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イイね!
2009年11月08日

少女革命ウテナ2

『少女革命ウテナ』はちょっと子供向けアニメとは思えないほど難解だ(と思う)。物語の前半はまだ子供向けアニメ的ストーリーが織り込まれているけれども、黒薔薇編が終了し、アンシーの秘密が明らかにされていく頃からは、このアニメが明らかに大人も視聴者として想定していることが容易に伺える内容になってくる。実際ネットにも内容の解説サイトがいくつか存在するようであるが、とりあえずそれらのサイトは参考にせず、私なりの考察を書いておきたい。いくつか疑問も残されているが、それはこれの記事を書き終えたあと、その他解説サイトでお勉強。

とは言ってみたものの、何から書けばよいのかさっぱり分からない。断片的な疑問に対する回答を列挙するのも一つの方法かもしれないが、やはり何らかの一つの文章としたいものである。そこで核心に迫るような疑問を一つ選び、それに対する回答を通して、物語全体への考察としたい。お題は「姫宮アンシーの苦しみ」である。アンシーの苦しみを理解せずにアンシーを救うことはできないから。

アニメ中で上演される『薔薇物語』?によれば、アンシーは王子であり、兄でもあるディオスを愛するが故に、世界から王子を隔離してしまった。これは傷ついた王子を守るためであったが、王子を求め続ける世界はアンシーを魔女として剣で突き刺してしまう。世界から隔離された王子はもはや王子ではなく、世界の果てとなってしまう。

物語のクライマックスである世界の果てとウテナの決闘がアンシーの心の葛藤そのものと捉えることが出来る。アンシーは迷っていた。このまま世界の憎しみに苛まれながら、幻の星空を映し出す理事長室で「世界の果て」との愛欲に溺れるのか、それともこの棺の中から出て行くのか。簡単に言えば引きこもるのか、社会に出て行くのか、の選択と言ってもいいかもしれない。アンシーは自分を棺の中から救い出してくれる存在をずっと待っていた。自分がかつて愛したディオスはもういない。いるのは世界を憎む堕天した金星「世界の果て」だけである。そして彼は自分を世界の苦しみから救ってはくれなかった。それどころか彼はアンシーが魔女であることを自ら望み、楽しんでいると思っている。アンシーも最初はそうだったかもしれない。しかしウテナが現れたのだ。ウテナは彼女を薔薇の花嫁としてではなく、一個人として付き合ってくれた最初の人だった(多分)。

全編を通した決闘シーンにおいて、ウテナにはディオスの力が加わっている。ディオスの剣を手にした生徒会メンバーもいたが、彼らは剣は使えてもディオスの力は発現していない。両者の違いはなにか。それは何のために戦っているか、の違いである。ウテナの場合がアンシーを守るためであるのに対し、生徒会メンバーの動機は極めて個人的である。「世界を革命する力」を個人的欲求を実現する力と勘違いしている。薔薇の花嫁とエンゲージする、ということはアンシーを守る王子になる、ということであるのに、彼らはアンシーを道具としてしか見なしていない。これは実は「世界の果て」についても同じことが言える。彼はアンシーを愛しているかも知れないが、本来守るべきアンシーを苦しみから開放しようとは思わない。彼はアンシーと棺で過ごす時間を永遠にしたいだけなのである(多分)。

一方ウテナはアンシーを守るために戦っている。何から守るのか。アンシーを利用しようとするデュエリスト達から、である。デュエリストはアンシーを苦しめる(利用しようとする)世界を代表している。この場合、「利用する」とは「排除する、殺す」と大差はない。王子を手に入れるためには魔女は邪魔なのである。少なくとも彼らはそう解釈している。ウテナも一度はこちら側になりかける。鳳暁生がウテナをそそのかす辺りで。例えば彼女は冬芽が選んだイヤリングを「世界の果て」から送られたと信じていい気になったりする。そしてアンシーと鳳暁生の関係を知り、裏切られたと彼女を恨む。だがこれは「世界の果て」の思う壺である。彼は早くから本当の王子の資質を持ったウテナの存在を危惧していた。そこでウテナに近づき、彼女の心をアンシーから遠ざけようとした。彼女が王子様を選ぶのか現実の男である自分を選ぶのかは、鳳暁生にとって大差はない。要はウテナが自分がアンシーの王子様になる、という役割を放棄すればそれでいいのである。これは一見成功したかに見えた。「君と出会ってからずいぶんいろんなことがあったね、ほんといろいろあった」。彼女は鳳学園から去る決意をしたと見ていいだろう。ウテナが再びアンシーに心を向けるのは、彼女の本当の苦しみに気付いたからである。

アンシーの苦しみに戻るが、彼女の本当の苦しみとは、自分がかつて愛したディオスが「世界の果て」となり、薔薇の花嫁として棺の中で生き続けることを要求することである(多分)。「世界の果て」が愛しているのは薔薇の花嫁であって、アンシーではない。アンシーは薔薇の花嫁である限り、世界からの憎しみに耐え続けなければならない(「体」の痛み)。そしてそのために、今まで曲がりなりにも自分を守ってくれたウテナさえも裏切らざるを得なかったことが、彼女の「心」を傷つけ自殺を決意する。 ここへ来てようやくウテナは本当の意味でアンシーを理解し、改めて彼女を守る決意する。それは強く気高い心を持ち続けるという、幼い頃に交わしたディオスとの約束でもあった。


「この薔薇が、あなたに届きますように」とは、アニメの最後に写る製作スタッフからのメッセージである。薔薇がそれ自体で薔薇であるように、『少女革命ウテナ』というアニメは、ストーリーや絵、音楽、声優など全てひっくるめて一つの作品である。特に生徒会メンバーの心の揺れは微妙・繊細で、こういったサイドストーリーが絡み合ってくるからこそ、ウテナとアンシーの関係が際立つのである。部分的な解説などはいかにも無粋だ。子供はそんなことしない。「象徴の意味を説明しろ」などとは言わない。その意味ではやはり子供向けアニメなのかもしれない。ご勘弁を。
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Posted at 2009/11/08 17:34:34

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