いま、まさに世界は「第2次大収縮」(第1次は1930年代の大恐慌)に入っている。byカーメン・ラインハート(米国際経済研究所 シニアフェロー)、 ケネス・ロゴフ(ハーバード大 教授)。
【国際マクロ経済概況】←私見な
1.概況
嘗てのG6(米国、ドイツ、フランス、英国、イタリア、日本)の実質国内総生産(GDP)は2011年第2四半期になっても、2008年の金融危機勃発前の水準をまだ上回っていない。サブプライム騒ぎ直前から底打ち(してないけど・・・)らしい時期までの間、各国のGDP下げ幅は日本で10%弱、一番小さいフランスでも4%弱。現在ではばらばらに回復してきたとはいっても、購買力平価の高いG6におけるデフレ基調推移は、金融のみならず実体経済においても、市場の縮小硬直を促し続けている。
2.アメリカ
消費市場の雄であるアメリカの失業率は、先頃のバーナンキ講演では、依然リーマン危機以前の頃に較べて倍の悪さと発表された。実質GDPは市場予想を下回り、住宅着工は進まず、株価は(ちょびっと上がっただけで)低迷・・・にもかかわらず格下げ不安で量的緩和第3弾(QE3)は見送られ、経済対策は今月20日のFOMCに持ち越し…大統領選挙控えて、オバマもバラマキしたいだろうが、デフォルト怖くて身動きとれんのだろうな。
これじゃあ当分アメリカは昔みたいな上客になってはくれんわな。別に日本にとって、というわけじゃなくて世界中にとって。
3.EUあたり
欧州はと言えば、スペインとイタリアの国債(10年)の利回りは、EUと国際通貨基金(IMF)の支援が必要となる「危機ライン(7%)」に相当近づいてる。
火の車なのはPIIGS(ポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシア・スペインの頭文字)だけじゃなくて、ドバイやトルコ(STUPIDといわれるようになった…バカ…)にも延焼しそうだそうな。
要は、自国通貨でファンドからアメリカ国債とか米株を買った国は、みんなシャレにならなくなってる(ウチの家計も含む←私のせいです)。
投資したお金は踏み倒され、貸倒引当金なんぞとっくの昔にフローから消えちゃってる。最初にコケたのはアイスランドだったけど、片足棺桶のギリシアやスペイン、イタリアがどうにもならなくなったら、生き残りをかけた独仏は徹底的な保護主義に走る土壌ができるぞ。真・EU選民主義みたいな…。
こうなると、インフレ率がじわじわ・・・から一気に上昇、ユーロ価値は更に下がり、グローバル経済下で相互依存主義に陥ったEU各国では欲しいものは生活必需品でも手に入らなくなる。
社会不安は増大、国の安全保障も満足にいかなくなり、国民はまともな生活なんてできなくなる。昔CIS(ソ連のなれの果て)東ヨーロッパ諸国なんかでは、冬に灯油が買えなくなって、自宅を破壊してそれで焚き火にしてたそうな。挙げ句の果てが…未だにくすぶる中央アジアの内乱。
4.翻ってアジア
外需に頼ったって購買力が当てにできないとなれば、もともと所得格差を埋めて国を安定させたい中国は、いよいよ内需主導経済に切り替えるだろうし、成長市場と言われるインドもしかり。人口多いってのは、有利だよね。
一方でインドネシア、マレーシア、ベトナム、台湾、韓国(凸)といった中小新興国は…輸出先が貧乏なら内需で…そんなに購買力ない、無理です。となれば、彼等がターゲットとしてロックオンするのは、我が日本。円高で輸出しやすいし、特恵くれてるし、日本国内メーカーも軽工業品とか大量生産品については価格競争力ないし。
【日本を大切に ①短期的な経済安全保障】←だから私見だって
1.日本の現況
震災で25兆の経済損失(付加価値とストックな)。戦後最高値の円高で購買力平価上がっても・・・少子高齢化、デフレ、COP25(はぁとぉやぁまぁ~( ̄^ ̄)凸)規制、そしてがんじがらめの電力削減指導15%、購買力高まらないし、消費は停滞。
シャープの町田勝彦会長は22日、毎日新聞のインタビューに応じ、「日本は一度(円売り)介入した後、ぼけーっとしている。どうして自国の製造業を守らないのか」と述べ、一時1ドル=75円95銭と戦後最高値を更新した円高に対し、政府が再度の単独介入などあらゆる手段で取り組むよう求めた。
「自国の製造業守れ」 町田会長、再介入求める(8月22日付 毎日JPより)
2.ふたつの課題
今は財政出動と金融緩和すべきだよ。というか、しなきゃダメ、徹底的に。
中期的な危機を考えるより、まず足許の火事を消さないと。
被災地だけをターゲットに、2次で2兆、3次補正…そんなん言ってる場合かい!
