【我が国の製造業を守ることは、国益です、安全保障です】
新自由主義がグローバルに定着しつつある今、お金はモロに国境を移動して、国内会社の持ち主にも外人さんがいっぱいでてくるようになりましたね。
一昔前の日本では、会社を売る、とか、買ったとかなんて考えられなかったものですが・・・投資規制もさることながら、それに対して大した文句も出なかったのは、やはり日本人にとって企業というものは“お家”、或いは公器としての“共有財産”或いは“民族のより処”であったからでしょうか?
もっとも、21世紀突入に前後した少子化による国内市場の限界予測、長期不況、極端な供給過剰(デフレ)、そして外の世界との競争という現実を迎えるにあたり、にっちもさっちもいかなくなってからは(ほんとはこの時期に“日本モデル”を作るべきでしたね)、この国も“生きるため”WTO調印含め、金融投資面でも門戸を開き、“新自由主義”にすがらざるをえなかったわけです。
で、この“新自由主義”というフォースですが、バブル後の日本にとって、大いなる停滞を打破する“特効薬”的効果を持っていたのは勿論でしたが、それだけではございませんでした。
物事には表と裏、“特効薬”というフォースには、当然“暗黒面”がございます。
その“暗黒面”というのは、格差社会とか、雇用不安とかの社会現象を指すのは勿論でもあるのですが、それについてはもう、あちこちで語られ尽した感もあり、ここではそのお話はしないことにします。
“新自由主義”というフォースの“暗黒面”、それは換言するなら、“未来の喪失”とでもいいましょうか?
“新自由主義”を海の向こうから(外圧というカタチで)持ち込んだ外人さんはじめ、(私も含め)普通の人たちは、投資に対する“即金還元要望”が強い。
この“即金換言願望”に従って、企業にお金をつぎ込む指針となるのが、皆さんよくご存じの決算書。
この決算書には、数年レベルの会社の成績(P/L=損益計算書)やら、資産の構成具合(B/S=貸借対照表)やら、現時点での懐具合(C/F計算書)やらが書いてあるわけでして・・確かに、これはその会社のごく短期的な状態を俯瞰するのは大変便利。
決算書は、“短期間に”、“買って売って”を、“繰り返す”には不可欠の投資対策バイブルといえるでしょう。
しかし、企業、とりわけ製造業って、短期の価値だけで判断して良いんですかねえ?
だって、今は大した成績も何もないけど、当社には、実はこういう特殊な技術があって、近い将来にはこの技術を活かしてこういう商品をつくり、それをこの市場に幾らで投入し、(これをマーチャンダイジングという)。その結果こういう未来が開けてるんですよ!っていう“未来図”も、企業の立派な財産じゃないですか!
これも立派な投資対象だと思うんですけど、ね。
ですがこんな情報、残念ながら決算書には書いてございません。
そう、問題は、決算書には“未来”の可能性を数値化する=指し示す力がないこと。
で、“決算書”を指針とした“短期決戦指向”を拠り所とした投資活動は、企業、とりわけ製造業の研究開発、先行投資、設備投資を抑制させてしまい、結果この“暗黒面”のせいで、80年代に米国本土の製造業は、長年培った技術を大切にしてきた日本企業に負け、ボロボロになっちゃったわけです・・・まさしくこれが、フォースの暗黒面。
で、これじゃいけないって、この“暗黒面”を解消すべく、ナスダック、ジャスダックっていう、未来への投資を見込んだ新規市場が生まれてくるわけですが・・・
でも、ねえ。
この新規市場、やっぱり投資を呼び込むには、“未来図”を必要とします。
それも、具体的で、論理的に整合性があって、数値化されてればされてるほどよい“未来図”。
これがしっかりしてれば、機関投資家も、個人投資家も、貴重なお金をつぎ込んでくれる機会も増えましょうか。
でも、その会社を守っていこうとするなら、“未来”の戦略、特にその競争優位を裏付ける技術なんて、簡単には公開できるものじゃないんですよねぇ。
生産資本や技術的ノウハウ、熟練を必要せず、商品企画とアタマの良さで勝負できるソフトゥエア産業をはじめとするベンチャービジネスはともかく(※)、技術的にも品質的にも“優れたノウハウ”や“設備投資”を必要とする製造業が、よしんば“未来”の可能性を丸裸で出しちゃったら、アノ国や、アノ国なんて、金にモノを謂わせて技術者引っ張ってっちゃったり、会社ごと買い取っちゃったりしますからねえ・・・国内でさえ、◯ン◯の4WD技術は、◯T-Rの技術開発やった方のそれを利用させてもらった、なんてこともあるわけで。(※決してソフトウェア産業を見下していないよ)
これが“グローバル経済”環境下での“自由な投資”に晒されたら・・・アブナイあぶない!
