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ロバのEeyore(イーヨー)のブログ一覧

2012年06月21日 イイね!

マツダ技報  No11 1993  ⑥ページ

マツダ技報  No11 1993  ⑥ページ






Mazda Technical Review No11 1993 p49-50



今回は、マツダ技報の記事の中から、AZ-1のボディーに付いて書かれているページを紹介したいと思います。






No11 (1993) マツダ技報

AZ-1のボデー紹介   Introduction of Body for AZ-1

第1車両設計部   原田高義  小田昌博  羽場憲昭  西村勇二


要 旨


AZ-1は、ボデー関係で3つの目玉技術を採用している。痛快な運動性能と高安全性能を確保するための『高剛性スケルトンモノコックフレーム』、個性的なスタイルとカスタマ・モービル構想を実現するための『オールプラスチック外板』、斬新且つ個性的なスタイルの実現と低車高の乗降性を確保するための『ガルウィングドア』の採用である。
本稿では、各々の項目について、開発の取り組み、構造、技術上の工夫等について紹介する。


1.はじめに

AZ-1は、"趣味性"、"楽しさ"を追求した『エキサイティング・マイクロクーペ』をコンセプトとし、『シャープ且つ痛快な運動特性』、『斬新な個性、インパクトを持ったスタイリング』、『高い安全性』を特徴とする。
これらを実現するため、ボデー関係で3つの目玉技術を採用している。

①高剛性スケルトンモノコックフレーム
②オールプラスチック外板 
③ガルウィングドア

オールプラスチック外板は、国内初の採用、ガルウィングドアは軽自動車初の採用である。
本稿では、上記技術の開発の取組み等について述べる。


2.スケルトンモノコックフレームの開発

2.1スケルトンモノコックフレームの開発の狙い

AZ-1は、スチールスケルトンモノコックと呼ばれる、外皮のない鋼板性閉断面部材を結合したスペースフレーム構造を採用した(図1)



このフレームに要求された性能は、大きく次の2点である。

①カート感覚の操縦性を実現させるための、軽量かつ高剛性
②パッシブセーフティのための、高いクラッシュ性

AZ-1は、上記の2大性能を実現することを開発の狙いとした。

2.2軽量高剛性フレーム

軽量かつ高剛性のフレーム構造を実現するため、AZ-1のフレーム構造の設計は、以下の点に留意して行った。
①骨格は、車体全体にバランス良く配置され、骨格の結合部は、強度的な連続性があること。
②断面形状は、曲げ及び捩り荷重に対して、変形し難い大断面であること。
又、最適化設計のための断面形状、板厚及び結合構造の評価は、計算解析及び実車テストにより、詳細かつ繰り返し行った。
その結果、新たに採用した構造的特徴を次に示す。

(1)大断面サイドシル(図2.a)

高剛性フレーム実現の効果的な手段として、プラットホームの強化がある。このプラットホームの強化方法として、軽量化にも有効となる、サイドシルの大断面化を採用した。
その断面形状は、
①シート巾と車巾の制約により、上下方向に大型とした。
②サイドシルアウタ及びインナの中央部を結合し、上下2分割とした。
この結果、サイドシルは、曲げ及び捩り荷重の双方に耐える効果的な部材となった。ちなみに、AZ-1のサイドシルの断面積は、従来車比で約2倍としている(図3)。



(2)Tバールーフ(図2.b)

AZ-1のルーフ構造はガルウィングドアの採用により当社初のTバータイプとした。Tバールーフ部は、ガルウィングドアの重量及びステーダンパーの反発力を支えると同時に、フレーム全体としての剛性を確保するための重要な部位である。このため下記の構造を採用し、強度剛性の向上を図った。
①ルーフパネルで、フロント及びリヤヘッダを一体成形。
②ルーフパネルとヘッダの付け根部に、大型のレインフォースメントを追加。(ドアヒンジ及びステーダンパも、本レインフォースメントに取付け。

(3)リヤフレームとサイドシルの強度的連続性を持たせた結合(図2.C)

リヤフレームは、エンジン重量、トルク及びサスペンション入力を受ける部材である。更に、リヤフレームとサイドシルの接合部は、リヤフレームに入る力をサイドシルに伝える重要な部位である。このため、AZ-1では、リヤフレームアウタをサイドシル後部に深く差し込むことにより、強度的な連続性を持たせた結合構造とした。





AZ-1はガルウィングの為、高いサイドシルを持ちますが、この大断面サイドシルが高剛性化に寄与しているのが分かりますね。

そして、マツダ車初のTバータイプのルーフ構造部にもしっかりと強化部材が使用されているんですね。


このAZ-1のボデーは次回に続きます!