日本の経済は、その前の段階で疲弊しきってる。
(今更だけど)政府は震災を理由に国家経済非常事態宣言して、50兆くらいどーんと出すべき。
その金でモノ作り企業から安全保障に関わる物品を直接購買して国力高め、円安政策進め、空洞化を抑制すべき。
また、更に(前述→先行き暗い)国外市場の落ち込みを内需で補填するために、(ノックダウン含む)日本国内製造品に購買優遇措置与える。
以て所得の再分配を広く浅くして国民に余裕を与え、まずは民間の富を増やす。
そう、“国内製造品ターゲットの内需拡大”、これ、今すごく必要。
「何でそんなまどろっこしいことするの?もともと日本の輸出依存はたかだか13%だから、何も目を剥いて国内生産業者や国内消費市場を優遇ターゲットにしなくても良いでしょ?」という声もあろう。
それでも、国内製造救済と内需拡大はしなきゃアカン。理由は↓。
3.国内製造業を救う意味
まず、国内製造救済のお話。
前述輸出依存13%と言うけど、それは完成品でのカウント。
輸出用完成品13%のために国内で生み出される財、原材料加工、部品加工、部品組み立て、印刷とか、パッケージングとか、輸送とか…そういう価値はカウントされてない。これは輸出ではなく国内消費としてカウントされてる。
そしてそれは、少なく見積もっても完成品の倍くらい(正確な数字は知らん)。
つまり日本の“実質”GDP輸出依存度は13%+(13%×2)=39%以上と、とんでもない比率になる。モノ作りで成す富は、サービス業単独の富より所得の再分配貢献度が高いのである。
今回被災し、(一時的にも)生産能力を失ったエリアには、サプライヤー機能が大変多いというのは皆さんご存じの通り。しかし、このようなサプライヤーは日本中にいて、彼等がリーマン以降の需要大幅減、20年にわたるデフレ、そしてこの円高などで疲弊してしまったのかは察して知るべし。
先にも述べたけど、製造業が生み出す所得=購買喚起力は、すごく広い。
それは社会貢献度が高い、ということ。
だから、救済する相手はまずは国内製造業者であるべきだ。
4.内需拡大
しかし、助けると言っても、先述のように従来の売り先である欧米はガタガタ、中国は内向き。特に欧州は為替や国の状態から考えても、いつ不渡り手形出して来るかわからない。
与信管理上とても怖くて、イケイケはできません。
そうなると、折角製造業救おうとしても、また供給過剰の心配が…つまりデフレが加速する、と。
だから、それを日本国内で徹底的に消費させる。
お友達ブログへのコメに、内需より外需をという意見もございましたが、それは平時でのお話。お得意様のアメリカ、欧州は購買力が低下してるし、中印は内向きにならざるをえない。新興国はまだまだ安定した購買先とはいえないし、ならば何とか日本国内で、国内品を消化しなきゃ。
だから、先述の“内需”補填は必要なんだよ。
清和会改革の時みたいに、供給過多を“見えざる手”で修正しようとすると、失業者増えて、社会不安になって、しまいにゃ資産デフレも起きて三国人あたりに日本買いあさられるよ。
【日本を大切に ②中期的な経済安全保障】←均衡論者じゃないよ
1.日本の財政と債権者
『イタリアは国債発行残高が非常に多く、これまでは国内で約半分を消化、ユーロ圏を合わせると8割以上が消化されており、懸念されるどころかカネが順調に流れ込んでいた。ただ、逆にノーガードで、売りを仕掛けられた時に脆さを露呈した。』(バークレイズ・キャピタル証券 高橋祥夫チーフ外債ストラテジスト)
・・・傾向としては、どっかの国に似てますよね。イタリアの公的債務比率(公債ベース)、120%くらい。日本のそれ、210%くらい。ちなみにこの数字に年金レベルの未来借金足すと、額面にして1600兆強。
日本の個人資産1450兆(超弩級売国奴とされる中川秀直発表では1250兆だそうだ)をとうに突破。
確かに、国債はフローを生み出す魔法。お金がないときは助かります。
でも、これはやっぱり借金で、いつかは返さないとイケナイ。
返せなかったら…首をくくるか、自己破産。
国は首をくくれない(わけではないが)から、返せないときは自己破産するしかない。
国の自己破産とは、所謂デフォルト。
コレを喰らうと、債権者(機関投資家とか日銀とか企業とか個人)は不渡り手形貰ったと一緒。日本という国家の信用はガタ落ちし、円は大暴落。買えるものは本当にロクに無くなっちゃいます。円建ての金融資産は大量の不良債権と化し・・・財産死にます。昨日まで買えたものを買えなくなります。
あ、もうひとつ、通貨の大量発行という手もあるが、今の財政状態でコレやると、とんでもないインフレ招く。
その先にあるものは、結局モノ不足。昨日まで買えたものを買えなくなります。
2.安定顧客なんていない
国債は95%が国内で消化されてるから大丈夫、国は国債出し続けて、それで借金返せばればイイね!・・・ホントに?
