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2014年02月05日

「SKYACTIV-DRIVEの課題」に関する補足

「SKYACTIV-DRIVEの課題」に関する補足 先日「SKYACTIV-DRIVEの課題」と題したブログを書いたら、なんと久々に投稿日の内にアクセスが1,200超(*_*)。イイね♪も60以上付いて、知見に富む方々からもコメントを頂くに至りました。
そのコメントのやり取りをするにつけ、ちょっと嫌な予感がしたので慌てて補足(汗)。

SKYACTIV-DRIVEは確かに従来のトランスミッションの常識に照らすとギヤ比が特異ですが、そこだけに着目して「設計がおかしい」とか「構造的な制約」といった憶測を生むのは、ボクとしては本意ではありません(^_^;)。

なぜそういった特異なギヤ比設計となっているのか?ボクの知る限りの情報を組み合わせて説明しますが、一部憶測も含まれます。そして最後に、前回のブログを書いた意図についても補足したいと思います。

先ず、マツダのSKYACTIVは「従来の常識に捉われず、クルマ全体を一から見直す」取り組みであることを改めて明記しておきます。


この表はマツダがSKYACTIV-DRIVEを開発するにあたりトルコンATをベースに理想のトランスミッションを目指したと説明した際に使ったものです。その実現に向けたアプローチはロックアップ領域の大幅な拡大であり、具体的な手法として「小型トーラス内蔵フルレンジロックアップクラッチ」を新たに開発したのですが、もうひとつの特徴的なアプローチに1速ギヤのローレシオ化があります。ロックアップクラッチの容量を増やす一方でトルコンを小型化し、早期(7km/h程度)にロックアップするためのアイディアですが、マツダの技術者は「VWのDSG(DCT)にヒントを得た」とコメントしていました。

確かに従来のトルコンATは、トルコンの滑りが利用できるために1速のギヤ比はMTに比べてハイレシオでした。トルコンを使いながら1速がMTよりも低いというのは真に従来の常識を覆す手法ですが、実際このお陰で一瞬のクリープの後にはロックアップされ、以後はダイレクトな駆動が可能となっています。

しかし6速という限られたギヤ段数において1速のギヤ比を下げてしまうと、トップギヤを十分なハイレシオにしてしまえば各ギヤのステップ比がワイドになってしまいます。ステップ比を詰めればトップギヤのレシオが低過ぎるという問題になります。

一方、高圧縮ガソリン/低圧縮ディーゼルのSKYACTIVエンジンは低中速のトルクを強化することによってダウンスピーディングを実現する(低回転を使う)ことが高効率化の柱です。

ここからはボクの憶測ですが、この「強力な低中速トルクを活かして出来るだけ低回転を常用させたい」エンジン開発部門と、ロックアップ領域を格段に広げるために1速をローレシオ化したトランスミッション開発部門との間で、マツダはどうブレークスルーするか随分悩んだと思います。

勿論、多段化というのは有効な解決策のひとつです。しかし生産性やコスト、ミッションのサイズや重量等を総合的に勘案すると、小型軽量な6速の優位性は捨てがたかった。この点は先日のブログでも紹介している記事でのマツダ技術者のコメント(2010年当時)があります。

DCTなどでは7速や8速も珍しくなくなっている。ステップATで6速というのはどうなの?
 素朴な疑問に対する答えは、6速ではプラネタリーギアが3、クラッチが2、ブレーキが3のところを、7~8速だとそれぞれを増やす必要があり、長く大きくなることから横置きFF用としては重量増も含め、今のところこれ以上の多段化は考えられない、とのこと。


結局SKYACTIV-DRIVEは6速で市販されましたが、ボクの勝手な想像では、この6速化の背中を押したのは、実はマツダのエンジン屋ではなかったのか?発進ギヤの1速を下げ、それに引っ張られて加速ギヤの2速、3速もある程度クロスして下げざるを得ない。一方で巡航ギヤの6速は上げたい。5速も同様。結果として3速と5速の中間に4速を置くと、その守備範囲の広さが懸念材料になる。

