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2018年式ポルシェ911カレラT ミニ感想文:結局は実用性 - 911
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ノイマイヤー
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ポルシェ / 911
911 カレラ T クーペ_RHD(PDK_3.0) (2017年) -
- レビュー日:2026年8月29日
- 乗車人数:2人
- 使用目的:スポーツ走行
おすすめ度: 4
- 満足している点
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1.みんな知ってる記号性
2.普段使いできる実用性
3.一級品のスポーツ性能
4.大切にされているヘリテージ
5.高級車としての作り込みの良さ - 不満な点
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1.定番ゆえの普遍性
2.強いて言うならロートノイズ
3.OPT必須の仕様設定
4.受け継がれるRRの弱点
5.素性のいいケイマン/ボクスターへの圧 - 総評
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●結局は実用性
元・出向先の同僚だった友人のカーガイが、ライフステージの変化に伴い広いマンションに引っ越すことになった。愛車であるV8ヴァンテージN430は機械式駐車場に収まらず、あえなく買換えの憂き目に遭ってしまった。機械式駐車場に収まるギリギリを狙って彼が手に入れたのが今回取上げる試乗車である。

多くの人が知っているようにポルシェはドイツが誇る世界的なスポーツカーブランドの一つだ。その中でも911はブランドの大黒柱である。過去にはライトなFR系の924、V8を積んだ928もあった。しかし1964年の911以後はいつの時代もポルシェと言えば911という絶対的な立ち位置を維持し続けた。
いまのポルシェのラインナップではSUV系がセールスの中で大きな割合を占めている。販売台数が圧倒的なマカンを筆頭にカイエンなど実用性のあるSUVで利益を出しながらも、定食メニューとして必ず911がその中心に位置し、安定したセールスを維持している。全世界で年間4.2万台規模(3500台/月)なので年間240日稼働、2直体制だとすると、直当たり875台もの911がラインを流れていることになる。1000万円以上する高級スポーツカーの生産台数としてみれば多いと言えるだろう。

そもそも911はフォルクスワーゲンのコンポーネントを使ったスポーツカー356の後継として生まれた。当然のように先代と同じRRを踏襲し、水平対向E/Gや4輪独立懸架という基本構成も丸ごと引き継いだ。356に対しては、空冷水平対向6気筒SOHCを搭載している点が大きく異なる。当時の定番レイアウトはFRだが、RRは大衆車で広く用いられる採用例の多いレイアウトだった。RRだからこそ後席を設けつつも、駆動輪にトラクションがかかり構造もシンプルだった。あの時代は実績のあるRRを採用することに違和感は無かったのである。

守り続けるものがありながら、それで大きな転機があるとすれば、トーションバーからコイル式サスペンションになった1989年や、空冷を捨てて水冷になった1997年、PDKが採用された2008年、などがあるが、一貫して変わらないものはRRの2+2レイアウトのスポーツモデルである点、さらにファストバックの外観、内装の5連メーターなどである。
パフォーマンスに関わるような部分は排気量アップやターボの採用など積極的に行ってきたし、リバースステアの原因たるRrグリップ喪失を防ぐためにグリップ力の高いワイドなタイヤを履かせる、後輪操舵などの採用により本来危険な高出力RRという基本構成のままで62年も継続して来られた。
このように伝統を大切にする姿勢はプレミアムブランドには重要である。いつの時代にポルシェ911を買ったとしても、あらゆる世代が911を知っており、きちんと「すごい車を買った」と周囲に分からせることも高額商品には必要な要素である。高級ブランドが長く続くためには何が必要なのか、それは「継続」であると私は思う。
例えば自動車評論家の福野礼一郎氏は911に関して好意的とは言えないコメントを残している。重量配分がRr寄りのために、初期アンダーで最後はオーバーステアに転じるリバースステア特性を招くRRという不利なレイアウトを使い続け、同じブランド内でミッドシップスポーツカーを持っていてもヒエラルキー上、決して逆転しないように調整している状態はピュアなスポーツカーとは言え無い、という趣旨だったように思う。
たしかに事実を積上げていけば911は、動力性能に全ての技術を捧げるようなピュアさは無いのかも知れない。しかしながら、911は長年に亘り継続して売れ行きを維持、もしくは増大させている。物理的特性の最適解が他にあるとしても、商品として正しいのが911である。
ここでいう商品としての正しさとは買った人を満足させることである。プレミアムカーであるポルシェ911は勿論高い。試乗車は2018年式のカレラTで新車価格は1432万円、そこに複数のオプションが搭載されている。しかし、それだけの対価を支払わせるだけの「満足」を実現しようとする努力は確かにある。一流のパフォーマンスに加えて実用性が両立していることが911らしい価値だ。
少し運転させてもらったが、スポーツカーらしい加速や気持ちよい旋回が可能だった。実際には911よりも動力性能や操縦性が高いスポーツカーは存在するのだが、911ほど実用性や価格に見合った質感表現とのバランスを上手く取ったクルマは多くない。

