
利己主義が組み合わされると利他主義になるのが、自由主義経済の基本。
【An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations】
社会的分業が発達した社会では、人間は社会の中でしか生きることができない存在である。社会における個人は相互に援助を必要としているが、同時に相互に損害を与え合うリスクを持っている。
一人の人間が(我々が生きていくために必要な)全ての財を生み出すことはできないが、同時に彼は他者が生み出しえないものを生み出すことはできる。
そして各人はその生存に必要な他者の生産物を、貨幣を介することで交換する。社会における個人は、自分自身の(生存或いは更なる満足を求め)利益のために、経済行為を行う。
結果として、
人類が分業をなしえる唯一の生物であるが故に、彼らは個別にその自分自身の利益を追求するが故に、嫌が応にも利己主義は補完関係をもたらし、それが利他主義となって開花する。それ即ち、
国富となる。
御存知、アダム・スミスの『国富論(諸国民の富の性質と原因の研究)』の要旨=“見えざる手”をとりまとめてみた。
(ケインズ派を中心に修正されることはあったとしても)すべからくこの思想は、古典派経済学即ち現在の自由主義経済の礎となって、今も私たちの日々の暮らしの基盤となっている。
しかるに、利他主義とは何ぞや?
利他とは、他者の欲望を叶えることである。
しかしその欲望が
“極めて低俗で、近視眼的で、おおよそその社会を発展に導くものではなく、寧ろ堕落と、荒廃を喚起させる”
ようなものであったとき、国富は増大すると言えるのか?
【利己と利他の乖離】
先日のブログ(【“品”というもの】広告屋の暴走を止めてくれ )で、広告屋主導の利己主義を批判したが、今度はこんなネタが出てきた。
『 スカイマークの新ミニ制服に賛否
航空会社のスカイマークは、フランス現地時間の12月11日、2014年3月から導入する「エアバスA330-300型機」の就航記念キャンペーン用の新制服を、トゥールーズのエアバス社の工場で発表した。
これまではシンプルなポロシャツやジャンパーであった同社の制服だが、発表された新制服は青いタイトなワンピース型のミニスカートに帽子・スカーフを取り入れたもの。
膝上15cmほどはありそうなこの新制服は、他社の制服と比較して露出面積が大きく、セクシーという言葉がよぎらざるを得ない。この新制服に、ネット上では賛否の声が書き込まれている。(12月17日付 R25ニュースより)』
…どこのキャバスケだよ。
ま、そりゃあ、なあ。私も男のはしくれだ。
スカート…先日嫁のクリスマスパーティー衣装につき、私の好みで 膝上10センチ+アルファ を買わせることには成功したし…それに、ウチの柴犬(♀)の後足の脚線美に見とれることもある(私は変態ではない)。
しかしこれ、
“人命と財産を預かる職業”の話だぞ。
こんな絡め手を使って客を呼び込むってのは、私にしてみりゃ“乗客”を馬鹿にしているとしか思えない。
“他者の欲望を叶えることで自己の利益を追求する”のが自由主義経済活動の大原則だというなら、スカイマークの考える“他者の欲望”は・・・
“ミニスカのネーチャンにサービスしてもらいたい”
ってことなのか?
馬鹿にするな!
確かに海外ではCAはウェイトレスレベルに見られてるところもあるが・・・ここは日本だ!