お金が欲しけりゃ裸になれ、裸になったら外人さんに買われて、ああ民族同化政策・・・
買ってくれる人が、日本と親しい人ならまだ良いけど・・・確信犯で裸になり、会社売って、自分だけお金持ちになりたい当の本人は良いけど、それって、国益に叶うの?
どうせ売るなら、高く売るでしょ(これを価格の需要弾力性という)?
高く買ってくれる投資家は、どんな人でも良いの?
世間には、投資先で手に入れた技術使って、パクリ商品作って、日本の国土さえ買いあさるフトドキ者もいるし、ある国なぞは、買収した企業に自国人次々と送り込んで、工場周辺にその国の排他的コミュニティ作らせ、結果として治安がめちゃくちゃ悪くなったという実例もございまして・・・。
それに何より、日本は基本的に加工貿易国ですよ、ね?一次産品となる資源もないし、この国の富は、基本的には製造業が、その優れた技術と優秀な品質管理能力に支えられた、素晴しい生産能力で稼いでいますよね?
戦後60年(当時)、製造業が抱える雇用数、これが生む国民の購買力は計り知れないですよ?
でも、この雇用についてだって、買収した外人さんは本当に日本人だけで構成させてくれるの?
ブラジルなんかは、この問題に対して後手後手に回り、2/3法って法律作って現地雇用を強制したわけだけど、日本の政府に、そんなことできる?
で、最近日本もこの手の動きが強くなってきて、大変怖がってる私です。
【“神の手”の反対側から投げ込まれた“神の手”は、やっぱり“神の手”じゃない】
まあ、でもこの“新自由主義”、(憤懣やるかたないけど)乗っかっちゃったものは仕方ない。
一方で、これを嫌って公開を取りやめた企業とか、ブラザーさんみたいに株主さんがその企業を守り抜くことで“未来を切り開く!(by 刹那・F・セイエイ)”ことを大切になさっておられるところもありまして、それはそれで大変喜ばしいことだと思っております。
しかして一方、世の中はそんな会社ばかりではないし、実際“失われた10年(~20年以上)”のなか、メインバンクの体力不足から外人さんに身請けしてもらうことで助けられた会社もいっぱいあるわけで・・・日産とか、西友とか、ね。即時的には“新自由主義”のプラス面も認めざるをえないところも、やっぱりあるわけであります。
しかし、そうはいっても、先に述べたように敵対買収どころか、あからさまに“国益”を損ねる買収行為もたくさんあるわけでして・・・ざっと見ただけでも最近ではレナウン、オギハラ、など、大変優秀な技術を持った企業が某国(亡国)企業に買収された事件は、誠にアタマに来るわけで・・・。
これって、先に述べたように、現状放置しとくと立派な“国益の損失”になってしまうのですが・・・“大企業ばかり優遇”なんていう代議士さんもおられて、なかなか国がこういった会社さんを助けないのは、ひとえに遺憾な限りです。
新自由主義の旗手たるアメリカだって、サブプライム問題の時にはその“国策”を担うメリルリンチ、ベアー・スターンズ、ファニーメイ、AIGだってイヤイヤながら助けたでしょ?グリーン・ニューディール政策の尖兵たるGM・クライスラーだってきちんと公的資金投入して守ろうとしたし、(名目は違うけど)昔のルノーだってそうでしょ?リーマンは助けなかった?あれは、モラル・ハザード対策の“お灸”でしょ?“オレら、何でもかんでも助けるわけじゃないんだよ”って、リーマンを見捨てたことは、“指導に従わないヤツなんかキライ”という米政府の無言の抗議と私は受け取ってます。
一方の日本、サービス業(にお勤めの方、ゴメンナサイ)はともかく、メーカーへの外資による買収は、雇用を支え(これ大事)、工業立国で生きていくしかない身としては、技術保護、ひいては未来の国力を保護するためには、ある程度規制を強化すべき、というか国が救いの手を差し伸べるべきではないかと・・・。
鉄鋼業界みたいに業界全体で自分たちを守ろうという動きを、どの業界もとれるなら良いけど。
現在、日東電工、日立製作所、三井金属、三菱重工そして関東甲信越の重要なインフラを司る東京電力なども、主要株主にアノ国が名を連ねるなど、大変な危険状態ですよ。
既にメディアの世界もこれが進んで、思いっきりあんな国や、こんな国に都合の悪い報道はなされないようになってるし、金融面でも三井住友なんかどうなっちゃうのかなあ(アノ国の企業への優遇策が実行されたら、どうしよう)?ブルドックソースなんか抵抗むなしく・・・でしたからねえ。
政治ってのは、結局エゴを何処まで通すか、です。
規制緩和と言っても、守らにゃならんものは、ウソついてでも守らにゃアカンでしょ。
“国益”に背く動きには、時には建前と違った動きもあってしかるべき、なんですが。
(なんか、最近やってるどっかのテレビドラマみたいな話ですね)
今の政治家で、そこまでやれる人、どれくらいいるだろ?