ところでカレラTのTとはツーリングのTであり、911の中では軽量化版ということになる。一番古いカレラTは1968年発売で、912に変わる廉価版扱いだったという。出力を落とすだけでなく、トリムレベルが下がっていたが、実はレース仕様への改造を想定した変更内容が多く含まれている。レースのために取り外してしまう部品の仕様を下げ、変更できないシリンダヘッドは高性能版911Sと同じ大径バルブ仕様のE/Gが奢られるなどプライベーター向けの粋な計らいと、廉価仕様を求めるニーズを上手くに結びつけた。
試乗車である2018年式カレラTは軽量化という要素を残しつつ、基本的に911カレラよりも上級グレード扱いとなっている。具体的には、後席を廃止し(但しOPT追加可能)、Rrウィンドゥをゲージダウン、遮音材削減によって20kgの軽量化を行った。走りのカレラTという大義名分と伝統をここでもしっかり守っている。
ポルシェ911カレラTには同乗したとしてもドライバーとしても快適なクーペであることは間違いなかった。つまり、0-100km/h加速が4.2秒、最高速度293km/hという高性能を誇るスポーツカーでありながら、踏切やスピードブレーカーの段差に怯えることなく乗れて、カップルの買い物の荷物程度は充分に載せられ、助手席のゲストから乗り心地が悪いだとか五月蝿いという苦情が来ることも無い。(オーナー曰くFrスパッツが車高センサーで検知されて、車検証上の寸法は満たしているのに実際には機械式駐車場に入れない事もあるらしいが・・・)
実際の911オーナーは三度の飯よりも走ることを愛するカーマニアだけではない。充分な収入があり、お洒落で威張りの効くパーソナルカーとして選ばれるケースも少なくないはずだ。どうして911が1963年以来、スポーツカーの一流ブランドとして第一線に立ち続けられたのかと言えば、伝統を守り、バランスのいい車だったからである。

出張先で輸入車が多い東京都23区内を歩いていても911を見かける機会は私の居住地域よりも多い。そしてステアリングを握る人はいかにも車好きのオジサンだけでなく、お洒落な女性がサラリと乗っているケースが多かった。この人達は必ずしも911の伝統にこだわっていないのかも知れないが、それでも伝統を守ることで、いつの時代にも一目置かれ、車好きからのリスペクトも集められる。
911は世界で年間4万台規模で安定して売れているが、スポーツカーなのだから、速ささえ追求しておけばいいという考え方では幅広く売れる定番になれず、伝統を大切に守らなければ幅広い層からのリスペクトは集まらない。お客さんが欲しがるものを提供(伝統+実用性)する事も商い(あきない)として何ら間違っていない。これまで乗せてもらったカーガイの愛車史上、最も快適で実用性がありながら、いいパフォーマンスを見せてくれた一台だった。確かにこれなら助手席に大切な人を乗せられる。
カーガイ曰く、(不満を強いて言うなら)未だにアストンマーティンが恋しい。また駐車場が広い家に引っ越せるなら・・・と語る彼はやっぱりトータルバランスに優れた車よりエッジの立った車に惹かれると言うことなのかも知れない。
何はともあれ彼のライフステージがさらに変わらない限り、当分911はカーガイの手元で活躍するだろう。

