最近見なくなった懐かしのカーアイテムを振り返る

2021年12月20日

カーステレオ カーオーディオ

クルマの装備や用品には流行や技術の進歩でなくなってしまったもの、形を変えてきたものがたくさんあります。そこで今回は、かつてはよく見かけたのにもかかわらず、今はすっかり見かけなくなった、懐かしい装備やアイテムをご紹介しましょう。

テープからディスクへ、目まぐるしく変化したカーオーディオ

カセットテープ CDMD

<8トラック時代>

クルマのなかで最初に聴くことができた音楽はAMラジオから流れるものでした。やがて、FM放送が開始されると、カーラジオはAMとFMの両方が聞こえるようになりました。この時代は当然、自分の好きな曲ばかりが流れるわけではありません。「この曲が聴きたい」と思ったときにできることは、ラジオ局にハガキや電話でリクエストを行うことでした。

次の世代はテープの時代です。車載のテープ再生機は8トラックと呼ばれるものからスタートします。その名の通り、8つのトラック(記録領域)があり、2つのトラックを使ったステレオ音源を4曲録音・再生することができました。8トラック時代は自分でテープに録音するのではなく、すでに録音されたミュージックテープを購入して演奏するのが一般的でした。

<カセットテープ時代>

8トラックの次はカセットテープで、これは4トラックで構成され、46分程度のカセットテープで2トラックずつのステレオ音源をA面、B面で使い、アナログレコード1枚の録音を目安にしていました。カセットテープは自分でレコードから録音したテープを車内で演奏できたため、レコードをまるまる録音するだけでなく、オリジナルのベスト盤なども作ることが可能でした。

レンタルレコード店の急速な発展もあり、レコードからオリジナルベスト盤を製作、ラベルやケースに凝るといった行為も流行。このカセットテープまではアナログ録音ですが、その次に登場するDAT(Digital Audio Tape)は、その名の通りデジタル処理されたデータを扱うものでした。

<CD、MD時代>

記憶媒体は磁気テープから光学ディスクに代わっていきます。光学ディスクはCDから始まります。CDはアナログレコードの代わりとしての役割、カセットテープの代わりはMDというディスクに取って代わります。やがてMDは現在のようなデジタルメディア(MDもデジタル方式ですが)にその座を奪われます。

<自動車電話のアンテナがステータスだった時代も>

現在ではスマートフォンがコミュニケーションアイテムとして主流ですが、その前は携帯電話で、さらにその前は自動車電話でした。自動車電話を搭載するとその通信のために黒く太いアンテナが必要でした。当時の自動車電話はとても高価なものだったので、アンテナだけをトランクに装着して見栄を張ったりしたものです。また、トランクにブーメラン型のアンテナを取り付けることも流行りました。今はロッドアンテナですらほとんど見かけない状況です。また、違法CB無線を無くすために登場したパーソナル無線なるものも一時期は大ヒットしました。

実は効果が無かった!? 静電気対策のアースベルト

冬場にクルマに乗り込むとき、ドアを触った瞬間に“バチッ”っとくるあの衝撃。そう、静電気は昔からのやっかいものでした。静電気がクルマに帯電しているのであれば、それを地面に逃がせばいい…という考えで登場したのが、クルマからチェーンを垂らして地面に電気を逃がすという考え方でした。これはやがてアースベルトと呼ばれるゴムの長細い板に取って代わられます。アースベルトは内部に銅線が仕込んであって、この銅線を伝わって静電気が地面に逃げるという考えでした。

実際には、一部無線マニアやオーディオマニアの間ではノイズが減ったという評価もされましたが、クルマに乗る際の“バチッ”にはあまり効果がありませんでした。それもそのはず、クルマに乗る際の“バチッ”という静電気はクルマではなく、人間の身体に溜まったもので、それがクルマのドアに触ったりした際に瞬時に放電されるために感じる衝撃だからです。

無線やオーディオのノイズが減ったのは静電気を逃がしたのではなく、点火プラグから発せられるノイズがおもな成分だったと言われています。現代のクルマに使われている点火プラグは抵抗入りのもので、ノイズそのものが非常に減っています。各部もノイズの発生を抑えるとともに、電気系統にノイズの侵入を防ぐ工夫が施されています。

現代のクルマはコンピューター制御される部分が多く、ノイズは誤作動の原因になるからです。また、現代のクルマはプラグコードがなく、それぞれのプラグキャップの上に点火コイルが配置されているものがほとんどです。

ちなみにクルマで発生した静電気の多くは導体であるタイヤを通して地面に逃げていきます。タイヤはカーボン(炭素)を多く含んでいるので電気を通すのです。しかし、最近のタイヤはカーボンの代わりにシリカを使うようになってきました。シリカは電気を通さないので、タイヤの導電性が悪くなってしまうため、細い銅線などをトレッドに仕込むこともよく見られます。

まだまだある! かつて流行した面白アイテム

今のクルマは軽自動車でもキーレスが当たり前になってきているので、カギ穴にキーを差し込んで使うなどということはほとんどなくなっています。しかし、キー式が当たり前だった時代は、そのキー自体もアフター製品で差別化しようということで、キーヘッドやカバーのデザイン商品が多数存在しました。これらは最初、刻みのないブランクキーで、購入後にスペアキーにするわけです。

けっこう流行したのがPLAY BOYのロゴであるウサギをデザインしたものでした。また、各ブランドのロゴが配されたブランクキーもたくさんありました。自分の乗っているクルマのブランドでスペアキーを作る人が圧倒的でしたが、国産車に乗っているにもかかわらず、BMWやベンツのロゴが入ったキーを作る人もいました。

最近のプレミアムカーなどは夜にドアを開けるとブランドロゴが地面に投影されるものがありますが、昔はクルマの後ろ下側に青や赤のランプを付けることが流行、これをホタルランプと呼びました。ホタルランプには単純に点灯するだけのものと、点滅するものがありました。

そして点滅と言えば、ハイフラッシャーも流行りました。これはウインカーの点滅間隔を高速化するもので、法規上は1分間に60~120回に収めなくてはなりませんが、180回などの高速タイプも存在しました。また、ブレーキを踏むとブレーキランプが点滅するタイプのものもありました。もちろん、180回点滅のウインカーは取り締まりの対象だし、ブレーキランプの高速点滅も他車の迷惑となったため、あおり運転の対象になることがあります。

ディズニーランドのステッカーや、水中花のシフトノブ、ヤンキーホーン、ミュージックホーン、セダンのリヤパッケージトレイに載せる据え置き型スピーカーなどなど、その時代時代によってさまざまなアイテムが存在しました。

そして、バンパーのコーナーに取り付けてボディの見切りを向上するコーナーポールが、今ではソナーのコーナーセンサーに取って代わられたように、同じ目的に別の機能、同じ機能を別の方式で行うようになったものも多数存在しています。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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