上官殿!
先日の報告では「
映画 ゆるキャン△」の聖地巡礼として
愛知県(名古屋・一宮)と静岡県(浜松)、山梨県(甲府・富士川)に侵入し、大日本帝国各地の偵察部隊をもってしても特定出来ていない場所を複数特定致しました!!
ところがワタクシ二等兵、それだけで偵察活動は終わらせません!
(上官殿)どういう事だ?
静岡の浜松での偵察活動を終え、山梨に向かう間に「
酷道」での走破訓練も行って参りました!! (`Д´)ゞ ビシッ!
では上官殿への報告の前に、「
酷道」について整理しましょう。
まず一般的に「国道」というと・・・・・・
・ 主要都市間を結ぶ幹線道路
・ 交通量が多い
・ トラックも多い
・ 市街地の沿道では、店や商業施設が立ち並ぶ
・ 例え山間部であっても道幅や路面状態は良好で、通行には何の問題もない
つまり、適切に整備されていて利便性の高い都市間道路というイメージだと思われます。
そもそも国道は、道路法に基づき国が政令で指定するもの。
まさに、国が管理している道路です。
しかし中には「ここホントに国道!?」と疑いたくなるような道も存在しており、それらをマニアは「
酷道」と呼んでいます。
皆さまは、日本全国で販売されている道路地図に「
あまりの崩落の激しさに日本のトンネル技術が敗退」と書かれていた場所があるのをご存じでしょうか?
ついこの間の2017年まで、しっかりと赤枠に赤文字で記載されていた場所。
それが、静岡県と長野県の県境にある「
青崩峠(あおくずれとうげ)」
この峠には「
国道152号」が地図上では通っているのですが、実際は過去一度も峠まで車が通れたことのない、未開通の国道となっています。
しかも国道152号は、100番台とかなり初期に国道指定された路線にも関わらず、このように道が途中で無くなっている所がもう一ヶ所ある。
加えてその分断されている箇所は、現在どころか未来永劫、国道を通す予定すらない。
更に言うと、国道すらマトモに通っていないこの地域に、70年以上前から高速道路が計画されていました。それも2本!
今回はそんな色々な意味でネタがたくさんある「
国道(酷道)152号」について報告を致します!!
国道152号は、長野県上田市を起点として、八ヶ岳や南アルプスの山間部を縦断。
天竜川や支流の水窪川に沿って南下し静岡県浜松市に至る、総延長269kmにも及ぶ長大国道ですが、地図で見ると途中に大きな街も無いルートを通っています。
がこの道、かつては日本屈指の幹線道路として賑わいを見せていました。
その道路の名前は「
秋葉街道(通称:塩の道)」
我々人間が生きるために必要な塩が、内陸の長野では当時取れなかったため、秋葉街道を通って大量の塩が運び入れられると共に、多くの人が行き来していました。
この道は太平洋と内陸の長野県を結ぶ、超重要な道だったのです。
その歴史は古く、一番有名な話だと戦国時代の武田信玄が挙げられます。
信玄はこの秋葉街道を通って京都を目指し、三方ヶ原の戦いで徳川・織田連合軍を破ったと言われています。
《
浜松駅 近郊》
浜松駅を出発して国道152号を西へ進む。
市街地では片側3車線あり、この国道を北へ辿ると道が無くなって行き止まりになる事など、誰も想像出来ないであろう。
国道257号と交差する連尺交差点を右折し、浜北方面へ。
《
浜松市天竜区船明》
北上するにつれて、車線は片側3車線から2車線、そして対面通行へと変化していくが、道幅・路面状態ともに良好。
走りにくさは全く感じない。
《
船明トンネル手前》
船明ダム東交差点を過ぎ天竜川沿いをしばらく走ると、トンネル手前で
静岡県道360号と分岐。
左斜め前方の県道360号に進むと「
月」に行けます。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
説明不足ですね、ちょっと寄り道。
この通り、3km進めば「
月」に行けます。
もちろん「
月」というのは、この先にある地名です。
国道152号に戻りましょう。
《
秋葉ダム》
タイミング良く派手に放水している所だったので、乙三三式車両改と一緒にパチリ。しばし放水の様子を鑑賞、じゃない偵察。
《
浜松市天竜区龍山町》
再び北上。