大丈夫、国債が暴落するなんてありえない・・・ホントか?
まあ、今は、ね。それでいいよ大丈夫。
国債の利回りと元本返済は、次の国債発行で賄えばいい。
大丈夫、国債は絶対売れるって。
何せ安定顧客(↑債権者)が買ってくれるから。
安定顧客…↑でいう債権者な。
このお客さん、現在はしっかり買ってくれる。
だって、国債意外に魅力的な商品ないし、他のキャピタルゲイン軒並みダメですから(先日投信新しく入れ替えたら、某メガバンクは定期預金に年率4%つけてくれたことは内緒です)。
話を戻して…国債は国内で消化…今は、できます。
“今”は。
でも、それは永遠じゃない。というか、永遠だったらシャレにならない。
前述各国信用不安の中、国債がずっと消化できる環境…それは永い永い景気低迷を意味します…悪夢ですな。
で、そうならないため、つまり景気回復のための、前述“国内製造品ターゲットの内需拡大”なんですが・・・ここで矛盾が発生します。
景気回復しだしたら、このお客さん、本当にいつまでも“安定顧客”でいてくれるのかな?
景気回復と国債の魅力って、相反します。
景気が回復したとき、魅力的なのは…株や社債でしょう?
そのとき、公債は軒並み相対的魅力を落とします。特に財政事情の悪い国や自治体の公債なんて…リスキーすぎますし、ね。
魅力の落ちた国債、愛国心を失いつつある国民、愛国心より利益を大事にしなきゃならない機関投資家はずっと持っててくれますかね…?
限られた資産で、儲かる方と儲からない方を買うなら、みなさんどっち買う?
儲からないやつ売って、儲かる方、買うよね?
で・・・国債は“売り”の方向へ・・・。
そうなると・・・国債の魅力、加速度的に落ちますね。
国債デフレになりますな。
民間が売るなら、日銀にムリクリ買わせる?まあ、圧力かければ買うだろうけど…そのとき(まだいれば)野田と安住は説得できるかね?
日銀の直買いは、各国評価を下げて結果として円売り強くなるよ。つまり、国債を買ってくれないことと一緒の結果を生む。
何故なら、国債の魅力が落ちると言うことは、国への安心感がなくなるってこと。
それは通貨の暴落を招く。かつてのタイ、韓国、そしてロシアみたいに。
3.二段構えの戦略
だから“国内製造品ターゲットの内需拡大”で景気回復しだて、株価の15000円くらいも夢じゃなくなったら、次は一気に、一度に、赤字の大盤振る舞い(財政出動)はやめましょう。
そう、タイミングは“景気回復”です。
景気がよくなって、株価や社債価値が上がり、住宅着工件数や新車販売が増え、DI一致指数がよくなってきたら黄信号。
そして・・・国債の利回りが上がってきたら・・・もう、一気“緊縮財政”へ。
経済減速・・・バブルの二の舞招く?
だから、タイミングが大事なの!
これを上手くやる人が、経済財政担当相や金融担当相やるべきなんだよ!
民主にコレ…やれる…か!?というか、やる気あるか?
【経済は安全保障とワンセット】←長かったでしょう、お疲れ様
嘗て世界一を誇った一人頭のGDPは今やOECDで19位。
国土の7割が山で、四方を海に囲まれ、四季があり、一次産品に乏しい、日本。
そんななかで景気が低迷し続けても、財政が悪化しても、この国の危機は去らない。食糧自給率は40%切り。
景気悪化では食べていけない。
景気が回復しても、国債が暴落して円安になってしまったら、やっぱり生きていけない。
輸入資源がメチャクチャ値上がりして、それではと自前調達しようとしても・・・。
そのとき沖ノ鳥島、竹島失ってたら、自前のお魚・・・ない。
尖閣失ったらエネルギーも・・・ない。
そのとき・・・そもそも私達は自動車に乗ってるのかね?乗れるのかね?
ごはん食べずに、ガソリン入れるだろうか?
みんカラなんて、無くなっちゃうんじゃない?