今回は、X80クレシーダのオーストラリア向けを取り上げてみます。
これまで、北米(リンクは
こちら)・GENERAL(リンクは
こちら)と取り上げてきましたので、第3の仕向地ですね。
詳細な仕様は追って紹介していきますが、北米 + GENERAL といった感があるかもしれません。右ハンドルということもあって、国内仕様に近いともいえるのですが、国内仕様をベースにこれを作るのは、意外と大変だったりも。
モデル変遷としては、国内同様に1988年8月に登場。1990年8月にマイナーチェンジを経た後、1993年2月にモデル廃止とされています。今回取り上げるのは前期となります。
それでは、以下、奥の間に紹介していきます。
2つ設定されていていたグレードの上の方となる、GLXのフロントビュー。
この角度からだと、一見すると国内のグランデ ツインカム24と見間違えそうですが、フロントグリルの”TOYOTA”エンブレム、フォグレスのヘッドランプ、フロントスポイラー等、ディテール部は微妙に異なります。
エンジンは、この世代から7M-GEを搭載。
先代は、5M-GEでしたから、排気量アップ&4バルブ化による高出力はセールスポイントの一つだったのです。
GLXのサイドビュー
前期クレシーダのみに設定されていたフロントスポイラーは、ハードトップの流用に見えて、実は専用品番となります。この佇まいは、私がフロントスポイラーを装着する動機になりました(笑)
残念ながら、後期では省略されちゃうんですけれども。
その他は国内セダンと共通の部品が殆どですが、フェンダーアーチとドアサッシの両メッキモールは省略されています。
あとガラス類だけは国内とも他仕向地とも違うオーストラリアの専用品番だったと記憶しています。赤道に近い地域ということで、特別に紫外線対策が施されているか、あるいはグリーンガラスなのか、調べるまでには至らなかったのですが。
GLXのリヤビューです
国内には、このミディアムレッドパール(3H3)は設定されることはなく、赤系では初期のみダークレッドパール(3H4)が設定されていましたが、それも1年でカラーバリエーションから落ちることになります。
国内ではなかなか選び辛い感もありますが、地味目な印象を一変させていて悪くないと思いますね。
エンブレムは左から、「GLX」「TOYOTA」「CRESSIDA」となります。北米/カナダでは省略されていたトランクキーオーナメントは、GLXのみ標準。
この地のテールレンズは国内と共通ですが、後期ではGENERALのレンズにリヤガーニッシュ付となって、印象が大きく変わっています。
あとは、リヤクォーターのパワーアンテナ、リヤトレイのバルブ式ハイマウントストップランプ辺りは、国内と異なります。共に後付けしようとするとなかなか難易度が高かったりです(笑)
GLXのインパネです。
これも一見はハイメカ グランデ風ですが、220km/hスケールのメーターやクルーズコントロールが仕向地を静かに物語ります。
エアコンパネルは国内だとLG/GR系と同じプッシュ/レバー併用式。オーディオにはサテライトスイッチと、放送帯の関係からか左ハンドル用が組み合わされていますね。
インパネパネルはグランデ系以外の黒素地ですから、センターポケットは蓋無ですし、カップホルダーも無。
これらの仕様違いがありながら、エンジンはこの時点では国内未導入の7M-GEというのが、萌えポイントだったわけです(笑)
GLXのインテリア
シート縫製は、北米の標準&GENERALとも共通する、国内ではチェイサーのアバンテ/ラフィーネに近いもの。この地の特徴として、法規が関係するのか、ヘッドレストの形状が前後共に縦方向に大きいものに変えられています。
オーディオは6スピーカーですが、バルブ式ハイマウントストップとの両立のせいか、インテグレーテッドスピーカーグリルは装備されていません。
やや意外なことにエアコンは、オプション設定でした。
エンジンは、先述のとおり7M-GEが選択され、他エンジンの導入はありませんでした。先代も5M-E → 5M-GE という変遷を歩んでいますから、パワフルであることが必須な地域と言えます。
このパワーを支える足回りは、もちろん4輪独立懸架。TEMSこそないものの、スタビライザーも前後に装着されています。
このパワーを支えるブレーキは、もちろん最強の4輪ベンチレーテッドディスク・・・ではなくてリヤディスクはソリッド。次に掲載するGLのタイヤからして、どうやらフロントブレーキも14インチ対応の小径と推測されます。経験からして、パワーに対して容量が不足している気がしますが、大陸横断的使用環境のため、止まることは少ないという割り切りかもしれませんね。
GLXのタイヤは、205/60R15.北米/カナダは195/65R15でしたから、ここは奢られていますね。
順番を少し変えて、左は廉価版のGL、右は裏表紙です。
GLは、先代の85年途中から追加されたグレードです。
国内だとLG/GRに近い感が強いものの、黒バンパー&ドアミラー等さらに廉価グレード的な部分もあります。
ボディカラーは、これも国内未設定のスーパーシルバーIII(176)。ややビジネスライクな感もありますが、国内に設定されていても不思議ではないカラーですね。
タイヤは195/70HR14で、7M-GEのパワーを支えますが、アルミホイールは標準装備。
オーディオはこの時点では国内未導入の2DIN一体型デザインのカセット付レシーバーが4スピーカーとセットで組み合わされています。
GLXとGLの主要諸元表と主要装備一覧を大きめに掲載。
両グレード間の仕様差は、この表が分かり易いと思います。
国内の3.0グランデGよりも簡素な装いが幸いしてか、GLXでも100kg軽い1,440kgの車両重量が記載されています。
ここで、後期の仕様について若干の補足をしてみます。
後期ではGLが落とされて、その代わりにGLXの更なる上級、「GRANDE」が設定されています。GRANDEは、サンルーフに本革シートが標準といった具合で、ある部分、国内以上の豪華仕様でした。
といったところで、いかがだったでしょうか。
北米/カナダ、GENERALとはまた違った地域特有の事情を感じていただければ幸いです。
北米仕様に比べると知名度は落ちてしまいますが、国内により近いものの確実に存在する微妙な仕様差は、自分的には琴線な部分です。
GLXあるいはGRANDEといったところは、自分のセダンに手を加えていく中での源泉の一つでもあったのです。
ここで余談を一つ。
今から10年以上前に、話のネタ大半で、この地の中古車(主に後期GRANDE)を調べたことがあります。この地域なら右ハンドルの触媒付、しかも7M-GEを積んだ豪華仕様のセダンに食指という具合です。
ところが検索で見つかるクルマは、15万キロ以上が当たり前、中には30万キロ以上の強者もありという具合でした。紫外線の影響による内装のインパネ等の傷みとか、トレーラーヒッチ付のクルマが多い辺りも、この地域ならではの特性を感じさせたものです。
考えようによっては、それだけの距離を十分に消化できるだけの耐久性が実証されているとも言えるわけで、その耐久性の高さを改めて再認識したんですけれどね(笑)