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2025年09月10日 イイね!

オイルのアニリン点と極性の同質性

前回のブログでオイルのアニリン点とシールゴム収縮・膨潤の関係性を書きましたが、その後掘り下げていたらまた新たな着眼を得られたので書いてみようと思います。



┃相溶性が高いのは鉱物油の専売特許じゃない



エンジンオイルはベースオイルと添加剤の組み合わせで成り立っていますが、当然これらがきちんと混ざっていないと製品として成立しません。

オイルのSDSを見ると分かりますが、100%化学合成油であっても鉱物油が数%入っているのは、添加材成分がよく混ざるよう溶剤として使っているからです。

例:シェル ヒリックス ウルトラ


鉱物油はそれだけ添加材との相溶性に優れているのです。

一方で、添加材メーカーの商品説明を読んでいると時々PAOとの相溶性△or×みたいな事を見かけることもあります。
PAOは一般に添加剤と混ざりにくい性質があるためです。

なので添加材メーカーはその辺をクリアして「PAOともよく混ざります」みたいにアピールしたりすることもあります。

ではエステルは?
これも特に問題視されることはありません。添加剤とは非常によく混ざります。
ただ高コストなため、一般には添加剤の溶剤として使われることは稀です。

じゃあ一般には?
ISO VG32とかISO VG46とかこういう記述があるのは鉱物油のパターンです。

まぁ業者じゃない限りこの辺の記述を見ることも興味を持つこともないですね。気にしないでください。



┃極性とアニリン点の共通点



では先ほどの特徴をまとめてみましょう。

鉱物油→よく混ざる
PAO→混ざりにくい
エステル→非常によく混ざる

ということでした。
ここで、前回のブログでまとめたアニリン点の特徴も加えて並べてみましょう。

ベースオイル アニリン点 相溶性
鉱物油     中位    良
PAO      高い    悪
エステル    低い    優
GTL      高い    悪

見えてきましたね。
アニリン点の低さは相溶性の高さと一致します。
加えて言えば、極性の強さもアニリン点の低さと比例します。

こんな一致(傾向)があったとはね。


┃エステルの極性の高さには注意



ところで、某オイルさんのブログによればエステルは添加材成分を吸着して沈殿することがあるとのことです。

たしかにエステルは相溶性が高いですが、極性が強すぎると逆に引き寄せすぎて混ざるどころか合体してしまう副作用が発生します。

そう、この話は「エステルだから」と一括りで語る話ではなく、「"極性の強い"エステル」の場合の話です。主にジエステルでしょうか。

また同ブログによる、「アルキルナフタレンは添加剤の相溶性を助ける」という話も粘度によって高低はあり、粘度の低いアルキルナフタレンは40℃程度のアニリン点で優れた相溶性を見せるのに対し、SAE40番相当の固さのアルキルナフタレンは90℃程度ですので、おおむね鉱物油と同等とみなすことができます。

結論的には、添加剤ときちんと混ざるにはほどほどの極性(低アニリン点)を持ったベースオイルが一番良いよねって話で、
鉱物油を除いてそれに該当する化学合成油は、POE(ポリオールエステル)やアルキルナフタレンあたりのグループV基油ということです。
Posted at 2025/09/10 22:40:59 | コメント(2) | トラックバック(0) | 勉強 | クルマ
2025年09月05日 イイね!

旧車とエンジンオイルのシールゴム収縮・膨潤問題

旧車とエンジンオイルのシールゴム収縮・膨潤問題(興味のない方の為に)初めに結論:

「最新の規格の通ったオイルであれば試験済みなので心配いらない」

- - - - - - -

オイルの素材や添加剤等のカタログ値を見ると、時々「アニリン点」という言葉を見ます。

【アニリン点とは】

アニリン点とは、試験試料とアニリンを(熱を加えて)混ぜたあと、冷却していく過程で何℃で分離するかを示す値。

…で?それが何?

