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2022年10月26日

新型「CIVIC TYPE R」で“実効空力”を実現する リアルカーボン製「テールゲートスポイラー」とは?

 9月1日に遂に正式発表された新型「CIVIC TYPE R」。「Ultimate SPORT 2.0」を開発コンセプトとして、ベース車と同様に内外装を上質かつシンプルな装いに一新しつつ、全てにおいて進化を遂げた。

 そんな新型CIVIC TYPE Rのためにホンダアクセスが用意した純正アクセサリー、その開発コンセプトは「The TYPE R」。TYPE Rらしいスポーツマインドをより一層高めるべく、純正ならではの高い品質を備えているのはもちろん、「Ultimate SPORT 2.0」たる新型CIVIC TYPE Rにふさわしい素材が厳選され、デザインだけに留まらない確かな機能が与えられている。

 その中でも、走りに寄与するアイテムとして特に要注目なのが、リアルカーボンを使用したハンドメイドの「テールゲートスポイラー」だ。

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CIVIC TYPE Rに「テールゲートスポイラー」を装着した状態。

 新型CIVIC TYPE Rは空力効果を高めるため、アルミダイキャスト製のステーが別体となったスポイラーが標準装備されている。純正アクセサリーの「テールゲートスポイラー」は、ボルトオンされた標準装備の樹脂製ウィング部分のみを取り外して交換するタイプ。ハンドメイドのリアルカーボン製としては本体価格27万5000円(消費税込)+取付工賃0.3H分と安価ながら、見た目も軽さも空力性能も、レーシングカーのウィングを彷彿させる本格派だ。

 まず実際に持ち比べてみると、およそ1kgの差とは思えないほど明確に軽くなっていることが感じ取れる。

 たかが1kg、されど1kg。幅2mにも満たないスポイラーで約1kgもの軽量化が実現できたのは、ハンドメイドのリアルカーボン製だからこそ、だ。

 車両の後端、それもルーフにほど近い高さにあるパーツの軽量化は、ヨー慣性モーメントの低減にも大きく寄与することだろう。

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Modulo開発アドバイザーの土屋圭市さんが持ち比べてみても驚きの軽さ!

さらにその表面をじっくり見てみると、規則正しく精緻な炭素繊維の織り目の中に、赤いポリエステルの繊維が織り込まれているのが見て取れる。
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「テールゲートスポイラー」のリアルカーボンにはTYPE Rを象徴する「赤」のポリエステルの繊維が織り込まれている

 「テールゲートスポイラー」をはじめとしたCIVIC TYPE R純正アクセサリーのデザインを担当した深尾なつみさんによれば、「『TYPE R』を象徴する色と言えば『赤』。赤いポリエステル繊維を織り込むことで、TYPE Rの世界観を表現した」とのこと。

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CIVIC TYPE R純正アクセサリーのデザインを担当した深尾なつみさん

デザイナーの深尾なつみさんによると、この赤いポリエステル繊維を織り込んだリアルカーボンはTYPE R専用として展開しているとのこと。よりTYPE Rらしいスポーティーさを醸し出した、こだわりの逸品となっている。

そして、最も重要なポイントとなる空力性能に関してはどうか。

先代CIVIC TYPE R用「テールゲートスポイラー」は標準装備品と同じ形状を踏襲し、ホンダアクセスがマテリアルをリアルカーボンに変更した仕様だったが、新型CIVIC TYPE R用「テールゲートスポイラー」では、アクセサリー開発責任者の髙山泰之さんによれば、「本当にお客様が欲しいものを作ろう」という想いから、ステー以外をホンダアクセスオリジナルの形状として新たに開発を行ったとのこと。

 新型より四世代前のFD2型CIVIC TYPE R用純正アクセサリーのエアロパーツ」や、初代N-BOXより始まったコンプリートカー「Modulo X」シリーズなどの開発を通じてノウハウを積み重ねてきた「実効空力」により、ホンダアクセスが求めた「GTカーのように長距離・高速域でも安心して走れる乗り味を実現する」ために他ならない。

