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コルセットから解放されて、かなりハードな出張から戻って翌々日。
朝から盛夏の日差しが容赦なく照りつけ、10時頃には既に陽炎が立つまでになっています。
私の身体に異常はありません。ちょっと屈むときに違和感はあるけど、良しとします。

腰に異常がないのを確認し、この日は我が家の長期的課題であった、しばわんこの洗浄をしました。
しばわんこを最後にシャンプーしたのは去年の海の日あたりだったので、ほぼ1年ぶりのことです。






体毛の抜け替わりがございますから、正確には動物の場合は、半年ぶり、ということになるのでしょうが、それでも1年間のメンテナンスを怠った代償は、我が家に少なからぬ爪痕となって残されています。

まずは抜け毛。
一般に柴犬の場合、もともと体毛の抜け替わりが凄まじく、その行動範囲においてはとにかく抜け毛があちらこちらに散乱してしまいます。
これがちょびっと程度なら、可愛らしい綿帽子に例えることもできるのでしょうが、現実にはそうも参りません。
抜け落ちたそれらは高剛性で質量もあり、風が吹いてもそう簡単には飛んでいってはくれません。
ましてや雨が降るとこれらは含水し、植木の枝、庭石、地面などにへばりつき、我が家はそれはそれは見苦しい佇まいに変貌いたします。
春の嵐の後などは、まるで巨大なカイガラムシに庭中が占領されてしまったかのように見えることもあります。

次に異臭。
近寄ると…いや～臭い、えもいわれぬ臭いです。目に沁みるほど臭い。
家の敷地から離れていても、風向きによっては早朝の繁華街並の異臭が漂ってきます。
よく我が家に入れてたな。というか、よく苦情が来なかったな。
慣れたらどうってこともないのだろうが、来客などは、ウチに辿り着くとまずはこの毒臭にたじろぐことになります。屋内に入れば入るで、今度はこの臭気に黒い悪魔の排尿臭が混じり、吐き気を催すこともあるのではないでしょうか？
お茶を出そうがお香を焚こうが、無駄な抵抗、まんじゅうこわい。客が長居しないという一点において、役には立っているのだが、相方が逆に顰蹙をかっているかも。

最後に見栄え。
これは直接被害を与える相手はいないにしても、周辺住宅街の美観をあからさまに劣化させています。
今年は居間をリフォームし、庭の生け垣をすべて新調し、筧もなおし、庭木をすべて手入れし、雑草も抜き取り、我ながら本当に“侘び寂び”に溢れた、詩情溢れる日本庭園ができあがる筈だった我が家です。
しかし、先述の抜け毛だけでなく、しばわんこそのものがそこにぼーっと佇んでいるだけで、その風情全てがぶち壊されていました。
なにしろ毛並はねじくれ、体毛の隅々にまで行き渡った脂肪分(犬油とでも言うのでしょうか?)が夏の日差しに炙られて、ネトネトした異様な輝きを放っているのが遠目にもよく判るほどなのですから。
本来は見る角度によって濃いめの青からターコイズブルーに色彩が変化するレーザーブルーの体毛（うちょ）は、赤茶け、叩けば埃が舞い散るほどにすす汚れ、左巻きの尻尾は黄泥色の鈍い光沢を放つまでになってしまっています。
加えて尻尾の付け根、年頃（はとうに過ぎましたが）の♀のくせに恥じらい気もなく晒し出された肛◯の周囲には、初夏に患った◯痢の名残でしょうか、乾燥し、干からびた排泄物が絡まって、汚れた身体にどす黒いアクセントをつけています。

（午後編“復活のエキシージ”に続く）