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2006年07月13日

途絶えた“プリンス”魂

途絶えた“プリンス”魂 ここ数年、マガジンXでスッパ抜かれていたスクープ記事を見るたびに、ついにこの時が来たか…と思っていました。それは天皇の御料車として納められる特別なクルマ「センチュリーロイヤル」です。

つい先日その一号車が納入され、正式に報道発表された姿を見ると確かに威風堂々とした姿は御料車としてはふさわしいものではあります。

新しく導入された陰には必ず消えて行く物もあるわけで、これまで天皇の御料車として約40年の長きに渡って使われ続けた「プリンス ロイヤル」がついに引退する時が来たとも言えます。



国産オリジナル1号での御料車として誕生した「プリンスロイヤル」は、2年という非常に短い開発期間で作られたクルマですが、「皇一号」(画像)が納入された時にはプリンス自工は日産自動車へ吸収合併後だったため、正式名称は「日産プリンス ロイヤル」です。

吸収合併後はスカイラインをはじめグロリアなど、車名には当然「プリンス」の文字が消え去ったけれど、ロイヤルだけは唯一名称が残ったクルマであります。

今後センチュリーロイヤルが順次納入されていくに従い、当然プリンスロイヤルは次々に退役していくことになるけれど、それは同時に現代まで脈々と「現役」として続いていた「プリンス」の名称がここで完全に途絶えることも意味しており、また一つの時代が終わるとも言えます。

私自身、退役となったプリンス ロイヤル、これまでずっと興味があるばかりか好きなクルマの1台であるのだけれど、残念ながらまだ一度として間近で目にしたことがありません。いつかは…と思っていたら、ついに現役での姿を直にこの目で見ることなく退役となってしまったのが残念です。

まあ、退役は無理もありません。同年代に誕生した国産のクルマでいったら、同じプリンスならS54のスカイラインだったり、A30のグロリア、トヨタならトヨタ2000GT、いすずは117クーペ(ハンドメイド)、マツダはコスモスポーツだったり、今ではそれこそクラシックカーのイベントでしかなかなか目に出来ないクルマ達ばかりなのだから、逆にこれまでずっと“現役車”として稼働していたことが脅威でしかなりません。

これほどまでプリンス ロイヤルが長く愛用されたのも当時の持てる最高の技術が惜しみなく投入されていたことや、「過剰保証」とでも言って良いくらい、しつこいくらいの品質保証など、プリンスならではの「職人魂」の集大成がこのクルマに注ぎ込まれていたから他ならないでしょう。

プリンス自工は戦前の優秀な航空機メーカー「中島飛行機」「立飛」からの技術が生きずいたメーカーであり、日産自動車に吸収合併される前のプリンス自工にロイヤルの製作依頼が宮内庁からあったのは、皇太子殿下(現天皇)のために納入されたプリンス・グロリアとの関係以上にそんな技術力の高さによるところがあったからかもしれません。

プリンスロイヤルの設計は「最低でも耐用年数は10年」を想定して作られ、溶融亜鉛メッキを施した上にタップリとシャシブラックを塗装したことで「50年(!?)は保証」とうたわれたシャシーフレームや、わずか10台(試作車含む)のためだけに作られたオリジナルのV8 6373ccのエンジンなど、それはそれは数々の作り込みの良さによって長寿を誇っていたと言えると思います。

そういう意味では新御料車である「センチュリーロイヤル」はどうなのでしょう。現代の最高の技術が惜しみなく投入されてはいるのは分かるけれど、奇しくも時同じくしてハイラックスサーフの欠陥騒ぎが持ち上がるトヨタらしい社風? を示している通り、どうにも「職人魂」が息づいたクルマ作りをする会社とは到底思えず、プリンス ロイヤルのように40年という長期の耐用年数は確保していないだろうなぁ…という想像が残念ながらついてしまいます。


それはさておき、私がプリンスロイヤルを認識するようになったのは幼少のころだと思います。そんな中でももっとも記憶に残っている強烈な思い出としては、昭和天皇崩御の大葬の礼で、霊柩仕様に改装されたロイヤルです。あの時はテレビのブラウン管越しに夢中で見ていた記憶があります(実際に霊柩仕様は高松宮逝去の時がデビュー)。

