一昨日の日曜日は、2014年12月12日発表・同月22日発売の、
スズキ アルトの試乗をしてきました。
本来であれば、大本命・
ターボRSの発売日である11日を若干過ぎてもいたのですが、まだどこも試乗車はおろか展示車ですら用意されていないようであり、仮にあったとしてもそんな遠いところまでは今は行けない…。
今回お邪魔した、
スズキ新潟販売 スズキアリーナ村上です。
ここへ来るのは二度目。
こちらが試乗車。
グレードは下から二番目のL、駆動方式はFF、変速機はインパネシフトCVTのみ。
外装色はシルキーシルバーメタリック。
レーダーブレーキサポート装備車(ルームミラーの手前にカメラあり)。
乾燥重量は650kg、燃料タンク容量は27L、JC08モード燃費は37km/L(FF一律。4WDは一律33.2km/L)、型式はDBA-HA36S-ABLE【-J】、タイアサイズは145/80R13 75S、標準小売価格は\828,000(消費税8%込み\894,240)。
エンジンは、水冷直列3気筒DOHC「
R06A」。
これは現在スズキの主流であり、ワゴンR&ワゴンRスティングレー、MRワゴン&MRワゴンウィット、スペーシア&スペーシアカスタム、ハスラー、キャリイ、エブリイ&エブリイワゴンと基本的に同じ。
細部の煮詰めだけ個々に合わせて微調整しているそうです。
それにしても、軽い! その分燃費も良い!
以前なら、燃費を稼ぐために燃料タンク容量を小さくするなどの裏技を使っていたものの、姑息だと批判が相次いだからか、それは止めて全車種共通容量となっているようですw
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ワゴンRスティングレー・X・FF(DBA-MH34S・1型)……780kg、28.9km/L
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スペーシアカスタム・TS・4WD(DBA-MK32S。ターボ仕様)……950kg、25.0km/L
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ハスラー・X・4WD(DBA-MR31S-HBXQ《-R》)……850kg、28km/L
軽さだけでなく、ボディ形状もまた燃費に有利に働いているのではないでしょうか。
席巻する箱型トールワゴンではなく、セダン型。よって車高が低く、前後のウィンドウの勾配が強められており、見るからに空力が良さそう。
それと、燃費も勿論大事ですが、それだけ軽ければ、走りの素性にも期待できます。
前席。
ドアは今まで試乗したスズキ軽よりも軽さがあり、閉まる音も「ガシャンッ」という金属音。
コンパクトカー的な重厚感ある質感や音の軽が普及してきた中にあって、新鮮です。
内張りも樹脂剥き出しであり、デザインも質感も素っ気ない。
シートも同様。
僕が座った感じでは若干小さく、申し訳程度の窪みなのでカーブにおけるホールド性はなさそうです。
ヘッドレストが分かれていないのは軽量化のためなのでしょうし、その分多彩なシートアレンジは出来ません。
でもそこは、オールインワンを謳う車ではなく、ひたすら道具に徹した車なのだという主張です。
生地の質感やクッションの弾力は悪くなく、シートヒーターさえあります。
見えにくいけれど大事なところにはちゃんとコストを掛けているであろうことが窺えます。
無印良品の椅子、とでも譬えれば良いでしょうか。
ところで、ステアリングコラム右側に、キーが刺さっているのが見えるでしょうか?
一般的なプッシュボタン式ではなく、古典的なキーシリンダーをひねる方式なのですね!