忙しい中、時間を作って出張先で待ち合わせしてくれたカーガイに感謝。
- デザイン
- 4
- 走行性能
- 4
-
ある日、東京出張の後、山手線沿線のある駅の近くに辿り着いた。待ち合わせ場所にカーガイは徒歩で現われた。まずお互いの近況を話し合いながらタンメンとチャーハンを食べる。都内で五本の指に入るという美味しいチャーハンを狭隘な店内で堪能しながら、最近の新車の話で盛り上がった。結局車の話ばっかりしながら店内を後にし、数分ほど歩くとマンションの機械式駐車場に辿り着いた。

総評に記した通り引っ越しによって機械式駐車場の物件になったことで、先代のアストンマーティンは買換えの憂き目に遭った。007が似合う屈強な英国紳士は機械式駐車場に収まらない。今の機械式駐車場は1850mm程度が限界で1900mm近い全幅の新しめの車両は既に収まらなくなってきている。その点、911カレラTは全長4527×全幅1808×全高1285mmであり、駐車場事情に対応できているのだ。

そんな話をしているうちに黄色い911カレラT(991.2)が現われた。ポルシェ911自体は昔から大きく見た目が変わらないことと、どこかバーチャルな存在(自分が運転するとは思わない)だったのであまり驚きは無かったが、やはり存在感がある。
パレットギリギリに停められていた911がオーナーの卓越した駐車技能によって停められている
E/G始動すると乾いたサウンドが鳴り響いた。「ちょっと迷惑かなと心配になる」とはオーナー談。既に水冷E/Gなのだがどことなくポルシェらしいサウンドだ。甲高い金管楽器のようなサウンドではなく、ドドドド、という水平対向っぽい音とガチャガチャとしたメカニカルノイズが特徴だ。
オーナーは「4000rpm以上まで回さないといい音しないのにギアが長い(ハイギアード)から速度が出すぎてしまう」という贅沢な悩みを抱えているようだ。

助手席に座る。着座位置は低く、SUVやミニバンに慣れた一般人にとって一気に非日常の世界に引きずり込まれるだろう。乗り込んだ瞬間、インテリアのイエローステッチは外板色とマッチしているが、面白いのはインサイドハンドルの代わりにナイロンベルトの黄色いストラップが取り付けられていることだ。軽量化が信条のカレラT専用の装備なのだが、本来はいささかナンセンスなナイロンベルトなのだが、「カレラTだから」と言われるとなるほど!と納得させられてしまう。プレミアムカーにはちょっとヘンなところがあった方がウケるという説もあるが、私もパッと見た瞬間に「軽量化をテーマにしたカレラTらしいな」と納得してしまった。
カレラTの装備に関してもう少し触れておくと、PASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメント)つきのスポーツシャシーを標準装備して車高は20mmローダウンすることで運動性能を引き上げている。カーガイ曰く、踏切などの普通の段差でも一般的なセダンのように徐行すれば普通に通過でき、シャコタン車にありがちなジグザグ走行は不要だという。

試乗車にはスポーツクロノパッケージが装着されている。これは単ダッシュボードの時計がつくだけなら、ヴィヴィオとそう変わらないのだが、これはあくまでも目印に過ぎない。ステアリングにダイヤルが設定されて走行モード(スポーツ・スポーツプラス)の選択ができ、シャシーやE/Gとの統合制御が行われる。さらにE/Gマウントの硬度を変えることで日常の快適性を維持したまま、ここぞという時に硬度を上げてアクセルレスポンスや操縦性を高めることができる。他にも、可変マフラー、コーナリング時に内側の後輪に軽くブレーキをかけ、回頭性を高めるマツダのKPCに似た機構も911の走りを支えている。

それでいて通常の19インチとは違う、チタニウムグレーの20インチホイールやヘッドレストに911の刺繍入りのスポーツシートなど外から一目見ただけで特別なカレラTだと分かる仕組みもしっかりしており、コスメティックな装備で見た目だけの差別化を行わず、好事家を唸らせる質的向上も図られているのは流石プレミアムブランドらしくファンを裏切らないなぁと感心した。
正面にはI/Pに蓋があり、開けてやるとボタン操作でカップホルダーが現われる。助手席には丁度良く、運転席側は運転操作の邪魔にならないように少し離れた位置にレイアウトされている。