セダンしかないと思っていたプリンス ロイヤルが来るべき日に備えて架装してあったその姿にはかなりビックリしました。

プリンスロイヤルが納入された当初は民生向けが発売されるようなウワサが立ったけれども、結局は防犯上の理由からついに発売されるようなことがなかったばかりか、同様の理由でこのクルマの詳細についても長年ベールに包まれ続けています。

ずっと知りたかった詳細が40年を経て分かるかもしれないという点ではクルマバカとしては非常に嬉しい反面、もう走る姿が見られなくなる事を考えると複雑な気もしています。

今一番気がかりなのは現存するプリンス ロイヤルの今後の行方でしょう。すべてではないにせよ、おそらく日産自動車が引き取ることは明白ではあるけれど、1台として解体されないことを願うばかりです。

兎にも角にも今後ニューイヤーミーティングなどのクラシックカーのイベント会場などで、その勇姿を間近で見られる日が来たら嬉しいなぁ…と前向きに考えることにしましょう。
ブログ一覧 | 旧車 | クルマ
Posted at 2006/07/14 05:27:07

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この記事へのコメント

2006年7月14日 22:53
「プリンス店」の消滅(販売店統廃合)にせよ、スカイラインやグロリアの扱われ方にせよ、今の日産は”プリンス”魂を忘れているという感じを受けますね。伝統はそのブランドの財産だと思うのですが。
コメントへの返答
2006年7月15日 14:55
これも時代とはいえ寂しいコトですよね。このところ思うのは、コストや目先の削減などは将来的に考えたら本当にプラスなのか? って感じます。失うコトで大きな何かも無くしてしまうような気がしてならないですねぇ。失ってから気付くものは、決して小さくはないと、何事にも思うようになりました。
2006年7月16日 1:10
ついに退役ですか。

ちょっと前、そんな話が出ているのを知ったのですが、宮内庁の方は「愛着があるのでまだまだ直して使いたい。」方針なのに対し、日産の方は「もうダメです。代替えしてください。」という内容でした。
(そしたら、トヨタが黙っているはずないよね、なんて友人と話したんですけど)

私は右な人じゃないんですけど、高級新車をホイホイ乗り換えるセージ屋と違って、40年も大事に乗り続けるのは、やっぱりエライよなぁ…と思いました。
コメントへの返答
2006年7月19日 3:40
ほんと、お役人達にツメの垢を煎じて飲ませてやりたいくらいですよ!!

それにしても、いくら当時としては最高の空調完備のクルマだったとはいえ、40年も前のクルマですから、さぞかし乗っているのがツラかったと思います。防犯上でも気密性が高かったハズですから夏場なんでやせ我慢してたのかなぁ…なんて思います。

そうだ! ロクでもないお役人達に払い下げればイイのかもしれないなぁ…なんて意地悪なコトも思ったりして!?
2006年7月16日 22:34
40年間も現役のプリンスロイヤルにお疲れ様です。このクルマの退役によりプリンスの灯火が消えてしまうのは残念な気持ちになります。ブランドを創り、育て、消滅というのはなんとも悲しい気持ちになり、ブランドを作るのも人、育てるのも人、消滅させるのも人である事を改めて実感してしまいます。こうならないためにもブランドを作る際は長い目で見守らないといけないのだなと実感いたしました。
コメントへの返答
2006年7月19日 3:41
どうもブランドや名称を軽く考えがちな風潮が最近目立つ気がします。昔から続く車名も簡単に捨ててしまう世の中ですからねぇ。名前まで使い捨ての時代には少々悲しくなる一面も感じる今日この頃です。
2006年7月24日 10:26
はじめまして。興味深く拝読しました。ボクは「プリンスロイヤル」を初めて聞いたとき、プリンスが社名だったとは知らず、それから自分が免許を持って色々知識が付いてきて背景が分かったのを思い出しました。おっしゃるように職人魂を感じるクルマがなくなるのは寂しいですね。どこかに展示されることになるのでしょうが。
コメントへの返答
2006年7月27日 0:02
まだ日産が引き取るというコメントは発表されてませんが、全国の日産ギャラリーなどにも特別展示をして欲しいですよね。そうしたら速攻で見に行きたいと思います(^^

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「@べりばあ さん こんばんは。 相変わらず手入れが行き届いていて綺麗ですねぇ。しっとりしてるとシワや傷がつきにくくなるので長期間美しさが保てます。革シートの美しさはオーナーのマメさを表す鏡みたいな物なんです(^^」
何シテル?   06/05 21:46
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