「バッテリー要交換?」の続・続・続・編です。
給油と洗車で立ち寄ったENEOSで受けた、バッテリー無料点検でこんな結果をもらいました。
これをきっかけに、バッテリーテストについて調べて見ることにしました。
調査の手がかりは、この二つだけですが。
「負荷電圧10.76V」
「バッテリーサイズ D23/D20」
納車から11ヶ月、走行12,000kmのVMG、バッテリーは本当に要交換でしょうか?
*以下、独自の調査ですので、誤解や間違いが含まれている可能性が高いです。
*そんな見方もあるのか・・・程度でご覧ください。
ミドトロニクスが特許を持つコンダクタンス法については、何となく見えてきました。
同時に、私がENEOSで受けたバッテリー点検は、コンダクタンス法では無いらしいことも。
バッテリーに負荷をつながないコンダクタンス法では、
「負荷電圧10.76V」という測定結果は出ないからです。
残った方法は二つ。インピーダンス法とレジスタンス法です。
この二つ、バッテリーに負荷をつないで挙動を調べるという部分は同じ。
なので、この2種類は原理的にバッテリーの充電状況がテスト結果を左右します。
インピーダンス法とレジスタンス法の大きい違いは、負荷のつなぎ方。
インピーダンス法では、負荷をつなぐ時間が短時間(1/10秒とかのオーダー)
なのに対し、レジスタンス法ではこれが数秒単位になります。
レジスタンス法では、100(A)程度の電流を数秒単位で取り出すため、
場合によってはバッテリーにダメージを与え、トドメを刺してしまう場合もあるそうな(^_^;。
そんなデメリットもあり、このタイプは最近減っているそうです。
測定原理です。
まずダミー負荷がつながっていない状態で、バッテリーの端子電圧を測定(無負荷電圧)。
次に、ダミー負荷をバッテリにつないだ状態で、バッテリーの端子電圧を測定(有負荷電圧)
この時、以下が成り立つので、
無負荷電圧(V)=(内部抵抗(Ω)×試験電流(A))+(ダミー負荷(Ω)×試験電流(A))
試験電流(A)=有負荷電圧(V)/ダミー負荷(Ω)
内部抵抗は、これで計算できます。
内部抵抗(Ω)=ダミー負荷(Ω)×(無負荷電圧(V)/有負荷電圧(V))-ダミー負荷(Ω)
そして、内部抵抗からはCCA値も計算できるらしいです。
インピーダンス法では、ダミー負荷を短時間バッテリーに接続するため、
その時の電圧/電流の変化は、パルス状の矩形波になります。
矩形波は、基本波+2次高調波+3次高調波・・・n次高調波と、
大変幅広い周波数成分を含んだ信号です。
このため、これを元に測定・計算された内部抵抗は、
直流抵抗では無く交流抵抗(インピーダンス)になります。
恐らく、これがインピーダンス法と名付けられた理由かと。
では、インピーダンス法と思われる製品を見ていきます。
アメリカ ARGUS製 AA1000RP お値段は6万円ぐらい。
カタログに依れば、負荷を接続している時間はなんと 1ms(1/1000秒)だそうです(゜ロ゜)。
ただ、テスト時の電流は100(A)だそうなので、端子電圧10Vとしても
バッテリからは1000(W)の電力を取り出すことに(゜Д゜)。
取説、カタログに依れば、
バッテリーテストのための設定メニューは3項目
・バッテリー定格電圧:6V/12V
・バッテリー規格:CA/CCA/EN7/EN2/DIN/Ω・・・JISは無いのでCCAで設定
・バッテリー基準値:CCA値を入力
WET、ゲル、AMGやリチウムイオンも種類の設定無しで測定可だそうです。
バッテリー温度も選択不要、自動測定です。
バッテリ-テスト結果はアドバイス/充電状態/寿命の3項目です。
アドバイスは、次の4種類。
すぐに交換/早めに交換/良好/充電して再テスト。
この四種類は、充電状態/寿命テスト/エンジン始動能力テスト/充電システムテスト
のテスト結果のマトリクスで決まるようなので無視。
充電状態の判定は以下の3種類。
充電不足/要注意/良好
充電量はバッテリー電圧で判定しているようです。
3段階の閾値は充電量50%、75%と記載されていましたが、
何Vを0%、100%としているかの基準は記載がありませんでした。
バッテリ寿命(劣化)に関する判定は以下の5種類。
すぐに交換/早めに交換/良好/要充電/充電して再テスト
これは、測定したCCA値と充電量のマトリクスで5種類に分かれます。
基準CCA値を100、その65%を0とした指数をBLとして、
BLが0以下なら「すぐに交換」、1~50なら「早めに交換」と判定です。
充電量の結果から「要充電」/「充電して再テスト」もありますが、そっちは割愛。
なお、ここで言う測定したCCA値は、充電量とバッテリー温度で補正しているそうな。
逆に言えば、補正しないと正確じゃ無いってことですね。
表示される測定値は以下の2項目
バッテリー電圧/CCA測定値
プリントアプトされる測定条件は以下の2項目
電池基準(CCA値)/電池温度
バッテリーテストの注意事項は・・・
負荷や充電は停止すること。
意外とシンプル・・・(^_^;。
では、ARGUS AA1000RPと私がENEOSでもらった点検結果と比べてみましょう。
左がカタログに載っていた出力プリントサンプル、右がENEOSです。
ARGUSの下二つ、エンジン始動能力テストと充電システムは無視するとして、
なんと「早めの交換をおすすめします」が一致しました。バキッ!!☆/(x_x)。
まず、ENEOSの「負荷電圧」を見ていきます。
ARGUSには、エネオスの「負荷電圧 10.76V」に該当する測定値は見当たりません。
これが何を意味するのか、判断材料が無く不明です。
この結果をもらったユーザーはどう考えれば良いのでしょうか。
不親切だと私は思います。
次にバッテリー関する表示について。
VMGの純正バッテリーは、JIS規格では「75D23L」、CCA値は「470A」。
(両者とも実物に表示有り)
ARGUSなら基準値として470を入力し、これが判定基準となります。
一方、ENEOSは「D23/D20」とバッテリーサイズが印字されています。
これはちょっと不思議なところで、「D23/D20」は印字の文字通りバッテリーサイズ。
物理的な外形寸法であって、バッテリーの能力を示していません。
たとえば、50D20 と85D23のCCA値は310Aと530Aで、まったく能力が違います。
能力が違うバッテリーに対し、同じ試験もしくは同じ基準で判定したら、当然判定は違ってきます。
そんなことは無いと思いますが、もし「D23/D20」をひとまとめにしてテストしていたら・・・。
単にバッテリーサイズを印字しているだけで、判定基準にはしてないと思いますが、
なぜ物理的なサイズを印字しているのか、ちょっと不思議です。
そして、CCA値。
MIDTRONICS MDX-P300も、ARGUS AA1000RPも、CCA値が表示されています。
しかし、エネオスの結果にはCCA値がありません。
単に印字していないだけで、測定値を変換して1~10段階で表示している可能性もありますが、
実は測定していないのでは、という疑いも・・・。
調べても調べても、疑問だらけ。
ENEOSの点検結果は情報が少なくて判断に困ります。
謎解きは、まだ続きます。
近々Dでバッテリー点検を受けてきますので、その結果も含めて継続調査です。