☆☆☆☆☆☆  AZ-1生誕20周年ミーティング ☆☆☆☆☆☆

2012年10月7日、広島県安芸郡府中町マツダ本社内にて開催

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2012年06月17日 イイね!

マツダ技報  No11 1993  ⑤ページ

マツダ技報  No11 1993  ⑤ページ










Mazda Technical Review No11 1993 p47-48




3.2 空気力学的な洗練

一方、中高速のクルージング性能を高めるとともに、高速での燃費改善を狙い、デザイン開発の極く初期から、空気力学的アプローチを取ってきた。車体への抵抗そのものを減らす為、空気抵抗係数の低減のみでなく、もう一つの要素、前面投影面積の極小化にも挑んできた。空気抵抗係数Cdは0.353と、現在では平均的な数値であるが、前面投影面積Sは1.347㎡とRX-7の76%であり、軽自動車の平均と比べても小さく、Cd・S=0.475を達成した(表1)



前面投影面積縮小の為に、2人の乗員は、できるだけ低く、車体中央寄りに座らせる必要があった。その為、開発の極く初期段階から、デザイナーとパッケージエンジニアが一体となり、低い着座位置でも快適なドライビング・ポジションを実現した。これは同時にAZ-1の高い操縦安定性をもたらすことに大いに寄与した。又、空気力学的に不利といわれる、以下の2点に注力した。
①冷却損失の少ないラジエターグリル形状とグリルとラジエターを結ぶ導風壁を設けることにより、乗用車平均で0.03の損失を0.09に抑えた。
②リトラクタブル・ヘッドライトを固定化することにより、0.02から0.001に損失を極小化した。
その他、フラッシュサーフェイス化、フォワード・キャビンで基本形状を整え、狙いの空力性能を得る見通しをたてることができた。

4.インテリアデザイン

インテリアデザインは"非日常へのいざない"の具現化の為、1つ1つの動作が、この車を楽しむ為の大切な儀式となるよう配慮した。高い敷居を乗り越え、低くタイトなバケットシートに体を埋めると、徹底した小さな空間が、快い緊張感をもたらす。グラスキャノピーは、低い着座位置でありながら、全方位の視界を与え、標的を追うファイターの気分にさせる為の、空間デザインである。ここまでの儀式を終えると、眼前には、スポーティな小径のステアリングと、大径のタコメータを中心に配したメーターが並ぶ。大きく張り出したホイールハウスを避けて、ペダルセットは、車体中央寄りに大きくオフセットさせた。しかし、ステアリングとシートは車体中央に向けて角度をつけてあり、メーターセットもそれに合わせ、角度をつけた為、極く自然なドライビングポジションが取れるようになっている。又、シートは、左右ともサイドサポート性を高めた、フルバケットタイプである。リクライニング機構を採用しないことにより、シート剛性を向上させ乗員と車の一体感を高めた。シートフレームは、軽量化の為、プラスチック製とし、さらに助手席スライドもなくし、軽量化を目指した。すべて、コンパクトでスパルタンだが、ドライバへの車を楽しむための配慮は、徹底して行った。



5.カラー&ペイント

エキサイティング・マイクロクーペのイメージを尖鋭化させる為、AZ-1は、外板色を2色に限定、鮮やかな赤と青とした。前後バンパー、サイドシルカバーは、グレーメタリックのツートーンとしているが、これはボディを更に低く、伸びやかに見せる効果と、軽衝突やチッピング等での小傷を目立ちにくくさせる役目を担っている。
内装色は、シンプルで機能的なインテリアデザインに合わせ、インストルメントパネル、ドアトリム、ピラートリム等、ドライバの目にはいる部位は徹底的にシンプルに、且つ防眩機能を持たせて、黒にまとめている。一方、シートセンタには、外板色に合わせたファブリックを用い、黒と赤、黒と青の強いコントラストで、スポーティ感を演出している。
又、ペイント面でも、プラスチック外板特有の工夫がある。素材により、表面色が違うが、その素材による色の差が塗装面に影響するのを防ぐ為、赤、青とも、カラー中塗りが施されている。これが、ソリッドカラーでありながら、深みのあるきれいな色に仕上がっている、最大の理由である。このカラー中塗りは更に、パーティングラインの細い突起線や、エッジ部の色スケ対策としても役立っている他、種々の工程上のメリットも多い。

