冬道で酷使されたクルマのトラブルを回避する春のメンテナンスとは?

2021年3月22日

春のメンテナンス

冬は雪道を走ったりすることでクルマが酷使される季節です。冬の間、酷使されてきたクルマをねぎらい、ちょっと気をつかうことでクルマの寿命はグッと伸び、コンディションも向上します。ひと冬を越したクルマに対するメンテナンスでのポイントを紹介します。

まずは洗車で冬ならではの汚れを落とす

冬の降雪地域を走ると、道路に散布された融雪剤によってクルマがダメージを受けます。多くの融雪剤は「塩化カルシウム」が使われますが、その名の通り“塩”なので、クルマのボディなどに悪影響を与えるのです。雪の降らない地方在住ならスノードライブから帰ってきたときに洗えばいいのですが、降雪地域では毎日洗うわけにはいきません。それだけに春には念入りに洗車したいのです。とくにボディの下まわりを中心にしっかり洗浄して塩化カルシウムも落としておきたいものです。

非降雪地域のユーザーで、今年は雪が降らなかったから大丈夫という場合も注意が必要です。融雪剤は雪が降りそうなときに降る前に散布します。そのため散布後に雨が降れば道路は塩水まみれになっています。雪予報が出た日や翌日にクルマに乗った場合は、その後すぐに洗うとともに、やはり春は念入りに洗車することが大切です。

サマータイヤに戻すタイミングでのチェックも忘れずに

スタッドレスタイヤを履かせていたユーザーはサマータイヤに戻すことになります。自分で交換するときは、装着する前の夏タイヤにキズやヒビがないかを目視でチェックした後、4本すべての空気圧を計ってから装着します。他のタイヤに比べ極端に空気圧が低下しているタイヤは、なにかトラブルが発生している可能性があります。その場合、クルマに装着する前にタイヤをタイヤショップに持ち込んで点検してもらうのがいいでしょう。また、4本の空気圧が揃っていても、大きく低下している場合はすべてのタイヤと空気圧計をチェックしてもらうことをおすすめします。

タイヤ交換の際にホイールを外したら、一緒にタイヤハウス内のチェック&掃除もしておきましょう。ホイールを外した状態だと、ドライブシャフトブーツやタイロッドエンドブーツなどのゴムブーツ類、ブレーキパッドの残量などが楽にチェックできます。ホイールハウス内にオイルがベットリと付着している場合などは、ドライブシャフトブーツが破けている可能性があるので、ディーラーや修理工場で修理が必要です。ホイールハウス内も水洗いしたいのですが、ドライブシャフトブーツが破けたままでの水洗いはよくないので、修理が先となります。

季節の変わり目にはエンジンルームの点検も

春に限ったことではありませんが、季節の変わり目にはエンジンルームの点検もしましょう。

エンジンオイル:劣化度合いの判断は難しいので、レベルをチェックします。同じ駐車位置で、エンジン停止後からだいたい同じ時間帯がいいでしょう。最近のクルマではあまり起きませんが、走行距離の多いクルマだと夏や冬はオイルが減りやすい傾向にあります。スマホで写真を撮っておけば、前回からどれくらいの期間でどれくらい減ったかなどがわかります。劣化チェックは難しいと書きましたが、カフェオレのような茶色に変色している際は、水が混入して乳化した可能性があるので、プロに点検してもらいましょう。交換時期の目安は、取り扱い説明書に書いてあるとおりで問題ありません。

ウォッシャー液:冬場は凍結を防ぐために濃度を濃くして使うこともあります。気温が高くなってから濃いままのウォッシャー液を使っていると、ワイパーで拭き取ってもガラス面に残って、スジ汚れになることがあります。濃い状態で使っていた場合は水で薄めておきましょう。気温に関係なく原液で使用するタイプのウォッシャー液は関係ありません。

ウォッシャー液

LLC(冷却水):量と状態をチェックします。リザーバータンク(補助タンク)のアッパーレベルとロアレベルの間に水面があれば問題ありません。ロアレベルより下にあるときは補給が必要で、少しの減りなら水を足して補給すれば十分です。LLCは緑と赤、ピンクとブルーの4色が一般的。緑と赤のLLCは水道水でもかまいませんが、ピンクとブルーのLLCはスーパーLLCと言われるタイプで精製水を継ぎ足すように推奨されています。通常の減りであれば、原因は水分の蒸発なので水を足せばいいのですが、水温が上がってLLCそのものがラジエターキャップから吹き出した場合などは、水を入れると希釈されてしまうので、補充用のLLCを充填します。とはいえ、少しくらい濃度が下がったからといって大きな影響はありません。とくに春夏秋の3シーズンは凍り付くことがないので、あまり神経質になる必要はないかもしれません。

バッテリー:最近はアイドリングストップ機能のあるクルマが増え、バッテリーの負担も大きくなっています。ユーザーができるのは、バッテリー液のチェックと補充電くらいですが、この2つでバッテリーは長持ちします。また、バッテリー液の補充は精製水を使うのが基本。バッテリー強化液なども市販されていますが、バッテリー液のうち目減りするのは水分だけなので、精製水を入れれば通常は濃度が元に戻ります。逆に強化液はバランスが崩れると思ったほうがいいでしょう。

補充電というのはバッテリーに直接充電器を接続して充電することです。クルマに搭載されているときは充電と放電を繰り返していますが、補充電では充電だけが行われるので効率よくバッテリーを復活させられます。充電時はクルマからバッテリーを取り外して単体で行うことが理想ですが、最近のクルマはバッテリーを取り外した場合は診断機によるリセットが必要なタイプもあり、車載のまま充電したほうがあとあと楽な場合も多いようです。その場合、給水口を開けてそこに折りたたんだペーパータオルをピタリと貼り付けておきます。こうすると充電で発生する水素を逃がしつつ、泡が弾けて飛び散ったバッテリー液がボディに付着することを防げます。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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