感動しました*・゜・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜・*
後席。
こちらは前席に比べて、更に輪を掛けて道具感が強いです。
インナードアハンドル・兼・肘掛は申し訳程度であり、ドア内張りにはドリンクホルダーさえありません。
前席バックレストにも、雑誌入れさえありません。
精々が、助手席バックレストに、買い物袋を下げられる格納式フックがある程度。
シートも同様、味気ない。
座面や背面の窪みは一切ない完全な平坦であり、あまつさえヘッドレストさえありません。
分割線がないことからも判るように、左右別々に折り畳めることも出来ません。
五代目ムーヴや
N-WGNのような、左右一体シートスライドすらありません。
明らかに、折り畳みっぱなしにされる、或いは荷物置き場とされることを見越していますね。
軽量化のためと、法人需要を当て込んだ、完全に割り切った造りです。
より上位グレードであればヘッドレストもありますし、自家用車としてはそちらのほうを買って欲しいということでしょうね。
この、媚びないところが、逆に痺れます。
今の軽は贅を尽くしているのが当たり前だけに、却って新鮮です。
アルトとは本来こういう車。より豪華な車・快適な車・お洒落な車・使い勝手の良い車が欲しければ、ワゴンRやスペーシアやラパンなど、選り取り見取りですからね。
逆の見方をすれば、車室内には何もなく、シートも平板なので、その分広く感じるのが、意外ながらも楽しいです。
ダッシュボード、インストゥルメントパネル。
あちこちにこれでもかと収納スペースだらけの車ばかりの中にあって、この簡素さ。
スズキ軽によくある、エアコン吹き出し口の真下に内蔵された、フィンガープッシュ式ドリンクホルダーもありません。
オーディオとシフトレバーの間に、薄い空間がありますが、ここにスマートフォンやCDを置いておけるようです。
前席左右の間にも、ドリンクホルダーがフロアに直に据え付けられています。デザイン性も何もない、単なる箱。
なんて素っ気ないんだ……( ゚Д゚)
スペーシアほどでなくとも良いから、個人的にはもう一工夫欲しかったですね。
せめて足元のセンターコンソールボックスに、開閉可能な蓋を付けるとか。
でもアルトとは本来こういう車でもあるので、悩ましいところ。
それよりも、直線と平面が主体で、飽きの来ないデザインが魅力。掃除も楽そう。
でありながら、よく見ると、表面には金網状の細かいモールドが施されています。プラスチック剥き出しでありながら、質感も低くありません。
86(ハチロク)は、トヨタの「T」と、日本の象徴・富士山を掛け合せたマークを、無数に規則的に配置することで、カーボン風に見立てていました(2月10日のマイナーチェンジで、一般的なカーボン柄に変更)。三代目パンダも、よく見ると「PANDA」を図案化したロゴが無数に散りばめられています。
各社工夫を凝らしていますね。
エンジンルーム。
従来このR06Aエンジンを積んだ車種は、ボンネットが前後に短く縦に高く、その分エンジンも縦に嵩上げしていました。
アルトに積むからにはどうなるのかと思いきや、相当に低くしてきましたね。
空間には余裕があり、これなら整備は楽そう。
何より、セダン型ボディ特有の着座位置の低さとも併せて、重心が低くなるので、走りの素性も良さそう。
只、ボンネットの裏側やエンジンルーム内壁が、塗装されていません。
明らかなコストダウンです。
雪国で乗り回そうものなら、たちどころに錆びてきます。しかも場所が場所だけに、水洗いで落とせそうにもなさそうなのが、難点です。
荷室。
これは後席の背もたれを倒した状態。
前席とは別個の室内灯も、小物入れもありません。
う~ん素っ気ない。
完全なフルフラットにはならず、若干傾斜が付いているのが残念。それとも、VPグレード(バン型ボディ)ではフルフラットになるのでしょうか。
それでは出発。
今回、日曜で晴れていたので店内はごった返しており、従業員の皆さんお忙しそうだったので、単独での試乗です。
まずは、左折で国道7号線に出て、山辺里(さべり)方向へ流れに乗って走らせます。
うん、走り始めは、非力でもっさりしてますね。
しかし一旦流れに乗れば、すいすいと流れるように走ってくれます。力強さというより、ひたすら滑らかに。
今まで試乗した車たちが、軒並み車高や重心の高い車ばかりで、その分ふらふらして心許なかったのですが、アルトは低いので安定していますね。
次に、
日本海東北自動車道の、
村上山辺里インターチェンジから
村上瀬波温泉インターチェンジまでの、無料区間内を走ります。
おおっ、意外に力強い!
ぐんぐん加速していき、しかし変速はCVT故に滑らかで、あっという間に法定速度に。
いえ、同型エンジンによる車種を何台か試乗したことがあるので、分かってはいるつもりでしたが、エコロジーなだけではない走りも楽しめます。
車重が軽いということで、高速走行安定性も正直あまり期待していませんでしたが、その辺も大丈夫。
この日は風は吹いておらず、攻撃的な走りをするでもないのと、何より低車高とデザインのお蔭で空気抵抗も少ないのが功を奏しているようです。
最後は、村上駅前の市街地を走り抜けます。
交差点の直角のカーブを繰り返し曲がりますが、当然ながら軽トールワゴンとは比べ物にならない安定感。