6.おわりに

以上、AZ-1のデザイン開発の考え方と、デザインの概要を紹介した。導入まで多くの人々の御協力を戴き、お礼を申し上げたい。特に、デザイン作業を長期間に亘り支援して戴いた、第一工業(株)社長、デザイナ、モデラの皆様には、深く感謝の意を表する。

大黒雄二郎






二日間にわたってマツダ技報に掲載されていた『AZ-1のデザイン紹介』を記載してきましたが、開発者の熱意がとても伝わる内容だったと思います。

その中でもこれほど空気力学的に洗練されているとは思いませんでした。

その為にラジエターの設置法を考慮する事により空気力学的損失を抑えたり、また、リトラクタブルヘッドライトから固定式にすることにより損失を20分の1に減らしたり。表1の数値は確かに優秀なものと思います。
だからこそ、リミッターカットした時の最高速が軽カーの中でも群を抜いて高いのでしょう。

また、インテリアデザインも軽量化とドライバがクルマを楽しむための配慮を徹底して行ったとあります。この割り切りこそがAZ-1の特徴の一つだと思います。

そして、塗装も素材が異なるため、中塗りをして外板のカラーを整えているのもすごいですね。



AZ-1のデザインは軽自動車と言う枠内でクーペを実現した事もすごいと思います。
もう二度と出てこないデザインだと思います!





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2012年06月16日 イイね!

マツダ技報  No11 1993  ④ページ

マツダ技報  No11 1993  ④ページ



Mazda Technical Review No11 1993 p46-47




今回は、マツダ技報の記事の中から、AZ-1のデザインに付いて書かれているページを紹介したいと思います。




No11 (1993) マツダ技報


AZ-1のデザインの紹介  Design of AZ-1

大黒 雄二郎  Yujiro Daikoku


要 旨

非日常へのいざない。クルマは道具であると同時に、乗る人、見る人を楽しませるものでありたい。特にファン・カーでは、一見して楽しさを感じさせる外観と、乗り込む時、シートに収まる時、"さぁ、一緒に走ろう"と語りかける機構や内装を持ちたい。AZ-1のデザインは、この考えを具現化したものである。ギリギリに切り詰めた、小さく低い車体とガルウィング・ドアで、遠目にもはっきり判る特徴ある外観と、快い緊張感をもたらすタイトな空間をつくりだす。また、高い敷居を乗り越え、低い座席に収まる一連の動作は、心を昂まらせる大切な事前の儀式と位置づけている。


1.はじめに

AZ-1は、1989年の東京モーターショーで発表された、AZ-550スポーツ・タイプAの量産型車である。軽自動車初のミッドシップ、着せ替えボディコンセプト、ガルウィングドア等で、観客の注目を集め、発売が心待ちにされていた車である。その後、デザイン面、機能面で、いくつかの改良が加えられたが、『"趣味性""楽しさ"を追求した、エキサイティング・マイクロクーペ』という基本コンセプトは、ショーモデル開発当初から、全く変更することなく、純粋に育成・開発を進めてきた。


2.デザインコンセプト

デザインスタディの開始は7年前に遡り、1985年、"ニューコンセプト・ビークル"研究の1つとしてスタートした。
既に、軽自動車市場は、成熟期を過ぎ、商品の氾濫するところとなり、唯、ユーティリティや、経済性等、画一的な目標追求では、壁は破れないことは自明であった。このような背景の中、セカンドカーとしての自分専用車を志向する、ミドル、及び、手軽に楽しめる車を欲している車好きヤングを対象に起案されたのが、AZ-1の原型であった。即ち、趣味的・個性的な2人乗りクーペで、新市場の芽を探ろうとしたものである。
一方、軽自動車程度の小さな車では、本格的なスタイリッシュクーペのデザインは、成立し得ない、というのが、当時の業界の定説であった。それに対して、その定説を覆す活動は、可能性が薄いと言われているだけに、逆に、デザイナーにとっては、非常に魅力的な課題に見えたのである。この魅力的な課題を前に、前述の基本コンセプトに加え、デザイナーの手がかりとする、コンセプト・キーワードを設定した。

