2011年03月05日
電圧と電流の進み遅れ。
前回のブログで記したCIVILという英語。
たしか、市民のって意味だったと思うんだけれど。
あのCIVILがコンデンサやコイルの過渡現象をあらわしているのは御存知でしょうか?
たとえば、コンデンサ(C)の場合、CIVと並んでいますよね。
これは、コンデンサに流れる電流に対して、電圧が遅れることを意味します。
IとVの並びが、Iが先でVが後でしょ?
逆に、コイル(L)の場合、VILと並んでいますから、コイルにかかる電圧に対して電流が遅れることを意味します。
VとIの並びが、Vが先でIが後でしょ?
これは、ステップ入力をしても、周波数をもった交流でも一緒です。
コンデンサの場合。
直流をステップ入力してみます。
そうすると、コンデンサが初期状態では短絡と同じ意味をもちます。
そのため、ドカーンとステップ入力的に電流が流れ込み、流れ込んでたまった電気量の対応して電圧が加わっていきます。
電気がたまり始めて、入力の電圧とコンデンサにチャージされた電圧差が少なくなるごとに電流値は少なくなり、最終的に同電位となって電流は0になります。
コイルの場合。
直流をステップ入力してみます。
そうすると、コイルにステップ入力的に電圧が加わりますが、電流が流れようとすると磁界が発生し、誘導起電力が生まれ、磁界の変化を妨げる向きに誘導電流が流れます。
そうすると、初期では電流が少なく、時間とともに増えて、最後は導通状態になります。
直流からしてみれば、短絡です。
このように、コンデンサでは電流に遅れて電圧が立ち上がり、コイルでは電圧に遅れて電流が立ち上がります。
交流を流しますと。。。
常に電流の向きが変化しているため、この進み遅れが常に発生します。
たとえば、交流にコンデンサを接続した場合、理想的には電流の変化に対して90°遅れて電圧が変化し、コイルであれば電圧の変化に90°遅れて電流が変化します。
皆さんの使う家庭の機器では、遅れ力率の機器が多くあります。
即ち、コイル成分をもつ機器が多いのです。
たとえば、モーターを使う機器などがそうです。
ここで力率とは。。。
電流と電圧の位相差(先ほど90°進むとか遅れるとかいった角度)をcosしたものです。
たとえば、電流と電圧の位相差が無ければ(0°であれば)cosθのθに0を代入しますと1となり、力率は1となります。
遅れ力率というのは、電流と電圧の位相差(角度差)が着くことで0.8とか0.7とかといった値になることです。
電圧に対して、電流が遅れている状態です。
実は、これはあまり電力会社さんにとっては嬉しいことではありません。
なぜならば、力率が悪くなると。。。同じ電力を送るのにより多くの電流を流さないといけません。
W=IVcosθにて有効電力は決まります。
cosθの値は、最大値が1であり最小値が0です。
力率が悪くなればなるほど、同じ電圧なら送り出す電流を多くしなければ、同じ有効電力ではなくなります。
そうすると、同じ電力を送るためには電流が増えた分電線を増やしたり太くしたりなどの設備投資をしなければならなくなります。
しかし、電気料金は有効電力で決まるため、同じ有効電力ならば同じ料金です。
さー、困った電気会社さん。
ちなみに、コンセントに単純に純粋なコイルやコンデンサを接続しても電気は流れますが、電気料金は取られません。(実際にはペナルティになります。)
それは、先ほどの90°の位相差があるといいましたが、この値をθにぶち込むと。。。
cosθ=0となり、VやIがあっても有効電力は0になるのです。
働けるだけ働かせられて、電気料金を取れないのではたまったものではありません。
そこで、電気会社さんはペナルティを設けましたw
力率が悪いところは、電気料金が高くなっているのです。
たとえば、簡易エレベータなどを設置している場合、力率が悪くなるので通常の契約ではなく別の契約となっていると思います。
では、遅れ力率が殆どですが、じゃあ電気会社さんはどうするのか?
実は、進相コンデンサというコンデンサを入れて、力率を改善するのです。(力率改善用コンデンサ)
先ほど、コイルの場合、電圧に対して電流が遅れ、コンデンサの場合、電流に対して電圧が遅れるといいました。
言い換えれば、コンデンサの場合、電圧に対して電流が進んでいるのです。
そのため、コンデンサを挿入することで遅れた分の電流を進ませることが出来ます。
これ以外にも、力率改善回路(PFC回路)やアクティブフィルタ等でも力率を改善することが出来ます。
こうして力率を改善することで、できるだけ不要な電流を減らすことが出来ます。
交流を例にしましたが。。。
高周波でも、過渡的な変化でも基本は一緒です。
特に高周波は、直流とは逆の性質を示します。
直流の場合、コンデンサは切り離しであり、コイルは短絡ですが。。。
高周波の場合、コンデンサは短絡であり、コイルは切り離しになります。(実際は完全切り離しではありませんが。)
コイルとコンデンサは反対の振る舞いをし、そして電流や電圧は進んだり遅れたりするのです。
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電気のはなし | 日記
Posted at
2011/03/05 03:26:44
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