「大丈夫。SKYACTIVエンジンなら、そのギヤ比でも十分に性能が出せる。6速で行こう!」

つまり、SKYACTIV-G/SKYACTIV-Dの性能(強力な中低速トルク)があってこそ、7速化に踏み切らずに済んだのではないか?ということです。

では実際に市販されたSKYACTIVの性能はどうなのか?その特異なギヤ比のSKYACTIV-DRIVEにも関わらず、です。

以下はe燃費サイトの2014年2月10日時点の車種別(ミッション別が分る)ランキングです。

先ずは2000ccクラス。

1位のアクセラHEVはCVTですが、SKYACTIV-DRIVEのBLアクセラのセダン、スポーツ、BMアクセラ、GJアテンザが8位~11位まで並んでいます。「なんだ、大したことないじゃん」と思う人は7位から上位のクルマを良く見て下さい。

次に2001~2499ccクラス。

ここはマツダのSKYACTIV-Dが文字通り席巻しています。

そして2500ccクラス。


どうですか?SKYACTIV-DRIVE搭載モデルの燃費性能は間違い無くクラストップレベルです。

「でも、やっぱりハイブリッドには敵わない」と貴方が思うのであれば、あえてボクはこう言いましょう。

他社は、ハイブリッドを投入しなければ燃費でSKYACTIVには敵わないんです。(-_-)v

2000ccクラスでSKYACTIV-Gより燃費が良いのはハイブリッドとクリーンディーゼルだけ。
2001~2499ccクラスでもSKYACTIV-Dに対抗出来るのはハイブリッドのみ。
2500ccクラスでも、SKYACTIV-Gがトヨタのハイブリッドに次いで3位です。

これらの事実から、SKYACTIV-DRIVEのギヤ比は確かに従来の常識に照らせば特異かもしれませんが、1台のクルマとしてまとまったSKYACTIVの性能は文句なしにトップクラスであり、これはSKYACTIVという全体最適を求めたクルマ造りの成果なんです。


じゃぁなんで前回、あんな誤解を招きかねないブログを書いたのか?(^_^;)>ポリポリ

それはひとえに、SKYACTIVのオーナーとして更にマツダ車の性能やブランドイメージを高めるための改善ポイントを指摘したかっただけなんですね。

要は「ここがダメ」ではなくて「ここをなんとかすればもっと良くなるんでない?」という話。

それがコメントを見るとどーも「ダメ出し」したように受け止められたようで、ここは反省点ですね(^_^;)。

勿論、SKYACTIV-DRIVEがなぜ6速止まりだったのかは紹介した記事で知っていましたし、性能的には問題無いことは自身で確認も証明もしていますから、マツダが2010年に発信していた通りにこれ以上の多段化を考えていないのであれば、ボクはそれを支持するつもりでした。ところがモーターファン別冊の「アテンザのすべて」で”無理なく7速化が可能な設計になっている”なんて記者が暴露しちゃったもんだから、こっちも方針転換です(笑)。

6速しかないが故にギヤ比が特異なこと、100rpm差で燃費が逆転する現象、アテンザのマイナーチェンジで最終減速比を弄ったこと、BMアクセラも同じ最終減速比にしたこと、それが何を意図したものなのか、ボクは大方、アタリは付いてるんですね。

そこに課題認識があるならば、今は最終減速比しか弄れなくても7速化は喫緊の課題だろうと。

まぁクルマに文句を言う人は数多く居れど、メーカーとしては聞く価値の無い意見なのか、耳を傾けるべき重要な意見か、それはやはり物申す人次第だと思うんですね。


ボクのブログにこうして書いている意見がマツダにどう受け止められているかは勿論、判りませんけれど、少なくともi-DMがほとんど5.0点しか出さないドライバーがどの程度の腕前かは、マツダが一番良く解ってるでしょうし、技術的な話もそう妙チキリンなことは書いていないつもり(^_^;)。
ブログ一覧 | SKYACTIV | クルマ
Posted at 2014/02/11 02:50:31