この業種…航空運輸サービスに求められることって、
1に安全
2に速さ
3に路線の充実
4に充実したおもてなし、
で…CAの色気なんぞ糞喰らえ、だ。
思えばこのスカイマークの社長、西久保慎一。
安全性については、飛行機の整備もいい加減。
-『
「9カ月間も未修理だった上、落雷を受けた中古機は、いまだに修理が終了せず、運休期間が延びている。『整備士の質』と西久保さんは言っていますが、それ以前に今のSKYは整備士のスキル不足で、
修理ができないんじゃないですか」(2006年4月12日付 日刊ゲンダイ)』…どこの韓国だよ。
公共性については、その自覚もなし。
-『鹿児島や徳島路線の撤退では、
増資にまで協力した地元経済界からブーイングが起こり、公共交通機関としての社会性が問われたが……。「このまま就航を続けたら赤字が続くだけ。
公共性は必要だが、企業の健全性は別」こういった姿勢に、さすがに北側一雄国交相も頭にきたのか、「最終的には利益というのは民間企業であればそうでしょう。しかしそこへ到達するまでのプロセスがある。
公共事業者の役割、使命をしっかり認識してもらいたい」と、徐々に声を荒らげ怒りをあらわにした。(同出)』まあ、北側という国交相も、決して乗客たる日本人を大切にしているわけではないのだろうが・・・。
サービスについては、開き直る。
-『
「機内での苦情は一切受け付けません」「客室乗務員に丁寧な言葉遣いを義務付けておりません」(中略)機内では受け付けないと表明した苦情については、同社のお客さま相談センターか「消費生活センター」に寄せるように呼び掛けている。 (2012年6月4日付 朝日新聞
)』…CA不要。
その他、もうネタがありすぎて…
『○2007年11月3日夜、神戸空港から羽田空港に着陸した機内で、ドリンク提供用のカートがギャレーから客室通路に飛び出し、
乗客の1人が足を骨折、1人が肩に軽傷を負う事故があった。ギャレーのカートの扉の鍵の閉め忘れとみられている。
○2008年3月に、スカイマーク機に搭載の気象レーダーが故障していたことを把握していながら、
修理しないまま、羽田 - 新千歳間の4便に、そのまま就航させていたことが判明した。羽田空港内に、レーダーの交換部品の在庫がなかったためといい、整備体制の不十分さが指摘されている。
○2008年6月、機長2名が病気を理由に退職したため、乗務員が不足し168便が欠航(運休)する事態になった。6月の運休は旭川線48便、新千歳線24便、神戸線56便、福岡線48便の計168便。7月1日 - 8月31日には引き続き計124便が運休したほか、8月 - 9月に運航予定だった神戸 -那覇線の季節運航が中止されている。国土交通省は、同社に対し運休情報の提供を徹底するよう求めるとともに、パイロットを早急に確保するよう指示した。また、6月16日には羽田空港内同社事務所に対して、国土交通省による抜き打ちの立ち入り検査が実施された。
○2010年3月9日、同年2月5日に運航された羽田発福岡行き017便について、機長は十分に声が出せない状態にあった客室乗務員について「非常脱出の際支障がでる」と判断、安全上の判断から交代を求めた。これに対し、
社長の西久保が機長判断に介入する形で機長を交代させ、体調不良の客室乗務員をそのまま乗務させていたことが判明した。
○同月、副操縦士や機長が飛行中に記念撮影をしていたり、飛行高度の設定ミスなどの問題が発覚したため、国土交通省は、2010年3月15日から4月2日
まで3週間にわたり航空法に基づく経営部門も含む特別安全監査を実施した。しかし、前述の記念撮影問題で諭旨解雇処分となった副操縦士を、その後
約3か月後に、地上職員に再雇用していたことが明らかとなり、有識者からは「社会を欺いている」などの批判の声が出ている。(以上、『事故・トラブル多発のスカイマーク、安全は眼中になし』より)』
こんなの、怖くて乗れないはずが、『スカイマークは10月17日、今年度(2014年度3月期)業績見通しを下方修正した。売上高見通しは911億円(前期比6%増)と
増収ながらも、従来か
ら40億円下げた。さらに苦しいのは利益面。本業の儲けを示す営業利益は23億円と前期(46億円)から半減する見込みで、従来見通しからは35億円も下
げ、当初の増益計画を断念した。(10月21日付 東洋経済オンライン)』
…対前年
増収減益。乗客数は未だ徐々にも伸びてるのね。
・・・いずれしっぺ返し来ると思うけど、ネーチャンのミニスカに惹かれて搭乗券買うバカ、そのときどう思うんだろうねえ。
【スミスの欠陥】
利己心をもつ経済人が、他人の利己を見誤った、そのとき-
そこには、我々を律する公平な第三者など何処にもいない、そのとき-
ソドムとゴモラの如く、落日のローマ帝国の如く、人間の欲望は時として国家を衰退させる原動力となる。
スミスさん、もしも彼方がご存命であったなら…敬虔な道徳論者である彼方は、この矛盾をどう説明されるのか?