この日は終日晴れていましたが、山間部は激しい雨が降った模様。
降雨後に急速に天気が回復したことで、なかなか幻想的な光景で楽しませてくれます。
《
浜松市天竜区佐久間町》
橋をいくつか越え、道に沿って走る川が天竜川から水窪川に変わると、ついにセンターラインが無くなります。
一時は片側3車線の隆盛を誇った国道152号であるが、ようやくと言うかとうとうと言うか、訪れてしまった狭路区間の始まりである。
水窪川に忠実に沿いながら狭路を走っていると、JR飯田線のガード下を通過します。
道幅は見ての通り、エクストレイルとコンパクトカーがすれ違うのも困難な1.0~1.5車線程度。
この狭路を大型ダンプカーが頻繁に行き来しており、常に対向車の接近に注意を払う必要がある。
《
浜松市天竜区水窪町》
山の中をひたすら走り続けるのだが、所々に集落があり、寂しさを感じる事は無い。
画像は旧水窪町の中心部。山間部のわりに多くの家屋が立ち並んでいます。
しかし集落を抜ければ、再び狭路。
狭路ではあるが、アチコチで道路拡張や橋を架ける工事をしている。
ダンプカーなどの大型車が狭い道を行き来しているのは、これが理由です。
浜松市側最後の集落となる池島で、青崩林道との交差点に至る。
カーナビでもスマホでもこの辺りは国道152号のはずなのだが、案内標識からはいつの間にか国道表示が無くなっている。
直進して「飯田 三遠南信道」方面へ。
これまでの狭路に比べてやけに整備されているのは、かつて「
三遠南信自動車道」として建設されたため。
つまり、高規格道路を作ろうとしていたためです。
“かつて”という表現の意味するところは、当初はこれから向かう「
兵越峠」直下にトンネルを通す予定でしたが、その地盤が軟弱なため2008年にルート変更。
この場所にはインターを作ろうとしていたため、今は使われていない合流車線も残ったままです。(画像右側)
一般道には無い、キロポスト表示も寂しく佇む。
しばらく走ると、正面と左前方にトンネルが見えて来ます。
正面が現道の「
草木トンネル」
左前方が現在トンネル掘削中で、後の三遠南信自動車として機能する予定の「
青崩トンネル」
現道の草木トンネルに入る。
全長1,311mの長大トンネルは、内部で緩やかにS字にカーブしているものの造りが高規格道路だけに、ハイスピードで走り抜けられます。
トンネルを抜けて500m程進むと、水窪ダムに至る道と交差します。
この交差点が静岡県側の国道端点。
一時は片側3車線の隆盛を誇った国道152号であるが、その終わりは何の表示も無く、突然やって来ます。
なお、ここから北は兵越林道です。
《
兵越林道》
分断された向こう側、長野県側の国道152号へ向かうための迂回ルートです。
しかしこの林道。
交通量は極少の迂回ルートにも関わらず、驚くほど整備されている。
路面状態も良く、ガードレールの設置率も高い。
「
国道418号(2021年訪問)」や
「
国道471号(2020年訪問)」といった
日本指折りの”酷道”を、走りやすさで遥かに凌ぐ。
国道、何やってんだ・・・
《
兵越峠》
静岡・長野の県境。
「青崩峠 遊歩道入口」という案内も見えますが、峠までは結構距離があります。
長野県側も道路状況自体はそれ程変わらないが、整備状況に若干の差が。
路面の段差や穴などが多く、静岡側では全く見られなかった落石もチラホラ。
《
飯田市南信濃八重河内》
兵越峠からしばらく下ると、柿平集落に入る。
この集落を抜けると、長野県側の国道152号と交差することになります。
兵越林道との交差する地点が国道152号の長野県側端点ではなく、さらに3.5km程南に行った地点が端点です。
しかし現時点ではご覧の通り、崩落により通行止規制が敷かれており、辿り着く事はできない。
ちなみにこの地には、3年前に一度訪れています。(下の画像)
ですがご覧の通り、3年間で何一つ状況に変化はなく、崩落箇所を補修・通行止規制を解除するつもりは無さそうです。
前編は一旦これまでとさせていただきます!
なお後編では、なぜこれ程までにこの地域の工事が進んでいないのか。
そして国道152号の、もうひとつの分断区間について報告を致します!!
(後編につづく)