おはようございます。
やっとF1の開幕前テストが始まりましたね(前半終了)。
まず見た目ですが賛否両論あると思いますが私はかっこいいと思いました。
一時期
こんなヤツや↓↓↓
こんなヤツ↓↓↓
が出てきたときは「F1終わった」と思い見なくなりましたもん。
1番ショックだったのは発表時に布をめくったドライバーでしょうね❗️
「ダサッ」「かっこ悪すぎてやろ〜」と絶対思ったはずです。
今のドライバーさんはその点については恵まれていると思います😆👌
ところで今回のテストで我々一般人には聞きなれない『ポーポイズ現象』という単語が出てきましたね❗️
ポーポイズ現象の動画はこちら❗️
この動画を見てFBで『7 Post Rig (Team Le Mans)』さんがずいぶん前にこの件について上げてあったのを思い出したので使わせてもらいます。
おそらくレーシングチームの方だと思いますがすばらしい説明をされていて私みたいな頭が悪い人間にも分かりやすい単語や表現をして下さってます。
FBでは公開されており誰でも見れるようになっているので勝手ながら共有させてもらいます(URLの貼り方が分かりませんのでコピペさせていただきます)。
もし何か問題があるようでしたらご連絡ください。
すぐに削除いたします。
また『7 Post Rig (Team Le Mans)』さん非常に勉強になります(少し難しいですが😅)ので興味がある方はぜひ覗いてみてください。
<39. エアロバウンシング、ポーポジング (1)>
ダウンフォース、ライドハイト、エアロマップ、バウンシング
ツーリングカーでもダウンフォースの大きいGT500やDTM、それにWECのLMPカーなどのレースで車両が直線でフロントが激しく上下に振動してるのを見たことがないでしょうか?
直線の後半ぐらいに差し掛かると突然フロントがバタバタと上下し始めて1コーナーのブレーキングまで続いています、なんでしょうあれ?
あれはエアロバウンシングとかポーポジングとか言われるものです。
なぜ起きるのかきちんと説明しているものがないし、エアロダイナミストと呼ばれる人でも良くわかってない人がいたので説明しておきます。
前回使用したエアロマップですがあそこに表示した範囲の外に車高が行ってしまったらどうなるでしょう?
大体は同じ傾向で延長していけばいいんですがフロントが低い方向へ行くときは例外です。
フロントが低くなっていくと車両前端のスポイラーはもっと低くなってあるところまで行くと空気がスポイラーの下へ流れなくなってしまうからです。
現代のエアロカーはダウンフォースの大部分をフロアの下を流れる空気の圧力で出しています、正確にはフロア下の圧力が低くなって車両上下面の圧力差で車両を地面に押し付けているのがフロアでのダウンフォースです。
狭いところを空気が流れると流速が早くなって、流速が早くなると圧力が下がる、圧力が下がるとダウンフォースが大きくなる、これがフロントの車高が低くて隙間が狭いほうがダウンフォースが大きくなる理屈ですね。
なので世のレースエンジニアたちはとにかく車高を下げて走らせようとするわけです、どれだけ車高を下げれるか勝負でばねをすごく固くしてみたりばね特性をすごくプログレッシブにしたりしてダウンフォースによる車高変化を小さくして静止時の車高(イニシャル車高)を低くしようとするわけです。
そしてやりすぎるとフロント車高が下がりすぎてスポイラーが地面に擦れて削れちゃったり、上に書いたように空気が入ってこなくなっちゃったりします。
空気が流れなくなるとどうなるでしょう? 空気の流れを使ってダウンフォースを出していたのですから空気が流れなくなると途端にダウンフォースがなくなっちゃいます、車高が下がるほどダウンフォースが大きくなっていったのにあるところでストンと落ちてしまうのです。
エアロマップにすると図のようにだんだん赤くなっていったのに急に青に戻っています、3Dで描くと崖のようになります、ここがフロントスポイラーに空気が流れる限界ということです。
みんなこれがエアロバウンシングの原因だと言います、スポイラーが下がって空気が流れなくなってダウンフォースがなくなり車高が上がりまた空気が流れて車高が下がると。
まあこれもバウンシングの大事な理由の一つですがこのエアロマップを使ってライドハイトのシミュレーションをしてもバンスしません。
そもそも崖のふちにきてダウンフォースが下がり始めると車高がすぐ上がり始めるので崖の下のダウンフォースが抜けちゃう状態に入り込みません、崖のふちにとどまる感じです。
そりゃシミュレーションは路面からの入力がない鏡のような所を走っているからだろうということで路面入力を入れてみます、バンプを1つ入力しました、だいたいエアロバウンシングっていつも同じ場所から始まるのでそこに小さいバンプがあるからだろうと思われるからです。