"非日常へのいざない。"

車は道具であると同時に、乗る人、見る人を楽しませるものであってほしい。とくに、ファン・カーでは、一見して、楽しさを感じさせる外観と、乗り込む時、シートに収まる時、"さぁ、一緒に走ろう。"と語りかけてくる機構や内装を持ちたい。外観のわかり易さと一連の動作を通じて、いつの間にか、非日常な世界=全く新しいAZ-1の世界にひたっている。そんな世界をつくり上げ、現実のものにすること。これが、デザインの使命であった。


3.エクステリアデザイン

●遠目にもはっきり判る、特徴ある外観を持つ。
●空気力学的な洗練度は,他車と一線を画す。

上記2点は、エクステリアデザインを進めていく上での、最も重要な目標であった。

3.1 特徴ある外観

最もわかり易いのは、過激なまでに低い車高と、ミッドシップと2シータの割り切りを活かした、キャビン・フォワード&グラス・キャノピーデザイン、そして、真上に展開するドアーである。低い車高は、後述する空気力学的要請もあったが、低い着座位置がもたらすドライバの体感速度を高める効果や、車体の低重心化のため、何としても達成しなければならぬ項目であった。国産車史上、最も低い車高1150㎜は、他の追随を許さぬものである。また、キャビン・フォワード・デザインは、車体の前進感を増し、ボンネットとフロントウィンドシールドを滑らかに連続させることも可能にし、空気力学、外観の両面で、有効なデザインとなっている。キャビンは、フルグラスキャノピーで、フラッシュ・サーフェイス化し、ガラス面が連続する滑らかなデザインとした。真上に展開するドアは、鴎が翼を拡げたような、文字通り"ガルウィング"ドアである。この方式は国産車では初のものであり、世界でもごく一部の少量生産車を除き、例を見ないものである。低い車高でありながら、乗降が楽である他、雨の日にも濡れる心配なしに乗降できる利点が生まれている。




to be continued ---------------------------------








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2012年06月07日 イイね!

マツダ技報  No11 1993  ③ページ

マツダ技報  No11 1993  ③ページ









Mazda Technical Review No11 1993 page3





さて、長かったマツダ技報(AZ-1の紹介編)も今回が最終回です。それではどうぞ。





9.ボデー

ボデーは、高い剛性と安全性の確保を追求してスケルトンモノコックフレームとプラスチック外板で構成している。
スケルトンモノコックフレームは、コンピューター解析によって、軽さと強さを高次元で両立させている。外板を全てプラスチック化することで、従来、フロントヘッダ、リヤヘッダといった見栄えの点からスポット溶接が不可能であった部材も閉断面化することができ、1クラス上の曲げ・捩り剛性を確保した。
AZ-1のボデーの特徴の1つは、大断面サイドシルを持つことであり、従来の約2倍の高さである。この大断面サイドシルは、ボデー剛性向上に寄与すると共に、衝突時の安全性確保にも大きく貢献している。



他車にないユニークなものとして、スケルトンモノコックフレームに約70本のボルトで取り付けられるプラスチック外板があげられる。
外板のプラスチック化は、耐錆性、デザインの自由度増大、軽量化、軽衝突時の復元性などのメリットと共に、カスタマ・モービルの可能性も秘めている。
今回、AZ-1の外板には7種類のプラスチックを採用した。
ボンネット、エンジンフード、リヤエンドカバーには耐熱性の優れたSMC材を採用し、フェンダー類はユリア樹脂、ポリウレタン樹脂等で構成している。



