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2016年11月12日

書籍 ”ミッドシップスポーツカー” (その6)

ミッドシップスポーツカー

館内 端 ・ 折口 透

株式会社グランプリ出版

1984年1月17日 初版発行



◆第1部 ミッドシップの理論的考察

ミッドシップの理論的考察  舘内 端

【第2章 ミッドシップの特長と狙い】


1.ミッドシップとは

 ミッドシップとは、エンジンを車体の中央部にレイアウトしたクルマのことである。
3ボックス車に代表されるように、クルマには三つの空間が必要だ。
ひとつはエンジン・ルーム、もうひとつは居住空間、三つめはラゲッジ・ルームである。
この三つの空間をどうレイアウトするかによってクルマの形式はほとんど決まる。
ミッドシップはエンジン・ルームを中央に置いたものである。

 エンジン-車室-荷室というレイアウトはごく一般的なものであり、全輪を駆動すればFFとなり、後輪を駆動すればFRとなる。
このレイアウトはクルマの歴史の中でしっかりと生き残っており、最も洗練されてきたものだ。
最も効率の良いレイアウトといえる。

 荷室-車室-エンジンというレイアウトは、リア・エンジン車として定義される。
フォルクスワーゲン・ビートルに代表されるこのレイアウトは確かに一時代を築いた。
ポルシェのスポーツカー群の多くも、このレイアウトを採用していた。
しかし、リアにエンジンを置き後輪を駆動するRR方式は、操縦安定性とスペース効率で欠点を持っており、現在ではFF,FRにほとんど駆逐されてしまった。

 クルマが経済的な効率を第一に考える道具であれば、それに最も適したレイアウトを持つのはエンジンを横置きにしたFFであろう。
FF車は今後もさらに増加すると考えられる。

 クルマが走ることに楽しみを見出す道具であるとするならば、FF車はそれに適しているとはいいがたい。
エンジンを車体中央に配置するミッドシップが適している。

 フロント・エンジンでありながら、搭載位置を極力中央に近づけたクルマもある。
例えばサバンナRX-7がそうだ。
ロータリーエンジンのコンパクトさを上手に利用したものである。
これはフロント・ミッドシップとも呼ばれる。
前後の重量配分を50/50に近づける意味では有効なレイアウトだ。


 前後の重量配分の適正化でいえば、ポルシェ928に代表されるトランス・アクスル方式もある。
ミッションをリア・アクスルに直結させたこの方式は、FR方式の欠点であるフロント・ヘビーを是正できるものだ。

 重量配分の適正化は操縦安定性の要であって大切なものである。
しかしフロント・ミッドシップにしてもトランス・アクスル方式にしても、重量配分を50/50に近づけたにしてもリア・ヘビーにするのは至難の技である。
高性能エンジンを搭載した場合には、リア(後輪駆動として)タイヤのトラクションが重要となり、そのためにはリアを重くする必要がある。
この要請には上記の2方式は応えられない。
あるいは応えにくい。

 リア・ヘビーということであれば、リア・アクスルよりも後方にエンジンを置くリア・エンジンが適していることになる。
この場合では確かに重量配分は後ろ寄りとなり、トラクションの確保は可能だ。
しかし、必要以上にリアが重くなる傾向にあり、それはオーバーステアな特性になりやすく、安定性に欠く。
またフロント・ヘビーの場合と同様にヨーイングの慣性モーメントが大きく、運動性能は期待するほどには向上しない。

 フロント・ミッドシップ/トランス・アクスル、リア・エンジンの中間的な存在あるいはこれらの欠点を是正したものがミッドシップといえる。
これは一面的な見方ではあるが、走りの基本性能であるトラクションと操縦安定性から考えれば、ミッドシップをこのように定義づけることも可能だ。

 このようにみてくると、ミッドシップとはエンジンをドライバーの後方で、かつリア・アクスルの前方に配置したものであり、その結果重量配分は幾分リア寄りになったクルマということができよう。
ただし、リア寄りになった重量配分を利点として生かせるか、デメリットにしてしまうかは、設計者の腕によるところが大きいだろう。
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Posted at 2016/11/12 21:41:05

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