東海大　ル・マンへの挑戦

7年の歳月をかけて製作したマシンがひのき舞台へ

2006.01.12　富士
2000年10月、東海大学工学部動力機械工学科がル･マン参戦を目標としたプロジェクトの立ち上げを発表してから7年。ついにその夢の実現に向けた一歩が踏み出された。2008年6月に開催される「第76回ル･マン24時間レース」参戦のため、ACO（フランス西部自動車クラブ：ル･マン24時間レース主催者）へエントリー申請を行った。

エントリーはLMP-1クラス。パワートレーンは東海大学が産学連携で株式会社YGKと開発した90度V8 ターボの「YR40T」型エンジン

「出力368kW／トルク720Nm（エアリストリクター有1500mbAbs）,698kW／951Nm（エアリストリクター無2200mbAbs）以上を発生するYR40Tエンジン」
、東海大学オリジナル設計のベルハウジング、XTrac社製6速シーケンシャルを組み合わせて搭載。車体・シャシーはセンターモノコックとフロントノーズをパーツ発注先として決定しているCourage-Orga社より購入する

その他は学生による完全オリジナル設計とモディファイしたパーツが組み合わされる。


現在の進捗状況はエンジンは基本構造までが完成しており、残すは車体に合わせた吸排気等外付け部品の修正を残すのみ。シャシーはセンターモノコックとも設計を終了させて、パーツの80％ほどが出来上がっているという。もちろん組み立ても学生たち自らが行い、シャシーコンストラクターに丸投げするようなことはない。「ものづくりをする技術屋としての喜びを学生たちにも感じてもらいたい」という狙いがあるようだ

しかし、「ル･マン挑戦には教育的な意義がある」と林教授は話す。

「我々の仕事は社会に貢献できる学生を育てること。ル･マンプロジェクトというモータースポーツを通じて、もの作りには責任があることを経験し、学生の技術力と人間性を涵養させていきたい」という。座学で勉強した専門基礎知識の活用力を主体的に学び、真のものづくりを経験することで、学問を日常の生活や社会に応用する力は飛躍的に向上。またル･マンのレギュレーションの翻訳や国内外における企業や団体との交渉などを通じ、生きた語学力や文章力も体得しているという。こうした工学的なものだけでなく、協調性、人間理解、規律の重要性、チャレンジ精神の高揚をもたらしたことで、事実、東海大学工学部動力機械工学科の学生は自動車関係企業への就職率が100％という。これは学力のみならず人間的な部分についても高い評価を受けている結果といえるだろう。

実現すれば長いル･マンの歴史においても初の大学チームの走行となる東海大学のル・マンプロジェクト。「教育的視点からきちんと走りたい。つまり完走することが我々の目標であり、勝利だと考えています」と林教授は語ったが、「やるなら一番」という林教授の目標はさらに高いところにあるに違いない。どこまでやってくれるか…。

　東海大学のル・マンプロジェクト大学チーム、ル･マンの歴史で初の大学チーム、凄いじゃないですか！小さい頃から、レースとか興味が有っても、中々どうやってその道に進めるか解らなかった自分には羨ましい限りです、こんな事が有れば、頑張って勉強して大学にも行きたくもなりますよね、しかも林義正教授と言えば、1962年に日産に入社し、中央研究所に配属。排気、騒音、燃費などの分野を経てプロトタイプレーシングカーのエンジン開発責任者へ就任。
ル・マン24時間レースや世界スポーツプロトタイプカー選手権（WSPC）などに参戦するグループCカー用のエンジン開発を任され、そしてVRH35を開発した方、
日産時代の戦歴としては、
JSPC 3年連続シリーズ優勝
米国IMSA・GTPレース4年連続優勝
国内Gr.A選手権レース4年連続優勝
ジャーマンスーパーカップレース日本車初優勝
スパ24時間耐久レース日本車初優勝
ルマン24時間耐久レース コースレコード
米国デイトナ24時間耐久レース優勝（五つの新記録を樹立し、日本人ドライバー3人による日本車初優勝）
と数々のレースに関わった方、今年のル、マン、もう一つの楽しみが出来ました。