911はスムースに市街地を滑っていく。オーナーは当然ながらこれ一台で買い物から鈴鹿サーキットまでの小旅行まで何でもこなしているが、確かにポルシェ911という高揚感よりも洗練されたラグジュアリークーペという感覚で満たされている。
オーナー曰く「もうちょっと脚が柔らかくてもボディがしっかりしてるから大丈夫だと思うんだよね」と言っているが最高速度300km/hに
迫るようなメジャー級のスポーツカーだから脚を固めておきたいのかも知れない。後述するが標準モデルより車高が下げられて動力性能にフォーカスした仕様となっているのは当然なのだが、バネと言うよりダンパーが堅いのでは?というのはオーナーの推測だ。
そして彼の真意はコンフォート性というより、911らしく荷重移動で前輪に荷重をかけてコーナーに挑みたいと言うことだというのは私の推測である。

首都高速目黒線に上がり、都心環状、台場線と分岐を繰り返して湾岸線へ。梅雨時のムワっとした空気の中、何台かのスポーツカー達がPAで休息を取っていた。ちょっと休憩の後、私に運転の機会が与えられた。(乗り心地項へ続く) - 乗り心地
- 3
-
(走行性能項からの続き)
初代ケイマン(カーガイの元愛車)と初代マカンは運転したことがあるが、911は初めてだ。
911カレラTはMTが選べるが試乗車はPDK(マニュアルベースのツインクラッチ自動変速機、いわゆるDCT)である。レース用に自動変速MTを開発したのはポルシェであり、MTよりもポルシェらしいメカニズムとも言える。

911型のスマートキーを差し込んでSTRATボタンを押すとE/Gが始動する。E/Gはこの991マイナーチェンジモデルから採用された水冷水平対向6気筒3.0Lターボである。それまでの3.4L自然吸気と比べて排気量が減っているがこの時期、VWグループではダウンサイジングと言わず、「ライトサイジング」と呼び、低回転域の出足が確保できる排気量とレスポンスの良いターボで無理なく低燃費を目指す技術だ。ライト(正しい)と銘打つ辺りが当時まだディーゼルゲートがバレていなかったVWの奢りにも似た自信を感じさせる・・・なんて書くと意地が悪過ぎるだろうか。
メーターは伝統の5連メーターで勿論中央はタコメーターだ。8000rpmまで目盛が刻まれ、7400rpm以降がレッドゾーンだ。タコメーターの下にはシフトポジションインジケータとデジタルスピードメーターがあるので基本的には真ん中さえ見ておけば事足りる。このメーターの右から二番目はマルチインフォメーションディスプレイになっており、各種情報がTFT液晶で表示されている。次世代ではフル液晶(5連デザインは残されているが・・・)になってしまったので機械式が残るこのメーターは貴重だ。

セレクトレバーをDに入れればあとは疑似クリープを出しながらスッと発進できる。そもそも3Lもあるので低速でも充分な発進性能があり、痛痒感は全くない。加速車線からの合流もスムースで流れに乗ることは目を瞑っていてもできるという感覚だ。ミラーや目視による確認もし易く、車両感覚は掴みやすい部類だ。PDKはさすがにズバズバと変速してくれる。トルク切れのない変速は気持ちよく小気味よい。
幾つかのJCTを経て都心環状線に入り、川を埋め立てた半地下の区間を流すと気分はRAVE RACERだ。どんどん坂を下るに連れて「ヤーーーーーフーーーー」とか言ってしまいそう(笑)。
中央分離帯を避けながらまさにカレラTはスイスイと泳ぐ様だ。一応RRだから、ということでいつもより前輪荷重を意識したりコーナリング中に不用意にアクセルを開けぬよう気をつけていたが、首都高速で周囲に伍して走る分には全く何も意識せずとも、RRらしい挙動に向かうそぶりすら見せない。
曲率半径の小さいカーブが連続するが極めて正確に旋回していく。意地悪く切り足しても、ちょっとアクセルを踏み足したくらいでは何も起こらない。

オーナーの許可を得ながらちょっと元気に走らせても快適性はほとんど変わらない。橋の継ぎ目のショックはリーズナブルで突き上げと言うほどのショックはないし、防音材が省かれているといいながら、大事な一線は越えていない。タイヤ起因のロードノイズはスポーツカーゆえ仕方ないが、これも会話ができないというレベルではなく、その辺を走っている国産車の出来映えが悪いものとそう大差ないレベルに収まっている。アクセルを踏み込んでも恐怖を覚えるほどの急激なパワーの立ち上がりはなくとても良く調教されている。