 「実効空力」とは、「風から逃げるのではなく味方に付ける」という考え方をベースに、徹底した走行テストを通じて、走行中に発生する車体のリフトを前後ともバランスさせる、ホンダアクセスのエアロダイナミクスの設計理念。
4つのタイヤをしっかり接地させて、等価に仕事をさせることで、誰がどんな道で乗っても「気持ちよく」走れるようにするのが狙い。これがホンダアクセスがこれまで追求してきた乗り味なのだ。

 新型CIVIC TYPE R用「テールゲートスポイラー」も「Modulo X」シリーズと同様に、シミュレーションや風洞実験のみならず、「実車に開発中のスポイラーを装着し、テストコースを何回も走ってはその場で形状修正を繰り返し、この形を導き出した」(髙山さん)。
そう、それは風洞実験により得られる値を正にしていない。人間が運転して感じる感覚を大事にした開発フローなのだ。

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CIVIC TYPE R純正アクセサリー開発責任者の髙山泰之さん

 その要となるのが、大きさ、角度にもこだわった翼端板、主翼中央のガーニーフラップ、そして今回のKEYテクノロジーである主翼裏側の「シェブロン」と呼ばれる鋸歯(のこぎりば)形状の実効空力デバイスである。

 開発を担当した阿部将寛さんは、「我々が狙う乗り味を得るためには、四輪の接地感をバランスさせたいと考え、、リアのダウンフォースをさらに増やすことで、リアタイヤの荷重を高めたかった」と、新型CIVIC TYPE R用「テールゲートスポイラー」の開発の狙いを語る。


CIVIC TYPE R「テールゲートスポイラー」の開発を担当した阿部将寛さん

 そのうえで、「主翼を全体的に立ててダウンフォースをかけると旋回性性が犠牲になるので、主翼に当たる空気をスッキリと流したい。そのために敢えて、ガーニーフラップを両サイドには入れず、翼面も薄くすることで、両サイドの空気をしっかりと剥がして、旋回性と直進性に対するスポイラーの機能を分けている」と、主翼中央にのみ設けられたガーニーフラップの狙いを説明してくれた。

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ガーニーフラップを中央のみに設けて左右は薄く平らにすることで空気の流れをスムーズに

 また、「横風を受けたりコーナーに差し掛かったりした際、空力特性が唐突に変化すると、非常に乗りづらくなってしまう」(阿部さん)。その変化する際のリニアリティ、つながりを良くするため、「主翼下面に鋸歯形状の実効空力デバイスを追加して細かな渦を発生させるようにし、さらに翼端板にはネガティブキャンバーの傾斜を付けていった」のだそうだ。

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主翼下面の鋸歯形状。これが細かな渦を生むことで、ダウンフォースが高まり、旋回初期などの挙動変化も穏やかになる

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車体下方に向かって広がる形状が与えられた翼端板

 なお、新型CIVIC TYPE R用「テールゲートスポイラー」のアイキャッチにもなっている、この鋸歯形状の実効空力デバイスだが、「サイズ・位置とも効く部分と効かない部分があり、特に鋸歯形状を設ける位置・範囲が非常に重要」なのだという。

 また商品化にあたっては、「一体成形できること、かつ安全性や法規対応の観点から、エッジを立てすぎないことも求められる」ため、性能と量産要件の両立に苦労したという。

 さらに、翼端板の傾斜角については、「空力的なメカニズムはまだ証明しきれていないものの、Aピラーの角度との差が付きすぎると挙動に引っかかり感が出るため、それを合わせると滑らかになることが、他車種のウィング開発でも経験的には分かっている」ことを明かしてくれた。

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翼端板の傾斜角をAピラーの傾斜に合わせることが、リニアな挙動を実現するポイントの一つ

 とはいえ、リアにダウンフォースを付けすぎると、「空気抵抗が増えるうえ、フロントの接地荷重が抜けてしまい、直進性が悪くなり、操舵に対しても全然反応せず曲がりにくくなってしまうのが難しい所。

 それを、実車での走行試験を繰り返し、何度も細部の形状を見直すことで、四輪をしっかり使い切ることができ、旋回時の挙動もよりリニアになる、絶妙な空力バランスを実現しているのだ。

 こうしたノウハウこそがまさに、ホンダアクセスならではの「実効空力」と言えるだろう。


CIVIC TYPE Rの純正アクセサリーに関するYouTube動画もあわせてチェック!



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Posted at 2022/10/26 10:50:58

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