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この記事へのコメント

2014年2月11日 7:02
SKYACTIV-DRIVEのお話、とても面白かったです〜!
勉強不足で話について行くのがやっとでしたが、補足のお陰で理解が深まりました(笑)

僕はDSGからの乗り換えで、SKYACTIV-DRIVEは良いミッションだなぁ、、と体では体感していたものの言葉では説明出来ない。。

それを図を用いずに文章だけで説明した上に、更なる改良の余地まで言及されているタッチさんはやはりただ者ではないです。。

同時に理想のクルマ作りの追求がSKYACTIV-DRIVEからも伺え、SKYACTIVがただ者ではない事も更に実感しました!

BMWの8ATが羨ましいと言ったのが、今になってちょっとハズカシ〜くなってきましたよ(爆)
コメントへの返答
2014年2月11日 20:48
お勉強になりましか?(笑)

SKYACTIV-DRIVEは良く出来ていますょ。
掲載した燃費記録にもハッキリと、SKYACTIVの実力が表れています。
ただ、ボクが指摘した点に手が入れば、実力は更に上に行くハズ。まだ伸び代があると思っています。

もし前回のブログを読んで「ギヤ比が変だから燃費がイマイチ伸びないんだ」とか言い訳する人が出たらイヤだなって思ったんで補足しました。実際ボクの平均燃費は14km/Lを超えてますし、現状のままでもクラウン・ハイブリッドに後一歩です^^;

クルマに文句を言う前に、クルマの実力を引き出すべく腕を磨くのが先でしょう。i-DMだって付いてるんですから(笑)。
2014年2月11日 8:19
↑にコメントされてるMOTOR_MANさん同様、2回に渡るSKYACTIV-DRIVEのブログ、とても勉強になりました。
タッチさんがブログで書かれていた改善点を、MAZDAが真摯に受けとり、それを反映したSKYACTIV-DRIVEが世に出されるのも、じつはそんなに遠くない未来じゃないような気がします(^^)v
なにせ、i-DMを知りつくした方が語っている事なので☆
コメントへの返答
2014年2月11日 21:03
お勉強になったようですね^^;

別にボクはi-DMを知り尽くしているんじゃなくて、クルマの実力を引き出す運転を追及しているだけ。i-DMは運転評価システムだから、今のボクの運転に、単に客観的に点数を付けているだけです。何も特別な事はありません(^^;)。
強いて言えば、マツダがマツダ車を「こんな風に走らせて欲しい」という期待通りに走らせれば、i-DMは高スコアを出してくれます。
ということで、i-DMを知り尽くしているというよりは、マツダ車をもっともマツダ車らしく走らせる術を知っているという方が当たってると思います(^-^)。
2014年2月11日 18:12
長文のブログ連投お疲れ様です。もしやマツダから社外顧問に向けて「もうちょっと上手い感じに取り成してよ」と泣きが入りました?(笑)
今回私が注目したのは、アテンザMTがずば抜けて実燃費に優れている点。走行条件が各々異なるとは言え、ドライバがギアを選択するゆえに、まさに美味しいところを使って走ったときの実力と言うことではないでしょうか?
タッチさんも、この差を見て、+100rpmを思いついたのではないかと思ってしまいました。
コメントへの返答
2014年2月11日 21:12
泣きを入れられたことは一度も無いので、まだまだツッコミが足りないのかもしれませんね(苦笑)。もっと辛口の方が良いかしら?(爆)

ボクが100rpmの燃費逆転現象に気付いたのはブログを書いた時期の通りで2012年2月です。MTのアテンザどころか、CX-5のXDすら市場に出る直前ですょ(苦笑)。
XDのAT車がMT程に「美味しい回転域」を使えない理由は、NVHの問題があると聞きました。アテンザのMTが出たときに、JC08の値にやけに差が大きいのが気になったのですが、どうも1200rpm前後を積極的に使えず、回転数がどうしても高めになる理由はワイドなギヤ比もそうですが、スナッチとかバイブレーションが出ちゃうらしい(^^;)。

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