【これがほしい~そろそろ趣味ネタ~】
まあ、何にせよ、小泉・竹中ライン以降、日本企業も“短期利益重視”の波からは逃れられなくなりまして・・・大事なのは、10年後の未来よりも明日の配当。
より短期に投資して、より短期に元を取り、株主様に配当しなきゃならない。
経営者のかた、大変ですね。
で、先に述べたように、「株を買ってくださった皆さんには、なるだけ即効で利益を還元せい」というからには、年次の決算書を良くすることはとっても大事な道理。
ためには企業収益や安全性の向上結果をより短期に出さねばならなくなるから、メーカーなんかは技術開発・商品開発のスピードを上げて、時には優れた技術を持った会社を買収して、モデルチェンジをバンバンやって、短期間に沢山売る戦術をとるようになる(最近のBMWとハスクバーナ)。
一方で、それには沢山の資金調達が必要。運転資金や設備投資資金調達のためには、その調達方法がエクイティファイナンス(新株とかワラント債の発行とか)となるにせよ、デットファイナンス(借金や社債)となるにせよ、製造業公開企業にとってはここでも経常収支やROE向上が最優先事項になっちまうわけです(まさに堂々めぐりですな)。
また、成績向上には、内部努力も必要。中国はじめ新興国の経済成長が著しくとも、市場拡大は短期(1年単位)とかでは一気に進まないですからね。そこで商品開発や営業にプラスして、内部努力も必要になる。
その内部努力の一環として行われるのが在庫調整。勿論これは通年で間断なく行われるものなのですが、特に決算前や中間決算時には、これにプラスして部品や中間財、原材料の消化(カタチにして売っ払う)を目論むようになる。
この目論み戦術、数字面では棚卸在庫を消化(売却)することでC/F計算書の内容を改善したり、それでも売れなかった在庫には付加価値評価(製品化=加工・設計などのコストをのっけることができる)をつけてP/L粗利(売上総利益)を向上(※)させることができるのですが・・・。
(※期末の棚卸高と期首の棚卸高の差は利益として見なすことができる。でも、これはC/F面から会社の安全性を悪化させるし、次年度には期首棚卸高としてより高いハードルとなるので、何とか利益を出したいときに使う劇薬みたいなモノである)
・・・やっぱり、リスクをとりたくないから売っぱらっちまえ、と。
で、決算に間に合うように売っぱらうという、という課題を手っ取り早く解決する、ある意味短期商品戦略として定着しているのが、所謂“限定バージョン”の存在。
わかりやすいって言ったらわかりやすい戦術ですねぇ。
ウチのロータスなんぞ、モデルチェンジが近くなると、まあ出てくるわ出てくるわ、次から次へと限定車なるものが!
エキシージだけでも、最近ではCUPカーシリーズに始まり、ステルス、そしてType72、ロジャーベッカーVer.、枚挙に暇がない。
みなさーん、最近の自動車やバイク、限定車が沢山出だしたら、モデルチェンジ近いですよ~!!
さて、(あー疲れた、ここまで書くのに1時間半。)・・・
私、先日のブログにもあるように、近々オフロードバイク買い換え予定なのですが・・・
ここへ来て、ロードも買い換えたい要求が・・・カネないけど=買えないけど。
実はエキシージの足のセッティング、参考にしたバイクがございまして・・・
YAMAHAのFZS1000 FAZERっていうんですけど・・・この足周りの味付け、大好き。
で、これについて最近、限定車が出ました(現行モデル、私が乗ってたのは初代モデル)。
その名も、FZ-1 ABARTH。
そう、あのABARTHがチューンしたFZ-1(FAZERのカウル無し)。
あ、別にこれが欲しいんじゃなくて、ですね。
こういうのが出てきたからには、そろそろ新型が???なんて思って、ググってみたら・・・
ありました、ありましたよ。
新R-1のクロスプレーンクランクを採用した、All New FZS1000(って言うのかな?)
こり、ほしい・・・。