はい。
実務的な面で言えば、

・アニリン点が低い
 →シールゴムを膨潤させる

・アニリン点が高い
 →シールゴムを収縮させる

とのこと。

ちなみにアニリン点は芳香族の多い・少ないで変化するそうです。

鉱物油は不純物が多く芳香族が多い→アニリン点が低い

精製・生成された合成油は芳香族が少ない→アニリン点が高い


このことを踏まえ、ここから先はAIに聞いてみました。
いつも私がお世話になっている先生はDeepseekです。
ファクトチェックはしていませんので話半分で聞いてください。



【各種ベースオイルのアニリン点】

典型的な値の範囲で、

グループI(鉱油) ... 90〜100℃
グループII(水素化処理) ... 100〜110℃
グループIII(VHVI) ... 110〜125℃
GTL ... 125〜140℃
PAO4 ... 120〜125℃
PAO8 ... 125〜130℃
POE(エステル) ... 40〜70℃

との事。

昔は「PAOはシールを収縮させてオイル漏れを起こす!」なんてよく槍玉に挙げられていたものでしたが、こうして数値で見るとGTLもかなりのものですね。

次に…



【エンジンに使われるシールゴムの種類】

熱環境の緩やかな箇所(オイルパン等)
→NBR(ニトリルゴム)やACM(アクリルゴム)

熱環境がやや厳しい箇所(クランクシールやカムシール)
→ACM(アクリルゴム)やFKM(フッ素ゴム)

熱環境が厳しい箇所(ターボチャージャー周り等)
→FKM(フッ素ゴム)

最近のエンジンは、化学的に安定しているFKM(フッ素ゴム)に全般置き換わっているケースも増えてきてるそうです。

逆に昔のエンジンはNBRが主体で、鉱物油時代は相性が良かったようです。



【各種ゴムとアニリン点の関係】

シールゴムによって、収縮・膨潤しやすい物もあれば、安定している物もあります。

そのへんを表したグラフがあります。

※縦軸が変形、横軸がアニリン点




まず、FKM(フッ素ゴム)はグラフの傾きが小さく、アニリン点に依らず安定していることが分かります。

一方で、NBR(ニトリルゴム)は傾きが大きく、さらされる油脂のアニリン点によって収縮・膨潤の幅が大きいことが分かります。

ACM(アクリルゴム)もNBRとほぼ同じ傾きですね。



【NBR(ニトリルゴム)は100℃付近で最も安定する】

かつて(今でも?)シールゴムの素材の代表格はNBR(ニトリルゴム)でした。

そのゴムが収縮もせず膨潤もしない丁度良いアニリン点が大体90℃〜110℃。

先ほど各種ベースオイルのアニリン点を比較しましたが、グループIやIIの鉱物油のアニリン点は…はい、ちょうど100℃前後でしたね。
とても相性が良かったのです。



【合成油の悪評】

そんなバランスで成り立っていた30〜40年前当時、新進気鋭のベースオイルとして突如PAOが現れました。

彼は航空業界でも名を馳せていたとして車業界にも鳴り物入りで参加。

鉱物油の苦手としていた低温流動性に優れていた事が、当時センセーショナル(なCM)に取り上げられました。

が、使用したユーザーを通じてまたたく間に全国に悪評が広まりました。

「化学合成油を入れるとオイル漏れを起こすぞ」と。



【原因はアニリン点とNBR(ニトリルゴム)の相性だった】

結果だけを以って「化学合成油は---」と断じてしまうのは簡単ですが、その原因を辿ると問題の本質はアニリン点だったようですね。

アニリン点の高いPAOに晒される事によって(ニトリル)ゴムが収縮し、隙間からオイルが滲んでいってしまったのです。



【各業界の対策】

その後オイルメーカーも当然対策を打ち、アニリン点の低いエステルを配合したり、エステルは高価なのでもともとDIパッケージにリン酸エステルやその他極性化合物を微量加えたりする事で、近年の不純物の少ない(アニリン点の高い)ベースオイルに対応しているそうです。