あちらは幾ら重くてどっしりしているとはいっても、車高や重心が高くて立方体デザインだから、実際に運転するとふらふらして横転しそうで怖いんですよね。
対してこちらは、軽い割にはふらふらせず、むしろ車高も重心も着座位置も低いからなのか、意外に安定感があります。
変速も、CVTなので、衝撃はなく滑らかに加減速してくれます。
世界の潮流は
多段式ATですが、日本の道路にはCVTが合っているのでしょうね。
ブレーキも、従来は安全性からか、ペダルに爪先を載せただけでいきなり急制動する、いわゆるカックンブレーキでした。外車や世界戦略車も、軒並みそんなブレーキですね。
それがアルトの場合は、ペダルの“遊び”があって、ちゃんと踏力で加減を微調整できます。
或いは国際標準から外れたガラパゴスなのかも知れませんが、僕にはこの方が自分でコントロールできるので安心しますね。
流石に、アイドリングストップは、始動時のエンジン音が大きいですが、まあこんなところでしょう。
本当はもう少し運転したかったのですが、燃料ランプが点灯したので、切り上げてディーラーへ戻ります。
軽いボディ、エコロジー寄りのエンジン特性。その割には、中々よく走り、思いの外安定感もあるようです。
これはターボRSにも期待が持てようというものです。
お店のスチールラックには、塗装見本のミニチュアカーが並んでいますが、カフェレーサーみたいなオプションデカールもあるのが楽しい。
N-ONEにも相通じます。
最後はカタログを貰っていきます。
当然ながらターボRSと、ハスラー・Jスタイルと、スペーシアカスタム・XSリミテッドも。
(因みに、営業の方、ターボRSを終始「ワークス」「ワークス」と呼んでいた…。仲間だ!w)
特製グッズとして、プルバック走行式ミニチュアカー(設定色全てが選べますが、僕が選んだのはイメージカラーでもある赤黒ツートーン)だけでなく、メガネガーニッシュを象ったキーホルダーまであります。
これは面白い…。
メガネガーニッシュは、アルトのチャームポイントであり、デザイン上でのアピールポイント。これは別体であり、オプションで好きな色を選べます。
CMキャラクターのベッキーにも眼鏡を掛けさせて、強調しています。
そこへきて、ディーラーグッズにまでとは…。
眼鏡屋さんが社用車として使うと、洒落が利いていて面白そうです。
或いは、メガネっ娘キャラクター仕様の痛車にするとかw
今の時代は、軽でも至れり尽くせりが当たり前となった。
そんな中にあって、軽とは本来こういうものだという主張を感じます。
ひたすらシンプルで、余計なものは何もなく、質素で、素っ気なく、そして安い。
でありながら、メガネガーニッシュなどの遊び心があり、セルボやフロンテなど往年のスズキ軽の名車へのオマージュも込められている。
より快適志向・豪華志向・高級志向であるワゴンRが主流であり、スペーシアもある。
スズキでさえそんなラインナップなので、実用本位なアルトは、或いはそれほど売れないかも知れません。
しかし、どんなに時代が変わっても、軽の本分を見失わず、基本に忠実で、初代から車名もコンセプトも一貫しているのは、称賛に値します。
閑話休題1。
この後
村上プラザへ立ち寄り、昼食にします。
周辺にはガストやマクドナルドやすき家やかっぱ寿司など有名チェーン店がありますが、どこで食べても同じものよりも、ここでしか食べられないものを食べたいですよね。
地域振興です(^ω^)
1階フードコートにある
さくら寿司で、焼きそばを食べます。
この日は日曜日で、小春日和の暖かさで、かなり混んでいました。
フードコートにあるテナントの一つ・
サンテオレ村上店が、この日限りで閉店とのこと。
食事時にここに来ると、決まってお祭りコンボとチーズドッグを食べるのが、習慣みたいになってたのになあ…。
閉店セールということで、全品一割引きで、アイスも安くなっていました。
なので最後のお祭りコンボ(カップ下に入った飲み物は、この日は山ぶどうソーダにします)と、アイスクリームをダブルで(アーモンドクランチ、フローズンヨーグルトストロベリー)。
今まで有難う。・゚・(ノД`)・゚・。
閑話休題2。
新潟の雪の少なさの秘密。
融雪剤を、こ れ で も か とばら撒いているからなのですね。
晴れているから、道路が真っ白になっているのが、嫌と言うほど判ります。
雪がないのは良いけれど、視界に入るだけで気が滅入ってしまう、諸刃の剣ですねえ…。
未だにLaevateinnを“レーギャルンの匣”(車庫)から出せないので、父から白石みのりを借りたのですが、帰宅したら軽く水洗いしなければなりません。
特に足回りとシャシは入念に。でないと融雪剤で一瞬で錆びちゃいますからね。
防錆処理だのシャシーブラックだの、過信してはなりません。
仮に自動車通勤する必要に迫られたとして、これがあるのが面倒臭いのですよねえ。
今年は暖冬で、この日は午前中のみ休日で、しかも晴れていたからまだしも、これを毎日しなければならないとなると…。
そして地元の冬は、普通に雪が降るのではなく、地吹雪の日のほうが遥かに多い。
そして、自動車通勤するからには、帰宅時間だけを見ても、早くとも10時や11時などの深夜にならざるを得ないわけで…。
かと言って、現地にアパートを借りるというのも、現実的でない。
それが今最も悩みの種ですね~。