢爛たる色彩の錦鯉が泳ぎ回る。
こんな素敵な空間で“やきにく”をたくさん食べてもらい―即ち空腹を満たしたなかで、ウィットの効いたジョークのひとつでもかましてみる。
少しでもネオ・ジオングに寛容な心で接してもらいたい―その一心で。
(このお店をご存知の方は↑の修辞の洒落っぷりにニヤリ、としたことだろう)
焼肉を貪りながら、「ねえ、知ってるかい? 焼肉と言えばトンスルランド、トンスルランドと言えばリッパート大使襲撃、リッパートといえばアメリカ人、アメリカ人といえばコルベット、しかして新しいコルベットのデザイナーは・・・」
こうやって伏線を張りつつ、搦め手で本日の(本当の)メイン・イベントへ近づけていく。
それが狙いだ。
そう、午前11時30分現在、嫁は今日が“ネオ・ジオング受領日”であることを、まだ知らないw
彼女はただ、地元で有名な“やきにくやさん”へごはんを食べにいく、とだけ思っている。私が運転しないのは、多分ビールでも飲むためだろう、と思っているのだwww
【暑苦しい】
で、ここからは物語から離れよう。
販売店勿論正規ディーラーに辿りつき、まだ若い夏の日差しの下、ネオ・ジオングは時折襟元を撫でていく涼やかな風のなか―
・・・暑苦しかった。
いえ、単体で見ればキレイで大人っぽい、素敵な色なんですがね。
この・・・マフラー4本というのも、迫力以上に暑苦しい。
『何シテル?』にも書いたけど
“男が見てカッコいいのと女ウケが良い、というのは同義ではない”ということがよくわかる。
勿論私は素直に「かっこいい!」と思ったのだが・・・それでもちょっと、暑苦しい。
いや、“だいだいにくろ”ってのが・・・暑苦しい。
インパネ燃えてるしw
アルカンターラ張りの椅子とか、ハンドルも暑苦しい。
コレ↑は家に帰って撮った写真だが・・・
なんか、見てるだけで火照ってきそうな・・・
私、巨人ファンじゃないし。
【光が当たると色が変わるんだよ】
で、ちょっとドライブレコーダー(前後!)のカメラ位置調整のために、工場に移動させた。
そしたら・・・
おんなじ色のC7が!
それもZO6!!
たまたま工場建物の庇で影ができて、ネオ・ジオングを置いてみたら・・・
本当に、太陽光直撃時と日陰では、嫁「違う車?」と言うくらい色が違う!!
明るいところだと、オレンジがかった朱色。
少しでも暗いところだと、レンガ色・・・赤銅色?
ひ、ひびょ・・・(ry
でも、いいんだ!
だって、かっこいいんだもんさ!
え?
嫁はどうしたって?
さっさと先に帰りました、スカイラインでw
【ブリュンヒルデの夢】
いや、それにしても暑苦し・・・これね、納車が冬だったら、もっと違う修辞をしてたと思う。
「見てるだけであったかい」とか。
ほら、この色・・・昔のコタツのなか、思い出さない?
ほっこりするでしょ。
でもやっぱりこの季節、あまりに暑苦しいのは・・・焼肉食った後だし・・・ねえ?
で、納車の儀式、といっても詳細な説明受けたりとか、後付CD/DVDプレーヤーとナビ画面のリンク方法教えてもらったり、とかした後、キーを手渡されて工場を後にしたわけ。
ちょっと汗滴らせながら(笑)
いや、汗が出たのは色のせいだけじゃなくて、やっぱり緊張するじゃない?
なにせ、
“ろっぴゃくごじゅうきゅうばりき”
ですもん。
もうガチガチ(×ガチムチ)、冷や汗と脂汗。
運転からしておっかなびっくり、初めてナナハン運転したときみたいに。
あ、私の大型二輪初体験はGSX750SⅢ、通称三型カタナ、ね。
で、トラクションコントロールもパワーモードもついてない、バイアスタイヤのナナハンを、雨の日に初心者が運転するみたいな感じで、当該販売店のショールームの前を通り過ぎようとした、その時・・・!
涙がこぼれそうになった。
だってさ・・・
わかる?
そう・・・
ブリュンヒルデ!
優雅、秀麗…控えめにしてたおやか、花に喩えるならヒヤシンス!
そして・・・赤いエンジンカバーが何よりの証!!!
そう、嘗て私のもとで濃密な時を共にした、白磁の美姫…間違える筈がない!
まるで、「しっかりなさい!」って𠮟り付けるように、それでいて温かく見守るように・・・アスペン・ホワイトのロータス エヴォーラSが、私とネオ・ジオングの眼前に佇んでいた。
なんだか、落ち着いた。
今日はゆっくり帰ろう。
そして家に着いたら、嫁に、ぬこに、今日のちっぽけな思い出を話そう。
ありがとう、ブリュンヒルデ。
そしてようこそ・・・
ネオ・ジオング!
【あとがき】
実は一身上の都合で、7月は殆どこのSNSには顔を出せないと思う。
某氏はご存知のように、ちょっと人生の岐路に差し掛かるからだ。
だから、マイ・ナンバーやシナ経済、そしてローマ文明と日本とか、財政問題についてなど、書きたいことはいっぱいあっても、何もできないと思う。
だから、とりあえずブログは休止ということにさせていただく。
あと一回だけ、『愛車紹介』とやらでネオ・ジオングのことを書いたら、このSNS自体も休止させていただく。
とりあえず、おやすみなさい。