ちなみにアルキルナフタレンについては、(私が扱うメーカーの物だと)粘度によってアニリン点が大きく異なります。
粘度の柔らかいものほどアニリン点は低いです。

また、車メーカーもリスクの高い箇所にはFKM(フッ素ゴム)の採用を増やしていく等、お互いにできる範囲でリスクヘッジを進めているようですね。



【各規格での試験メソッドの有無】

オイルには規格が存在しますが、その規格内容の中にはシールゴムへの適合試験はないのでしょうか?

結論:
API規格 → あるが数値的な評価は無い
ACEA規格 → 定量的な評価あり
JASO規格 →   〃

という感じで、APIの規格には「問題あり/なし」のような大雑把な感じのようです。

一方でACEA規格やJASO規格ではきちんと数値で確認・評価するから確実性が高いと言えますね。



【まとめ】

・(芳香族の多い)鉱物油はアニリン点が中間位で、エンジンによく使われるシールゴムとの相性が良い

・純度の高いグループIII以上のベースオイルはアニリン点が高く、シール収縮傾向が強い

・ポリオールエステルやアルキルナフタレンのグループVはアニリン点が低く、シール膨潤の作用が強い傾向。(粘度により一概には言えないことに注意)

・NBR(ニトリルゴム)はアニリン点の影響を強く受けるため、オイルとの相性確認が必要

・最近のエンジンでは高級車を筆頭に安定性の高いFKM(フッ素ゴム)に置き換わってきているのでより安心

・オイルの規格でシールゴム適合性を見る試験メソッドがあるため、最新の規格を通ったオイルであればまず問題ないと見て良い


- - - - - - - - - -
あーめっちゃ長くなった。
しかも結論が「特に気にしなくて良い」に帰着っていう。
Posted at 2025/09/06 00:30:28 | コメント(1) | トラックバック(0) | 勉強
2025年09月02日 イイね!

新しい自家用車 兼 仕事車 兼 旅車が到着した




車両 ... F24型 日産アトラス ダブルキャブ
年式 ... H21年(2009年)
型式 ... PDG-SZ4F24
エンジン ... ZD30型 3.0Lディーゼルターボ DPF付
駆動方式 ... 4WD(切り替え式)
変速機 ... 5速マニュアル

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ディーゼル・マニュアル・四駆ってことで、エンジンオイルはもとより、ミッションオイル,デフオイルもテストできるので楽しみ。





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なお、バス(リエッセ)はパワステの故障によりポンプを交換したものの、下回りの腐りの酷さから油圧経路のパイプが破裂したことにより、きりがないと判断して廃車とすることにしました。

今年中にこのトラックの荷台に積む新しい住処を新築して、快適な旅に出られるよう頑張ります。
Posted at 2025/09/02 18:07:02 | コメント(1) | トラックバック(0) | クルマ
2025年08月19日 イイね!

[オイルレビュー]GR Endurance 0w-20




先日交換したこのオイルのレビューを忘れないうちに書きたいので、走行距離毎に追記形式でしていきたいと思います。

被験車:ホンダ エディックス(NA 2000cc 5AT)

メモ:交換時168,479km

【交換〜750km】
 最高。レスポンス,滑らかさ、ともに申し分なし。
高回転まで非常に滑らかに回るし、低回転時の出足も良くて非常に好感触。
この価格帯(2500円/L)では白眉の出来。


【750km経過】
 心なしか陰りが出てきた。
交換直後に感じていたようなアクセルレスポンスが、若干感じられなくなってきた。
とは言えまだまだ滑らかさは健在。


【1,200km経過】169,719km
 あの鋭かったレスポンスはすっかり影を潜め、全体的にやや平凡な感じになってきた。
でも試しに高回転回してみても雑味はなく気持ち良く吹け上がるので、まだまだ好感触。


