カーオーディオ、メモリ方式で便利になったがために置き去りにしてしまったもの・・・

今日の内容は若い方には「？？？」かもしれません。ご容赦願います。










かつてカーオーディオがカセットテープだったころ、
車内には最低でも2箱のカセットホルダーもしくはバッグがあり、
20本以上の、カセットテープを常時持っておりました。












54分テープを愛用し、
1本のカセットテープには、1枚のアルバムを収録しておりました。
テープなので、どうしても10～12曲ぐらいが限界、1本のカセットテープには1枚のアルバムを収録、となります。

ゆえに、カセットテープの数が、アルバムの数でした。


今日はMOTREY CRUEの「THEATRE OF PAIN」、
今日はアースシェイカーの FUGITIVE、
今日は機甲創世記モスピーダのBGM集、
今日はナムコゲームミュージック、

と、聴きたいアーティストやアルバム別に、カセットテープを入れ替えして、聴いておりました。







運転中に全曲聴き終わり、交換したいが運転中でそれもままならず、そのまま2周め突入、A面1曲めから再生開始、なんてのもよくありました。
カセットテープあるあるですね。


交換の際にも、入れる前に、振動等でテープがたるんできてるのを指で回してたるみを締めてからオーディオに挿入しないと中でテープが絡まる原因になる、
カセットテープあるある　その2　です。

これさすがに運転中はできません。



今のメモリー方式と比べれば間違いなく不便で、曲のスキップは時間がかかるし、ランダム再生なんてできるわけもなし、
1度のドライブで同じテープを何周もする、なんてのが、カセットテープ式カーオーディオの’仕様’でした。







たとえば、今のメモリープレイヤーでの再生なら、
「あ、この曲聞き飽きたから、飛ばそう」
てな場合、ボタンひとつですぐスキップできます。
また、カセット交換に値する、「このアーティストはもういいから、別のに替えよう」　なんてのもボタン操作だけで容易にできます。


これがカセットテープでの曲とばしなら、早送りで数十秒以上待たねばなりません。
次曲サーチはヘッドがテープに触れた状態で早送りするので多用はテープの劣化・寿命を早める上にヘッドの摩耗にもつながるので極力しないようになります。
カセットテープあるある　その3　です。


結果として、飽きた曲や余り好きでない曲でも、そのまま流し、一通りは聴く事になります。







実はこれが非常に重要で、

そのおかげで、「アルバムをまるまる1枚聴く」というプロセスを踏むこととなります。







たとえば、私が20代の頃、８０年代に良く聴きまくった往年のHMアルバム1枚をとってみても、

1曲めはアグレッシブ、2曲目はどっしりしたミディアムテンポ、3曲めでちょいバラード、
B面1曲めは～　で、あの名曲はB面○番目に収録、


という感じに、

1曲1曲だけでなく、アルバムごとまるまる1枚単位で繰り返し聴くことでアルバムそのものを覚えるようになってました。




たとえば、私にとっての神アルバム、ラウドネス「THUNDER IN THE EAST」を例に出すと、
1曲目はCRAZY NIGHT、2曲めに一番好きな「LIKE HELL」
もうひとつ好きな「THE LINES ARE DOWN」はB面4曲目、
というふうに、何もみなくても即答できます。




では最近買ったアルバムはどうか。


残念なことにアルバムの曲順を一切覚えられない。ひどいときは曲すらも。




例えば、AMARANCEの「Massive Addictive」
名曲でありこのバンドを知る切っ掛けともなった「DROP DEAD SINICAL」は2曲めに収録されている、まではわかる
が、恥ずかしいことにそれ以外の曲が、覚えられません。



なぜ、覚えられないか。

カセットテープ時代のような、「アルバムとして」通しで聴くこと、1曲1曲を大切に聴くことを、
一切してないから。



カーオーディオ用にUSBメモリに全曲保存はしているけど、
この曲は別にいいや、であっさりスキップしたり、そもそも再生がランダムだったり、
アルバム　ではなく、　洋楽HM 2016 というフォルダを作り他のアーティストと混ぜ込ぜ保存されてたり。





これが原因だったんだ。
昨今の入手曲が印象薄い理由は。



曲のせいじゃない。アルバムのせいじゃない。
アーティストのせいじゃない。




聴く私が、わざわざ印象薄くなる聴き方を選んで聴いてるんだ。
と。








便利がゆえに、置き去りにしてしまったもの。




げんしけんで春日部さんが言ってました。
「世の中便利になればなるほど、人間ダメになる！お前はその典型だ！」



(OVA1話より静止画キャプチャ)


私も、例外にあらず。









今一度、思い起こそう。



ごった煮状態の大量保存USBメモリはそれはそれで「80年代のかき集め曲・当時を思い出し懐かしむ用」としておいといて、
最近買ったアルバムは通しでフルで聴くようにフォルダ分けし保存して、
必ず順送り再生することにしよう。


と、決めました。





これで、曲ではなく「アルバムを聴く」をもう一度習慣付け、
曲順やタイトルもしっかり頭に焼き付けられるように、致します。







そういえば、
「アルバム作成には曲順も重要視している」
と、日本のHMアーティストが言ってました。


そのアーティストの願いや思いを一切感じ取らず、他のアーティストとごった煮状態になりメモリ保存された数百曲の中の1つとして、雑に扱われてしまってたんです・・・・・