お熊甲祭とヒガンバナ

「久麻加夫都阿良加志比古｣神社は、
くまかぶとあらかしひこ神社
と読み、万葉集の歌枕の地、七尾市中島(旧中島町)にあります。

かつては3月に牡蠣が参加賞にもらえることで有名なマラソン大会のコースにも面していたのですが、市町合併の影響でマラソン大会は七尾の和倉に移りました。

ここの神社で毎年9月20日になると開催されるのがお熊甲祭。

能登半島各地のお祭りが主に人手の確保の問題から、軒並み祭礼日を週末や連休に移しているのに対して、お熊甲祭は9月20日の祭礼日をかたくなに守り抜いています。お熊甲祭も担ぎ手をアルバイト募集するなど苦労はしているようですが、二十日祭という別名を持つだけに簡単に変えられないようです。

お熊甲祭は能登各地で担ぎ出されるキリコとはいっぷう変わった枠旗と呼ばれるものを担ぎ出すことに特徴があります。他にも、狂言廻し役を演じる猿田彦とともに異国情緒をどこか感じさせるお祭りともいえます。

お熊甲祭のころ、中島の田んぼや畑にヒガンバナが咲き始めます。わたしにとってはお熊甲祭の赤い枠旗と深紅のヒガンバナは対句みたいなもので、秋が来たことを実感させてくれます。

ヒガンバナの花ことばはいろいろあるようですが、わたしが好きなのは
｢想うはあなたひとり｣。
もっとも、有毒植物の上、墓場に咲いているイメージも強く、この花を贈っても喜ばれる可能性は限りなく低いとは思いますが。