ここでステアリング横のダイヤルをSに合わせると、スポーツモードとなるがそれでも、ダイレクト感を強調しながらあくまでもドライバーの意思に忠実だ。低いギアを選んで高回転まで楽しんだが、大排気量かつターボでもきっちりと7000rpmまで回ってくれた。(レッドゾーンは7400rpm)
かつて911を買うことを「ブレーキを買う」と表現した徳大寺有恒氏の911評(徳大寺有恒ベストエッセイ)を知っているから、試してみたくなるのだが、今回の試乗では車速域の関係で神経質になる事無くいつでも踏める従順さを確認できた程度だ。
違いはといえば普段運転するFF車と較べると、操舵時の手応えが少し軽いかなと思わせる程度だ。これは前輪にかかる軸重が小さいことが影響しているのだろう。後輪より後ろのオーバーハングに重量物を積む為操縦性に難があるという大排気量のRRというイメージからは遠いフレンドリーさである。370ps/6500rpm、450Nm/1700-5000rpmというハイスペックを誇り、パワーウェイトレシオ3.85kg/PS、0-100km/hまでたった4.2秒で到達する恐ろしいハイパフォーマンスをあたかもGOLFを運転するかのように操ることができる。それこそが、911がドライバーを選ばない秘訣なのである。

勿論、望めばRRがもたらすトラクションを活用しつつ、オーバーステアを抑えながら旋回するスリルも味わえるのだろうが公道ではいささか危険すぎる。ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(千葉県)に行けば余すところなく楽しめそうだ。無責任にハイパフォーマンスカーを作って売るだけでなく、教育し、走らせる場所を準備する辺りがポルシェのブランド価値を一層高めている。

ぐるっと一回りし、スタート地点に帰ってきた。楽しい時間はあっという間だが、不思議と高揚感に包まれると言うよりも、緻密な機械の正確な動作に感心したようなひとときだった。
短時間の試乗だったが911は「水平対向6気筒をRrオーバーハング積んだスポーツカー」という伝統を守りつつ、最新技術を採用することで高い操縦性(危険な挙動に陥らせない)と実用性を維持することで、ソフト層(富裕層)とハード層(エンスージアスト)のニーズを満たし、63年間もの長きに亘りスポーツカーの第一線に立っていることはポルシェの作戦勝ちだと良く理解できた。
ブランドとしてのポルシェは電動化を推し進めているが、911は仮にPHEV化されども、E-FUEL仕様になったとしても最後まで水平対向6気筒を積み続けるだろう。

走行性能は今回の試乗範囲で★4である。期待通りに伝統を守りつつ、金銭面以外では敷居の低いスポーツカーだったからだ。
乗り心地は普段使いできるという意味で★3レベルだが、スポーツカーということを考えれば★4でもいいレベルだ。 - 積載性
- 3
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スポーツカーであるポルシェ911の積載性に触れるのは、もちろん911がこの手のスポーツモデルとしては稀有なユーティリティーの持ち主だからだ。
運転席の後ろには簡易的なRrシートがあるが、911カレラTは軽量化のため取り払われてしっかりしたカーペットで覆われている。日々の買い物やリュックサックなどはここに転がしておけば事足りる。クーペのドア開口スペースなので余り大きなものは積み込めないが、ドア開口を通り抜けられるものであれば、例えば柔らかいボストンバッグに詰めた数泊分の着替えなどは余裕で飲み込んでくれる。

既に触れたとおり、911のピュアスポーツとしての純度を損なっているのはこの後席スペースなのだが、それがある事で、普段使いから長距離ツーリングまで911で楽しめるようになるのだ。我々はついつい「万が一の災害の時に電気が使えるよう・・・」だとか「年末年始に両親が乗せられるように・・・」といったレアケースまで想定して無用なオプションを選んだり、大きな車を選んでしまう事がある。もちろん2+2であるがゆえ、保険料や税制が有利にな地域もあるらしいがそんなことよりも「もしもの時に2人しか乗れない車だと不便だな」という心理的不安に対する答えが欲しかったんじゃないかと私は想像する。
そのメリットはフル4人乗車をしなくても長距離ツーリングの際に車内で仮眠が取れるという点で2シーターの車より圧倒的に快適なのである。軽トラックの中にも上級仕様として荷室を削ってでもリクライニングできるシートを備えたモデルがラインナップされていることからもその優位性がハッキリ分かるだろう。
つまり、本格スポーツでありながら競合車を凌駕するユーティリティを持つことが911の競合に対するアドバンテージなのである。言うなれば911は農道のポルシェ・・・・ならぬ、アウトバーンのサンバー・グランドキャブと称することもできるかも知れない。(できねぇよ)

