You could buy it on gas mileage alone.
But there’s so much more.
今回は国内でもマイナーな存在の初代レオーネの対米輸出仕様カタログを御紹介します。
表紙には
維持費が安い/グリップが良い/ハンドリングが優れている/耐久性が高い/前輪駆動 のスバル
とアピールポイントが並んでいます。
左ハンドルに合わせてワイパー位置が逆になり、分厚い5マイルバンパーや前後フェンダーの
サイドマーカー、前輪後方とボンネット左端のエンブレム、右側ミラーレス、グリルに収まった
丸型のポジション/ターンシグナルレンズに国内仕様との差が見られます。
車名はレオーネの名は付かず、ブランド名のSUBARUの後に国内ではグレード名に相当する
「GL」「DL」が続きます。
ボディバリエーションは2ドアクーペと2ドア/4ドアセダン、5ドアワゴンがラインナップされています。
本文冒頭のSleek=なめらか Agile=機敏 まではわかりますが、Spirited=霊的とあります。
どういう意味合いなのかちょっとわかりません。
他のボディがDL(デラックス)グレードなのに対し、クーペはより豪華なGLのみの設定となります。
フロントディスクブレーキ、リヤ熱線、ラジアルタイヤ、タコメーター、時計、トリップメーターなどが
標準装備となりますが、エンジンは全車共通のスペックです。
国内仕様のGSRやRXのようなツインキャブの設定はないので、スポーティなのはディスクブレーキ
とスタイルだけですが、「折り紙つきのパフォーマー」と謳われています。
クーペのみフルウィールキャップではなくスポーティ仕様のセンターキャップです。
こちらは爽やかな「ビスタ ブルー」が印象的なワゴンです。
世界初となる乗用型4WD(レオーネ4WDエステートバン)はまだ登場していない時期と思われます。
グリル内のターンシグナルレンズがクーペの丸型に対し角型となります。
ショックアブソーバー内蔵の前後バンパーが大きく突き出しているのがよくわかります。
ハードワークに耐える、頼もしく、多彩な能力を秘めたワーキング・カーと紹介されています。
ステーション・ワゴンよりもデリバリー・バンとしてアピールされています。
こちらはサッシュレス・ドアが特徴の4ドア・セダンです。
躍動感を表そうとしたのでしょうが、写真がブレて肝心のクルマの外観がよくわからないという
事態に陥っています。
内装は黄色がかったクリームで、ハイバックシートとスティック・シフトが見えます。
ハンサムでスタイリッシュで実用的、とのコピーが躍りますが初代レオーネといえば自動車雑誌に
醜いと言われまくったクルマです。
実際いろんな要素を小さなボディに詰め込みすぎて消化不良を起こしています。
だからこそ魅力的なのですが。
こちらは2ドアセダンです、背景には日本の技術を代表する新幹線が写っています。
並走しているかのような写真ですが、間違いなく追い抜かれますよね。
合成写真ですが、電信柱の「始」はそのままです。
人目を引く、と書かれていますがわりかし平凡なルックスです。
個人的にはクーペよりも2ドアセダンの方がプロポーションが良いと感じます。
車種の紹介を終えて、アピールポイントの解説があります。
1ガロンあたり25マイルの良好な燃費や車輌価格の安さ、メンテナンスが楽であると並び
最後にリセールバリューが高いとありますが、果たして本当なのでしょうか。
当時はまだ一般的ではなかったFWD(Front Wheel Drive)のメリットが解説されています。
日本では「FF」と呼びますが、アメリカでは「FWD」が一般的な呼び方です。
イラストでRWDとの差を明瞭に示し、グリップの良さやハンドリングの優秀性、オン・ザ・レール感覚
をアピールしています。
写真は悪路に佇む4ドアセダンとし、走破性の高さを示しています。
テールレンズがアメリカ法規に準じたオールレッドなのがよくわかるリヤビューです。
アメリカのフリーウェイのように思わせて、屋根に「辰巳倉庫」と書いてあったりする不思議な
合成写真です、カタログ全編に溢れるやっつけ仕事っぷりがたまりません。
ラック&ピニオン ステアリングと全輪独立懸架の図解を示し操舵性の良さ、狭い駐車スペース
での切り返しの容易さや長時間の高速走行に耐えうると謳っています。
夕暮れをバックに疾走する2ドアセダンとベル UH-1”ヒューイ”ヘリコプターです。
フロントフェンダーに「FRONT DRIVE」の文字が確認できます。
ベル UH-1はアメリカのベル・エアクラフトが開発した汎用ヘリコプターであり、日本では
富士重工がライセンス生産を行っていたことから「共演」となったのでしょう。
以前、陸自駐屯地にUH-1が飾られていたので見たことがありますが、機内の銘鈑に「富士重工」
の文字が確かにありました。
本文にはスバルが航空機や列車の製造もおこなっていることが説明され、自動車よりも
はるかに高い耐久性を求められるそれらの製品の為の技術がスバル車にも
生かされている、とアピールしています。
水平対向エンジンの図解も共に掲載され、他形式のエンジンに対するアドバンテージや燃費の
良さ、水冷であることやアルミニウムを多用していることなどが並びます。
日本ではもっぱらフラット4と呼ばれますが、このカタログでは「クワドロゾンタル」と呼称しています。
他にも「ホリゾンタル」や頭文字からH4とも表記されます。
装備品についての解説があります。
5マイルバンパー/ティンテッドガラス/タコ・トリップメーター/時計/リクライニング・ハイバックシート
ナイロンカーペット/AM(!)ラジオ/インターロック・シートベルト/全天候換気システム/ライター
ウィールキャップ/ラジアルタイヤ/フロントディスクブレーキ/リヤヒンジウィンドウ/1年保証
エアーコンディショナー(オプション)/リヤ熱線ガラス/ボディカラー
などが並びます。
ボディカラーはイエロー/グリーン/ブルー/オレンジ/レッドの5系統で、いずれも明るいカラーなのが
国内仕様とは大きく違うところです。
スペック欄にもエコノミーの文字が並び、カタログ全編を通じて繰り返しエコノミーで
あることを強調しています。
オートマティック・トランスミッションの設定がないことが意外に感じます。
背表紙はクーペの車内からカップル(おそらく日本人モデル)を望む写真です。
ハイバックシートはGLクーペのみとなるツートーンカラーが特徴です。
さりげなくサッシュレスドアの開放感をアピールしています。
わかりずらいですが、ステアリング内の上側に手元を照らすインパネ照明が見えます。
レックスにも装備されており、夜間ライトグリーンの間接照明がスイッチ類の操作を助けます。
が、ほのかな光すぎてたいして役に立ちません。
レックスは灯火連動式ですが、レオーネは独立スイッチが付いています。
もともと、レオーネは父親が初代エステートバン(FF・1100スタンダード)を購入、次に
4WDバン・ダブルミッションを購入し、現在のレガシィ・グランドワゴンへと続く
ルーツとなったクルマです。
自分自身はレオーネについての記憶はほとんど無いのですが、いずれ縁があればと願っている
クルマの1台です。
クーペ顔のレオーネ4WDエステートバン・ダブルミッションなんか乗ってみたいですね。