TRY・BOX , ジュラコン ピストンスライダー (62.9mm)
最初は日平とかの汎用ピストンコンプレッサーを使うつもりでしたが、オーバーホールの準備過程で 「ピストンスライダーなる工具があるよ」 と教えていただき、いろいろと調べてみますと新車の生産工場では挿入ミスもなく、しかも素早くピストンをシリンダーに挿入するために専用工具を使っていることを知り、我が車のオーバーホールでもこれを使おうということで、こちらの品を用意。
最初はダイハツのKFシリンダー専用のSST 「 品番 09205-B6010 ピストンインサーターツール 」 という3000円ほどで入手できるダイハツ純正部品を注文しようとしたが、これは完全な受注生産で、しかも納期が3ヶ月ほどということで作業に間に合わず今回は断念。違う物を探すことに。
スズキの64mm径のものとか、興和精機からでているホンダ車の専用品
( 60mm,64mm,73mm,81mm,87mm )
https://www.kowa-seiki.co.jp/product/prod-02/1213/
などは見つけたものの、ダイハツ車に対応した物は見つけられずあきらめかけたのだが、下記のところで別注扱いで作ってくれるとの事だったので頼んでみることに。
元々はオーバーサイズピストンのために製作しているとの事でしたが、別に純正の新品シリンダーに純正の新品ピストンの挿入に使ってもいいはずで、修理書に記載の新品のピストンサイズとシリンダー内径を伝えて造っていただきました。
《今回製作をお願いした所》
TRY・BOX ジュラコン ピストンスライダー
http://www.trybox.net/product_price/data/17/86
ちなみにKF-VE,KF-DETの新品ピストンのスカート部分の外径は62.960~62.972mm、新品シリンダーの内径は63.000~63.012mmだそうです。
よってピストンクリアランスは0.028~0.052mmとなりますが、修理書によると使用限度は0.100mm=つまり100μだそうで、この許容限界値の100μという数値は、聞くところによると新品同士のクリアランス値の公差も、使用限度値も甘々な基準のようです。
そこでホンダの軽自動車の基準も調べてみましたが、ダイハツの2倍ぐらい厳しい基準のようでした。ここらあたりのダイハツの甘い製造公差が、燃費を重視しすぎた緩いピストンリングの張力とともに、ダイハツの初期KFエンジンで多発した腰下の不具合の元となったのかもしれませんね。
甘い製造公差基準ですが、初めてのアルミブロックのエンジンで、製造時の歩留まりを極力減らすのが目的だったのかもしれませんが、相次ぐ腰下トラブル多発で結局大きな代償を払い、費用的にも高くついたものと思われます。
こういったことを考慮し、今回我が車ではまだ使えそうなシリンダーを放棄し、腰下だけは新品シリンダーと新品ピストンの組み合わせにすることにしました。ただ問題がなければクランクシャフトのみは再利用します
→ 結果的にはクランクシャフトの再利用は失敗で、メタルクリアランス値は限度値までまだまだ余裕がありましたが、アイドリング音が減少しなかった大きな原因に。簡単に交換できないことと、他はすべて新品部品で組みましたので、ケチらず新品にしておくべきでした。
ということで、使い倒したシリンダーやピストンなども再利用されているであろうリビルトエンジンでは、シリンダーの摩耗が予想以上に大きいことも考えられ、けっこう危なっかしいのかもしれませんね。リビルト会社を批判するわけではないが、エンジン内部は開けてみないとまず確認できないので、実際これはネットで調べても、リビルトエンジンの腰下での不具合事例をいくつも見ました。
販売台数に対してKFエンジンのオーバーホールが意外と少ないのはこの理由によるのかもしれません。ディーラーでは工賃が安く済むショートブロックでの腰下新品交換が多いようです。
実際当方に来た新品のシリンダー単体の部品は約1年前に造られたものが来まして、保管状態も悪いのかすでにわずかにサビも発生していましてビックリでしたよ。
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製作してもらったジュラコンスライダーの上面。下面よりも口が広くなっています。途中で折り目があります。
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ジュラコンスライダーの底辺部分。分厚くなっていてわずかにシリンダー径より狭くなっています。
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素材は樹脂? らしくて重さは軽くて60gほどで、錆びないしシリンダー上面も傷つけることもありません。
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ピストンキット3本、これをシリンダーに挿入しますが、失敗するとピストンリングが割れるそうです。
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こちらは演技で、コンロットボルトにはビニールチューブを、あとハーネステープも貼付けシリンダーを保護。
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これも演技ですが、本番ではエンジンオイルを各部にもれなく塗布してからシリンダーに組み込みます。
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我が車に適合した新品シリンダーですが、すでに10年も経ているので、内部がかなり変更になっていました。
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こちらも演技ですが、本来ならエンジンオイルをスライダーにも垂らして滑らして挿入するのだそうです。
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こちらも横からの演技撮影。整備の失敗に備えてこれまでのシリンダーとピストンも捨てずに保管します。
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