10.ガルウィングドア

AZ-1は、屋根にヒンジを持つユニークな開閉機構のガルウィングドアを採用した。
このドアは、低い車高を実現し、かつ乗降性も確保するために採用されたものである。
低車高、乗降性確保のみならず、ボデー剛性と安全性を高めるための大断面サイドシルが可能となり、スタイリング的にもファッショナブルでありAZ-1の大きな特徴にもなった。
ドア開閉時に必要なスペースは、車両の最外側から320mm(片側)と、通常のドアよりも小さく、輻輳した都市内での使用にも適している。
またドアを開いた場合の高さは、ゴンドラ式駐車場の利用も可能である。



11.安全性

AZ-1の楽しさは、確かな安全性の上に成り立っている。クイックなステアリングは、車の進路を速やかに変えられることで、より高い危険回避力を備えている。このアクティブセーフティのみならず、パッシブセーフティとして以下の安全構造を採用している。
まず、リヤミッドシップレイアウト&2シータとすることにより、キャビンの前後に十分なクラッシャブルゾーンを確保した。
また、BピラーとCピラーを構成するフレームを近接配置としたうえで、高い強度をもたらす三角構造にし、その上部をリヤヘッダと結合することにより、ロールバーとしての機能を持たせた。
側面からの衝撃には、大断面サイドシルと、ドア内部のサイドインパクトバーとの相乗効果により、コクピット内の乗員を保護する構造としている。
その他AZ-1には、ハイマウントストップランプ、コラプシブルステアリング、安全合わせガラス、難燃性内装材、ロールオーバーバルブ付フューエルタンク、4輪アンチロックブレーキシステム(メーカーオプション)などの種々の安全装備を設定した。



12.環境問題への取り組み

オールプラスチック外板というユニークな構造を採用したのに伴い、100g以上の樹脂部品全てに材質表示記号を入れて分別回収を容易にしている。また、外板は全てボルトアップのため、分解が容易というメリットもある。
内装トリムをはじめとするインテリア素材は、リサイクルが可能な熱可塑性樹脂を多用している。
さらに、シートのウレタンパッドの発泡剤からは、オゾンに有害なフロンガスを追放し、ブレーキやエンジンのガスケットからはアスベストの使用を廃止するなど、きめ細かな対応を行っている。

13.生産設備

AZ-1は、ガルウィングドアの組み付け、プラスチック外板の組み付けなど従来の車両構造とは異なっているため、広島市にある(株)クラタの矢野新設工場にて組み立てを行っている。
この専用工場は次の特徴を持っている。

(1)入念な生産方式

少量生産を前提に、タクトも10分と長くし、プラスチック外板を人間の手で1台1台取り付けるなど、手作りに近い入念な生産方式である。

(2)F-BACSの導入

(株)クラタが新開発した全自動スポット溶接が可能な車体組み立てラインF-BACS(FLEXIBLE-BODY ASSEMBLY CAR SYSTEM)によってスポット溶接点数約1500点を100%ロボット化し、ボデー精度を向上している。

14.おわりに

以上、AZ-1の開発コンセプトと商品概要を紹介した。AZ-1がめざした明解な個性と割り切りの思想が、多くのお客様の共感を呼び、車創りの一つの方向性を示すものと理解されることを願ってやまない。
これも、AZ-1商品化にあたり、社内外で関係された方々のご尽力の賜物であり、紙面を借りて深く感謝の意を表したい。




以上マツダ技報No11 p43-45までを抜粋。




ロードスターの主査である平井さんがこのAZ-1の主査をした事により、今日熱狂的なAZ-1マニアを生んだと思われます。

主査になったその日にコストを下げ、オーバーハングの重量を減らす為リトラクタブルライトを中止し、『 明解な個性と割り切りの思想 』を追求した車創りは間違いなく車創りの方向性を標したと思います!(もちろん賛否両論はありますが……)


マツダ技報には他にも、AZ-1のデザイン、ボデー、シャーシーについての記載がありました。
こちらに関しても後日紹介したいと思います!




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2012年06月06日 イイね!

マツダ技報  No11 1993  ②ページ

マツダ技報  No11 1993   ②ページ








Mazda Technical Review No11 1993 page2




前々回からの続きとなります。それではどうぞ!