【1,600km経過】170,073km
 ザ・平凡。
すっかりそんな感触のオイルになりました。
滑らかさは一切消えたと言って差し支えないと思う。

出足の良さを感じさせていた鋭いレスポンスもなくなり、伸び側も、2速6,000rpm位まで引っ張ってみると以前よりエンジンノイズが大きい。

その後アクセルオフで回転が落ちるのをじっくり観察していると、3,000rpm位まで落ちるとエンジンノイズがだいぶ減る。
高回転側はもう期待できなさそう。

後はこのまま平凡な感覚がずっと続いていくのだろうか。

メーカーは5,000km以内の交換を推奨しているけど、まだその半分も経過していないうちからこの劣化具合だもんなぁ。


【2,400km経過】170,859km


先日青森まで泊りで家族旅行に出かけたので距離が伸びました。

ちょっと評価が変わって、「悪くないじゃん」ていうのが正直な感想です。
と言うのは、劣化の下降線が下げ止まりました。
前回の1,500km走行程度が底打ちみたいで、そこからはフィーリングの変化はありません。
その辺は流石ノンポリマーと言ったところですね。

エステルの効果が切れて残りはベースオイルの性能となりましたが、使われているVHVIも悪くないのか、街乗り&高速で走っている分には全然いい感じです。

粘度の柔らかさによるフィーリングも手伝っていると思いますが、まぁこのまま続けば良いよねって感じで。

ただそうは言っても考えるのがコスパ。
これ2,500円/Lですからね。
基本的には一発勝負のレース用としてすぐに交換する前提で使うのが好ましいとは思います。
なんてブルジョワジーw

ヨーロッパメーカーのオイルなら2,000円/Lも出せばそれなりに耐久性の高いオイルは選べますから、やはり好き好んでGRを選択する理由は乏しいかな。
Posted at 2025/08/19 00:35:01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年08月08日 イイね!

【物は試し】GR Endurance 0W-20 にオイル交換

【物は試し】GR Endurance 0W-20 にオイル交換先日のブログで、コメントにてGR Enduranceをぜひ一度使ってみてほしいというお話があったので試しに買ってみた。

本当はかみさんのBクラスに入れるつもりだったけど、オイル容量が5.2Lあるのに対して、GRのオイルは1L単位で売ってないのでめんどくさくてやめた。

代わりに私が普段乗っているエディックスの方に入れることにしました。
BE3 20Xなので、ちょうど4Lでぴったし。
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とは言え、こないだ6月に交換したばかりだし、1年使い続ける予定なので、抜いたオイルは容器にとっておきました。
どうせGRオイルの方は寿命短そうだし、そしたらまた後で使おう。

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あ。そういえば生まれて初めての0W-20だな。


- - - - - - - - - - - - -
次に家内のベンツBクラス(W246)も交換。
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こっちは去年の6月に交換していたので、1年2ヵ月経ちました。
距離数は大したことないけど、めちゃくちゃチョイ乗りが多くて(特に冬場は)超シビアコンディションだったと思います。
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抜いたオイルは…?
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ちゃんと粘り気あるし色も大して黒くないな…。
なお、使っていたオイルはShell Rotella T6 5W-40でした。


んで今回入れ代えるオイルは、当然自分が製造・販売しているVeriorです。
ベンツで純正指定が229.5(5W-40)なのですが、Veriorのベースにしているオイルもその認証が取れているので同程度以上の性能です。
Posted at 2025/08/08 13:51:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | オイル | クルマ

プロフィール

「脱脂力との関係性を見るのにも役立つアニリン点。
なにこれ。油脂に携わる人には必須科目じゃん。
調べるほど色んな事に関連性がある。」
何シテル?   09/11 17:40
夫婦と息子で3人暮らし。 岩手県で住宅会社をしています。 2025年からオリジナルのエンジンオイルの製作・販売を始めました。 https://verio...
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