2011年03月05日
GNDは必ずしも同じではない。
えー、こんばんは。
ついさっきまでアルバイトで回路図とネットリストを追っかけていましたw
ネットリストというのは、回路図CADから吐き出される「つなぎをあらわすリスト。」のことで。
きちんと自分の意図した通りに、配線が繋がっているかを調べるのです。
回路図CADって、便利な反面。。。
意図しないところで、勝手に?いや。。。不意に繋がってしまったり、接続名を揃えると繋がってしまったり、逆にちょっと違うだけで繋がらなかったりしますので。。。
回路図とネットリストを照らし合わせて、間違っていないかを確認するんですね。
たとえば、回路図上で3.3Vと+3.3Vは別の接続として認識されます。
もちろん、5Vと5.0Vもね。
ICのCADパーツを自分で作った際も、通常はデータシート通りにVccとかするんですが。。。
迂闊にVccとかにすると、3.3V系に繋ぎたいのに5V系で使ったICにVccがあると、そちらに繋がってしまうとかw
機械設計は、出来上がっても追加工や作り直しが容易ですが。。。
基板を作ってしまうと。。。これを修正するのは容易ではありません(汗)
さて、本日は基板のGNDの話。
通常、電源側である+3.3Vや+5Vに対してGNDが存在するわけですが。。。
電源の種類が沢山あるのに、なんでGNDが一種類だけ??
と思いません??
実際には、SIGNAL GNDやPower GND等々色々なGND(アース)があります。
で、さらにはFGがあったりするわけです。
そこには、回路設計や回路のパターン設計のノウハウがありまして。
全部GNDに繋げちゃえ!というわけにはいかないのです。
私ら回路設計屋さんが良くやるのは、電源のアース(PGND)とシグナルアース(GND)を分けて使用したり。。。
アナログのアース(AVss)とシグナル(Vss)のアースを分けて使用したりします。
そこには色々な理由が絡んできます。
ノイズであったり、電位の違いであったりします。
絶縁を保つためにも、わざとGNDを分けたりします。
スイッチング電源なんかを使っていると、非絶縁型と絶縁型とあります。
このうち絶縁型は、入力のGNDと出力のGNDは必ず別れています。
どうやって分けるかと言えば、大概はトランスにて絶縁を行います。
それ以外にも、SSRを用いて絶縁することもあります。
なるべく1次側(電源側)のノイズやらなにやらを2次側(負荷側)に回り込ませないようにしたり。。。
絶縁することで、意図的にGNDを浮かせて(この場合、大地やケースに対して。)しまうこともあります。
大元の電源側というのは、大きな電流の流れるところです。
そして、電流の変化も大きかったりします。
そのような状態のときに、GNDを区別せずにつなげてしまうと。。。
大きな電流の変化によるノイズや、グラウンドの電位変化などをもろに受けてしまい、肝心のシグナル側の電位が変化してしまうのです。
GNDとはいえ、抵抗を持ちますから、そこに大きな電流を流せばオームの法則に従い、電位差が発生します。
そのため、DC-DCコンバータやレギュレータなどの手前でGNDを設けたら、出力側のGNDとは区別して1点で接続します。(1点アース)
特にパラにDC-DCコンバータやレギュレータを使用している場合は、その影響も大きくなると考えられ、レギュレータのGND端子で意図的に1点アースにすることがあります。
また、このときGNDのパターンが折り返さないようにしています。
つまり、入力側のGNDが出力側のGNDから入って、同じルートを通って出力側に吐き出さないようにします。
また、アナログ回路とデジタル回路の間のGNDも1点アースとして、接続して電位は同じだけれど、電気は流れない状態にすることもあります。
アナログ信号に、デジタル回路からのスイッチングノイズが乗る事を嫌っての処理です。
また、パワーを持ったアナログ信号をデジタルGNDに流さないようにするという意味での処理でもあります。
デジタル回路というのは、高速でLoとHiを行ったりきたりします。
アナログ回路においては、アナログ量をA/D変換するわけですが、そこにデジタルのスイッチングノイズが乗ると。。。サンプリング周期やサンプリング方式にもよりますが、そのスイッチングノイズをA/D変換してしまう可能性もなきにしもあらずなので。。。
できるだけ、デジタル回路はデジタル回路で完結し、アナログ回路はアナログ回路で完結するようにします。
ただ、電気的に絶縁してしまうと問題のある場合があるので、電位ずれを起こさせないために1点でアースします。
即ち、一点でアナログGNDとデジタルGNDを接続するのです。
もちろん、アナログ用の電源とデジタル用の電源は分けて搭載するのが普通ですから、電流の帰路はそれぞれの回路内で行い、ある一点で同電位とするのです。
このあたりのやり方は、回路設計者やパターン設計者の設計思想や経験によるもので、必ずしもそれが100%というわけではありません。
AC電源とDC電源とが絡んでくると、GNDをどうするかという問題が出てきます。
回路設計を間違えると。。。GNDが交流電源の上に浮いていたりしますw
また、出来るだけGNDをベタとします。
空いているスペースもGNDで埋めたりします。
逆に意図的にGNDを抜くことがあります。
GNDを抜くときは、大概は絶縁距離の問題であったり、付近に電流を流したくないときに行います。
ベタとは。。。ベタ塗りのベタです。。。たぶんw
空いているスペースをベタGNDとするのは、色々と理由がありますが。。。
ひとつは、余計なループを作らないようにすることです。
余計なループとは。。。
そこにコイルの成分(L成分)が入ってしまうからです。
このコイル成分というものが曲者だったりします。
コイル成分というのは、電流の変化を妨げる作用をします。
英語でCIVILという言葉がありますが、これが覚え方のひとつです。
VILと並んでいますよね。
これは、電圧Vに対して電流Iが遅れるということです。
即ち、電子基板において、高速でスイッチングするような過渡現象が発生した場合、電圧の変化に遅れて電流が変化します。
要は、コイルに電圧をステップ的にかけても、電流はじわーっとゆっくりとしか流れないのです。
このときの変化は、確か指数的な変化(とはいっても、e(-t/τ)の変化)になります。
時定数ってやつですね。
この時定数は、回路上のR浮遊のLから成り立ち、τ=L/Rとなります。
t=τとなったときに、Iは最大値の63.2%までしか達していないのです。
できるだけ、浮遊のLというものを少なくする必要があります。
そのため、ベタGNDとして埋めてしまうことで浮遊のLを少なくすることが出来ます。
マイコンの説明書には、アプリケーションノートとして1点アースが記述されていたりします。
GNDを分けなさいと。
そのため、マイコンによってはAVssとDVss(Vss)という端子があり、アナログとデジタルで分かれているのです。
GNDというのは、必ずしも同じものではなく、用途によって分けなければならないのです。
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電気のはなし | 日記
Posted at
2011/03/05 02:41:02
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