運転席に座ると、タイトだが心地よい室内空間が拡がる。2ペダルゆえ、左足はちゃんとフットレストに着地できるし、例えばシートの座面が長すぎて困るだとかステアリング調整幅が小さくて手が届かないとか乗降するだけで毎回首をかしげなければならないだとかそういう不都合に出会わない。その当たりの身だしなみ?がしっかりしているのが大きな美点だ。
高い車なのだから当たり前という方も居られるだろうが、欧米の欧米による欧米のための車は、それ以外の属性の人がドラポジを取るだけで難儀するような車は存在する。だからこそ911は癖を感じず正しいドラポジが取れるのは素晴らしい。
実際に海外サイトで911の荷室を検証している面白い方が居られる。それによれば予想以上に荷物が載る模様だ。Frのトランクも充分な深さがあり、機内持ち込みNGのスーツケース(L約61cmxW40cmxD25.4cm)でも余裕で2個飲み込んだというから、この実用性は競合するスポーツカーにはできない芸当だろう。私の予想を超えるレベルで911は荷物が積めてしまう。
一般車として評価するなら★3。
2シータースポーツとしては実用性が高く★4である。 - 価格
- 無評価
-
新車当時の価格を調べると、1432万円。
911シリーズの価格は最もスタンダードなカレラは7MT:1244万円/7PDK:1309.1万円。元々モータースポーツを意識した廉価仕様と発売された911Tと比べると、いまのカレラTの性格はカレラをベースに純度を高めるという付加価値が与えられた仕様になっている。

オーナー曰く、ポルシェはオプション商法であるため、カタログに載っているような仕様にするためには相当に高額なオプションを複数選んでいかなければならないという。
お恥ずかしながら私は911を新車で手に入れられるような甲斐性は無い。その意味では絶対的に価格は高いという他無いのだが、個人的には実用性の高さと走行性能と相当高いレベルで両立させている点において価値は高いと考えるし、さらに3年後に7割と言われるリセールの良さも無視できない。
webCGに同型車の試乗記事があるが、今回の試乗車にも備わっていたオプションを抜粋すると下記のようになる。内装で目を引くボディ同色の空調フィンは15.2万円なり。分かっているだけでもオプション合計で328万円である。
よって1432万円+328万円=1760万円というのが概算の車両価格となる。
カレラTインテリアパッケージ(46万5000円)
レザーインテリアブラック カレラTインテリアパッケージ<レーシングイエロー>(55万1000円)
リアアクスルステアリング(40万9000円)
パークアシスト<リバーシングカメラ付き>(29万円)
電動可倒式ドアミラー(5万5000円)
フロントエプロン塗装仕上げ(5万7000円)
リアエプロン塗装仕上げ(6万円)
ボディーカラー同色塗装エアベントストラット(15万2000円)
アダプティブスポーツシートプラス(44万5000円)
スポーツクロノパッケージ(5万2000円)
LEDメインブラックヘッドライト<PDLS含む>(58万3000円)
ティンテッドテールライト(9万8000円)
アルミペダル(6万3000円)


近しいボディサイズで近しいE/G出力を誇りながら、もっと買いやすい価格の車はほかにもある。その中で911がこれほどまでに強気なビジネスを展開できるのは、この価格設定を理解し、気前よく支払ってくれる顧客を世界中に抱えているからである。そして彼らが911に何を求めているかという事についてポルシェ自身が良く理解し、
彼らの望みを叶えているという相互関係を長年にわたって成立させ続けられているからだと推測する。
価格は評価なし(リセールの良さなどを加味しても価格設定が相当高額であるため)
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3210.0万円
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2777.0万円
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2798.0万円
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2692.0万円

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