5.エクステリアデザイン

AZ-1は、全長3295mm、全幅1395mmと軽自動車寸法の枠内でウェッジシェイプ&ローシルエットのフォルムを基本としている。
短いフロント・リアオーバーハング、リヤミッドシップエンジンにより、際立ったローボンネットを実現し、精悍で刺激的なミッドシップフォルムのエクステリアデザインである。
キャビンは、全て一体ガラスで包まれるような『フルグラスキャノピーデザイン』で、フロントウィンドウとサイドウィンドウの各ガラス末端を突き合わせてピラーを覆い、ガラス面が連続する滑らかな処理としている。
フロントビューは異形ハロゲンヘッドランプにより、AZ-1ならではの個性を形づくり、リヤビューは、2灯コンビネーションランプの骨太でシンプルなデザインを採用した。



6.インテリアデザイン

インテリアは、タイトな室内空間と運転席に着座した時の視点の低さ、シンプルかつ機能的な操作機器配置など、乗員に緊迫感を与えるデザインを意図している。
座面より高い位置にあるサイドシルは、しっかりとした運転姿勢を保持するフルバケットシートの採用と相まって車との一体感を強めている。
ルーフガラスを採用し、明るく開放的なインテリアとすると共に、光の透過率を30%とするセラミック処理を施している。
全高に合わせてボンネットを低くし、広い前方視界も確保した。
メータは、タコメータを中央に置き、その左に速度計、右に燃料計と水温計の小径2連メータを配置し、白地のメータパネルにより視認性を高めた。
シートは、左右共にサイドサポート性を高めたフルバケットタイプで、シートフレームは樹脂製としている。剛性向上と軽量化の為リクライニング機構を廃し、助手席シートは固定式とした。
内装色は黒色で統一した。但し、シートクッションおよび、シートバック中央部のみボデーカラーと同一にしてアクセントをつけた。



7.エンジン

エンジンは、スズキ(株)製F6A型660cc直列3気筒DOHC12バルブインタークーラー付ターボチャージャエンジンを搭載している。
レスポンスの良いターボの採用により、低回転域から高回転域までフラットなトルクを発生する。燃料室は、ベントルーフ形状で燃焼効率を向上し、高い点火能力と耐久性を発揮する小径12mm白金プラグを採用している。
この他、EPI電子制御式燃料噴射装置やESA電子進角により燃焼を最適に制御している。
吸・排気および冷却系は、AZ-1専用設計としており、特にミッドシップとした事による冷却性能向上のため、密閉式サブタンクを採用して気水分離性を向上させている。
排気系はオールステンレス製として耐久性を向上しつつ軽量化を図っている。サイレンサは、1.3Lクラス車並みの大容量を確保し騒音低減を図っている。



8.シャーシー

サスペンションは、前後共マクファーソン・ストラット方式である。
アンチダイブ、アンチスクウォットジオメトリを採用し効果的にピッチングアクションを抑制している。
また、高減衰力ダンパ、高スプリングレート、大径スタビライザの採用により、ロール剛性を高め、ロックトゥロック2.2回転のステアリングと併せ、優れた操縦安定性とシャープなハンドリングが実現できた。
ステアリングは、ラック&ピニオンを採用し、ギヤボックスをフロントアクスル前方に配置してタイロッドの長さを十分に確保し、ホイールストローク(前後共バンプ側70mm、リバウンド側80mm)に対するトー変化を小さく抑えている。
ステアリングギヤのトータルレシオは12.2と小さく設定し、クイックかつダイレクトな操舵感を与えている。ステアリングホイールは、350mm径のウレタン製3本スポークタイプとしている。
制動装置は、前後共ソリッドディスクブレーキを採用し、6インチバキュームサーボや、理想制動配分が得られるホイールシリンダ径、マスターシリンダ径の選定により、確実で安定した制動力を確保している。
タイヤは、AZ-1専用開発のTOYO  TRAMPIO155/65R13 73Hを全車装着した。
このタイヤは、コーナリングパワーと横剛性を向上させ、5.8kgという軽量のものである。



 



以上p41.42の一部を転載



メータは中央にタコメーターが来るホワイトパネルのスパルタンなものですが、当時のセルボモードのメーターを流用して(パネルのカラーリングが少し異なりますが)います。
開発時は独立メーターとしてデザインされていましたが、コスト削減の為、平井さんに流用を指示されたそうです。

ではこの続きはまた後日になりますね!





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