すると確かにバンプ乗り越しでスポイラー高さが限界高さより下がって一瞬バウンスしますが続きません。
これまでに見たエアロバウンシングの説明はここまででその通りにシミュレーションしてもバウンシングは起きません、星飛馬の消える魔球のようにもう一つ理由があるのです。
<39. エアロバウンシング、ポーポジング (2)>
ダウンフォース、ライドハイト、エアロマップ、バウンシング
ではバウンシングを継続させている理由を探っていきます。
やはり実際に起きていることを知らないといけない、ということでスポイラー下面の圧力を直接測ってみることにしました、なかなかそんな計測をやる気になる、できるレース会社はありません、貴重なデータが取れました。
スポイラー下面に小さな穴をあけてそこへ圧力センサーを取り付け、走行してデータを記録します。
もちろんスポイラー部にレーザーの車高センサーも埋め込んで車高も測定します。
そうすると面白いことが分かったのです。
スポイラー下の気流が通常の状態ではスポイラー車高と圧力の間に一定の関係がありその線上をデータは行き来しています。
グラフを見てくださいここでは簡略化して直線で書いてありますがこの線上を行ったり来たりするのが通常の状態です、圧力は負圧なのでグラフを見やすくするために負圧が高いほうを上に持って行っています。
車高が下がると負圧が高くなる、そしてダウンフォースが増える、前回の説明の通りです。
そして車高が下がりすぎると(Z点)負圧がストンと落ちます、空気が流れなくなったからですがZ点でとどまるのではなく負圧は落ちてしまいます。
次にバウンスが始まると空気が流れなくなる点(Z)から落ち込んだり通常域の直線に戻ってきたりするかと思いきやそうでもありませんでした。
バウンス中には圧力と車高の関係は図のように3角の形でぐるぐる回っていました。
XとYの関係が直線から丸くなるということは測定データの変化に遅れがあることを示しています、つまりはここでは圧力の変化が車高の変化に対して遅れを伴っているということです、圧力が変位に対して位相遅れがあるとも言いますね。
どいうことかといいますと、図のA,B,C,D を見てください、まずAで空気が流れなくなります、ダウンフォースが激減するので車高が上がっていきます、ここで負圧がすぐ回復すれば車高はすぐ落ち着くのですが一度失った気流、下がった負圧がなかなか回復しないとその間に車高はどんどん上がって行ってしまいます(B)。
ようやく気流が戻り負圧が回復すると(C)上がりすぎてた車高がどんどん下がっていきます(D)、そうするとまた空気の流れないAの状態に戻ってしまいABCDをぐるぐる回る、つまりはバウンシングを繰り返すのです。
一度止まった気流がすき間が広がったからっていってすぐにすぐに元通り流れるわけじゃなくて回復するのに時間がかかる、これが消える魔球の残りの3割です。
スポイラー下に空気が流れなくなると空気は一旦よそへ流れてしまいます、それをまたスポイラー下へ流れの向きを変えるのですから遅れがあるのは考えてみれば当然ですが測定するまでは思いつきませんでした。
確認のためシミュレーションのダウンフォースの計算に時間遅れ、1次遅れの時定数って言ったほうが専門的でかっこよいですね、を入れると見事にバウンスを始めました。
そもそもこれはシミュレータでバウンシングしないとシミュレータとして現実味がないし、実車で起こることがシミュレータで起きないなんてモデルがおかしいんじゃない?っていうところから始まったのでシミュレータのモデルにも取り入れてバウンスすることを確認しています。
空力的に車両が直線でバウンスするのは、スポイラー車高が下がりすぎてスポイラー下に空気が流れ込めなくなってダウンフォースが突然に激減すること、車高が上がり始めても気流が回復するには時間遅れがあること、この2つにより発生し継続するのです。
バウンシングを防ぐには最高速まで空気が流れなくなる車高に下がらないようにするしかありません、そのためにイニシャル車高を上げると全域で車高が上がってダウンフォースが減っちゃうのでやりたくありません、ばねの特性を非線形のプログレッシブにしてダウンフォースに対する車高の変化を小さくするのが得策です。
でもばね定数の立ち上がった状態でバウンシング状態に入ると柔らかいばねより跳ねあがりの勢いが強いのでバウンスは激しくなるので注意です。
もう一つの策は直線でリヤの車高を下げてやることです、これはなかなかトリッキーなことをしないといけないのでここまでにしときます。
実際に計測したり、仮説からモデルを作ってシミュレーション等で実証することで真実は明らかになるので「妄想のみ」とか「難しそうな言葉で分かってる風を装う」のダークサイドに落ちないようにしましょう。